決算書を見ていると、「営業利益」と「経常利益」という2つの利益が並んでいます。どちらも「利益」ですが、意味が異なります。株式投資で企業を分析するとき、どちらを重視すべきなのでしょうか。
■ 営業利益は「本業の実力」を表す
営業利益とは、売上高から売上原価と販売費及び一般管理費(販管費)を差し引いたものです。つまり、その企業が本業のビジネスだけでどれだけ儲けているかを示す指標です。
たとえば、自動車メーカーであれば車を作って売ることで得た利益が営業利益です。ここに借入金の利息や投資による収益は含まれません。企業のビジネスモデルそのものの強さを見るなら、営業利益が最適です。
■ 経常利益は「会社全体の稼ぐ力」を表す
経常利益は、営業利益に「営業外収益」を加え、「営業外費用」を差し引いたものです。営業外収益には受取利息や配当金、為替差益などが含まれ、営業外費用には支払利息や為替差損などが含まれます。
つまり経常利益は、本業以外の財務活動なども含めた、企業の日常的な経営活動全体の成果を表しています。借入金が多い企業は支払利息の負担が大きいため、営業利益は好調でも経常利益が低くなることがあります。
■ 投資判断ではどちらを見るべきか
結論から言えば、両方見るのがベストですが、優先すべきは営業利益です。
営業利益は本業の実力を反映するため、企業の競争力や成長性を判断するのに適しています。一方、経常利益は財務体質の健全性を含めた総合的な収益力を見るのに役立ちます。
特に注目すべきは、営業利益と経常利益の「差」です。この差が大きい場合、本業以外の要因が利益に大きく影響していることを意味します。たとえば、営業利益が100億円なのに経常利益が60億円であれば、40億円分の営業外費用(多くは支払利息)が発生しており、借入金の負担が重い可能性があります。
■ 日本特有の「経常利益文化」も知っておこう
実は、経常利益を重視するのは日本独特の文化です。海外では営業利益(Operating Profit)が主流で、経常利益に相当する概念はあまりありません。日本では歴史的に、銀行借入による資金調達が一般的だったため、利息負担を含めた経常利益が重視されてきました。
最近は海外投資家の影響もあり、営業利益を重視する流れが強まっています。投資初心者の方は、まず営業利益をしっかり見る習慣をつけ、慣れてきたら経常利益との比較に進むとよいでしょう。

