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[書き起こし]ハルメクホールディングス(7119)IRセミナー&質疑応答 2024.11.25開催

2024.11.25開催致しましたハルメクホールディングス(7119)IRセミナー&質疑応答の書き起こしになります。

資料

代表取締役社長 宮澤 孝夫 様

IRセミナー

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株式会社ハルメクホールディングスの代表を務めております宮澤でございます。

遅い時間に私どもの会社に興味を持っていただき、ご出席いただきましてありがとうございます。

では、早速私どもの会社についてご紹介させていただきます。

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4部立てでお話しさせていただきます。少し丁寧に事業紹介をさせていただきます。その後、業績そして成長戦略、株価と株主関連という4章立てでご紹介させていただきます。

事業紹介

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まず事業紹介です。

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私どものいろんなビジネスは経営理念に従ってやっております。これは建前としてというか、スローガンとしてのお飾りではなくて、実際に自分たちの事業を考える大きな指針にしております。50代からの女性がよりよく生きることを応援する。そのためにいろんな情報であるとか商品を提供しているという会社でございます。

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ビジネスをしておりますのは50代以上の女性対象です。このマーケットがまず今どんな状況かということに触れさせていただきます。

これは50歳未満と50歳以上で女性の人口を分けたものなんですが、今50歳以上の人口というのは約3,200万、ちょうど女性の半分ぐらいです。この人口については若干増えて、その後、減少していくというふうに見られております。

実は、今の女性人口の半分は私どものお客様である50歳以上の方々が占めているんですね。ですから、日本の中では人口が減っていますが、私共のお客さまの人口は減らない、最初のうちは微増するというマーケットでございます。

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もう一つの特徴はご存じのように、今、日本の金融資産が2200兆円ぐらいありますが、その8割ぐらいが50歳以上。これは女性だけではないですが、世帯で言いますと50歳以上の世帯が保有していらっしゃるということで、経済的にも日本の中では豊かな方々が多いという。そういう意味では非常に魅力的なマーケットでございます。

そうした中で私どものお客様のプロファイルなんですが、左側は年齢で右側は金融資産を示しています。だいたい65歳から74歳と75歳から84歳、ここが一番お客様の数が多いところで、次に多いのは50代後半から60代前半といったところです。平均すると73歳です。

私どものお客様の金融資産ですけれども、右側のグラフの左側が私どものお客様でございまして、右側が一般の世帯の数値です。これにより分かりますように、3000万以上の世帯が一般の世帯よりもかなり高い。1000万以上で見ますとさらにかなり大きな比率を占めているということで、経済的に余裕のある方々がお客様になっていただいております。

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私どものビジネスは基本的にはどういう付加価値を持たせているかといいますと、シニア女性の満たされないニーズに応えてきたということです。シニア女性は先ほどご覧いただいて分かりましたように、たくさんいらっしゃるんですが、そういった方々が満足するようなサービスが日本には充分にない。そこを私どもが提供するということを基本的な考え方でやっております。

例えば新しいことを知りたい、挑戦したい気持ちはあるが機会がない。おしゃれもしたい、素敵になりたいけどやり方がわからない。こういった様々なシニア女性のニーズに応えていくということをしております。

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具体的には3つ事業をやっておりまして、情報とモノとコトでこうした満たされないニーズを満たしていく。事業で呼んでいますのは、情報コンテンツと物販とコミュニティという3つです。

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情報コンテンツは、役立つ情報を雑誌とかインターネット上で提供しています。物販についてはオリジナル商品を中心に、これはD2C(Direct to Consumer)モデルなんですけれども、通販をカタログですとかEC、店舗で提供しております。もう一つがコミュニティ、これは具体的にはイベントとか講座とか旅行、こういった場を提供しております。もともとはリアル中心だったんですが、今はオンライン、あるいはリアルとオンラインのハイブリッドという形で開催しています。現在は、コロナが明けましたのでまたリアルが増えてきています。

この中身については、この後それぞれ一つずつ、ご説明させていただきます。

まず最初に情報コンテンツ事業です。ここで一番有名なのが、私どものハルメクという月刊の定期購読誌です。これは定期購読で書店では買えないものでございます。今約47万人の購読者がいらっしゃって、非常に幅広いテーマ、シニア女性の生活の中で必要になってくる様々なテーマをカバーしております。
例えば、シニア女性がスマートフォンを使いこなせないという課題に対して、基本的な操作であるドラッグやスワイプ、タップの使い方を分かりやすく解説しています。タップがうまく押せない場合は、ゴマを指の腹で潰すような感覚で触れると良い。といった具体的なアドバイスも提供しています。

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物販事業では、幅広いカテゴリーの商品を提供しております。ファッション、シニア女性向け下着、靴、バッグ、小物、化粧品、ヘアケア商品、食品、健康食品、暮らしの雑貨など、売上ベースで約8割がオリジナル商品です。これらは私どもが企画し、メーカーに製造を依頼しています。
基本的なコンセプトとして、品揃えの多さで勝負するのではなく、私どものお客様にとって最適なものを厳選したり、自社で開発して提供するという方針です。価格帯としては百貨店よりは安価ですが、ユニクロより高めの中高価格帯に位置づけています。

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この物販をどうやって売っているかということですが、4つのチャネルで相互連携しながら販売をしております。オムニチャネルと呼んでいますけれども、1つはカタログ通販、2つ目がECサイト、3つ目が店舗、4つ目が新聞に広告を載せて販売する。こういう4つのチャネルで売っております。

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簡単にそれぞれについて補足させていただきますと、1つ目のカタログ通販は「ハルメクおしゃれ」という一冊、前田典子さんとコラボしたもの、それから「健康と暮らし」、ここが食品ですとか雑貨ですとか、こういったものを載せているものですね。この2冊、これを毎月ハルメクという雑誌を送付するのと同時に、この2冊と一緒に同封して各お客様の家庭にお届けしております。

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2つ目がECですね。カタログがもともとメインだったのですが、最近ECの比率が高まってきており、今20%がECです。自社ECサイトで販売し、他のECプラットフォームでは今販売しておりません。例えば、楽天市場さんなどでは販売していないという状況です。これはパソコンの画像イメージです。前田典子さんとコラボで作ったセーターのメイキング動画等があり、こういったものを表示しています。もちろん、スマホでもちゃんとサイズが最適化された形で、スマホファーストに変えているような状況です。

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それから3つ目が店舗です。全国の11都道府県に18店舗。1店舗を除いて百貨店に出店しております。この写真は新宿の京王新宿店ですね。ご存知のように百貨店のお客様というのはかなり年齢が上がってまして、50代後半以上から60代、この辺りが一番お客様として多いと思うんですけど、私どものお客様と非常にフィットするので、この百貨店に出店するということに今力を入れております。

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最後は新聞広告なんですけれども、全国紙の読売とか朝日とか、それからブロック紙それからローカル紙、ほとんど日本の全ての新聞に広告を掲載しているんですが、大体全5段で出しています。これは商品の場合ですけど、カラー広告で、これは健康サポートバランスサポートスパッツという商品なんですが、このように掲載して、お電話なりFAXなり、ECで注文をいただくということをしております。同じようなことをハルメク誌でも広告を載せて新しいお客さんを獲得するということをしております。

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今が2つ目の物販事業についてご説明させていただいたんですが、最後がコミュニティ事業となります。実はいろんなテーマでしておりまして、読者同士あるいは私どもの社員と散歩をしたり、料理、スマホの講座をやったり、メルカリの使い方みたいな講座もやったりするんですが、押し花とか旅行とかメイク講座、ファッション講座等幅広くやっております。

基本的には、お客様のロイヤリティを高める、カスタマーエンゲージメントを高めるという目的のためにしております。実際こういったコミュニティのいろんなイベントに参加していただくと、そういった方々の定期購読の継続率だとか、物販の買い上げ額が上がるというデータが出ております。

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この後私どもの事業の特徴ということを少しお話しさせていただきます。今3つ事業がありますということをご紹介させていただいたんですが、それぞれが役割を持って相乗効果が出るようにということで事業を位置づけております。

