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[書き起こし・要約]GMOリサーチ(3695)IRセミナー 質疑応答 2024.2.27開催

2023.2.27に開催しましたGMOリサーチ(3695)IRセミナーの質疑応答部分の書き起こしになります。

代表取締役社長 細川 慎一 様 

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IRセミナー

はじめに

 

   

細川です。GMOリサーチ株式会社の代表取締役社長を務めています。当社はGMOインターネットグループに属する上場企業の一つで、特にマーケティングリサーチを専門としています。

まず、私自身の経歴についてご紹介させていただきます。私は現在50歳で、香川県出身です。大学卒業後、最初の仕事はエチオピアの日本大使館での勤務でした。しかし、2年間の公務員生活を経て、私は自分には公務員よりも事業を拡大していく方が合っていると感じ、ビジネスの世界に転身しました。最初はケンウッドという会社で海外営業を担当し、特にシリコンバレーでの事業立ち上げに携わりました。その経験から、シリコンバレーの革新的な雰囲気に魅了され、自分も同様の成功を収めたいと考えるようになりました。

その後、グローバルMBAで知られるアメリカのサンダーバードでMBAを取得しました。MBA取得は、私にとって新たなスタートラインでした。その後、外資系コンサルティング会社のKPMGでマーケティング、特にCRMの分野に従事しました。この時期に、マーケティングリサーチ、特にオンラインリサーチに強い興味を持ちました。

独立してコンサルタントとして活動を開始した後、GMOグループに事業提案を行いましたが、代表取締役社長を務めることになり、2005年に自分の会社を畳んでGMOに参加しました。2014年には上場を果たし、さらなる海外展開を目指して現在はシンガポールに拠点を置き、世界No.1の会社を目指して努力しています。

会社概要

この説明会では、現在のGMOリサーチ株式会社の状況と展開についてお話しします。特に、シンガポールをグローバルヘッドクォーターとして、日本(東京・下関)、中国、台湾、インド、マレーシア、アメリカに法人登記を行い、事業を展開しています。現在、海外売上の比率は約27%で、約200人のパートナーと協力しています。

重要なポイントとして、以下の四つを理解していただければと思っております:

市場シェア: 当社は日本国内で67%のシェアを持ち、世界市場では2%で、国内では1位、世界では9位のポジションにあります。この市場は年間19.8%の成長を見せています。

ユニークなビジネスモデル: 我々はサンプルパネル提供会社という独自のポジショニングを持ち、この分野でのプラットフォーム戦略を展開しています。これにより、規模の拡大が可能なビジネスモデルを構築しています。

売上成長率: 新しく開拓をはじめ、今注目していただきたいポイントが、こちらの売上成長率になります。国内事業向けの売上成長率は43%、海外調査会社向けは11%という昨年の結果を出しています。

安定的な高配当: 配当性向を50%以上とし、安定した高配当を目指しています。2023年の配当性向は61%で、現在の配当利回りは約4.2%です。これにより、株主には安定した利益の還元を期待していただきつつ、成長を続ける会社を目指しています。
これらの情報を通じて、GMOリサーチ株式会社の現状と展望について正しく理解していただけると考えています。

市場概要


こちらは我々がどのような市場で競争しているのかという説明になります。マーケティングリサーチ業界、すなわちインサイト市場は、国内で約2000億円弱の市場規模を持っています。この市場には、どのようなセグメントが存在するのかというと、技術主導の大型調査やレポーティングエリアが市場調査領域に属します。我々が特に注力しているのは、サンプルパネル提供市場というセグメントです。このセグメントでは、日本において1位のシェアを獲得しています。どのようなビジネスモデルであるかについては、後ほど詳しく説明いたします。

 

マーケットの成長についてです。通常、確立された市場調査のマーケットよりも、我々が属するマーケットは高い成長速度を持っています。成長率は約20%弱で、国内市場においては市場シェア1位となっております。

