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[書き起こし]シイエム・シイ(2185)IRセミナー&質疑応答 2024.7.26開催

2024.7.26に開催致しましたシイエム・シイ(2185) IRセミナー&質疑応答の書き起こしになります。
登壇者名 経営企画部 次長 福山 隆志 様

IRセミナー

株式会社シイエム・シイ経営企画部の福山でございます。週末の夜遅くにご参加いただき、誠にありがとうございます。本日はよろしくお願いいたします。

これより株式会社シイエム・シイについて、20分から25分ほどお時間をいただき、ご紹介させていただきます。本日の説明会のコンセプトは「発見」です。本セミナーに参加するまで当社の名前をご存じなかった方もいらっしゃるかと思います。当社がどのような会社であるか、ご参加の皆様に一つでも多くの発見をお届けできればと考えております。

皆様から興味を持っていただいていること

具体的な説明に入る前に、投資家の皆様から当社に対して興味を持っていただいていることについてご紹介します。

  1. 2008年の上場以来、15期連続で黒字であること

  2. 4期連続で最高益を予想し、右肩上がりで成長を続けていること

  3. 7期連続で増配を予想しており、配当政策に力を入れていること

これらが、主に個人投資家の皆様からご興味いただいている点です。

では、なぜこれらを実現できているのか、その原動力は何かを解き明かすと、当社には3つの特徴が備わっているからだと考えます。本日はこれらを皆様に発見としてお伝えできればと思います。

当社の特徴は以下の3つです:

  1. 創業60年以上、技術マニュアル制作の大手企業として信頼のビジネス基盤があること

  2. コアビジネスで蓄積した知見やデータを利活用し、時代に合わせたビジネス展開を続けていること

  3. 強固な財務基盤を持ち、機動的な資本政策に取り組んでいること

これらの特徴について深掘りしながら、皆様にお伝えしていきます。

信頼のビジネス基盤

まず1つ目の発見は、創業60年以上、技術マニュアル制作の最大手として信頼のビジネス基盤があることです。

当社の企業概要をご紹介します。設立は1962年で、一昨年に創立60周年を迎えました。技術情報を中心とした情報サービス企業です。本社は名古屋市中区にあります。東海地区からご参加の方にとっては地元企業となります。従業員数は当社単体で約430名、グループ連結で約920名です。拠点は国内に16拠点、海外には中国、東南アジア、アメリカ、ヨーロッパに11拠点を持ち、グローバルにビジネスを展開しています。

60年以上の歴史、大手顧客企業との長く太い信頼関係、国内外に展開する基盤があることが当社の特徴です。

次に当社の沿革についてご説明します。当社は1962年の創業以来60年以上、顧客企業の技術情報を取り扱う信頼の歴史があります。時代に合わせて常に提供するサービスや商材の形を変化させてきました。

創業時の商材はマイクロフィルムでした。マイクロフィルムをご存知の方もいれば、ご存知でない方もいらっしゃるかもしれません。スライドの左側に写真が写っています。

当時の主な顧客は設計や開発部門でした。製品開発や設計時に作成する大きな青図と呼ばれる設計図面を、この小さなフィルムに焼き付けて記録するという、当時では情報をアーカイブする最新技術でした。しかし、CD-ROMなど新しい記録媒体の登場により、現在この商材の売上はゼロになっています。

その後、印刷事業への進出を経て、現在の主力商材である取扱説明書や修理書といった技術マニュアルの制作分野に進出しました。車に乗られる方なら、助手席前のダッシュボードに入っている分厚い辞書のような取扱説明書をご覧になったことがあるでしょう。当社はその取扱説明書の情報そのものを顧客企業と共に作成しているマニュアルに関するトップ企業です。

マニュアルは製品に関わる技術情報の集合体です。マニュアルを作成できるということは、顧客企業の製品や技術を隅々まで知り尽くしていることを意味します。顧客企業の製品や技術情報を適切に整理整頓しなければ、わかりやすいマニュアルは作成できません。

このマニュアル制作で培った、顧客企業の製品や技術情報への理解と情報整理のノウハウを活かし、現在は業務標準、人財育成、販売戦略といった戦略支援の分野に事業を展開しています。ハードからソフトへ、モノづくりからコトづくりへと事業を拡大してきました。

顧客企業は単にモノを作りたいのではなく、コトを実現したいためにビジネスを展開しています。例えば、修理書を作りたいのではなく、保証している製品を安心安全に修理してもらいたい、あるいは製品ユーザーに製品価値をしっかりと提供し、製品やブランドを愛してもらいたいという思いがあります。当社もモノづくりからコトづくり、戦略支援の取り組みへとビジネスを拡大しています。

