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[書き起こし]アピリッツ(4174)IRセミナー&質疑応答 2025.1.19

2025.1.19開催致しましたアピリッツ(4174)IRセミナー&質疑応答の書き起こしになります。

登壇者名 取締役 執行役員 CFO 永山 亨

IRセミナー

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今日のコンテンツについてですが、まずコーポレートサマリー、その次に何をやっているのかという授業内容についてお話しします。また、直近では9月に第3四半期の決算を発表しましたので、その数値と最も重要な今後の戦略についてもご説明いたします。

コーポレートサマリ

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まず、アピリッツ様のビジョンについてです。「ザインターネットカンパニー、世界に愛されるインターネットサービスを作り続ける」と掲げています。25年前に慶応大学の学生が集まりSFCキャンパスで始めたこの取り組みは、学生が集まってスタートしたものでした。その時からインターネットに関わる開発を続けており、ここまで多くの方に支えられて成長してきました。これからも続けていきたいという思いです。

次に、何をやっているのかを大きく3つに分けて説明します。横文字が多いので端的に言うと、まずは開発会社としてWebソリューション、ビジネスソリューションを提供しています。この分野では、ただの下請けではなく特徴がありますので後ほど説明いたします。次に人材派遣です。突然人材派遣が出てくるのは不思議かもしれませんが、こちらも後ほど説明します。そして最後に、オンラインゲーム事業です。このオンラインゲームがどのような形態なのか(コンシューマーゲームなのかスマホゲームなのか)についても特徴があるため、こちらも後ほど説明いたします。

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これらの3つが会社の軸です。会社の特徴として、連結社員数793名のうち約6割が20代です。25年間成長を続けてきた中で、若い人たちが多く働いている会社です。先ほど退職退職の話もありましたが、しっかりと当社も使われた経験があります。その苦渋についても後ほどご説明いたします。

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もう一つの特徴は、若い人たちがやっている会社であることと、安定成長です。過去10年間安定的に成長を続けており、2021年2月にスタンダード市場に上場させました。上

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場後はグラフにもある通り、順調にトップラインを伸ばしており、上場の効果が表れています。また、M&Aを成長の軸に置いており、こちらについても詳しくご説明します。

事業概要 - Webソリューション事業

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以上の3つの軸、「若い人たちが働く安定成長企業」であることを基に、まずはWebソリューション事業についてご説明します。細かい技術的な話は避け、我々が実際に作っているシステムの事例を挙げます。

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例えば、カプコンさんの40周年記念サイトを制作しました。一見サイトを作るだけかと思われがちですが、このコンテンツの中で昔懐かしのファミコンのゲームが動作したり、大規模なシステムを構築したりしています。我々はゲーム事業や大型開発も手掛けているため、カプコンさんからの依頼を受けた事例もあります。

さらに他にも事例は多数あります。大手企業のシステムと言いたいところですが、口に出せない事情もあり恐縮ですが、皆さんが普段利用する買い物で使用するサイト等の多くも我々が手掛けています。

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大規模システム以外にも、スマートフォン向けのアプリケーションも開発しています。例えば「さとふる」のアプリケーションも当社が開発しました。

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また、奇しくも1つ前のZETAさんの講演でおっしゃっていたことで興味深い話があります。当社は「アドバンスサーチ」という検索技術を保有しています。先ほどの講演で触れたように、UI/UXのデザインは非常に重要です。画面遷移が煩雑だったり使い勝手が悪かったりする場合があると思いますが、それど同様に、検索機能が重要な役割を果たします。マーケティングやウェブサイトで検索した際に、お客さんが求める答えをスムーズに提供できるかどうかが鍵です。

我々はこの検索技術にAIを活用し、システムに組み込んでいます。この技術はマーケティング観点だけでなく、大規模開発の場面で重宝します。なぜなら、ゼロからシステムを構築するのは非常に手間がかかるため、必要な検索機能をあらかじめ組み込んでおくことで開発の効率化を図ることができるからです。そのため、SaaS型のサービスとしてもこの検索機能を提供しています。

ただし、これを単に売ることが目的ではなく、大規模な開発を受注する際に活用するための技術として位置付けています。例えば夢の国のプロジェクトにも関わってきました。今後もAIを活用しながら事例を積み上げていく予定です。目的は、この検索技術を売ることではなく、活用してより大きな開発案件を受注することにあります。