縦軸にありますのは、今ご紹介させていただいた情報コンテンツ・物販・コミュニティという3つの事業ですけれども、それをお客様の獲得のプロセスで見ますと、集客する役割を持っているところ。育成するところ。ここは言葉を言い換えますと利益・収益源にするというところ。そして関係性を強化する。というところ。こういう3つのお客様育成のモデルで考え、それぞれに役割を持たせています。

また、新しいお客様を獲得するという意味では、情報コンテンツの雑誌。新聞広告等があります。利益という意味では、今、ハルメクの物販がかなり大きくなっているので、しっかり利益を出してくれています。そして関係性を強化する、ファンを作るという意味では、情報コンテンツと先ほどご紹介させていただいたコミュニティが非常に大きな役割を果たしているというものでございます。

ですから、3つの事業がこういった連携をしてくれて、役割を果たしているというものでございます。3つのバラバラの事業が寄せ集めてあるということではなくて、それぞれの役割を果たしているというところです。

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もう一つの特色は顧客の声を集める仕組みを作って、リアルなお客様を理解しているということです。私どもの社員の平均年齢は44、45歳なんですが、お客様との間では20歳以上の差がございます。そういった時にシニアの方々がどういうふうに考えていらっしゃるのか、何に困っていらっしゃるのか、何に興味を持っていらっしゃるのか、これはやはり推測になってしまうので、これをきちっと理解するために、いろんな仕掛けを作っています。

非常にアナログなんですけれども、毎月、お客様からのハガキが雑誌に関して2,000枚、商品に関して1,000枚くらい来るんですが、この全てを担当部署は手分けして全部読んでいます。コールセンターがあるんですけれども、ここに入ってきた声は重要なものをピックアップする。あと、いろんな調査、フォーカスグループインタビューですとか、あるいは物販なんかですと、試作品を作って、モニターの方に声を聞かせていただいて、修正しながら完成させていくとか、こんな色んなことをして、思い込みを見直し、分かった気にならないということでやっています。

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さらに、これだけではなくて、もう一つ取り組みがありまして、社内シンクタンクで「生きかた上手研究所」というところを作りまして、顧客理解活動を促進しています。ここにつきましては社内向けにサービス提供するだけではなくて、最近は社外の一般のシニア向けビジネスをしていらっしゃる企業さんのサポートをするということも始めております。こうした活動によって私どもの提供している情報、例えば雑誌であるとか物販のいろんな商品のヒット率を上げるということにつながっています。よくどうして雑誌が部数を減らしていたり、あるいは廃刊になっているところが多い中で、ハルメクは雑誌の購読者数を増やせるんですかという質問をいただくんですが、一番大きなところはここだと思います。

これだけのことを。例えば雑誌でいえば特集を組む記事を作る前に調査をして、そして実際に雑誌として販売して、その後、満足度であるとか、読んだか読まないか、ということを記事単位で聞く調査をかける。アンケートをする。毎月紙で送っているんですけれども、こういったことが物販にしろ情報にしろ雑誌にしろ、ヒット率を高めるのに役立っていると考えています。

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雑誌の販売部数の、実はこれは相当昔からなんですけれども、創業といいますか、雑誌を最初に出した時、この時は「いきいき」という雑誌だったんですが、そこから増えていって、一度実はピークを迎えて、その後大きく落ちていって民事再生になってしまって、その後、回復してまた調子が悪くなって、そしてまた回復してというこんな歴史を辿っています。ですから、何度か大きく事業を変えている。そういう転換点のある会社でございます。それを何とか乗り切ってきたということで、昨年(2023年)の3月にグロース市場に上場できたというところです。

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雑誌について少し触れさせていただきますと、他誌との比較もさせていただきましたが、ちょうどこの2024年の1月から6月までのデータが、ABC協会という一番信頼できる協会が出している、ほぼ実売部数に近い数字があります。印刷部数というのは、実際は返本がたくさんで、あまり信用できる数字ではないのですが、ここはほぼ実売部数に近い数字を出しているところなんです。そこで言いますと47.4万部ということで、昨年一旦ちょっと下がったんですが、また上がってきているというところです。ただ以前ほどの非常に大きな伸び、この辺では20%を超えていたんですが、今は成長率は落ちてきています。この後も今までのような20%台の大きな成長はなかなか難しいので、ここは安定成長をさせていくところかなというふうに思っています。ただ基本的には他社さんがどんどん部数を減らしていく中で、私どもだけが伸びを維持できている。結果的には女性誌だけではなくて、日本の全ての雑誌の中で、今も2年連続、最近これも発表され、2年と半年で、今は維持できており、2位とはかなり大きな差がついております。

以上、事業の概要についてご説明させていただきました。この後の業績についてご説明させていただきます。

業績

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業績のハイライトですけれども、売上収益、営業利益、それから参考までにアクティブ顧客数がどうなっているかということですが、売上収益は順調に、前期314億、今期340億ということで8%成長を見込んでおります。

利益については、これを見ていただくと、非常にどうしたんだというふうにご心配になられると思います。前期は前々期の20.3億から8.5億ということで大幅に減ってしまいました。その後、今期の予想ですけど10億ということで出しております。どうしてこんなに悪くなったかということについては、この後でご説明させていただきます。

一方でお客様の数を増やすということはうまくいっておりまして、アクティブ顧客、1年以内に何らかの購入があったお客様をアクティブ顧客と呼んでいますけれども、135万人ということで前年比から11%増やすことができたという状況でございます。

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利益が大きく下がりましたが、どうしてこんなに大きく悪くなったのかということについてご説明させていただきます。20.3億あったのが8.5億ということで落ち込んでしまったと。利益増要因として売上増であるとかポイントの付与率を下げたというところが効いているんですが、一つ大きかったのは広告効率が急激に悪化してしまったということです。実はこれは昨年の第3四半期から起こったんですけれども、我々の想定外だったんですが、急にいろんな広告を打っても反応が悪くなってきてしまったということがございます。

この広告が一つ大きかったのと、次はシステムの除却損、ここでかなり金額の大きい5.7億円の除却損を計上したことが大きかった。あとは紙とか印刷とか配送コストが非常に今上がっています。この影響が2.3億円と、あとは不健全なものではなくて、どちらかというと将来に向けて投資しているところの新システムの保守費増、それから人材投資、ここは昨年過去最高の48人と一挙に増やした。今年はそれを半減させていますけれども、去年は足りなかった人材を一気に増やしたというのがあって3億円。それから先行投資事業の0.8億円、これはハルメク365サービスへの投資等でございます。

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今の広告効率の低下ということと、システム除却損について触れさせていただきますが、その中について、もう少しご説明させていただきます。ここは、ハルメク誌もそれから物販の効率も実は落ちてしまったんですね。ハルメク誌についてはCPO(Cost Per Order)という一人当たりの新しいお客様を獲得するのにいくらかかるのかという指標で見ているんですが、コロナの追い風等もあって急激に下がっていって、これは下がった方がいいんですね。一人当たりのコストが安いという意味で。21/3期からは安定状態にあったんですが、昨年また上がってしまったという状況です。

現状では3,971円ということで、まだ少し上がっているという状況です。これについてはこのCPOを下げるという努力もしており、後ほどご説明申し上げますが、クロスマーケティングの手法を開発中でございます。もう一つ大きなことをしましたのは、今年の1月に雑誌の定期購読の値上げをしまして、それで利益を改善することです。紙印刷配送代も上がっていますので、それを反映して値上げをご理解にしていただいたということです。

おかげさまでハルメク雑誌の利益はかなり良くなったんですけど、もう1個はハルメクの物販の方です。物販の広告効率というのは、媒体費率というKPIで見ているんですが、媒体費率は売上に対するカタログ費用の割合です。ですから分母が売上、カタログのコスト、紙印刷配送費、それを割ったものです。同じ売上を作るためにカタログのコストが小さい方が効率がいいということなんですが、ここは比較的安定していたんですが、昨年の第3クォーター、第4クォーターに急激に悪化してしまったということがございます。