これは、当社のビジネスモデル戦略を図示したものです。先述の通り、マニュアルは技術情報、顧客企業情報、商品知識や製品知識といった情報が詰まった情報の宝庫です。マニュアル制作を通じて顧客企業を深く理解することで、戦略支援という新たな付加価値を提供できます。戦略支援を行うことでユーザーを深く理解でき、そこで得た情報を新たなマニュアル作成や顧客企業の製品開発に活かすことができます。

このビジネスモデルを当社では「インフィニティループ」と呼んでいます。このループを継続することで、他社が模倣困難な、参入障壁の高い独自のビジネスモデルを展開しています。

当社がこのビジネスモデル戦略を市場に深く展開しているのは自動車業界です。最大手の自動車メーカーでは、発売される車種の技術マニュアルの約半分を当社が担当しています。

このマニュアル制作で得た知識や知見を戦略支援に活用し、参入障壁の高いビジネスモデルを大手自動車会社の中でも展開しています。この経験とノウハウが、モビリティ業界、特に自動車業界における圧倒的な競争力を生み出しています。

投資家の皆様からよく、マニュアルはメーカーが社内で作っているのではないかと質問されます。しかし、顧客企業の担当者は設計や開発のプロであっても、情報を分かりやすく作成したり伝えたりするプロではありません。当社のような企業がプロとなって支えています。

当社がここまで深く関わることができるのは、マニュアルを作成する多数のテクニカルライターが在籍しているからです。自動車整備に関する国家資格保有者は100名以上、特に難関資格と言われる一級整備士の資格保有者は30名以上います。

顧客企業と共に設計図面を読み解いたり、試作車両を分解しながら修理しやすい組み立て方を検討したりしています。自動車を知り尽くしたプロフェッショナル人財がいることで、顧客の高度な要望にも応えることができ、これが自動車業界における大きな強みとなっています。

自動車業界で培った知見やノウハウを活かし、新たな市場での販路拡大も進めています。建設機械、農業機械、航空機などのモビリティ市場や、工作機械、ロボット、医療機器などの非モビリティ領域にも事業を拡大しています。

当社の強みが特に発揮できるのは、製品寿命(プロダクトライフサイクル)が長く、修理やメンテナンスを行いながら長期間使用する製品です。自動車業界で培ったノウハウをこうした製品に展開できるため、この観点から販路拡大を進めています。

また、当社の顧客企業は積極的にグローバル展開をしています。これに対応するため、1998年のアメリカ進出を皮切りに海外市場への展開を加速させています。海外拠点における事業拡大や海外向け売上の増加により、前期の比率では国内と海外向けの売上高が約半々となっています。ビジネスフィールドをグローバルに広げている黒子企業であることが当社の特徴です。

ここまでが、長年の歴史で積み上げてきた参入障壁の高い信頼のビジネス基盤の紹介です。

蓄積した知見やデータを利活用

次に2つ目の発見として、コアビジネスである技術マニュアル制作で蓄積した知見やデータを利活用し、常に時代に合わせたビジネスを展開しているという特徴について説明します。

投資家の皆様からよく、マニュアルはなくなるのではないかと質問されます。これに対して2点お伝えしたいことがあります。

1つ目は、マニュアルという言葉から多くの方が分厚い紙の冊子を想像されると思いますが、最近は電子マニュアルや動画マニュアル、さらにAR・VR技術を活用した体験型マニュアルへと変化しています。情報を必要とする人の属性やシーンに合わせて、紙か動画かXRかといった技術や手法を変化させています。このため、マニュアルはなくならないと考えています。

2つ目は、当社はマニュアルそのものではなく、取扱いの手順や修理の手順といった情報そのものを作成しています。新しい製品や機能が社会実装されるたびに、取扱いや修理の手順を作成しています。

手順の情報が必要になります。ここに当社の出番があり、マニュアル制作は今後もなくならないと考えています。

当社が情報の利活用として掲げているのは、顧客企業の技術情報や製品情報を体系化し、情報を必要とする人に、必要な時に、必要な情報だけを、最適な方法で提供することでユーザーの価値を創出することです。

IoT技術の進化により、これまで一方通行だった情報のやり取りが双方向になり、ユーザーの情報活用動向を分析できるようになりました。この分析結果をデータベースに反映することで、次の情報提供の質を高め、持続的な情報価値向上を実現します。これが私たちの目指す「情報価値のサステナビリティ」という考え方です。