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ご覧のとおり開発したものはこのような感じですが、どんな特徴があるのかというと、一気通貫です。例えばさとふるさんの例を挙げると、さとふるさんがターゲットとするユーザーは誰なのか、そのアプリケーションでユーザーをどう巻き込むのか、といったことをシステムを作る前に検討します。具体的には、お客さんの属性やビジネスをしっかり分析しなければなりません。往々にして、お客さんはアイデアベースで「こういうものを作りたい」と言うものの、実際に会ってみると意見が変わることもあります。例えば、「こうしたい」と言われても「それでは売れない」といった問題が発生することがあります。そこで、コンサルティング戦略分析から入り、一緒に伴奏しながら企画・設計を進めます。

企画と設計では、先ほども述べた通りUI/UX、デザインが非常に重要です。皆さんがスマホで直感的に操作できるようにしなければ、使いにくいサイトやアプリケーションになってしまいます。これも一緒に行い、やっと開発に入ります。下請けの開発会社だと思われている方も多いですが、当社はその上流工程から関わっています。そして、システムやサービスがローンチされた後の運用もサポートします。つまり、全てを一括してお願いいただければ、すべて対応いたします。

これは唯一無二ではありませんが、当社の強みです。同様のサービスを提供する会社は他にもあります。しかし、この規模で一貫して全てを手掛ける会社は少ないと考えています。特化型のデザイン会社などはありますが、丸ごと対応する上場企業は稀です。

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このビジネスモデルの強みは、売上高における継続率が高いことです。なぜなら、全てを任せていただくため、他のベンダーを選定し直すためのコストや時間を省くことができるからです。開発は単発で終わるものではなく、大きな受注があっても翌年同じ受注を取るとは限らないという不安があります。しかし、当社は契約上は短期でも、継続率が高く、新規顧客を積み上げながら安定的な売上と成長を実現しています。

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一気通貫で対応することで、様々なお客さまのニーズに応えることができます。例えば「システムを一から全部作ってほしい」というお客さまも、「デザインだけでいい」「特定の部分だけ作ってほしい」というお客さまにも対応可能です。これにより、受注案件が増え、新たに売上を確保できるのです。

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さらに、事業の説明でもありましたが、当社は労働集約型産業です。人が全てなので、人材を確保し組織をうまく運営することが重要です。この掛け算でシェアを伸ばしていきます。

事業概要 - Webソリューション事業

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次にデジタル人材育成派遣事業についてです。急に派遣や育成が出てきたことに違和感を持たれるかもしれませんが、こちらについて説明します。当社は多数のエンジニアやデザイナーを抱えています。お客さまのニーズとして、「丸ごと作ってほしい」「特定の部分だけ作ってほしい」という依頼が多くある一方で、「エンジニアだけ貸してほしい」というニーズもあります。開発会社に頼んでも自社に合わない人が来ることが多いため、「人だけ貸してください」と言われることもあります。そこで、当社は作ることも人を派遣することも対応できるビジネスを開始しました。

当然、人材派遣のニーズが高まる中で、人を採用しなければなりません。当社は未経験者を積極的に採用しています。経験者を採用しようとすると、高額な人材エージェントの手数料や求人媒体の費用がかさんでしまいます。例えば、富士通など大手企業と比較されれば、当社が採用活動を行っても有利ではありません。そこで、エンジニアやデザイナーになりたいという未経験者を集めて育成することで対応しています。事業名に「育成」が入っているのは、そのためです。なぜ育成ができるのかというと、当社は25年の歴史があり、育成のノウハウを蓄積しているからです。

いろんな案件を抱えているので、教育を通じて様々な案件を経験させると、成長スピードが他の会社よりも早くなります。例えば、一つのプロダクトだけを担当しているエンジニアは、そのプロダクトの言語しか習得できず、様々なお客さまのニーズにも対応できません。育成という観点では、いろんな受託業務を手掛けている我々の方が効率的だということです。

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これにはもう一つのメリットがあります。冒頭で述べた3つの事業のうち、Webソリューション事業とオンラインゲームもあります。オンラインゲームは永遠に運営できるものではありません。売れている間は問題ありませんが、売れなくなればサービスを閉じることになります。そうなると、そこで働いていたエンジニアやデザイナーは社内で仕事がなくなってしまいます。これは開発会社の宿命ですが、常に安定した案件があるというのは難しい状況です。