これは今いろんな取り組みをしておりまして、まだ途上ですけれども改善ということができています。この媒体費率というのは何で決まるのかということなんですが、一つはカタログを買っていただけそうな方に配るということが大事で、買っていただける確率が低い方に送ると費用が無駄になって媒体費率が上がってしまう。もう一つは届いたカタログが魅力的であること。買っていただける方の確率あるいは額が上がってくるということで、そういう大きく2つの要素でこの媒体費率は変わってくるんですが、今その両面から取り組みをしているというところで、昨年の第4クォーターの最悪の時期より良くなってきているというところです。

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もう一つのシステムについてですね。まず最初に申し上げたいのは、次期基幹システムというものを開発していまして、それに関連した除却を行ってきたんですが、それは今期2.2億円を除却して完了しましたので、この次期基幹システム絡みの除却というものはもう発生しない。他にあるのかというと現時点ではございません。将来どうなるか分かりませんけれども、一旦処理が終わったというのが第2クォーターの今期の状況です。

ちょっとご説明させていただきますと、もともと基幹システムがあったんですが、かなり前から取引のボリュームが大きくなっていったということもあって、挙動が不安定になった。具体的に言うと、例えば受注をお客様センターで取ろうと思うと、なかなか画面が変わらないというようなことが起こったりしました。

それでさらに輪をかけて悪かったのは、これをシステムのメンテナンスというか保守メンテをしてくれている会社、もともと開発した会社ですが、このシステムについては今後、日本ではサポートしないという通知を受けまして、これは大変なことになったということで、次期基幹システムの開発を開始したというものです。

その翌年にさらに状況が悪化して、不具合が頻発するようになったのですが、保守メンテをしてくれている会社が撤退することを撤回した。新しいお客さんが入ったということで、メンテナンス、保守しますよということになりました。そこで、一旦この次期基幹システムの開発を凍結いたしました。

この不安定さをそのまま放置しておくと事業に影響が出ますので、この新しい会社さんがバージョンアップをしますよということになったので、急遽1年かけてバージョンアップをしたという状況です。実はおかげさまで現状でいうとこのシステムは非常にうまくいっておりまして、問題なく安定して稼働しているというところです。

このバージョンアップをしたので、いらなくなった部分を最初に昨年5.7億円除却いたしました。さらに今年、安定的に動くし、今後の事業の進化にこのシステムで対応できるということで、この次期基幹システムで開発していたものを全て中止して捨ててしまおうということで、追加で2.2億円。ですから、合わせて7.9億円を除却した次第でございます。

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財政状態についてちょっとだけ触れておきますと、今は自己資本比率が37.6%です。有利子負債は前期57億だったものが19億ということで有利子負債依存度は9.4%まで下がってきてまして、今後資金が必要になった場合に借入余地は十分にあるというふうに思っております。ROEにつきましては先ほどの除却を除きますと、14.9%ということで健全な数字になるかなというふうに思います。

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昨年の話を中心にご説明しましたが、今期の業績についてご紹介させていただきます。先ほど今期の年間の数字がございました。業績予想で340億円、利益につきましては10億円ということで計画しております。

上期の部分の実績ですけれども、もともとは165億円ということで業績予想を出していたんですが、169億円ということで10%強伸ばすことができました。利益につきましては4億円ということで、予算に対して4億1千3百万円でそれを上回ることができました。ここは実際には2.2億円の除却をしていますので、除却前ですと6.3億円ぐらいになるんですが、ただご覧いただいて分かりますように前期に比べると実はまだ負けているということで、先ほどの広告効率の問題であるとか、こういったことに今取り組んでいるという最中でございます。

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もう少し詳しく、四半期単位で見ていきますと、実は私どものビジネスというのは非常に季節性がございます。去年の数字とか、これは売上ですけれども、第1クォーターと第3クォーターが大きくなって、第2クォーターそして特に第4クォーターは少なくなるという季節性があります。

これは年間2回大きなセールをやるんですね。感謝市というんですが、これがあることで非常に季節性があります。この第2四半期の今の数字は76億ということで、昨年の70億あるいは63億を超えることができています。第1クォーターも93、昨年82、その前が72ということで、売上成長率という面では8.3%、以前は2桁を超えている時もあったんですが、それに比べると若干落ちていますけれども、比較的順調に伸ばすことができています。

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一方、営業利益の方は、ここは非常に複雑な図で分かりにくいところで恐縮なんですが、昨年の第3クォーターから急激にブレーキがかかってしまったということをお話しさせていただきますが、第3クォーターは9.5億円、その前は12.2億円ありましたので、売上が伸びていながら減ってしまったというのが去年でございます。

そしてそれが特に一番悪い状況だったのが第4クォーターでマイナスの8億7千万と。システムの除却損が5.7億円ありましたので実質的にはマイナスの3億円だったんですが、第4クォーターは大体1年で売上が少ない四半期なんですが、ひとつ前の第4クォーターは1億のマイナス、その前が0.1億のマイナスということで、昨年は想定外に実質3億も大きなマイナスが出てきたという状況です。

今期につきましては前期の第3四半期からおかしくなってきた広告効率の修正立て直しに入っているというところです。第1四半期はまだ去年に対して負けていて。第2四半期については除却損2.2億円を計上しましたので、実質1.9億の利益でしたが、それを除却損を除くと約2000万の黒字という形になります。

第2四半期は去年が1.1億、その前が2.6億ですから、これまで過去ほどは回復してきていないんですが、今回復途上にあるというところです。第3四半期については去年の9.5億円を超えようということで、今取り組みをしているところです。以上が業績です。

成長戦略

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次は成長戦略についてご説明させていただきます。まずマーケットの見方なんですが、先ほど人口構成をご覧いただいたんですが、私ども今プレシニアとアクティブシニアというお客様を年代で分けて見ております。65から79歳までのアクティブシニア、それから50から64歳までのプレシニア、シニア前の方々ですね。こういった方々をシニアと呼んだら怒られてしまうんですが、これはシニア前の方々という意味です。大体ほとんど同じぐらいの人口がいらっしゃるんですが、今後どうなるか、これは2032年の推定ですが、アクティブシニアは若干減る。これは団塊の世代が抜けていくんですね。かなり大量に減っていくと。一方でプレシニアは微増、ご覧いただいて分かるとおり、ここが団塊ジュニアですね。団塊ジュニアがプレシニアに入ってくるということで人口が増えると。

これはデジタルをかなり日常的に使われている方と、アナログであまりデジタルが使われていないということで分けたものなんですが、今アナログ派のアクティブシニアというのは830万人くらい。実は私どものお客さんはここがメインで、EC比率などは若干デジタルのところがいらっしゃると。お客さんとしていらっしゃるということです。

ただこれを10年後で見た時には、ここのセグメントは減っていってしまって、そこはかなりこの年代でもデジタルが使えるようになっていくという風に見ています。ここはうちで言えばECの比率が多分もっと上がっていくということだと思います。

ただもう1個私どもが注目していますのは、先ほどの団塊ジュニアですね。もともと930万人だったデジタルを使いこなすプレシニアの方々が大幅に増えるだろう。ここを我々のターゲットにしていきたいと。お客さんも先ほどの年齢分布で見ていただいて分かりますようにいらっしゃるんですが、ここをもっと大きく育てたいというふうに考えております。

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成長戦略についてのイメージはこれなんですけれども、ここがアクティブシニア65歳以上の方々、ここは安定的に成長していこうと。ここについてはアナログ派が大勢を今は占めているけれども、時間が経つとともにデジタル派の方々が増えてくるので、そこをお客様にしていこう、失わないようにしていこうというところです。ここは安定成長の収益源にするというふうに考えております。

これに加えて成長率を上げるために、先ほど話に出ていたプレシニアのデジタル、50歳から64歳までの方々を、ここは新たに我々のお客様として増やしていこうと。これが大きな基本戦略でございます。