情報を必要とする人のシーンや状況に応じて、情報やデータを利活用して解決していくことで、コアビジネスであるマニュアル制作で得た知見を戦略支援につなげています。これが当社の持続的成長戦略です。

現代は企業の社会的責任が問われる時代です。当社は従来の成長戦略に加え、社会課題の解決に寄り添う商材開発や事業開発を進めています。特に労働人口減少に対処するための働き方改革に関連した取り組みと、生成AI技術に対応した取り組みについて紹介します。

まず、働き方改革に関連した取り組みとして、「KAIZEN FARM」というツールを開発しました。これは長年の業務標準化ビジネスで培った情報整理のノウハウを商材化し、クラウドで利用できるようにしたものです。顧客企業の業務改善や効率化をサポートします。

多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める上で何から手をつけるべきか悩んでいます。この「KAIZEN FARM」は、そうした企業の働き方改革をサポートするために開発しました。業務手順の棚卸しをもとに、ボタン一つで電子マニュアルを作成したり、AIチャットボットなどのDXツールと連携することができます。

次に、自動車整備士の不足問題や業務負担を解消するために開発した「楽々エーミング」を紹介します。これは当社が修理書などの技術マニュアル制作で培った自動車整備に関する知識を活用し、自動車整備業界の働き方改革とDXをサポートする、業務の時短や効率化を支援するアプリケーションです。

今後も自動車の機能は高度化・複雑化していくため、このようなツールを通じて自動車整備に従事する方々の業務効率化をサポートしていきます。

直近では、東京府中市の自動車整備会社である府中自動車株式会社を連結子会社化しました。これは「楽々エーミング」をはじめとする整備DXの取り組みを現場で検証し、商材開発を加速させるためです。

次に、生成AIに対応した取り組みについて紹介します。情報価値向上サイクルを実現するには、利活用しやすいデータを作り、貯めていく必要があります。当社は既に展開している業務情報に加え、製品や技術情報のデータを構造化する独自の基盤を充実させました。これにより、製品技術情報と業務情報双方のデータを貯める基盤が整い、データ利活用をサポートするビジネスモデルがさらに強固になりました。

この技術情報を貯める基盤は、当社の長年のビジネスで培ったノウハウを形にしたものです。これを利用するだけで生成AIに活用しやすい構造化データに整え、情報を必要とするユーザーへの利活用を効率化できます。

長年のビジネス基盤で蓄積したノウハウやデータを、顧客企業の課題解決だけでなく、社会課題やトレンドに応じて利活用できるビジネスを展開できることが当社の2つ目の特徴です。

強固な財務基盤

3つ目の特徴は、好調な業績、強固な財務基盤、機動的な資本政策を手掛ける企業であることです。

まず業績について説明します。当社は営業利益を経営の重要な指標とし、営業利益の増加と利益率の上昇を目指しています。連結営業利益は3期連続の最高益で、今期も4期連続の最高益を予想しています。社内でもDX化の取り組みを進め、生産性と収益性を高める取り組みを行い、常にビジネスの磨き上げを行っています。

次に財務について説明します。自己資本比率は約8割と強固な財務基盤となっています。豊富なキャッシュをもとに、成長戦略実現に向けた研究開発やM&Aなどの投資活動をスピーディーに行うことができます。持続的な成長に向けた先行投資を着実に進めています。

最後に資本政策について説明します。前期までで6期連続の増配を達成し、今期も7期連続の増配を予想しています。

配当金はこの7年で約3倍に上昇しています。配当利回りは過去2年、プライムやスタンダード市場の平均を上回る数値で推移し、今期はさらに高い利回りが予想されています。

週刊東洋経済の今年6月15日号の四季報先取りランキング、累進配当 配当利回り部門においてトップ50位の銘柄にランクインしました。中部地区に本社を構え、サービス業に属している企業としては当社のみです。

シイエム・シイは継続的かつ安定的な増配を目指す方針のもと、株主様への還元に努めています。増配だけでなく、過去7年間で自己株式取得を6回、株式分割を2回と、積極的に資本政策を実施しています。

以上のとおり、シイエム・シイは業績好調、強固な財務基盤、積極的な株主還元を進めている企業です。

最後にまとめると、投資家の皆様に興味を持っていただいている点は、上場以来15期連続で黒字であること、4期連続での最高益を予想し右肩上がりで成長し続けていること、7期連続の増配予想で配当政策に力を入れていることです。

それを実現している当社の特徴は、創業60年以上の信頼のビジネス基盤があること、コアビジネスで蓄積した知見やデータを利活用し時代に合わせたビジネス展開を続けていること、強固な財務基盤と機動的な資本政策に取り組んでいる企業であることです。