我々の場合、適切な規模の案件が見つからない場合、人材派遣事業を活用していただき、その会社のお手伝いをすることで収益化を図ります。開発会社は複数の案件を抱えており、空き稼働状態を解消するための調整が可能です。人件費が無駄にならないよう制御することが、我々のハブとしての役割の一つです。

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では、その人材派遣事業の市場環境はどうなっているのかというと、人材派遣事業における市場環境は、優秀な人材が非常に不足しています。新卒・中途採用ともに積極的に行っていますが、需要は供給を上回っています。大手企業(例えばGoogleなど)との競争に勝つことは難しいですが、日本国内でこの分野に特化した企業は限られているため、今後も安定したニーズが続くと考えています。

事業概要 - オンラインゲーム事業

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次にオンラインゲーム事業についてです。具体的に何をしているのかというと、当社はスマートフォン向けのゲームを開発・運営しています。コンソールゲーム(PlayStationやSteam向けなど)は対象ではありません。オンラインゲーム事業には3つのセグメントがあります。

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1つ目は自社ゲーム開発です。例えば、ウマ娘や原神のように、自分たちで企画・開発・運営を行うものです。投資家の中にはこのような自社開発を支持する声もありますが、逆に売れなければリスクが大きいという懸念もあります。

2つ目は受託開発・運営です。これはウェブソリューションと同じく、セガ、マーベラス、スクウェア・エニックスなどがスマホゲームを自社で開発する際に、リソース不足のために当社に開発や運営の一部へ委託する形です。自社で全てを行うのはリスクが高く、売れるかどうか予測が難しいですが、受託開発や運営することは安定した収益を確保できます。例えば、5億円で作ってほしいと依頼された場合、その開発を依頼されたゲームが売れなくても開発費として収益は得られますので、安定した基盤となります。このようにリスクが低く、安定的な売上を確保できる事業モデルです。

3つ目はセカンダリービジネスです。例えば、アイドルさんのゲームのように、ユーザー基盤が強く、既存のゲームを他社から引き継ぐケースがあります。ユーザーが多くついているゲームを突然運営を終了すると、ユーザーの信頼を失う可能性があるため、引き継ぎ先が必要です。我々はそのようなゲームの運営を引き受けることができます。なぜなら、当社はゲームの運営・開発ノウハウを持っており、収益を生んでいるゲームのみを引き受ける方針だからです。デューデリジェンスを行い、リスクが低い案件のみを選定します。その結果、リスクは高くありません。

このように、リスクが低い事業を2つ行いながら、自社ゲーム開発も進めています。自社ゲーム開発では、売れなくてサービスを終了する場合に、その案件に携わっていた社員を人材育成派遣へ異動させる対応もしています。一見冷たく聞こえますが、実際には1ヶ月間仕事がなくて何かインプットしているという状況は避けたいですよね。キャリアが止まってしまいますし。そうならないように、先ほどお話ししたように、赤月さんとのお付き合いがありますのでそちら派遣して従事してもらいます。。大手のスクウェア・エニックスなどにエンジニアが派遣されると、そちらが良くなって帰ってこないというリスクもあります。しかし、そういったリスクがあってもキャリアを止めず、我々も収益化ができるという利点があります。

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このように、3つの事業それぞれに特徴はあるものの、正直に言うと労働集約型であり、我々が尖っているわけではありません。では、なぜこの事業を続けるのかというと、市場環境が良く、まだまだ伸びる余地があるからです。伸びることが見込める中で、新しいことにチャレンジするのか、既存の伸びる分野に集中するのかの選択を迫られた時、我々は既存分野での成長に十分な可能性があると判断しています。

2025年1月期 第3四半期業績ハイライト - グループ全社(連結)

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そして、直近の9月に発表した第3四半期についてです。前段で述べたように、当社を知らない方には3四半期のスナップショットだけではわかりにくいかもしれませんが、興味があればぜひご覧ください。2Qに下方修正しているのでご確認ください。

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冒頭で安定的に成長しているとお伝えしましたが、実際には課題を抱えていました。Webソリューション事業では、受託開発の中でお客さまのニーズを満たせず、決められたスケジュールや要求レベルを達成できないという問題がありました。これを改善するために、大量の人員を投入し、業績が一時的に低下しました。売上高は落ちなかったものの、利益が減少しました。これはお客さまに伝えると厳しい話ですが、当社としては改善策を講じました。

