初心者の疑問「株でいくら稼げるかわからない」に答える現実的な話
「株式投資でどのくらい稼げるの?」「月収100万円は可能?」「1年でお金が倍になるって本当?」株式投資を始めようと考える初心者の多くが、このような疑問を抱いています。SNSやメディアでは「株で大儲けした」という華々しい成功談が目立ちますが、その裏にある現実はあまり語られません。実際のところ、株式投資でどの程度の利益が期待できるのでしょうか。過度な期待は大きな失敗につながる可能性があるため、現実的で地に足のついた収益目標を理解することが重要です。今回は、投資金額別、期間別、リスク別に分けて、株式投資の現実的な収益可能性について詳しく解説していきます。
株式投資の平均的なリターンの現実
株式投資における長期的な平均リターンを理解することから始めましょう。過去のデータを見ると、先進国の株式市場は年率5%~10%程度のリターンを提供してきました。日本の場合、過去30年間の東証株価指数(TOPIX)の年平均リターンは約3%~6%程度となっています。
これらの数字は「平均」であることに注意が必要です。好調な年には20%~30%のリターンを記録することもあれば、不況時には20%~40%の損失を被ることもあります。2008年のリーマンショック時には多くの株式が半値以下になりましたし、2020年のコロナショックでも一時的に大幅な下落を経験しました。
重要なのは、短期的には大きな変動があっても、長期間(10年以上)保有することで、平均的なリターンに収束していく傾向があることです。したがって、「年率20%~30%の利益を継続的に出す」という期待は現実的ではありません。
投資金額別の収益シミュレーション
具体的な投資金額に基づいて、現実的な収益例を見てみましょう。
月1万円の積立投資の場合 年率5%のリターンを前提とした場合、月1万円(年12万円)を20年間積み立てると、最終的な資産は約395万円になります。投資元本は240万円なので、利益は約155万円となります。年間の利益に換算すると、20年目で約19万円程度です。
このように少額投資では、短期間で大きな利益を得ることは困難ですが、長期間継続することで着実に資産を増やすことができます。「小さく始めて長く続ける」ことが重要です。
月5万円の積立投資の場合 同じく年率5%のリターンで月5万円(年60万円)を20年間積み立てると、最終資産は約1,973万円になります。投資元本1,200万円に対して利益は約773万円、20年目の年間利益は約97万円となります。
この水準になると、ある程度まとまった利益が期待できますが、それでも月収100万円には程遠い金額です。
100万円を一括投資する場合 100万円を年率7%で運用した場合、10年後には約197万円、20年後には約387万円になります。年間の利益は10年目で約14万円、20年目で約26万円程度です。
一括投資では複利効果を最大限活用できますが、市場タイミングのリスクも大きくなります。
リスクレベル別の収益可能性
投資におけるリスクとリターンは密接な関係があります。リスクレベル別に現実的な収益可能性を見てみましょう。
低リスク投資(年率2%~5%) 大型優良株、高配当株、債券型投資信託などを中心とした保守的な投資です。元本割れのリスクは比較的低いものの、インフレ率を考慮すると実質的なリターンは限定的です。安定性を重視する場合に適していますが、大きな利益は期待できません。
中リスク投資(年率5%~12%) インデックスファンドやバランス型投資信託を中心とした一般的な投資スタイルです。市場平均程度のリターンを期待でき、長期投資により比較的安定した成果が期待できます。多くの個人投資家にとって現実的な選択肢です。
高リスク投資(年率-30%~+50%) 個別成長株、新興市場株、テーマ株などへの集中投資です。成功すれば大きなリターンが期待できますが、大幅な損失のリスクも高くなります。投資金額の大部分を失う可能性もあるため、余裕資金の範囲内で行うべきです。
投資期間による収益の違い
投資期間によって期待できる収益パターンは大きく異なります。
短期投資(1年未満) 短期投資では市場の変動性が大きく、利益を出すことも大きな損失を被ることも可能です。デイトレードで月収数十万円を稼ぐ投資家もいますが、同じくらいの損失を出すリスクも高く、統計的には9割以上の個人投資家が損失を出しているとされています。
短期投資で安定した利益を出すには、高度な技術と豊富な経験、そして相当な時間投資が必要です。副業感覚で始めて成功する可能性は極めて低いのが現実です。
中期投資(1年~5年) 中期投資では企業の業績成長や業界の変化を捉えることで、年率10%~20%程度のリターンを狙うことが可能です。ただし、経済サイクルや市場環境の影響を大きく受けるため、期間によっては損失となることもあります。