ビジネスモデル


次に、ビジネスモデルに少しだけ触れさせていただきます。この説明を通じて、当社がどのようなマーケットで活動しているのか、そして我々独自のビジネスモデルについて理解を深めていただければ幸いです。商流について言いますと、我々の企業名に「リサーチ」という言葉が含まれているため、一般的に調査会社と間違われがちです。国内にはいくつかの調査会社が存在しますが、それらの会社は主に調査設計や、収集したデータを基にレポートを作成するエリアに属しています。これは付加価値を提供する部分ですが、当社ではこのようなレイヤーの仕事は主に行っておりません。

 以前は、一般的にアンケート調査は、オンラインや郵送を含めたオフラインの双方で行われていました。参加者はアンケートに回答し、その返送として図書券などの謝礼を受け取るシステムでした。しかし、当社が業務を開始してから、調査手法は急速にオンライン化しています。

オンライン化を進めるためには、まずアンケート調査に協力をしてくださる会員組織(消費者パネル)が必要です。当社はそのような会員組織(消費者パネル)を持っており、メールや様々なメッセージを通じて、アンケートへの参加を案内します。参加者はリンクを通じてインターネット上でアンケートに回答し、スマートフォンやPCを使用します。回答完了後には、デジタル謝礼を受け取り、これをポイントとして銀行振込みや他のポイント・マイルに交換することが可能です。

当社は、提供したデータを使用する調査会社がメインの顧客であり、これらの顧客はレポートを作成し、最終的に事業会社に提案を行います。このプロセスが一般的です。

我々の市場シェアは67%に達し、国内市場においてはトップの位置にあります。最近、市場が大きく変化し、事業会社への直接販売というルートを拡大しています。

粗利率が高い点も特徴であり、我々は調査設計やレポート作成を直接行わず、基本的にはお客様の方でAIを活用したりして、お客様がご自身で調査設計やレポート作成をして頂いております。我々の主な業務は、消費者向けのサンプルパネルの提供や、システムの提供に特化しており、この点で他社と比較して高い粗利率を実現しています。

海外の事業モデルとして、現在アメリカやヨーロッパには消費者パネルが存在しません。これは、消費者パネルを構築するには相応の投資が必要であり、また、一定の案件を獲得し続けるためには市場でのリーダー位置を確保する必要があるためです。これらの理由から、会員が離れてしまうリスクがあり、我々はアジアの会員に特化しています。

アメリカとヨーロッパの市場では、直接事業会社への販売が主流であり、これらの地域のパネルが最も需要があります。そのため、我々にとっては案件を獲得することが難しくなっています。特に、アメリカやヨーロッパの顧客に対しては、調査会社への販売に注力しています。以前はグローバルパネル会社を通じて販売していましたが、最近は調査会社がコストを考慮して直接我々から購入するケースが増えています。この結果、我々の粗利率は従来のグローバルパネル会社向けよりも高くなっており、ビジネスモデルがこの方向にシフトしています。

我々のビジネスモデルは、調査会社としてではなく、調査会社のプラットフォームを提供する会社として理解していただければと思います。

簡単にプロセスを説明すると、我々の主要な顧客は従来型の調査会社(マーケットリサーチ会社)、そしてこれらのサービスを利用する上場企業です。
我々はサンプルパネル提供を主な業務としており、特にプロセスの2、3、4番に注力しています。これらは労働集約的で売上に直結し、人員の増加が必要な部分ですが、従来のマーケティングリサーチとは異なり、我々はこれらにフォーカスせず、プラットフォームに特化してアジア全域でのシェア拡大を目指しています。

直接事業会社から依頼を受ける場合、多くは顧客自身が調査設計を行い、我々が提供したデータに基づいて事業会社が分析やレポート作成を行います。そのため、我々と調査会社との間にはカニバリズムはないと考えています。

また、我々はアジアで約5800万人の会員を持ち、16の国と地域に展開しています。この数は競合に比べて圧倒的に多く、日本の顧客だけでなく、アメリカやヨーロッパの顧客もオンライン化の進展に伴い、アジアでの調査に我々のパネルを主に使用する傾向にあります。
ただし、アジアのお客様が調査を行う際、まだ完全にオンライン化されていない現実があります。人件費が安いなどの理由で、多くのケースがオフラインで行われています。しかし、将来的には日本と同様にオンラインでの調査が増えると考えており、我々がパネルを強化し、案件が自然と我々に届くようになれば、事業会社から直接指名を受けることが増えるだろうと考えています。