最後にIRイベントの告知をさせてください。今年も9月に名古屋市の吹上ホールで開催されるIR EXPO 2024に出展します。昨年もKabu Berryのセミナーに参加し、多くの方に当社ブースにお越しいただきました。ぜひIRエキスポの会場で直接当社の魅力をお伝えできればと思います。皆様のご来場をお待ちしています。

説明は以上です。当社について何かしらの発見をしていただけましたでしょうか。少しでも当社に興味を持っていただけましたら幸いです。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答

Q. 国家整備士一級取得者が32名いるとのことですが、この人数は多いのでしょうか、少ないのでしょうか。また、一級取得者が多くいることでの優位性を教えてください。

A. 当社では、国家整備士の資格を保有している社員が100名以上おり、そのうち一級取得者が30名以上います。全社員数(約430名)の約25%が国家整備士の資格を持っており、そのうち3割以上が一級整備士の資格を持っています。

この数字の多寡について明確な基準はありませんが、一級整備士は二級整備士と比較して、電気や次世代自動車整備に必要な領域に関する深い理解が求められる資格です。車の技術や機構を深く幅広く知っている社員が多いほど、顧客企業の期待に応えられる取り組みや、顧客企業の知識を超える提案ができるため、深い知識を持った社員はこれからも増やしていきたいと考えています。

Q. 特定顧客の認証不備による生産調整の影響をできるだけ定量的に教えてください。また、マニュアル事業について、認証不正などにより一時的な踊り場でプロジェクトスケジュールの見直しが発表されていますが、シイエム・シイ様にはどの程度影響があるのでしょうか。

A. 顧客企業の認証不備に関する生産調整については、一部影響が出ています。ただし、当社の技術マニュアル制作ビジネスは、顧客企業の自動車の生産台数や販売台数よりも、発売される車種の数やマイナーチェンジ、仕様変更などの市場に提供される車種の数に比例しています。

そのため、生産台数や販売台数の変動による直接的な大きな影響はありません。しかし、計画の見直しにより発売時期が後ろ倒しになったり前倒しになったりすることで、当社が見込んでいた売上の時期がずれるという影響は出ています。つまり、顧客企業の販売計画の変更に応じて、当社の売上計上時期にも変動が生じる可能性があります。

Q. 今後の配当方針についてどのようにお考えでしょうか。

A. 配当方針に関しては、明確な数値目標は開示していませんが、継続的な増配を目指すことは株主の皆様に対して宣言しています。今期も7期連続の増配を予想しており、毎年株主の皆様の期待に応えていく形で配当による株主還元に取り組んでいきます。

Q. 海外市場向けの売上が52.4%とありますが、この比率をどこまで引き上げる目標を持っているのでしょうか。また、新規進出を検討している国や地域はありますか。

A. 海外市場向けの売上比率について具体的な数値目標は開示していませんが、顧客企業の海外展開に伴い、必然的に海外向けの施策が増えていくと考えています。新規進出を検討している具体的な国や地域はお伝えできませんが、顧客企業が展開する新たな地域や国で、現地でのサポートを行う観点から、継続的に新たな進出を検討しています。

Q. 府中自動車株式会社の買収によるシナジーについて、売上や利益などでどのようなものを期待されていますか。

A. 府中自動車の買収は、自動車整備事業そのものを拡大するためではありません。最新の安全機能を搭載した車両の増加に伴い、小規模な整備事業者でもこれらの車両を整備できるようサポートするための商材開発を加速させることが目的です。自動車整備の難民を増やさないため、また整備従事者の働き方改革を支援するため、実際の整備現場を持つことで、より効果的な商材開発を加速させることができます。具体的には、開発した商材やプロトタイプを実際の現場で検証し、業務効率化につながるかどうかをスピーディーに確認できるようになります。これにより、自動車整備業界全体の課題解決に貢献することを目指しています。

Q. 取引先の中でトヨタ自動車様の割合が有価証券報告書に36%となっていますが、モビリティ、医療、物流、行政などの分野への今後の売上バランスはどれくらいになるのが理想だと考えていますか。また、現在の割合も教えてください。

A. 現在の売上割合は、モビリティ関連が77%、製造業が8%、医療・医薬品が5%、その他が11%です。自動車業界の割合が特に高くなっています。具体的な目標割合は開示していませんが、物流業界や医療医薬業界など、自動車業界に代わる新たな柱を作ることを目指しています。これらの新分野を自動車業界に次ぐ第二の柱として捉えられるくらいの割合まで増やしていきたいと考えています。