具体的な内容や事件の詳細、影響、最終的な対応策については、第2四半期の決算説明会資料に記載がありますので、ご興味があればご覧ください。時間の都合上、ここでは詳細を割愛します。

第3四半期の累計売上高は64億円、営業利益は2300万円でした。売上高は順調に推移していますが、一部の案件で利益が出なかった問題を第3四半期で解決しました。9月に問題が収束し、その後は改善傾向にあります。第3四半期は8月、9月、10月を指しますが、すでに9月までのデータが入っており、利益回復のポイントが見えてきました。

また、9月には人的資本、つまり労働環境の改善を図りました。人が全ての労働集約型の会社ですので、社員をオフィスに閉じ込めて従事していただくのはよくないので。そこで、迅速にオフィスを移転しました。

ここで一旦、3四半期の改善策についてお話ししました。先ほど冒頭でお伝えした通り、当社はウェブソリューション、派遣、オンラインゲームの3事業を行っています。どの事業が問題だったのかを連結で見るとぼやけますが、簡単に言うと、Webソリューション事業が大きな課題となり、派遣・オンラインゲーム事業は順調でした。ウェブソリューションの中でも特定の大型案件で問題が発生しましたが、それに対して迅速に改善策を講じました。第3四半期のデータは改善傾向にあり、第4四半期に向けて期待が持てます。

また、期中に2件のM&Aを実施しました。6月に1件、10月に1件です。さらに、自社株買い行いましたを活用しました。正直に言うと、自己株式の利用は自分たちで自爆して株主に迷惑をかけたという批判を受けかねないことですので、それに対するアンサーでございます。

基調として計画通り9月に本社を移転しました。様々なイベントが盛りだくさんの結果となりました。

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通期業績予想に対して、第3四半期で何を打ったのかというと、累計売上が64億円で、通期予想の71億円にはやや届かないものの、売上には大きな影響はありませんでした。ただし、利益に関してはこの先第4四半期でどれだけ回復できるかがポイントとなります。

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グラフを見ていただくと、連結として過去最高の売上を達成しており、オンラインゲームの周年イベントが非常に好調で売上に貢献しています。人材派遣事業は計画通りの成果を上げており、子会社も順調に成長しています。Webソリューション事業だけが一時的に減少しましたが、全体としては売上高は過去最高です。

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コスト面では、9月に外注費を多く使用しました。10月以降は外注費が減少しているものの、数値にはまだ影響が残っています。第4四半期にどこまで回復できるかが注目されます。営業利益は第2四半期で赤字になりましたが、問題を改善し1.2億円の回復を見ています。なお、M&Aに伴う取得費用も引き続き発生していますが、全体としては一度発生した問題が解決し、改善された状況です。

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また、EBITDAに関しては、我々はM&Aを積極的に行っており、その結果としてののれん償却が負担になっている面があります。これは将来的に業績が回復すれば問題ありません。現時点では中小型のM&Aを行っており、大規模なM&Aによるインパクトはまだ限定的です。M&Aを進める中で固定資産ののれんが積み上がる可能性がありますが、現在のところ大きな問題はありません。

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自己資本比率についても触れておきます。上場時は非常に高かったため、「借り入れして大丈夫か」という質問をいただくことがありますが、借り入れを行っても成長すれば問題ありません。当社は無理に信用を傷つけるような借り入れを行っているわけではないので、ご安心ください。

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労働集約型の企業である以上、人材の確保は重要です。社員数は徐々に増えていますが、それでもまだ足りません。市場環境が良く、お客さまから「作ってください」「人を貸してください」という依頼が多い中で、さらなる人材確保が求められています。5年先の人材確保に関しては課題ですが、日本人の労働力が不足する中では深刻な問題であり、対策が必要です。

2025年1月期 第3四半期業績ハイライト - Webソリューション事業

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最後に各事業のハイライトを説明します。

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Webソリューション事業については、先ほど述べた課題が改善され、売上は戻ってきました。外注費についても9月までに多く使用しましたが、10月以降は減少しています。第4四半期でどこまで回復できるかが鍵です。

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目標としては、可能であれば去年の3~4四半期レベルまで早急に回復させたいと考えています。

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これは単価の話です。冒頭の説明でも述べたように、案件を大型化すると単価が上がり、収益率が向上します。単価は非常に重要な指標ですが、当然ながら失敗も経験しました。昨年は非常に好調でしたが、その後徐々に低下しました。しかし、今回その改善策を講じたことがお分かりいただけると思います。