そのためにまずは情報コンテンツ分野で、ハルメク365というインターネット上でのサービスを今開始しているというところです。

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今、この部分についてはですね、私どものアクティブシニア×アナログというところのお客様は830万人だとすると、うちのシェアは今7%くらいでここはまだかなり伸ばす余地があるのではないか。ですからここは安定成長して伸ばしていこうというふうに思っています。

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どうやって伸ばしていくかということで今考えていますのが、一つは店舗展開を加速して新規客を獲得していこうと。店舗が非常に私どもには有力な手段になってきています。

それから物販と雑誌もそうなんですが、新しい広告手法によって新規のお客様を獲得して増やしていこうと思っています。物販には、競争力の高い商品があります。競争力の高い商品をもっと伸ばすということで、売上を伸ばすとともに利益の良いものを売っていって、収益性を改善していこうというふうに思っています。

あとはこの分野で商品とかサービスを提供している企業さんを可能であれば、買収して伸ばし、利益を増やしていこうというふうに思っています。

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それぞれについて説明させていただきますと、まず店舗は先ほど18店舗というふうにご紹介させていただきました。これまでコロナが明けるのを待って増やさなかったんですが、現在、店舗の新規開設を加速しております。9月に2店舗、10月に2店舗ということで、結構な出店ペースだったんですが、これを増やしていこうと思っています。

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店舗を増やすとどうなっているかという実績です。これは上期分ですけれども、店舗を増やしたことでかなり良くなってきており、年率58%で増えています。それから店舗は非常に重要な売上機会の役割を持っていまして、新しいお客様に登録していただいて、そしてその後カタログを送付したりとか、こちらからアプローチできるようにするという非常に重要な役割を持っているんですが、この登録顧客数が非常に増えているというところでございます。

店舗ってなかなか利益出ないんじゃないのかという風にご心配のところもあると思いますけれども、我々はLTV(ライフタイムバリュー)でいろんなルートで入ってきたお客様、例えば新聞広告で入ってきたお客様対店舗で入ってきたお客様を実際に計算しているんですね。LTVといっても簡易的で、12ヶ月間の売上とコストを差し引きどれだけの利益が出ているんだということで見ているんですが、実は店舗は非常に高い。新聞等が今までメインだったんですが、実は新聞よりも12ヶ月間のライフタイムバリューで見ると高いということが分かってきてまして、そういう意味では非常に有力だと思います。

なぜかというと、やはり店舗は店舗だけで完結して買っていただくだけじゃなくて、一旦買っていただくとその後カタログを送ったり、場合によってはメールマガジンを送ったりということで、店舗単体でやっているとなかなか難しいかもしれませんが、いろんなクロスチャネル、オムニチャネルでやっているということはうまく効いております。これで今後の成長を作っていこうというふうに思っています。

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2つ目は広告を変えていこうということをご説明させていただいたんですが、右側はハルメク雑誌の新聞広告なんです。これが今我々のメインなんですが、ご存知のように新聞は購読者数が減ってきていますし、我々はかなり広告を載せているので出稿量の上限に近づいているということで、あとどうやって出していこうかということが課題なんですが、一つ私どもが目をつけているのがテレビでございます。

テレビ単体では採算性が悪いので、テレビと新聞広告あるいは折り込みチラシを組み合わせると、結構効率が良くなるということが分かってきまして、これを今開発しています。東京ではまだ広告を打っていないんですが、地方ではテレビ出稿を始めています。

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3つ目が競争力の高い商品カテゴリーの展開を強化ということで、私どもは先ほどカテゴリー別で分かるように、いろんな商品を販売しているんですが、やはり競争力の高いもの、低いもの。あるいは利益率の高い、低いがございます。その中で言いますと競争力があって利益率が高いのが、例えば靴、下着ですね。それからコスメも非常に利益率が高いんですけど、こういったものを伸ばしていこうと。これを4つの販売チャネルがありますけど、それをクロスマーケティングして増やしていこうというふうに考えております。

実際、今どのくらいかという実績なんですが、ハルメクの靴というのを売っているんですが、これは今年ガイアの夜明けで取り上げていただいたものですけれども、規模的には半期の売上で小さいですが、年率71%で伸びています。

下着も非常に良い下着を作っておりまして、お客様の支持が高いんですが、まだ12億円、年間で25億円くらいですけれども、22%で増えています。

コスメは、微増くらいですけど、ここについても今伸ばしていこうという風に考えています。

利益率の高い、そして競争力の高いもの、これを伸ばしていって先ほどの利益性の課題であるとかを改善していこう、解決していこうという風に思っています。

あとは顧客基盤とブランド力を持った優良企業のM&Aを推進するということで今検討しています。

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さらにプレシニアとデジタルというところで、この成長戦略についてお話しさせていただきます。ここは私どもにとっては新しいマーケットですけれども、ハルメク365とウェブコンテンツを今までやってきたんですが、完全にプレシニアを狙うということで、今大規模なリニューアルをしております。

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それからこのプレシニア向けの商品を物販で始めようということで、今楽天で売り始めているんですが、テスト的に「ReDial」というブランドを立ち上げ販売を開始しています。プレシニアというのは高齢者に向けられたものではなくて、まだまだアクティブな方々なので、むしろプレシニアの方々のライフスタイルを提供するようなものを作っていこうと思います。そういう意味では今まであったものを若干改良するということではなくて、ゼロからきちんと作り直すということで、今準備を進めております。

コミュニティ事業も50代向けに、今まではエンゲージメントを高めるためのものであったのですが、そうではなくて、これ自体が事業として、新しいお客様を獲得し、利益をあげるというふうにできないかということで考えています。実は押し花事業は、先生がいらして、生徒を募集して教えている。その生徒さんが腕を上げていくと先生になって、また生徒をとって、押し花人口を増やしていく。こういった自律成長の仕組みをつくりたいと思っています。押し花をやられている方が、交流したり、1つのことを皆で楽しくやって、展示をしたりコンテストを開いたりしていただくサービスを考えています。あくまでもこういう押し花は、やはり、どうしてもこれで100万人規模の事業まではなかなかならないので、まずは自律成長する仕組みを押し花をもとにやっていこうと思っています。自律成長する仕組みをつくるための第1ケースとして始めているところです。これがうまくいけば、同じ仕組みで他のものをテーマに、例えば、テックでもいいでしょうし、スポーツでもいいでしょうし。こういったものをやっていこうと考えています。

最後は、中国でデジタルマーケティングによる物販ビジネスを準備中ということで、中国のシニアはデジタルのリテラシーが高く、中国市場は高齢化が進んでいて、我々で事業ができないかと考えています。また、デジタルマーケティングが進んでいるので、彼らの手法を学ぶ実験場としてもつかえないかということで進めています。

株価と株主還元

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最後に株価と株主還元です。株価は上場直後の頃はよかったのですが、ご覧頂いてわかるとおり。皆様で持っていただいている方がいらっしゃったら大変申し訳ないのですが、今は安定的に推移しています。今でもPERは16倍くらいありますけれども、株価は冴えない状況が続いてしまっているという状況でございます。

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実は、今期から配当を開始しますということを先日発表いたしました。一旦、利益が悪化するという状況になったりしたのですが、財務状況が改善し、今後成長回帰が見込め、大丈夫であろうと判断した次第でございます。予定していますのは、今期末で20円、配当性向だと36.5%、加えて、現時点(11/27)では、配当+優待利回りで6.7%ぐらいです。

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次に優待についてどんなことをしているかということですが、基本的には私どもの商品あるいは、雑誌を優待商品として提供しています。ぜひ、株主であるとともに、私どものサービス・商品のファンになっていただきたい、良さを知って頂きたいと思っています。100株以上500株未満で柚子の里という商品だったり、500株以上だと、1年分のハルメク購読権等をご準備しております。

以上、私どもの会社の事業内容と業績、そして成長戦略についてお話しさせていただきました。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答