我々は特定の属性を持つ様々な会員を抱えており、ターゲティングが可能であることが調査を行う上で非常に重要です。5800万人の会員からの信頼を得ており、その信頼が今後、AIの進化と共にマーケティングの最適化に貢献することができると考えています。

 

我々のプラットフォームでは、顧客企業(左側)と生活者(右側)とをつなぐ役割を果たしています。各プラットフォームにおける機能については、次に詳しく説明します。

お客様(事業会社)は、我々のプラットフォームを通じてアンケートの設計、ターゲティング、データの収集と集計などが可能です。しかし、操作が複雑な場合もあり、そのような時は我々が代行するサービスも提供しています。これにより、DIY方式とアウトソーシング方式の売り上げに違いが生まれます。基本的にはプロセスは同じですが、直接操作するかどうかに違いがあります。

事業会社向け:GMO ASKについて

これは、複雑なアンケートツールを使わずに、Google フォームなどのシンプルな方法でアンケートを実施できることを意味します。当社のシステムは、これらのアンケートを直接、我々のシステムに統合するウェブアプリを提供しています。

アプリをダウンロードすると、Google フォームのデータを当社の集計表に直接送信できるようになります。また、Web フォームで作成したアンケートを、当社の会員に直接配信することが可能です。OpenAI の ChatGPT API を活用し、特定のテーマでのアンケート質問を提案する機能も備えています。これにより、ユーザーは簡単にアンケートを作成できるようになります。AI の進化により、将来的にはより複雑なアンケートも簡単に作成できるようになることを目指しています。

消費者側プラットフォーム:Asia Cloud Panelについて

我々は、独自の会員組織(消費者パネル)を持っており、様々なポイントプログラムを持つ会員組織とも提携しています。これにより、我々は業界で最大のアンケート在庫を持っていると自負しています。提携先は、GMOポイントなどのeコマース企業やマイレージを保有する航空会社など多岐にわたります。

アジアを中心に、多くの企業と提携し、アンケートサービスを展開しています。我々はアンケートの営業を代行し、提携先企業のウェブサイトにアンケートを配信します。会員はアンケートに回答することでポイントを獲得し、これらのポイントをショッピングや旅行に使用することができます。これにより、ウェブサイトの活性化を図っています。

2023年の決算概要

2023年以前、コロナウイルスの影響でオフライン活動が停止し、オンライン化が加速しました。これにより、業績が伸びましたが、2023年は市場全体の構造変化に直面しています。多くの顧客が自分たちでアンケートを実施するようになり、我々のようなパネル専門の企業への依頼が増えています。売上は前年を下回りましたが、粗利益と営業利益は改善されました。売上よりも、これらの利益の方が我々にとって重要な指標です。


2023年は、市場自体がある種のターニングポイントだったと考えています。大きく言えば、2022年と2023年を比較した際に、業界全体のトレンドの変化と特殊要因により約5.3億円程度の影響がありました。この5.3億円は、業態自体の変化や、私たちの発注・受注基準の変更など、様々な要素を含んでいます。これらの変化は恒久的なものとして捉え、次の事業展開に向けた検討を進めております。詳細については後ほどご説明いたします。しかし、第4四半期にかけて、総利益率が改善されていることがご覧いただけるかと思います。

売上自体は昨年、2022年を上回ることはできませんでしたが、粗利率は大きく改善されました。次に、特殊要因について説明します。

特殊要因とは、2023年に大きく影響した4つの要因を指します。これらは、国内の原価案件の絞り込み、海外グローバルパネル連携、中国およびインドの調査会社によるオフライン調査の影響、そして国内資本再編による影響です。これらの影響は、一年経過すると対前年度比での影響がなくなる見通しです。特に、グローバルパネル連携は1.4億円の影響があり、中国およびインドの調査会社によるオフライン調査は、効率の低いものであり、これを受けることを止め、オンライン調査に特化する方針に切り替えました。これにより、重要なリソースをオンライン側に移行しました。