Q. 従業員数が減少しているように見受けられますが、その要因は何でしょうか。

A. 従業員数の減少は意図的なものではなく、自然減によるものです。技術マニュアルの制作は労働集約的に見えるかもしれませんが、当社では業務効率化のための編集ツールを自社開発し、社内で徹底的に活用しています。これにより、過去の類似製品の情報を流用するなど、情報作成作業の効率化を図っています。結果として、社員数が減少しても生産性が向上し、営業利益率の高いビジネス展開が可能になっています。

Q. 人財採用について、他社では良い人財が取れないという話を聞きますが、シイエム・シイ様ではそういった課題はないのでしょうか。

A. 中途採用については、仲介手数料の高騰や人財の取り合いなど、他企業と同様の一般的な課題がある可能性はあります。しかし、新卒採用に関しては、当社の強みがあります。創業60年以上の歴史があり、地元の大学研究室の教授やキャリアセンターとの長年の深い付き合いがあります。インターンシップを通じて学生に実際の業務を体験してもらい、ミスマッチを防ぐ採用活動を積極的に行っています。そのため、新卒採用においては、人財確保の面で大きな問題は感じていません。

Q. 昨年の名証 IR EXPOでは364名もの来場者があったそうですが、今年はどのような展示を予定していますか。

A. 昨年は多くの方にご来場いただき、ブースは立ち見が出るほど盛況でした。今年のIR EXPOは9月6日、7日に吹上ホールで開催されます。具体的な展示内容はお伝えできませんが、今年も多くの方々のご来場をお待ちしています。

Q. M&Aの方針や目的はどのようなものがあるのでしょうか。また、現預金をうまく活用すればもっと業績が上がるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

A. M&Aの方針については、主に3つのテーマがあります:

  1. 顧客企業の販路・市場拡大

  2. 取り扱い商材の増加

  3. 新たな技術やテクノロジーの獲得

M&Aは国内外で継続的に検討しており、特に海外進出においては時間を買う観点からM&Aを活用したいと考えています。

現預金の活用については、M&A以外にも人的資本への投資を行っています。具体的には、本社ビルや研究開発拠点のリニューアルなど、社員が働きやすい環境づくりに投資しています。

Q. 生成AIは実際にシイエム・シイ様の業務に使用しているのでしょうか。また、生成AI導入に向けた課題などがあれば教えてください。

A. 社内では、顧客企業の機密情報に関わらない領域で、生成AI技術の活用可能性や業務効率化の検証を行っています。

また、「ナレッジマスター」というツールを開発しています。これは、情報を入力する際に、特に意識することなく生成AIが読み取りやすいデータ形式(XML形式)に自動変換する仕組みを持っています。このツールにより、お客様企業や当社内で、生成AIが利用しやすいデータ形式に整えることができます。

生成AIの普及に向けて、データの持ち方を支える取り組みとして、このツールが貢献できると考えています。

Q. 技術情報とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

A. 当社が言う技術情報には、以下のようなものが含まれます:

  • 取扱い情報

  • 修理情報

  • 部品情報

  • その他製品の技術に関わる情報

最近では、単純な手順だけでなく、効率的な作業のコツや、状況に応じた最適な手順など、いわゆる「勘とコツ」も技術情報の一部として捉えています。

Q. 次期中期経営計画では数値目標は開示されますでしょうか。

A. 次期中期経営計画についての具体的な回答はできません。現在の中期経営計画でも数値目標は開示していません。その理由は、大手顧客企業との取引割合が大きいため、当社の将来計画を開示すると顧客企業の製品発売計画が推測されてしまう可能性があるためです。ただし、投資家の要望に応えるため、具体的な数字に代わるKPI的な指標の開示や、顧客企業の構成比を変えることで将来の開示ができるよう取り組んでいきたいと考えています。

Q. 円安や原材料費、物流コストの上昇による原価面への影響について教えてください。

A. 為替の影響:

  • 海外現地法人の売上比率は十数%程度で、直接的な為替の影響は限定的です。

  • ドル建ての現預金については為替の影響を受けますが、実際のビジネスへの影響は少ないです。

原材料費・物流コストの影響:

  • 印刷ビジネスでは紙やインク、運搬費の影響を受けますが、印刷事業自体が縮小しているため、大きな影響はありません。

  • 協力会社との取引では、物価高を考慮した価格設定を行っているため、外注費の上昇という形で影響があります。

  • 一方で、顧客企業に対しても世情を踏まえた単価の見直しや価格転嫁の相談を行っています。

全体的に、物価高や賃金上昇の影響はありますが、顧客との交渉を通じて対応を進めています。

Q. 楽々エーミングやKAIZEN FARMの現状を教えてください。サービスとしてあるけど、売上とか今後展開のことですね。また、それ以外に新たに開発されているDX商材がありましたら、可能な範囲で教えてください。

A. まず、楽々エーミングとKAIZEN FARMの現状についてですが、売上の細かな数値は開示していません。

楽々エーミングについては:

自動車の安全機能整備時のカメラやセンサーの調整作業を効率化するツールです。
イヤサカという整備機器販売会社とセールスアライアンスを組んでいます。
全国の整備事業者(約7万社)に向けて販売活動を行っています。
10月からのOBD車検対応に向けて拡販を計画していましたが、整備事業者の動きが遅く、計画よりやや後ろ倒しになっています。

KAIZEN FARMについては:

企業の業務手順を可視化し、効率化やRPA導入をサポートするツールです。
現在、累計362社に導入されています。
最近は特に行政・自治体での導入が増えています。
岐阜市役所や岡崎市役所と連携協定を結んでいます。

その他のDX商材としては:

ナレッジマスター:お客様企業のデータ構造化をサポート
AIーQ:木村情報技術が開発したチャットボット
BizRobo!:RPAツール

Q. 決算について、通期では問題ないのですが、四半期のグラフを見ると第3四半期が必ずへこんで見えてしまい、印象は良くなく見えないので株価が売られてしまうことがあります。このことについて何か施策のようなものは考えておられますでしょうか。

A. 第3四半期(4月から6月)の業績が他の四半期と比べてへこむのは事実です。これは意図的なものではなく、お客様企業の動向に応じて売上計上が決まってくるためです。
対策としては:

社内でその時期にさまざまな施策を行ったり、業務をシェアしたりしています。
お客様企業の多くが3月末決算で、秋のモーターショーに向けて新製品を出すため、第2四半期と第4四半期に売上が集中する傾向があります。
非モビリティ領域の拡大により、売上の平準化を図りたいと考えています。

ただし、お客様企業の動向に大きく影響されるため、すぐに第3四半期の業績を改善することは難しい状況です。

Q. マニュアル制作から戦略支援に移行していくには、部門の垣根を変える必要があると想像します。どのように組織の垣根を越え、情報の利活用につなげていますでしょうか。

A. 大手のお客様企業では、まず技術マニュアル制作の過程で設計・開発部門と連携します。その後、発売準備の段階で営業・マーケティング部門と連携し、セールス教育の準備、修理手順の教育、販売促進支援などを行います。当社の利点は、技術マニュアル制作で得た製品情報やデータを活用できること、お客様企業内での情報取り寄せの手間を省略できること、そして一貫した取り組みが可能なことです。これにより、お客様企業内の部門間の垣根を効果的に越えて情報を利活用しています。

Q. お客様とマニュアル制作と戦略支援を行っているとのことですが、どちらが中心でしょうか。マニュアル制作に関わる部署の方が中心でしょうか。

A. 接点のある部署の数という観点では、マニュアル制作(主に設計・開発部門)だけでなく、多様な部署と接点があります。実際には、戦略支援でサポートしている部署の方が割合としては多いです。具体的には、設計・開発部門だけでなく、広告宣伝・マーケティング部門、品質保証部門、コールセンターなど、幅広い部署と接点を持っています。

Q. 整備資格を保有する社員(32名)をどのように確保しているのでしょうか。ディーラーなどからの転職が多いのでしょうか。

A. 社員確保の方法は主に二つあります。一つは新卒採用で、自動車大学校とのコネクションを活かし、毎年定期的に採用を行っています。もう一つは中途採用で、ディーラーからの転職者も含まれます。ただし、整備資格保有者だけでなく、セールス経験者や整備監督者、教育担当者なども採用しています。このように、多様な経歴を持つ人財を確保しています。

Q. 有価証券取引所の報告書に書いてあるように、トヨタ自動車の取引が一番多いとのことですが、自動車完成メーカーではトヨタ以外で取引があるのでしょうか。

A. トヨタ自動車以外にも、ほぼ全ての国内自動車完成メーカーと取引があります。以前は「一業種一社」という縛りがありましたが、現在はそれがなくなり、同じ業界内で複数の企業と取引を行っています。ただし、各メーカーごとにセキュリティウォールを設け、情報管理を徹底しています。このように、幅広い自動車メーカーとの取引を維持しつつ、機密情報の保護にも注力しています。