Q. 今、雑誌女性向けのハルメクが大人気ですが、今後もM&Aして、他企業を取り入れたいとか、男性版ハルメクなど新事業の展開などお考えではないのでしょうか。

A. 先ほどの成長戦略でご説明させていただいた、プレシニアに向けた取り組みは、同じ女性ターゲットですが、より若い50代以上の方々をターゲットにしています。ある意味、新規事業と考えることができます。また、コミュニティで自律成長するような事業、こういったものも新規事業になります。

現在行っているもので具体的に言うと一番今大きなところがハルメク365です。これは実はリニューアルして再ローンチするときにはブランド名を変えようと思っています。こういったものが大きな新規事業の計画になります。中国もそういう意味では新規事業に入ると思います。

Q. 他社様が本屋さんでも雑誌の部数が減っていく中で、ハルメクの部数のみがしっかり伸びているのはなぜでしょうか。

A. 基本的に我々は直接お客様とするD2Cモデルを第一にしています。誰が買われたか、そしてそれに満足していらっしゃるかということが測定できます。さらに言うと、こちらからいろんなアプローチができることが大事だと思っています。先ほど、私どもの雑誌あるいは商品の非常にヒット率が高いということをご説明させていただきましたが、それはダイレクトにお客様とつながって、いろんな調査をかけたりご意見を伺ったり、あるいは購買した結果を直接にどういう人がどれだけ買っているかということを測れる。というところが私どもの強みの源泉だと思っています。そういう意味でこのダイレクトモデルというものは、今後も維持しようと思っています。

Q. 雑誌の販売を年間購読のみにしている理由を教えてください。普通は年間購読を行うより、月間で月々1000円とか、そういった形で売っていく方がたくさんの人に買ってもらえると思うのですが。年間購読に絞っている理由を教えてください。

A. 注文を取ってお送りして、結果1冊というのは実質的にはなかなか厳しいものがあります。12冊分というふうにしたいと思っているのですが、実は、以前3冊で試してみたいというお客様がいらっしゃったので、いきなり12冊購入は厳しいから3ヶ月だったらいいんじゃないか、ということで3ヶ月コースというのもテストしてみました。

結論から言うと、ビジネス上3ヶ月コースというのは12ヶ月コースに比べると劣ります。3ヶ月ですと結局あまりそれほど興味のない方々が入ってきてしまって、例えば定期購読する方の率が非常に落ちる。3ヶ月経って4ヶ月目までにつながる方々が非常に少ない。ある程度敷居を高くして入ってきていただいたお客様の方が継続する確率が高い。そういった方々にカタログもお送りして、物販もお勧めするという風にした方がライフタイムバリューが高い。基本的に我々はいろんなサービスを組み合わせてライフタイムバリューがどれが一番高いんだ考えていますが、3ヶ月よりも12ヶ月コースの方がライフタイムバリューが高かった。そのため、こういう短期間のコースはやらないというふうに判断いたしました。

Q. システム除却損の計上について、除却損は今回のみの計上で来期以降はないものと思ってよろしいでしょうか。

A. この次期基幹システムに関する除却損はもうこれで全て終了しました。今の除却損の候補になっているものがあるかというと、もちろん将来はゼロではないので、ずっとこの先何年もありませんということは残念ながら申し上げられないですが、今目の前にあるもので、この次期基幹システム、それから、今使っているもので除却しなければいけないというものはございません。

Q. 中国での物販ビジネスを準備中と書いてありますが、準備というのは物流倉庫なども中国に準備する予定でしょうか。それとも日本から輸送する予定でしょうか。IRで中国での物販ビジネスの開示というのはあるのでしょうか。

A. 中国のビジネスというと一般的には越境ビジネスでやっていらっしゃる方が多いと思うのですが、我々も最初のテスト段階で越境を若干使う可能性がありますが、基本的には越境ではなくて現地で生産することを考えております。さらに何の準備をしているかと言いますと、大きく2つございまして、中国ですので我々はやはり単独では難しい市場であると考えています。特にシニアがデジタルマーケティング、WeChatを使って物を買ったり、情報交換したり、プラットフォームで大量に物を買われるという中で、我々は独力で行っても難しいので、パートナーを選んでパートナーと一緒に組んでやろうということで準備をしている。それが一つと、あとは我々の商品あるいは我々の売り方、パートナーと組んだ売り方について、そのテストマーケティングを今しているという準備でございます。

Q. ハルメク365を大規模リニューアルしますという話がありますが、これは順調に下期にローンチ予定ですと書いてますが、遅延とかそういったことはないのでしょうか。順調に進んでいるのでしょうか。

A. 今は順調に進んでまして、下期中に今は問題なくローンチできるというふうに見ています。最初はそんなに販促をかけないですが、サイトとしての完成度合いを見てからいける。レスポンスがいい、無料で見る人から有料会員になってくださる方が十分取れる。ということを見てから、積極的にいろんな形でネット上の販促をして獲得していきたい。それが最初から非常に良いものができるかと言われると難しいのではないかと考えています。正直言って試行錯誤しながらどんどん磨いていく形になるかなと思っています。なるべく早く、短期間で見極められるようになるといいなと思っているのですが、そしたらアクセルを踏んで、いろんな形の販促。単純なネット広告だけではなくて、インフルエンサーを使ったような広告、SNSを使ったような告知といいますか、たくさんの方法でアクセルを踏んでいくということを考えております。

Q. 今回雑誌が値上げしましたという話がありますが、雑誌が値上げして解約・購読が終わってしまうことが多くなるということはありませんでしたでしょうか。またいくらからいくらに値上げされたのでしょうか。

A. 私どももこの値上げによる副作用を非常に心配したのですが、ここはほとんどないかなと思っています。継続率については、全体的にコロナ禍後で、少し落ちたと認識しています。継続率は非常に重要な一つの指標にしているのですが、今は逆に上がってきています。また、途中解約については、もともと少ないのですが、この影響もほとんどなかったのではないかと思っております。なお、もともとは6,960円だったのが7,800円ですので、12%値上げは行いました。

Q. 一度民事再生を行ったということでしたが、この時はなぜ購読者数を減らしてしまったのでしょうか。雑誌の内容としては、全て高齢者向けで変わらないものかと思うのですがどうなのでしょうか。

A. 一番直接的な理由は、私どもはダイレクトモデルですので、書店に置いていません。なので、広告をしない限り新しいお客様を獲得できません。当時は民事再生になって、資金もショートして、もう広告を打てなくなりました。

実はその前から広告効率が非常に悪くなっていたということもあるのですが、ダブルパンチで効率が落ちて、かつ広告にお金がなくなったということで民事再生。大幅に読者数が減りました。その後カーブを見ていただくと、民事再生になった後、落ち続けますがその後反転しています。順調に読者数を増やし始められたのです。ただ、この傾きを見ていただいて分かりますように、実はあまり急激には増やせていない。その後2017年からのこのガガッと上がる部分と比較していただきますとわかるように、ここに大きな差があります。実は、この民事再生直後は雑誌の中身にはあまり手を入れませんでした。

編集長も元の編集長をそのままお願いしていました。ですからそういう意味ではご質問がありましたように、雑誌の中身はあまり変わっていないというのがこの時期で、いろんな工夫をしていました。例えば先ほどの満足度調査を始めるとか。伸びてはいたのですがあまり良くなかった。結果、その後悪くなってしまった。

そして自分たちは雑誌の作り方だけではなくて、物販のやり方も含めて、顧客理解をきちんとする。それ以外にもいろんなことをしていますけれども、一つの象徴的なこととしては、そういう作り方を変えていきました。ですからハルメクという雑誌は雑誌だということには変わりないですし、ターゲットは中高年女性であるということでは変わりはないのですが、中身はもうガラッと以前とは変わっています。