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次に、問い合わせ、リードの案件についてです。弊社は営業活動を積極的に行っていません。その結果、入ってくる問い合わせから売上を生み出せている状態です。これは市場環境が良いことを意味しています。失敗もありましたが、それにも関わらず変わらない需要をしっかり取り込んでいくということです。

2025年1月期 第3四半期業績ハイライト - デジタル人材育成派遣事業

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人材派遣事業についても計画通りに進んでいます。実はオンラインゲーム事業で12月から大型の共同運営案件が入りました。この案件の発生時点ではまだ入っていなかったため、現在人材をそちらに移動させており、結果として人材派遣事業は横ばいとなっています。

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つまり、一時的に減少した部分はオンラインゲーム事業で補填する計画です。ちなみに、そのオンラインゲームはこれまでで最も大規模なものであり、オンラインゲーム部門に人員を大きく移動させたため、一時的に派遣事業の数値が低下したということです。

2025年1月期 第3四半期業績ハイライト - オンラインゲーム事業

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オンラインゲーム事業に関しては、順調に売上を伸ばしています。第3四半期には『UNI'S ON AIR』の大規模イベントが好調で、売上が良かったです。

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さらに、当社のモデルは大手企業のように多額のコストをかけずに効率的に収益を上げるもので、コストを抑えた運営を実現しています。その結果、第3四半期だけで約1.2億円の利益が出ました。これは、3つの事業が相互に補完し合う結果とも言えます。一方で、Webソリューション事業が好調であれば非常に良いのですが、現状ではそれほどではなかったことも事実です。しかし、3つの事業を展開していることの利点は大きいと前向きに捉えています。

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先ほども言及したように、自社ゲームの開発も進めています。また、大手との共同運営などを契約しており、例えば『乃木坂フラクタル』のような案件がgumi社から共同運営で当社に移管されます。これはこれまでで最も大規模な案件であり、これまでの『UNI'S ON AIR』や『けものフレンズ』を凌ぐ規模です。さらに、中規模のゲーム案件も進行中で、これについては現時点では詳細をお伝えできませんが、皆さんに馴染みのあるIPを活用しています。このように、オンラインゲーム事業においては非常に好調で、業績が最高益を記録しました。

この成果は、当社から積極的に案件を提案したわけではなく、逆に大手企業との長期的な関係性があるために、案件の話が自然と舞い込んでくる結果です。タイミングは計り知れませんが、その時々の事業環境に合わせて柔軟に対応しています。

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なぜ「式姫Project」を延期したのかというと、大手のように莫大なコストをかけずに、限られた資源を効率的に回しているからです。

オンラインゲーム事業に関しては、以下のような動きもありました。自社ゲームの開発も進めており、共同運営や運営代行を多数契約しています。例えば、『乃木坂フラクタル』はグミ社から共同運営で当社に移管され、これまでで最も大規模な案件となっています。また、中規模の他の案件も進行中で、これについては現時点で詳細は明かせませんが、知名度のあるIPを活用しています。

オンラインゲーム事業はこれまで外部からの相談で案件が舞い込んでおり、大手との継続的な付き合いが背景にあります。タイミングは予測できませんが、常に新たな相談が寄せられており、それに応じて事業を柔軟に移行させています。

​​自社ゲームは昨年リリース予定だったものの、延期しました。鋭意開発していっています。伸びた要因として、大手のように莫大なコストをかけずに効率的に開発を進めていることが挙げられます。しかし、限られた利益を再投資するスタイルのため、当初思った通りに進まないこともあり、途中で方向転換しなければならないケースもあります。

2025年1月期 第3四半期 コーポレート

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次ぎはコーポレートです。10月1日にグループ会社のM&Aを完了しました。6月に実施したM&Aに関しては、時間の関係で説明が重なってしまいましたが、同じような事業を行っている会社を買収しました。6月に買収した会社は、国内だけでなく海外での労働力確保も視野に入れていたため、オフショアを含む拠点構築のノウハウを持っていました。自前で海外拠点を構築するのは困難なため、既にノウハウを持っている会社を買収するという判断をしました。

10月に買収した会社は、地方拠点を拡大するためのものであり、自前で拠点を作るよりも買収した方が効率が良いというコンセプトに基づいています。小型案件ばかりを扱っていると言われることもありますが、それぞれに意図があります。