Q. DXにより業務効率化が進展した場合、労働生産性はどのような感じで向上するのでしょうか。3日でできたのが2日になるとか、そういったことを聞きたいのだと思います。

A. 具体例として岡崎市役所の消防本部での取り組みをご紹介します。消防本部では、本来の市民の安心安全を守る業務以外に多くの事務作業が課題となっていました。DXによる業務効率化として、業務手順の可視化と分析、暗黙知の形式知化による業務の標準化、RPAの活用による夜間の自動処理などを実施しました。これにより事務作業の負担が軽減され、本来の消防業務により多くの時間を割けるようになりました。具体的な数値は岡崎市のホームページで公開されていますので、そちらで詳細を確認することができます。

Q. 業績の過去の推移を見ると、売上もしくは利益の上方修正が目立ちます。毎年比較的安定して利益を上げられていますし、保守的な業績予想を出して達成していくという業績予想の出し方もあると思いますが、上方修正が多くなってしまっている理由を教えてください。

A. 直近期では上方修正はなく、むしろ目標数値を少し下回ってしまったケースがあります。当社の業績予想が慎重になる理由としては、お客様企業の販売計画や動向によって、受注から納品、売上計上、請求のタイミングがずれることがあります。これを「期ずれ」と呼んでいますが、当初予定していた期から次の期にずれることがあり、これらの要因は当社でコントロールしきれない部分があります。このため、業績予想を立てる際には保守的かつ慎重に見積もる必要があります。

Q. 海外と国内でマニュアルの作成に違いはあるのでしょうか。

A. 自動車業界を例に説明すると、海外と国内でマニュアル作成に違いがあります。国ごとに関係法規が異なるため、それに応じてマニュアルの内容を変える必要があります。法規対応のために、車の機能や仕様を変更することもあり、それに合わせてマニュアルの内容も変わります。また、記載する情報の内容や表現方法を、国や地域に合わせて変更する必要があります。つまり、関係法規の違いによってマニュアルの内容が大きく変わることが、海外と国内のマニュアル作成の主な違いとなります。

Q. 有価証券報告書によると、光通信が御社の株式を6.1%保有されています。この保有方針などご存じでしたら教えてください。

A. 光通信さんとは良好な関係を保っています。基本的には当社のビジネスを応援していただいており、純投資という形で当社に興味を持っていただいていると聞いています。

Q. 昨今、ベースアップが他の企業や日本全体で言われていますが、社員のベースアップや報酬の水準の見直しや取り組みは行っているのでしょうか。

A. 今年の4月から、若手や中堅社員を中心に賃上げを実施しています。世の中の物価動向などを見ながら、社員とその家族を守るという観点から、臨機応変に対応していく方針です。

Q. 増収増益増配を続けられるのは非常に素晴らしいのですが、株価に反映されていません。マニュアル事業以外の部分、例えばDX事業などがどのように成長しているのか、決算短信や決算書に数値として記載できないのでしょうか。そういったDX商材に対する評価が難しくなってしまうのではないでしょうか。

A. ご指摘の通りだと思います。今後は、例えばKAIZEN FARMの取り組みに関して、どのタイミングでどれだけのお客さま企業とライセンス契約を結ぶのか、どれくらいの導入企業数を目指すのかなど、社内では計画値を持ってモニタリングしています。これらの情報を社外に対してもしっかりと計画として出すことで、投資家の皆様に成長を感じていただけるようにしたいと考えています。この点については、ぜひ検討し、参考にしていきたいと思います。

Q. 機関投資家さんとのミーティングについて、どのような質問があり、内容と回答を教えてください。話せることがありましたらお願いいたします。

A. 具体的な質問内容や回答の詳細は開示していませんが、今日のセミナーでいただいた質問と重複する部分が多いです。最近は機関投資家との面談機会が増加しており、国内外問わず様々な投資スタイルや拠点の方々と面談しています。年間で30から40回程度の面談を行っています。

Q. 海外進出・海外展開は現地の完成車メーカーの人たちに対してどのような影響を受けたのか、国内との違いはどのようなところにあるのでしょうか。

A. 海外拠点での主な取引先は日系企業の海外現地法人です。例えば、グローバルに展開している車種について、日本で作られた技術マニュアルをもとに、海外拠点(例:タイのバンコク)で現地向けの戦略支援を行っています。具体的には、その車種が現地でどのような層をターゲットにすべきか、どのような特徴や利点をアピールすべきかなど、現地に合わせたローカライズを行っています。