今年(2024年)の第1四半期には、これらの変更による対前年度比での影響が見られる見通しです。最後に、国内での資本再編により、競合他社をグループ会社とする動きがあり、これが我々のビジネスに与える影響についても考慮しています。M&Aなどにより、我々から他社への発注が移行することもあります。昨年は、大型案件が年2回のところ年1回になったり、定期調査が減少したりするなどのトレンドがあり、これらの影響は約2.8億円の影響が2023年下半期からあり、2024年上半期も続く可能性があります。

以上の内容を踏まえ、市場のターニングポイントとその影響について、詳細に分析し、今後の事業戦略を慎重に計画しています。

2024年の上半期には、前年度と比較して売上に影響が残る見込みですが、その影響は後半には消失し、他の分野での成長によって全体の売上を伸ばしていく予定です。

我々は、利益率にフォーカスし、労働集約的な部分ではなく、プラットフォームに特化したビジネスモデルを採用しています。これにより、他の調査会社とは異なる領域に位置づけられ、サンプルパネル提供会社として、1人当たりの売上高が高い構造を持っています。今後もこの傾向を維持し、さらに伸ばしていく方針です。

2024年上半期に関しては、マイナスの影響も予想されますが、下半期に向けての成長戦略を計画しており、結果として売上は12.3%増、営業利益は14.1%増、最終利益は11.4%増を目指しています。これらの予測は現在の見通しに基づいています。

2024年業績予想

次に、売上予測を国内外に分けて詳しく述べます。2023年の影響を除外し、調査会社向けと事業会社向けのサービスに焦点を当てた場合、調査会社向けの売上は大きく伸びることを見込んでいませんが、主に事業会社向けのサービスの売上が増加し、それによって売上と粗利益が向上すると考えています。事業会社向けのサービスでは、過去に年間複合成長率(CAGR)で65%の成長を達成し、昨年は43%の成長率でした。2024年には、これをさらに伸ばすことを目指しています。この目標を達成するために、専任チームの人員を倍増させ、プラットフォームの改善を図ります。これにより、顧客が調査設計を行わなくても済むようなサービスを提供することを目指しています。

海外市場については、グローバルプラットフォームやグローバルパネル会社向けの売上を大きく伸ばすことは予定していませんが、調査会社向けの売上を増加させる方針です。調査会社向けのサービスは、過去5年間でCAGRで18%の成長を遂げており、この順調な成長が今後も続くと考えています。

 

最後に、AIの進化は、この業界にとって欠かせないイノベーションであると私たちは考えています。AIによる効率化が売上の減少につながる可能性はありますが、大きなイノベーションによって、人間だけでは成し遂げられなかったことを可能にすることは、業界にとって大きな転換点です。AIによって生成されたデータを解析し、最適な判断を下す能力は、AIの進化によって人間の知能を超えていくと考えています。この進化により、我々は業界で最も有利な位置にいると自負しています。

このようなサービスを適切に提供できるように、サービスを形にし、より良い状態に整える必要があります。そして、必要に応じてパートナーを作ることが重要です。我々はM&Aを仲間作りと考えていますが、このような企業と組むことで、各々の事業や関係性を強化し、より一層切り離せないものにして事業を強化できると考えています。

次に、今後の進め方についてですが、2024年には、ステップ1だけで事業を大きく伸ばすことが可能だと考えています。しかし、ステップ2、3、4での準備は、2024年中に進めておく必要があると思っており、これらを並行して進めることが2024年の重要な課題です。

本日の説明を終わります。想いを、世界に。GMOリサーチの説明会にお越しいただきありがとうございました。

 

質疑応答

Q: 粗利率の高い取引を目指す方針と、そこから利益を最大化する意向について説明がありましたが、同様に他社も目指す高リード取引について、GMOリサーチが競合に負けずに高い粗利率を維持できる理由は何だと考えますか?

細川: 我々は調査設計やレポーティングといった付加価値サービスを基本的に提供していません。このため、価格面での競争力があり、相対的に安価なサービスを提供できます。

このアプローチは理論上、他の調査会社も実施可能です。しかし、ここで重要となるのが、自社で保有する消費者パネルとシステムです。消費者パネルという大きなリソースを持ち、これを効果的に活用できるかが鍵となります。多くの調査会社は一定のパネルサイズがなければ、すべての調査を自社の会員だけで賄うことが難しく、外部に一部業務をアウトソースする必要があります。これにより利益率が低下することがあります。自社で強力なパネルとシステムを保有することが、競争上の優位性につながります。この点で、我々が優位に立っていると考えられます。


Q: 1人当たりの売上が他社に比べて高い理由は何でしょうか?