テーマは、中高年女性ですとお金の心配があったり健康の心配があったり、家の掃除とか片付けの心配、そういう大きなテーマって実はそんなに大きく変わるわけではないのですが、それをどういう切り口でどういう内容での記事を作るか、特集を作るかというところであるとか。あるいは、雑誌全体を魅力的にどう作っていくか。一個一個の記事だけではなくて、こういったところを実はガラッと変えて、ちょうどこの復活させていった2017年ぐらいからですけれども、編集長も新しくして、時を同じくして物販も大きく変えていきました。ですから対象という意味では同じですけれども、中身は大きく変わっています。それが非常に当たって、右肩上がりに大きく増やすことができて、その時にとった手法が今、私どもの会社の中では一つの、大げさな言い方をしますと企業風土といいますか。お客様の声を聞いて、ブランディングし、結果もちゃんと測定して、良かったのか良くなかったのか、どこが足りなかったのか分かるようにやろうよというような基本的な仕事の仕方が定着したということでございます。

Q. 雑誌の作り方というのは、私には分からないところです。編集長が変わって劇的に変化したよというのは先ほど説明で分かるのですが、編集長が変わって雑誌の作り方というのもまた変わってくるものなのでしょうか。

A. 雑誌の編集長はいろんな方がいらっしゃると思います。私もその業界の出身ではないので詳しくはないですけど、やはりどちらかというと自分の考えで発信する、受信と発信で言うと自分の考えを発信する。主張を出していくというような傾向が強いかなと思います。

作り方を大きく変えたのは受信、それが先ほどお客様をよく理解するということでご説明させていただいたところなのですが、ここを強くしていくということであるとか、雑誌として、一冊100ページ以上ありますので、これをいかにメリハリをつけて作っていくか、これは言ってみれば商品で言うとマーチャンダイジングと呼ばれていることだと思います。どういう品揃えにしていくかというのと同じだと思うのですけれども、そういう雑誌一冊をどういう風に作るかというような観点、それから一個一個の記事について、特集をどうしていくかというのをお客さんを理解して作っていくという、ここを大きく変えたところです。これが今、私どもはある意味、雑誌ナンバーワンを維持できている大きな要因だと思いますし、実は他のサービス、物販にしろ何にしろ、いろんなサービスをやっていく上では非常に重要な我々の一つの競争力の源泉になっているというふうに考えています。

Q. 雑誌は書店に並んでいないということですが、顧客はどの媒体を通じてハルメクを知り得ることになるのでしょうか。また、なぜ書店で売っていないのでしょうか。本屋さんで売ってダイレクトで売ったら、より売上が上がるとか、そういうのがないのかなと思いまして。

A. 販売チャネルは4つございますが、雑誌も基本この4つ、ただし店舗ではほとんど売ってないので、バックナンバーしか買えないような形にしています。基本的に1冊売りはしない、12冊売りで、バックナンバーだけ1冊でも大丈夫ですよという売り方をしています。今は、一番大きなところは新聞、先ほど成長戦略でお話しさせていただいたように、テレビというものを今増やそうとしてきています。それからネットですね。

書店については、先ほどお伝えさせていただいた点が1つは大きくて、やっぱりどなたが買われたかということが理解でき、かつ把握できて、その後こちらからアプローチできるというD2Cモデルを非常に重要だと考えているということと、あと実際問題でもう一つありますのは、書店は返本が大体4割ぐらい、100冊行くと40冊は戻ってくるということで、非常に効率が悪い。今で言えばエコではないということもあるのですが、効率の悪い売り方になってしまっているのです。こういう効率の悪いやり方は避けたいということもございます。大きな要因は最初に申し上げた方が大きいということです。

Q. のれんと無形資産の内容を教えてください。先ほど感じるとソフトウェア資産が絡んでいるように見受けました。

A. CFOからご説明させていただきます。商標権、顧客関連資産といったようなものが大きなものとしてあります。のれんは独立して科目として出ております。44億円ぐらいとなっており、無形資産の中に商標権と顧客関連資産が入っています。商標権が26億円ぐらい、顧客関連資産が19億円ぐらい、合わせて45億円ぐらい入っております。それ以外の7億円とか6億円とかそれぐらいがソフトウェアとなります。これらのソフトウェアは基本的にはバージョンアップした基幹システムですとか、データを使っているシステムになりまして、商標権や顧客関連資産は実質的にはのれんといったような性質のものとなってまいります。なぜ貸借対照表にそんなのれんがいっぱいあるのかというのは、過去の民事再生みたいなことになったこともありまして、買収が繰り返されたりしている中で、買収した側が買ったことによってのれんが発生して、そののれんがその時の買収スキームによってハルメクという会社に渡ってしまっているといったようなことからのれんが発生しているということになります。減損テストについては、ごくごく普通に将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて判定するといった形でやっておりまして、業績が悪かった昨年であっても全く問題ない基準でございます。また、IFRSですので、そういった意味ではのれんの償却というのは発生しておらず、毎回の減損テストで減損が起こるかどうかというような話となっております。

Q. 新聞広告は結構盛んに行っていますが、年々新聞を読む人が少なくなっているという現状もあるかと思います。そうなるとハルメク様の広告効果が弱くなるという心配はないのでしょうか。

A. それはおっしゃる通りで、購読者数というのは新聞の購読者数が減ってきていますし、年齢もかなり高くなってきているということがございます。ですからこれだけに依存していると私どもも将来じり貧になってしまうという危機感を持っております。ただ、そうであっても今日明日に急激にゼロになるわけではないので、この中でやり方を工夫することによって新規の獲得を高めることができるというものがございます。

もう一つは何度かご説明させていただいたような他の獲得手段、例えばテレビ、さらに言うと将来はネット。今のアクティブシニアの方もだんだんデジタルを使われるようになってくるので、今は普通に広告を打つと非常にCPOが悪くてコンバージョン率も悪いのですが、ここは多分上がってくるのではないかと思っています。ですから他の媒体、物販について言うと非常に良いのが、店舗で新しいお客様に来ていただいて購入していただき、そして登録していただくというような。ですからオムニチャネルでいくつかチャネルがありますというふうにご説明申し上げた。それは一番右端が確か新聞だったと思うのですが、ここは徐々に徐々に弱っていくということは、不可避だというふうに思ってまして、他の手段で獲得していくという、その3つの残りのチャネルあるいはコミュニティのようなものですね。

また、5番目のチャネルとしてまだ書けるレベルではないので書きませんでしたけれども、コミュニティで先生が生徒さんを集めていく、例えば押し花の教室をやっていらっしゃる生徒さんが育ってきてまた自分の生徒さんを持つようになってくる、そういった方々にもちろん、押し花の教室、押し花作りを楽しんでいただくということもあるのですが、そういった方に例えば私どもの雑誌あるいはハルメク365あるいは物販商品をご紹介してクロスセルしていくというような形で成長していくことも考えています。ですから、昔はそれこそ新聞広告一本足だったのですが、それを様々な各チャネルに今広げていっている、それで新聞が徐々に衰退していくということに対して対処しようということをやっております。

Q. テレビCMは新聞の広告に比べて単価が高いように感じるのですが、その問題は今のところないと考えてよろしいのでしょうか。

A. テレビ単体だとなかなか採算的にはCPOで見ていると結構高いというのがこれまでのテストの結果で出ています。ただ先ほどご説明させていただいたようなテレビと新聞広告の相乗効果で、ユーキャンさんがやっていらっしゃった手法ですけれども、そういった新聞広告あるいは新聞の折り込みチラシを入れるという、こういう手法をやっていくとだいぶ効率性は良くなります。

さらに言うとネットに誘導していく、例えば全国でCMをやった場合にはネットに誘導するというやり方もあると思いますし、そういうクロスマーケティングというふうに呼んでいますけれども、その手法を有効に使うと費用対効果も高くはない。ただやはり新聞というのは非常に効率がいいので、新聞と同じだけの効率が出せるかどうかというところが、今我々がトライしているところです。採算ラインLTVが12ヶ月以内にプラスになるように取れるかというのが一番大きなこのクライテリアなのですけれども、さらに言うとそれが新聞と同じかそれ以上によくできるかというのが我々にとっての大きなチャレンジです。