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また、9月17日に、渋谷駅に隣接するビルに本社を移転しました。これには高いコストがかかりますが、従業員に快適な労働環境を提供しないと、人材が集まらないため、足元だけでなく5年先を見据えた投資として行っています。短期的には家賃が上がるのはマイナス要因ですが、長期的に見れば必要な投資と考えています。

今後の成長戦略

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今後の成長戦略についてです。2030年に売上高を200億円にすることを目指します。利益率は26%、社員数は約1700名を見込んでいます。オーガニック成長を前提にしながら、M&Aを中心に、既存事業を伸ばしつつ企業規模を拡大していく戦略です。

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この戦略をどう実現するかという点についてですが、「学園化」を目指しています。学園化と言うと疑問に思われるかもしれませんが、これは抽象化した表現に過ぎません。先ほど述べた通り、オフィス環境を整備し、リモートワークを取り入れ、給与を上昇させました。これはハード面の改善です。しかし、働きやすい環境を整えるだけでは不十分です。ソフト面、すなわち従業員がそこで働くことによって学びを得られ、やりたいことができる環境が重要です。成長実感が得られ、助け合う文化を醸成することが求められます。

組織内には、仕事に積極的な人材とそうでない人材が存在します。相対的に見て、どんなに仕事しない人を排除しても、常に中間層が存在します。これは永遠の課題です。そのため、そうした中間層の人々に対して、どういう会社であり、どうやって成長を支援するのかを明確にする必要があります。これが「学園化」のコンセプトです。

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「学園化」の具体的な意味は、従業員に対し学びや成長の場を提供することです。例えば、運動したい人、勉強したい人、どちらもやりたい人など、多様なニーズに対応し、友達と一緒に何かをやりたいという欲求に応える場を提供します。多様化する価値観の中で、一つの価値観を掲げ、それを従業員に伝えるという選択をしました。創業者として「こちらに来ない者は来ない」と明確にするのではなく、従業員に焦点を当てる戦略です。

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上場企業としてステークホルダー(株主や顧客)が存在しますが、起点を従業員に置くという方針です。なぜなら、ものづくりにおいては従業員がしっかり働かなければ顧客に価値を提供できず、業績も向上しないからです。顧客に還元できなければ株主還元も難しいため、まずは従業員の環境整備と成長を重視しています。

具体的なKPIとしては、一人当たりの売上高が重要です。従業員一人ひとりが成長すれば自然と売上は上がります。例えば、優秀なエンジニアであれば年間120万~150万円の単価を実現できます。この成長を促進するために、当社で学びやすい環境を提供し、社員数を掛け合わせて売上と利益を成長させる戦略です。

基本的なKPIは「採用」、「離職率の低下」、および「M&Aによる社員数の増加」です。人材戦略として、働きやすい環境を提供し、これらの数値を指標にしています。

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M&Aについては、いくつかの種類に分類されます。当社は年に1~2件以上の中小規模の買収を実施する方針です。狙いは、現場でMAを日常的に行えるようにすることです。大規模なM&Aは一見魅力的ですが、買収後の統合が困難な場合があります。そこで、小型のM&Aを繰り返すことで、経営層だけでなく現場でもMAを自然に行う風土を育てています。新しい仲間が増えた際には、案件をどのように回していくか、課題をどう解決するかを共同で考える仕組みを構築しています。

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また、オンラインゲーム事業においては、自社の開発と運営を基盤に置きながら、大型の運営案件をこなすことで収益を一桁上げていくことを目指しています。

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株主還元と資本政策についても触れます。当社は「我々だけにしかない特徴はない」と認めていますが、それでも上場した意味は、多様な経験を活かして新しいものを作り出す能力があるということです。株主還元については、上場以来継続して配当を実施しており、増配も続けています。株主への還元は基本的に重視しており、配当の増加も検討しています。

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さらに、IR活動を強化しています。当社は年商100億円未満の企業であり、発信しなければ誰も知りません。個人投資家に支えられているため、露出を増やし、常に投資家に情報を届けることを心掛けています。

以上が今後の成長戦略の概要です。ここから質疑応答に移りたいと思います。よろしくお願いします。

質疑応答

Q.
大型案件の炎上があったという説明がありましたが、その影響で今後大型案件の依頼が減る可能性はありますか?また、案件のサイズによって利益率は異なるのでしょうか?

A.
現時点では、どのような規模の案件であれ、特に大型案件に関してリードや問い合わせが減少するという影響は見られていません。もちろん、大型案件を受けることはリスクを伴います。自社である以上、リスクはゼロにはなりませんが、過去の経験を通じて潜在的なリスクを常に意識してきました。具体的には、ヒアリングやチーム内のミドルマネジメントの不足による課題がありましたが、これらに対する横串の管理を強化し、問題発生時には迅速に対応する体制を整えました。