Q. 資本政策を行う目安・基準などはあるのでしょうか。直近で2022年に自社株取得が行われていないようですが、その理由を教えてください。

A. 直近で自己株式の取得がないのは、タイミングの問題だと考えています。常に機動的な資本政策を行っていく方針であり、経営陣で検討している部分です。必要に応じて状況を見ながら実施を検討していく予定です。

Q. 安定的に成長していますが、数年大きく伸びていないと思います。今後の成長エンジンとなる事業や事例はございますか。

A. 今後の成長エンジンとなる事業として、以下の2つが挙げられます:

  1. KAIZEN FARMを活用した業務標準化ビジネス:大企業だけでなく、中小企業も含めた幅広い顧客層に対して、働き方改革をサポートするビジネスです。

  2. 整備事業者向けの整備DXビジネス:自動車整備業界の働き方改革をサポートする事業です。

これらの事業は今後の成長エンジンとして注力していく予定です。

Q. デジタルマーケティングなどデータをループさせていると思いますが、他社と何が違うのでしょうか。

A. 一般的なデジタルマーケティングは、主に販売促進や顧客とのコミュニケーションなど、ビジネスモデルの「戦略支援」部分でのデータ循環に焦点を当てています。一方、当社の特徴は、そこで得られた情報を製品の設計や開発にまで活かしていく点です。つまり、マーケティングから得られたデータを製品開発にフィードバックし、さらにその新製品の情報を再びマーケティングに活用するという、より広範囲でのデータループを実現しています。これにより、製品開発から販売、アフターサービスまでを包括的に捉えたデータ活用を行っている点が、他社との大きな違いだと考えています。

Q. ナレッジマスターで見込める売上高や利益はどのくらいを想定していますか。話せる範囲でお願いします。

A. ナレッジマスターは今期直近でサービス提供を始めたばかりのサービスであり、現時点では明確な売上目標や業績状況は開示していません。今後、適切なタイミングで目標計画を出せるようになればと考えています。

Q. 名古屋以外の拠点の成長はどのようになっているのでしょうか。

A. 国内に関しては、名古屋以外に東京や大阪にも拠点がありますが、大きな違いはないと考えています。海外に関しては、中国市場では他の日本企業同様に逆風となっている一方、東南アジアなどの市場では成長が見込めている状況です。

Q. 海外市場向けと国内市場向けの違いはどのようなものがあるのでしょうか。

A. 当社の売上高は、海外市場向けと国内市場向けでほぼ半々となっています。この区分は、当社が手掛けている技術マニュアル制作や戦略支援が、日本国内向けか海外市場向けかによって分けられています。

Q. 人的資本経営が重要視されていますが、人財を最大限引き出す人的資本強化のために、シイエム・シイ様はどのような取り組みをされていますか。

A. 当社では以下のような取り組みを行っています:

  1. 「人材」を「人財」と表記し、人は財産という考え方を重視

  2. 働きやすい環境整備のためのハード面への投資

  3. 適切な賃金の見直し

  4. タレントマネジメントシステムの導入による社員のキャリア情報の可視化と活用

  5. その他、有価証券報告書のサステナビリティの経営方針で触れている取り組み

Q. 顧客が自分自身で生成AIを使用することにより、内製化に舵を切りやすくなることは考えられるのでしょうか。

A. 確かに生成AIの使用により内製化が進む可能性はありますが、以下の点から当社の役割は依然として重要だと考えています:

  1. 新製品や新機能の基本情報は、依然としてゼロから生み出す必要があり、生成AIだけでは難しい

  2. 機密情報を含む細かな部分の取り扱いには専門知識が必要

  3. 当社は顧客企業のデジタル変革推進部門と共に、内製化の取り組みにも参加している

  4. 生成AIの導入に伴い、当社の新たな役割やポジションを確立しながら、顧客と協力して取り組んでいる

つまり、内製化が進んでも、当社は顧客企業と協力しながら、新たな付加価値を提供し続けることができると考えています。

投資家の皆様へ

本日は長時間にわたり、たくさんのご質問をいただきまして、ありがとうございました。

皆様から様々なご意見やアドバイスをたくさんいただきました。今後の資本政策やIR活動、さらには経営全般において、それらを活かしていきたいと考えております。

ぜひ今日のセミナーをきっかけに、株式会社シイエム・シイという会社を覚えていただければと思います。もし興味を持っていただけるようでしたら、名証 IR EXPOの方で直接お話しさせていただく機会があれば幸いです。

引き続き、株式会社シイエム・シイをどうぞよろしくお願いいたします。

本日は誠にありがとうございました。

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