成功のためには企業分析や業界研究に相当な時間を投資する必要があり、また忍耐力も重要な要素となります。
長期投資(5年以上) 長期投資では複利効果と時間分散効果により、比較的安定したリターンが期待できます。年率5%~10%程度の利益を継続的に得ることが可能で、リスクも中短期投資に比べて低くなります。
ただし、結果が出るまでに長時間を要するため、即金性を求める人には向いていません。
現実的な収益目標の設定方法
株式投資で現実的な収益目標を設定するためには、以下のポイントを考慮する必要があります。
投資可能金額の把握 まず、生活費や緊急時の資金を除いた余裕資金がどの程度あるかを正確に把握しましょう。投資は余裕資金で行うのが鉄則です。生活費を投資に回すと、短期的な損失時に冷静な判断ができなくなります。
リスク許容度の確認 投資元本がどの程度減少しても生活に支障がないか、また心理的に耐えられるかを考えましょう。一般的には投資可能金額の20%~30%程度の損失を許容できる範囲で投資することが推奨されます。
投資期間の設定 投資目標(老後資金、教育資金、住宅資金など)に応じて投資期間を明確にしましょう。期間が長いほど複利効果を活用でき、リスクも分散されます。
段階的な目標設定 いきなり高い目標を設定するのではなく、段階的に目標を上げていくことが重要です。最初は年率5%程度の目標から始めて、経験を積みながら目標を調整していきましょう。
よくある収益に関する誤解
株式投資の収益に関して、初心者がよく抱く誤解があります。
「すぐに大金を稼げる」という誤解 SNSでは短期間で大きな利益を上げた事例が注目されがちですが、これらは例外的なケースです。安定して大きな利益を得るには、長期間の投資と継続的な学習が必要です。
「プロと同じように稼げる」という誤解 機関投資家やプロのトレーダーは豊富な情報、高度な分析ツール、長年の経験を持っています。個人投資家が同じような成果を期待するのは現実的ではありません。
「元本保証で高リターン」という誤解 高いリターンには必ずリスクが伴います。「絶対に儲かる」「元本保証で年率20%」といった話は詐欺の可能性が高いため注意が必要です。
副業としての株式投資の現実
会社員が副業として株式投資を行う場合の現実的な収益を考えてみましょう。
時間的制約 本業がある場合、投資に割ける時間は限られています。平日の取引時間中は仕事をしているため、短期トレードは実質的に困難です。中長期投資が現実的な選択肢となります。
情報収集の限界 プロの投資家と比べて情報収集に使える時間は限られています。そのため、個別株よりもインデックスファンドなどの分散投資商品が適している場合が多いです。
現実的な副収入 月の投資額が3万円~5万円程度の場合、年率7%のリターンでも月の利益は数千円程度になります。投資を副業として大きな収入を期待するよりも、長期的な資産形成手段として考える方が現実的です。
成功するための心構え
株式投資で現実的な利益を得るためには、正しい心構えが重要です。
長期的視点の採用 短期的な利益よりも、長期的な資産形成を目指しましょう。10年、20年という長いスパンで考えることで、市場の短期的な変動に惑わされることなく投資を続けられます。
継続的な学習 投資は学習し続けることで成果が向上します。書籍、セミナー、オンラインコースなどを通じて知識を深め、少しずつ投資スキルを向上させていきましょう。
感情のコントロール 株価の変動に一喜一憂せず、冷静な判断を保つことが重要です。事前に投資ルールを決めて、感情的にならずに実行することが成功の鍵となります。
分散投資の実践 特定の銘柄や業界に集中投資するのではなく、リスクを分散した投資を行いましょう。投資信託やETFを活用することで、少額でも効果的な分散投資が可能です。
まとめ
株式投資は「一攫千金」の手段ではなく、長期的な資産形成のツールとして捉えることが重要です。現実的には年率5%~10%程度のリターンを目標とし、時間をかけて着実に資産を増やしていくことが王道です。
大きな利益を短期間で得ようとするほど、大きな損失のリスクも高まります。自分の投資可能金額、リスク許容度、投資期間を正確に把握し、現実的な目標を設定することが成功への第一歩となります。
投資は継続が最も重要です。小さく始めて長く続けることで、複利効果の恩恵を受けながら確実に資産を増やしていきましょう。華々しい成功談に惑わされることなく、地道で堅実な投資を心がけることが、最終的に大きな成果につながるのです。
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