案件の利益率については、当社の目標として30%前後を維持することを掲げています。これまでの実績やグラフにもある通り、適切な管理を行えば利益率を安定して確保できると考えています。大型案件であっても、適切に管理すれば利益率を維持しながら受注を続けることが可能です。


Q.
四季報で来期の予想が出ているのですが、来期V字回復は見込めるのでしょうか?四季報の予想ラインに期待していいのでしょうか?

A.
現在、業績は下がっている状況ですが、私たちとしてはV字回復を目指しています。具体的には、11月26日にオンライン上の決算予想を更新し、売上が100億円を超え、利益が約6.5億円に達する見込みを示しています。この更新を踏まえて、私たちの意思としては業績を回復させたいと強く考えています。

売上に関しては、既に多くの案件を確保しており、適切な管理を行うことで順調に推移すると考えています。利益に関しても、コスト管理や収益構造の改善により回復が期待できます。ただし、具体的にどれだけ業績が戻るかは、Webソリューション事業の回復状況などに依存します。私たちはその水準を目指し、全力で取り組んでいます。

また、今後の取材機会やオンライン上の更新情報を通じて、業績の進捗をご確認いただければと思います。

Q.
今後の成長に関して、既存ビジネスの成長とM&Aのどちらに比重を置いていますか?

A.
両方です。既存ビジネスを着実に伸ばすことに注力しながら、市場環境を活かしてM&Aも積極的に行っています。既存メンバーの努力を活かしつつ、代表自らがM&Aのソーシングに率先して関わり、両方の足場を固める形で事業を進めています。

Q.
サンワスタディスク社との共働に関して、本社の優位性はどのような点にあるのでしょうか?

A.
正直に申し上げると、当社に特別な優位性はありません。サンワスタディスク社の方が、例えばベトナムに1,000人規模のオフショア拠点を持っており、人材を多く抱えている点では優れています。当社と大きな差はないものの、彼らは開発能力に加え、人材紹介などの幅広いビジネス領域も持っています。ただし、作る技術そのものに関しては大きな違いはありません。

Q.
本期の第1四半期決算で完全に終了できた案件と、それによる損失額について教えてください。

A.
対象クライアントへの納品は無事完了し、顧客に対する対応は終えました。また、内部組織の体制整備についても第3四半期に対応策を実施済みです。損失額は約2億円で、これに関する処理は完了しており、来期に持ち越すことはありません。

Q.
事故を起こした顧客との関係はどうなっていますか?また、顧客からの評価はどうですか?

A.
現在もその顧客から仕事を頂いており、関係は維持されています。事故については真摯に対応し、契約上の問題も解消しているため、今後損害賠償などの問題は発生しない見込みです。大量のリソースを投入して対応した結果、顧客から一定の評価をいただけました。

Q.
オンラインゲーム、人材派遣、ウェブソリューションの3つの事業の中で、どれが一番利益率が高く、将来性があると考えていますか?

A.
最も利益率が高いのはWebソリューション事業です。人材派遣事業は利益率はやや低いものの、長期的な顧客関係の構築や大きな案件につなげるナーチャリングの役割があり、重要な柱と位置づけています。オンラインゲーム事業も売上・利益を確保しており、現状維持を目指しつつ、ウェブソリューションと人材派遣事業を特に伸ばしていきたいと考えています。

Q. 大型案件の基準額はいくらですか?
A. 大型案件と我々が言っているのは、だいたい7、8千万円以上です。それがちょっと増えてきています。ただ、例えば1回2億円で受け取ったものが、納品した時に2億円ボーンと計上されるわけではありません。

Q. 収益認識の仕組みはどうなっていますか?
A. ある一定基準を言うと収益認識基準というのがあります。投資家目線で言うと、投資判断を迷わせるからという理由で会計制度が適用されています。ある一定のルールに沿って、実はちょっとずつ売上げが上がったり、ちょっとずつ減価が上がったりする仕組みでやっています。