Q. 女性誌でありながら経営陣はほぼ男性で意外だったのですが、顧客の声を吸い上げる限り、女性誌で男性経営陣でも問題ないという状況を考えてよろしいのでしょうか。

A. 確かに執行役あるいは取締役を見ていただくと男性が多くて女性はハルメクのコンテンツ関係の責任者やっています山岡一人しかございませんが、社外取締役はもう一人女性の方がなっていただいています。ただ部長以下、課長部長で言うと実は私ども女性比率が非常に高いです。課長以上、執行役員まで入れると3割程度なのですが、課長だけで言うと数字は持っていないですが女性比率はさらに上がります。課長部長の中堅のところの女性比率は非常に高いのでその意味では女性の視点的には理解できる。

ただ私ども性別で理解するというよりも、お客様の声を集めて、推測ではなくてリアルな声を基に考えて理解しています。女性だから分かるわけでもない、年齢が違うということもありますので、顧客の声を集める仕組みを作ることによって、例えば男性であってもそこは理解できるように、極力お客様とのインタビューだとかお客様イベントに参加だとか、リアルの世界で私どもの社員がお客様と接点を持つようにしている。加えて言うと商品開発している人間は、新しい商品を作った時にたまにお店に行って、自分の作った商品がどういうふうに売られているか、どういう質問、どういう感想が出ているかって見るようにしていると。ファッション関係だと女性が多いのですが商品開発は、性別とか年齢に関わらず、ちゃんとお客様が理解できるようにということができる仕組みを用意しているつもりです。

Q. 情報コンテンツ、物販、コミュニティの各売上比率と利益率を教えてください。

A. 第2四半期の決算発表の時の資料を見ていただくとだいたい推測がつくと思うのですけれども、例えば情報コンテンツですとだいたい売上ベースでいうと10%ちょっとぐらいになります。物販が85%ぐらいになりますかね。グループ会社でやっているものを入れると、85%じゃなくて95%よりちょっと低いぐらいです。コミュニティは売上的には非常に小さいです。

Q. 今期から配当を出されるということで、業績に加えて配当性向が36%程度と思いますが、来期以降の配当というのはどのようにお考えでしょうか。

A. まず配当すべきかどうかという議論もありますし、配当するにしても配当性向50%ぐらいにした方がいいのではないかという方もいれば、20%ぐらいでいいのではないかという方もいらっしゃって、多様な意見があることを承知しております。そのような中で当社は財政状況が改善してきたという話と、昨年の秋以降悪化してしまっていた広告効率の改善の目途が立ってきて、利益増を伴う企業成長ができるようになってきたというお話。

 あとは実際長く当社株式を持っていただく方について、株式を持っている間はキャピタルゲインで利益を得ることができませんので、そういった方々にも何らかの形で報いたいということもありまして、配当を始めることとさせていただいています。配当性向36%は大体で上場企業平均ぐらいの配当性向になるかと思います。要するに高いか低いかというところは個人の価値観によるところもありますが、ちょうど平均ぐらいで今回出させていただいているという形となっております。

今後につきましては、配当は当然一度出し始めたら続けるものだと思っております。そこのところで今回配当性向36%ぐらい、上場企業の平均ぐらいというのを目安として出させていただいておりますが、それを踏まえつつまた来期の業績予想というものを考えながら、来期の配当をいくらにしていくか、中間配当をやるのかといった話を含めて検討して、5月の決算発表のタイミングではお示しさせていただきたいと考えております。

私どもの事業、例えば雑誌事業はかなり成熟してきているというところがありますけれども、会社全体でいった時には成熟してきて利益が上がったときに、それは配当として全部株主に還元しようという考え方は持っておりません。成長戦略等でいろんなものをご紹介させていただきましたけれども、基本的には次の成長で、それを目の前のものともう少し先のものといくつかステップに分けてそこに投資していく、M&Aの実績は小規模なものが一つしかございませんが、こういったものに投資していくというふうに思っていますので、キャッシュとして使い切れなくてそれを配当として全部極力還元していこうというよりは有効に投資して、成長と利益のバランスを取って、成長率を今よりも高めていかれるようにしていこうと、そんな使い方をしたいと思っています。

Q. 高齢者の女性の方が多く集うというところで、カルチャーセンターと組むことはしないのでしょうか。シナジーは高いと思います。

A. 可能性はあると思います。今実際に協力させていただいているところもあります。ただカルチャーセンターとしては多分2つの悩みがあって、集客に困っていらっしゃるのと、コンテンツはあらかじめ作っている昔ながらの英会話とかそういうものがあって、今の人たちにあまり響かないということで、私どもは持っているいろんなコンテンツを提供するという意味で多分お役に立てるというふうに思っていますし、我々も集客する場所が必要ですので、そういったところで利用させていただく、ある意味ウィンウィンの関係ができると思いますので、これは十分可能性があると思いますので、今一部始めております。

Q. 中期経営計画の開示はしないのでしょうか。直近のKPIとしては店舗数、新規顧客獲得数等でしょうか。

A. 今まで中期計画を作ってこなかったのですが、今ここ1年ぐらい、非常に業績がバタバタしたということと、それからいろんな成長戦略を作ってご提示している中で、それってどのくらいのタイミングでどのくらいの規模のものを考えているのということをご提示する必要があるかな、ということは非常に感じております。今明確にyes noというふうにお答えはできないですが、必要性は非常に感じております。

それからKPIとして挙げられたもの。こうしたものは非常に重要な新規のお客様、それから今アクティブのお客様というのも大事ですし、そのお客様を獲得するのにどのくらいの効率でできているか、どのくらいリテンションできているか、こういったものがLTVでもそうですけれども、非常に重要なKPIになってくるかなというふうに思います。特にいろんな事業をやっているときに共通の指標というのは、お客様が何人結局増えたのか、その人たちがどれだけの期間がいてくださって、ストックとして何人いらっしゃるのか、それから獲得するときにどのくらいの効率性で獲得できているのか。そういうのと一人当たりの年間の購入単価だとか、こういったお客様関係の指標というのは非常に重要な、特に事業を横断で見るときには大事な指標になるかなと思っております。

Q. 優待のことで、通販をやられている会社で今こちら100株以上500株未満の方は、この柚子の里だよりがもらえますということなのですが、優待の商品の選択肢を増やしてほしいです。他社さんですと優待が例えば6つの中から選べるギフトとか。そういったものがあるか、そういったものをされたらどうなのでしょうか。

A. ご指摘、ご希望の点は私どももそうではないかなと思っております。基本的にはできるだけ魅力的な、そして例えば株数も今これは2段階しかありませんけれども、もう少し、持っていただいている株によって変えていくだとか、もう少し広範囲な、様々なお客様のニーズに応えられるような優待にしていきたいと思います。ただちょっと難しいのは全て商品単価が違うものですから、多分いくつかセットを用意するとか、どうしても好きなものを選んでください。というのはなかなか難しくなってくると思いますが、より株主の皆様の希望にお答えできるような、とりあえず第一弾として、出したものがこういう形の株主優待です。もう少し魅力的な株主優待に、これをグレードアップといいますか、進化させていけるようにしたいと思っております。

Q. シニア女性の市場が魅力的とありますが、ターゲットしているのはどのような人物像なのでしょうか。自ら働いている方なのか、資産家の方なのか。お金を持っている方でも様々な属性がいるかと思います。また、お金のある高齢女性が顧客層なのでしょうが、他に顧客層の特徴はありますか。カーブスの顧客と違って周囲の50代以上の女性でハルメクを知っている人が見当たらなかったのでどんな人なのかなということで、顧客層、お金のある高齢女性の中でもどのような方がターゲットなのか。

A. 金融資産とか購買力でターゲティングはあまりしていません。ただ結果的にはそうなっています。私どもがどうやってターゲットしているかということなのですが、価値観分析ですね。シニア層といって年齢の軸というのは重要な軸ですけど、もう一つは価値観軸というのでお客様をセグメントしています。価値観でお客様を7つのセグメントに分けていまして、知的品格派とアクティブ社交派という2つのタイプ、こういった方々を私どものターゲットにしております。そういう方が結果的には金融資産が多い方が多かったということで、お金持ちのためのサービスというふうには考えていないのですが、結果的にはそういう方が多かったということでございます。

