【登壇者】執行役員 VP of Strategy / Chief of Staff 山崎 紘彰 様
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質疑応答の一部
Q. ソラコムを利用するお客様は、どのようにしてソラコムを知るのでしょうか。
A. ありがとうございます。当社は日本においてセルフサービス型のビジネスモデルを採用しています。資料の左側から、認知、利用開始、サービス利用、規模拡大という流れになっています。幸いにも、日本では「IoTといえばソラコム」とブランドイメージが強くなってきており、お客様はWebから1枚のSIMからご購入いただけます。全国各地でユーザーグループと呼ばれるお客様の交流会を開催していることや、口コミから来る認知もございます。
これが何を意味するかと言いますと、非常に効率的にお客様を獲得しているということです。お客様自身が、当社のセールスを介することなくサービスを使い始め、規模が拡大してサービスの複雑性が増した段階で、当社のセールスアカウンタントがお手伝いをします。一方、一部の大規模なお客様については、狙って取りに行く活動も行っています。このように日本では、比較的セルフサービス型のモデルでリーンに、広告宣伝費を多く使うことなく新規のお客様を獲得しています。アメリカではセルフサービス型と別のモデルを組み合わせていますが、これは後ほどご説明します。
Q. ソラコムと似たことをやっている会社は、国内外にどれくらいいて、それと比較したソラコムの優位性はどのようなものですか。
A. ありがとうございます。このIoTの領域では、トラディショナル型のプレイヤーとクラウド型のプレイヤーに分かれると考えています。トラディショナル型のプレイヤーは、例えば日本ではNTTドコモ様、海外ではAT&T様やVerizon様といったプレイヤーです。
別の資料を用いた方が分かりやすいかと思います。直近で当社は、Gartner(世界で著名なテクノロジーのリサーチ会社)から、KDDI様との共同でリーダーに位置づけられました。これは日本に本社を置く会社として初めてのことです。このリーダーに位置づけられている会社を見ますと、Vodafone、AT&T、Telefónica、Verizon、Orange、Wireless Logic、Deutsche Telecomといった、トラディショナルなプレイヤーが多くを占めています。
ただ、このトラディショナルプレイヤーはIoTで稼いでいるわけではないという点が、非常に重要なメッセージです。つまり、コンシューマー向け、皆様の携帯電話の方がARPUとしては高いのです。IoTの価格感を少しご紹介しますと、SIMで5ドル、月額サブスクリプションで1.8ドル、1.0ドル、1.3ドルと、かなり低い水準です。つまり、IoTで収益性を上げるには、かなりリーンにビジネスを行う必要があります。トラディショナル型のプレイヤーは、大規模な案件しか手がけません。彼らの主戦場はコンシューマー向けであり、大規模なIoTのみを対象にしているのが特徴です。
当社のように、スタートアップから大企業まで幅広くカバーしている会社という意味で、トラディショナル型のプレイヤーと当社のようなクラウドプレイヤーは分かれていると考えています。日本では一部、ミーク様がIoTを展開されていますが、ミーク様は売上の3割ほどしかIoTがありません。IoT専業という意味では、少なくとも日本では当社がかなり業界内でプレゼンスがあると考えています。海外には一部、当社のようなクラウド型のプレイヤーがいますが、サイズ的には当社が最も大きいです。これは玉川や私が各プレイヤーのファウンダーと話す際に感じているところです。加えて、こうしたプレイヤーは地域性があり、ドイツで強い、北欧で強いといった地理的な強みがそれぞれ分かれています。そのため、当社としては、こうした会社を適切なタイミングでM&Aしていくことで、クラウドプレイヤーとして世界ナンバーワンを目指せると考えています。
Q. 参入障壁について教えてください。部分部分ではさくらインターネットさんがIoT用のSIMキットを提供するなど、いろいろなプレイヤーが参入していると思います。御社の強みはプラットフォームとしての強みだと思いますが、AI時代になると、AIがパーツとパーツをつなげてくる可能性が高く、御社の強みが弱くなってくるのではないでしょうか。
A. ありがとうございます。当社の強みを言葉を変えてご説明しますと、デバイスからコネクティビティ、クラウドまでを一括で提供している点が、まさに強みです。おっしゃる通り、さくらインターネットさんも一部SIMをやられています。ただ、当社の場合「Soracom IoT DIY」と検索すると、IoTレシピがWeb上にたくさん出てきます。このように、お客様がIoTをより身近に、やりやすく実現できるサービスを、デバイスからコネクティビティ、クラウドに至るまで提供している点が強みです。
AIとの関係性で言いますと、AIがコネクティビティの部分をできるかというと、できません。これにはライセンスが必要だからです。これまで当社が培ってきた各MNO様とのライセンスや、それぞれの国のレギュレーションへの対応を、当社は内部ですべて行っています。このナレッジやライセンスが、大きな参入障壁になると考えています。
加えて、当社からするとAIを組み合わせることで、この部分はより強くなると考えています。つまり、当社がデバイスから収集したデータをエンハンスメントしてくれるのがAIだという見立てです。当社にとってAIは敵ではなく、むしろ当社のビジネスの必要性と機能性を強化してくれる存在であると、強く感じています。