Q. 継続率が76%に下がっている理由を教えてください。
A. これは既存の検索率が落ちたというよりは、新規を取りに行ってわざと減らしているというのがあります。例えば本当に運用補修だけだったら、うちじゃなくてもいいケースがあります。ただお客さんからすると、窓口で一括でやってくれるのがあるんですが、我々は新しいお客さんとの接点を持っていきたいというのがあるので、ある程度そこはコントロールしています。
また、最近の傾向として事業会社さんで、外注に頼りたくない、自分のところにエンジニアがいて自分たちでやっていきたいというニーズがあります。それを積極的に取り組んでいる会社さんが出てきています。そうなると自分でやるからいいやというのもちょっと作用しているので、この2つの観点があり、どちらが主要因かは明確には言えませんが、このくらいの比率であれば問題はないと考えています。

Q. 現在の利益率と今後の目標を教えてください。
A. 現時点、去年末時点だと16%です。これは業界的に見て高くもないし低い感じですが、だからといっていいとは思っていません。50何ページで話している8%というのは、2つの観点があります。一つは採用コストと教育コストをかけてどんどん抜けられてしまうと、成長だけさせて他企業に人材排出企業になってしまうというところがあるので、ある意味で抑えたいということ。もう一つは、まだうちにいた方が良かったのに行ってしまう人の離職は避けたいという明確な中での議論があります。

Q. 組織の各部門を「学部」と呼ぶ理由は何ですか?
A. 社内の議論として、分かりやすい抽象的な目標を掲げました。横文字を使わず、あえてダサい方がいいという判断です。学園からきていて、ダサいことをやって注目をしていただいて、興味を持っていただく。だからこそ、徹底的に「学部」にこだわりました。

Q. M&A戦略についてどのように考えていますか?
A. 行き当たりばったりではなく、計画的に年後のチェンケンはやっていくという目標を定めています。M&Aの市場は活発で、仲介会社さんが見ている案件が多くあります。また、ブティック型という大手のM&A仲介にいた人が立ち上げる小規模な仲介会社(4万5万規模)にも声をかけています。自分たちでリストアップをして、取引している証券会社、取引している銀行さんにも声をかけています。銀行さんと証券会社はたくさんのソリューションを持っているので、そこに声をかけて案件を探しています。継続的に1,2点で類型としてきちんと自家層を上げていき、プラスオーガニックで成長して、その掛け合わせで2030年にこの数字を達成したいと考えています。

Q. オフィス移転による来期の通期の一般管理費の増加額はいくらですか?
A. 具体的な金額は明言できませんが、何千万ではなく、何百万円でもありません。

Q. 未経験者の育成期間はどのくらいで、派遣先の満足度・継続利用率はどうですか?
A. 育成期間は人によって違いますが、早い人で3ヶ月、遅くても半年くらいです。経験値が少なくても、世の中には様々なニーズがあります。すごい人材を求めるパターンもあれば、特定の作業だけをこなせる人材で良いというニーズもあります。プログラミングスキルがなくても人手不足で必要というケースもあるため、そのバランスを取っています。また、優秀なエンジニアは自社で働いてもらいたいので、そこは見極めながら運営しています。

Q. 今期の過年度修正により、来期の業績予想の立て方に変化はありますか?
A. 予算を作る時の立て方は変わりません。なぜなら、起きた事象は一つの案件で、グリーンマネジメントとクオリティコントロールが不足していたことが明確な原因でした。その対策ができた以上、元に戻るため予算の立て方を変える必要はありません。ただし、現場レベルでは多少の影響が残る可能性はあります。上場企業として、保守的すぎず適正値で出すことを目指しています。

Q. 予算作成時にM&Aの数字は折り込んでいますか?
A. 業績予想発表時点ではM&Aは基本的に折り込んでいません。これは方針として公表もしています。ただし、2年前に買収したワーエスのような大型案件の場合は、規模が大きいため、買収後に業績予想を修正しました。小規模なM&Aはコストが高くなる傾向があり、不確定なものを予想に含めることは避けています。

Q. 育成した人材の独立による情報流出などの懸念はありませんか?
A. 独立するケースは実はあまり多くありません。技術スキルは身についても、案件を獲得できる営業スキルや人脈を持っている人は少ないためです。情報流出に関しては、一般的な情報セキュリティ対策を実施しており、現時点で問題は発生していません。特にリスクとして懸念することもないと考えています。

投資家の皆様へ

ありがとうございました。たくさんのご質問、ありがとうございます。最後に一言メッセージをお願いいたします。
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