Q. 今70歳の定年の話でなかなかありますが、定年の廃止や70歳が引き上げで定年が75歳とか80歳とかも働き手不足なのでそのような中になるかもしれません。そうなった際にアクティブシニア、プレシニアの区切りが変わるのか、また業績のようなことがあると考えられますか。

A. 定年については、基本的に日本は労働力不足ですし、年金等もあまりたくさん出せないということで上がっていくというふうに見るのが一般的な見方かなというふうに思っております。ですからここは上がっていくと見ていくべきだろうと思うのですが、そこでお客様が大きく変わるかというと、実は私どものお客様の中心は今65歳以上ですけれども、正社員ではないですが、パートアルバイトで働いている方の比率も結構高いです。65から70と70から75でここは随分変わってくるのですけれども、60代の方であると働いていらっしゃる方の比率は既に結構高い。そこはそんなに大きな変化を及ぼさないのではないかなというふうに思っています。

アクティブシニアとプレシニアを分ける軸は、年齢それから仕事というのはもちろんありますけど、それ以外にも実は大きく考え方とかニーズを変える要素がありまして。例えば健康、女性の場合は50歳ぐらいから更年期を迎えて、更年期障害に悩まれる50代の方は多いのですが、やっぱりプレシニアというのは健康問題、むしろ、がんであるとかより深刻な変形性膝関節症であるとか、目の前で言うと更年期障害についてどう対処するかみたいなものが良くなってきますし、65歳以上になるとそこは乗り越えられて克服していらっしゃる。あるいは家庭の家族構成、お子様がいらっしゃる方がこの世代ですと多い。あるいはお一人様の比率はまだ低いので、そうするとまだ50代だとお子様がちょうど巣立ったか、まだ大学生で結婚してないみたいな形ですし、65歳を過ぎるともう子供は手が離れている。こういうライフステージといいますか、この世代も出てきますので、働いているという要素はもちろん大きいのですが、その他の要素でアクティブシニアとプレシニアを分けて見た方が適切なサービスを提供できると考えています。

Q. 3ヶ月更新を試したら、4ヶ月目の更新が1年目の更新に比べて落ちたという話がありましたが、それは御社の記事が3ヶ月分で満足する内容であり、4ヶ月目から必要がないのではないかと聞こえました。内容に関しては継続する性質のものになっているのでしょうか。

A. 大変興味深いご質問ですね。先ほど1ヶ月分でやらないのか、3ヶ月分でやらないのか。というご質問をいただきました。実はこういう短期のものを申し込める方はもちろんお試しだから、12ヶ月分まだ払いたくないということもあるのですが、実は今月号の特集に興味があるから読みたい、でも12冊買いたくない、3冊だったらいいかという、こういう方が実は多かったです。ですから特定の特集にだけ興味があるという方が結構多かったです。12ヶ月間様々なお客様の抱えていらっしゃる悩みとか期待とか希望とか夢とか、そういったことにお応えするのがハルメクという雑誌です。という売り方を私どもはしているので、特定のものだけ読みたいという方に対しては、そういうコンテンツを用意していないというところです。あと継続性を上げるためにやっていることは、例えば、連載というものは結構あります。ですから1回だけ読んでも次が読みたい。というそういう連載で継続性を上げるというような工夫もしております。

Q. 季節ごとに百貨店内の店舗を買い物のために利用しています。販売員さんの人数が必要以上に多いことがいつも気になります。パートタイムで働いている方も多いと聞きました。今後ハルメクの店舗運営で改善余地があると思うことがあれば教えてください。

A. ここはやはり繁閑差が結構あってですね、季節、それから月、週の何曜日か午前か午後か。この辺で、結構繁閑差があるので極力シフトの組み方は工夫しておりますが、もしかしたら来ていただいた時間帯にお客様が少なくて販売員が多かったのかなというふうに思っております。ただ、もう1個ご指摘いただいている通り、販売員さんの数次第で。要するに販売員さんの稼働率が上がっている、アイドルタイムにお客様をお待ちしているような時間が極力少ない方が人件費率は下がりますので、この人件費率を下げるという取り組みはしております。

例えば、私どものシステムの入力時間、バックヤードでやらなければいけないという、こういう時間を短くしていこうとかですね、もともと通販をベースにしたシステムを使っていますので、実は店舗オンリー用のシステムに比べると入力の時間がかかったりします。極力フロント部分のお客様の接客で時間比率を上げて、バックヤードで何か作業をしたりする必要のある時間を減らそうということで今取り組みをしております。

Q. 百貨店内のブランドとしては買い求めやすい価格帯だと思います。先ほど平均より所得の高い方が利用されると伺いましたが、最近の消費動向など教えてください。

A. 百貨店ブランドの中では安いと思います。ですから私どもは新宿伊勢丹には多分価格帯的には合わないかなというふうに思います。消費動向、私どもの商品も最近のインフレの影響で値上げをしていますので、それに合わせてお買い上げいただく単価も上がってきていると。ただそこにはちゃんとついてきていただけているかなと思います。

Q. 去年の3月に東証グロース市場に上場されておりますが、上場した理由を教えてください。ハルメク様の事業というのが大きな資本を必要とする事業ではないので、別に上場しなくてもいいのではないかと見受けましたが。

A. 上場した理由はですね、やはり成長を今後維持加速するためには資本が必要だろうというふうに考えたからでございます。それに対してどういう状況だったかと言いますと、借り入れも財務状況のページがあったと思うのですが、かなり膨らんでいてですね、何か新規事業のために先行投資したり、あるいはM&Aをするためということでいうと成長のための資金の調達余力が非常に落ちていました。これを上場することによって資金を得て、今後またビジネスモデルをさらに発展させていくためのお金として使いたいということで上場いたしました。さらにはもちろん一般の若い方々、社員になってくださる方々の知名度も低いとか。現在、シニア女性の間では大体5割弱ぐらいの知名度なのですが、さらに私どものお客様、お客様候補の間で認知度を上げるということももちろん期待していました。

Q. 雑誌をお試しで配るということはしないのでしょうか。例えばサ高住に住んでいる方やカーブスのような顧客層にはこのハルメクさんの雑誌というのはマッチしそうな気がします。一回見て年間購読してくれる人がより増えないかなと思います。

A. ここは昔から結構議論があるところでそれこそフリーペーパーのように配ったらどうなのかですね、そういう意見は絶えずありました。基本的には無料でお配りするということはやらないというふうに考えています。なぜかというとですね、やっぱり無料のものってあんまり真剣に読んでくださらないのです。仮に無料で配ったとしても多分それが定期購読につながるかというと、その率は相当低いと思います。我々はかなり丁寧にいい雑誌を作っているつもりです。商品もそのつもりですけれども、それを軽んじるような形で無料で配るということは、ちょっと自らの商品の価値を低下させるようなところがあるし、実際ビジネスとして見たとき、それが何らかの効果があるかというと、かなりの分はただ読まれないで捨てられてしまったりする考えています。実際に次の何らかの購買につながらないんじゃないかと。そういう風に考えていますので、無料配布ということはやっておりません。

投資家の皆様へ

私どもは、先ほど変遷のグラフをご覧いただきましたが、その時代時代で次々と新しい課題が起き、それを乗り越えてきました。現在、シニア女性の間で、本日はあまり触れませんでしたが、非常に信頼していただけるブランドになってきています。この信頼が、ある意味いろんな事業をやっている上でのベースとなり、シナジーを生んでいます。
ただ、まだまだいろんなサービスを加えていけますし、アクティブシニア×アナログ市場でも7%程度のシェアですので、さらなる成長の余地があります。また、今まで手薄になっていた50代のところという、ある意味空いているマーケットがありますので、そこでさらに会社を成長させていきたいと考えています。
お客様の立場から見て、「ハルメクって本当に自分たちにとって役に立つ会社だった」と言っていただける会社にしていきたいと思っています。ぜひ投資家の皆様には短期的な視点だけではなく、中期的な面も含めてご支援をいただけましたら幸いです。よろしくお願いいたします。

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