Q. 会社の方向性について確認させてください。IoTをキーワードに、スタートアップから大企業まで全方向で展開するには、相応の規模と資金が必要だと思います。特許なども、大きなところに入らないと活かせず、収益を出せないのではないでしょうか。KDDIなどにさらに資金を入れてもらう必要があるとも思いますが、どのようにお考えですか。
A. ありがとうございます。もし私の回答がずれていたら、その観点でご指摘ください。2点お話しします。
まず、全方向でお客様を獲得していく際に、当社がコストをかけない工夫が2つあります。1つはセルフサービス型のモデルで、これは先ほどご説明したものです。もう1つはアメリカで行っているディストリビューター戦略です。アメリカは国土が非常に広く、当社のセールスメンバーは30名程度しかおらず、全員でカバーするのはかなり難しいです。そこで、当社はパートナーエコシステムを構築しています。TSD(Technology Solution Distributor)、TSA(Technology Solution Advisor)と呼ばれる存在です。IntellisysさんやTD SYNNEXさんといったプレイヤーがTSDにあたります。
アメリカは国土が広く、ITの領域が非常に進歩しているため、当社のエンドユーザーにコンサルタントとして入っているTSAがいます。これは個人や小さなコンサルファームの場合もありますが、彼らがTSDというギルドの下にいるようなイメージです。彼らが当社に良い案件をリファラルしてくれ、当社がクロージングをすると、その分のリカーリングの一部をマージンとしてお渡しします。アメリカでは、このセルフサービスモデルとディストリビューター戦略の両輪で走っています。大手から大企業までカバーする際、特に大手をどう効率よく獲得するかが重要になりますが、ディストリビューター戦略はアメリカで非常に有効に機能しており、有望で大規模なお客様を、短いセールスサイクルでクロージングできています。つまり、全方位で展開する一方、顧客獲得においてはコストをかけず効率的に行える体制を、日本のみならず海外でも構築できています。
もう1点、当社の中長期戦略についてです。例えばコネクテッドカーの事例では、KDDI様と連携しながら一部を行っています。KDDI様が自動車メーカーに直接対面し、海外におけるコネクティビティの部分は当社が提供するという住み分けです。このように、当社が単独で行うのではなく、株主であるKDDI様、スズキ様、日立様、ソニー様、日本瓦斯様など、大手エンタープライズが株主に入っていますので、そうした株主との関係性もうまく用いながら、新しい収益の柱を育てていきます。単独でやる部分と連携しながらやる部分を、戦略ごとに分けて考えているとご理解いただければと思います。
Q. 海外事業について3点伺います。1点目は、御社が比較的若い会社であるにもかかわらず、海外でプレゼンスがあるのはなぜか。2点目は、IoTの使われ方や技術面で、日本と海外のどちらが進んでいるのか、また国内事例の海外展開やその逆はあるのか。3点目は、海外でクラウド型のプレイヤーが少ない、あるいは弱い印象がありますが、それはなぜか、です。
A. ありがとうございます。3点いただきましたので、もし回答が漏れていたらご指摘ください。
まず、なぜ海外で展開できているか。雑多な言い方をすると、ファウンダーたちのいい意味での勘違いがあったと考えています。ファウンダーたちは当時、AWSの2号社員を含め、日本にクラウド型のベンダーがほとんどない中で導入を進めた先駆者です。彼らは「海外のものを日本に展開できた。なら、日本のものを海外に展開するのもできるだろう」と考え、創業段階から海外展開を目指していました。
もちろん、当時はチームビルディングに何度も失敗したと聞いています。日本のスタートアップが海外で人材を採用するのは非常に難しく、当社も一度組織崩壊を経験しました。そこから強靭な組織を作れた理由は、組織のカルチャーをグローバルでぶらさなかったことにあります。当社にはリーダーシップステートメント(Amazonでいうコアプリンシプルのようなもの)が15個あります。例えば「Proactive」「Think Without Boundaries」「Avoid Muda」といった組織のカルチャーです。採用の段階で、このリーダーシップステートメントを満たしているかどうかを詳しく見て、グローバルの採用基準を統一しています。これが非常に良かったと思っています。私もアメリカのメンバーと話していて、いい意味で「日本人っぽい」「ソラコムのメンバーだな」と感じます。海外でも日本と同じ採用基準で強靭な組織を作れたことが、創業10年目のアーリーな組織でありながら、売上の40%超を海外で作れている要因の一つだと考えています。
2点目、日本と海外におけるIoTの使われ方についてです。フィジカルAIなどの事例は、日本よりも海外の方が多くなってきている印象があります。海外の方が企業数も多く、企業同士の競争環境が激しいため、AIを使いながら収集したデータをいかにビジネスに活用するかを考えるお客様が非常に多いのです。だからこそ、当社自身も今後のIRも含めて、既存のお客様の中でAIを用いて新しくサービスを実現している事例をお見せしていくのは面白いと思っており、今後しっかりまとめて発信してまいりたいと考えています。
3点目、クラウド型のプレイヤーについてです。クラウド型のプレイヤーは、実は海外の方が多いです。日本でクラウド型のプレイヤーは、おそらく当社だけだと認識しています。海外では、例えば先ほどのGartnerの資料で言うと、emnify(ドイツの企業)、1NCE(こちらもドイツ)、あるいはアメリカのHologramといった会社があります。ただ、クラウド型と言っても、当社のように完全にモバイルコアをクラウド化しているというよりは、一部をクラウド型にしているという形です。完全なクラウド型の競合はいませんが、当社と同じような時期に創業したプレイヤーが海外に存在していることは、非常に意識しています。