細川: 当社はプラットフォーム事業を展開しており、スケールメリットを享受できること、また労働集約型ではない事業構造を持っていることが、他社との大きな差別化要因だと考えています。

Q: お客様からの問い合わせと営業活動、どちらが多いですか?

細川: 当社では、問い合わせが圧倒的に多いです。その理由は主に二つあります。まず、デジタルマーケティングを通じて、自分たちでDIY(Do It Yourself)できるような設問設計の方法など、多くのコンテンツをウェブ上のオウンドメディアで提供しています。

その結果、多くの方が検索を通じて設問設計の方法を学び、その過程でGMOリサーチへの問い合わせにつながります。また、Webセミナーなどを通じて情報提供を行っており、これらの活動がリテラシーの高い方々を引き寄せています。直接当社に発注するにはある程度の知識が必要ですので、そういった方々が自然と当社にアクセスしてくるようになっています。さらに、SEO対策により、当社は検索結果の上位に表示されやすくなっており、このようなマーケティング戦略が奏功しています。

Q: オウンドメディアを通じて問い合わせを得る戦略について、他社も容易に模倣できる領域だと感じるのですが、その点についてはどう思いますか?

細川: 確かに、オウンドメディア戦略は多くの企業が採用しています。しかし、他社との差別化ポイントは、付加価値をどこに置くかにあります。多くの企業では、リサーチャーによる高品質なレポート作成に付加価値を見出しています。これが一般的に最大のアピールポイントとなります。

細川: 調査設計とレポート作成は、リサーチャーのスキルによって品質に大きな差が出るため、これらの領域での付加価値提供が一般的です。我々はこれらのサービスを基本的に提供しないため、強調するポイントが根本的に異なります。この違いが我々の戦略をより理解しやすくしています。

Q: 事業向けのAPI接続を拡大する戦略について、またその挑戦が難しい場合の理由を教えてください。

細川: 昨年、具体的には上半期に、国内では調査会社向け、海外ではグローバルパネルと共に成長を目指してきました。特に調査会社やグローバルパネルといった、月に何十本もの案件があるような企業にとって、API接続は非常に有効です。これにより、調査会社のシステムと私たちのシステムが連携し、顧客の調査がすべて私たちのもとに来るようになります。これまではこの分野に注力してきましたが、昨年の下半期からは特に事業会社向けに焦点を当て、成果が見えてきました。事業会社は月に数本の案件を持つことが多いですが、その量ではAPI接続のコストを回収するのが難しいため、案件の量が一定レベルに達するまではAPI接続よりも、当社のプラットフォームを直接使用していただく方が現実的です。最初は私たちのチームが顧客から直接情報を収集し、それをシステムに入力していく過程で、DIY案件として処理します。しかし、この方法ではシステムへの直接接続がなく、DIY案件の数が増えるようには見えません。ただし、戦略の変更により、これが今後の重要なKPIではなくなる方向にあります。

Q: 海外でも国内と同様に事業向け売上を拡大する戦略をお持ちですか?

細川: 海外においても、将来的には事業向けの売り上げを拡大していく予定です。ただし、現状では特にアメリカとヨーロッパの顧客が重要で、特にアメリカの顧客からの売上が当社全体の約2割を占めています。アメリカの顧客がアジアを調査対象とした案件が多い現状では、世界規模の調査の一部としてアジアが含まれることが多いですが、アメリカからアジア地域だけを対象とした調査の依頼はまだ多くありません。アメリカの事業会社に販売するためにはアメリカのパネルが必要ですが、これには追加コストがかかり、多くの競合との対抗も必要です。

しかし、アジアのお客様については、既にアジアパネルを保有しており、実際に販売活動を行っています。ただ、アジア市場ではオンラインよりもオフライン調査が主流であるため、現状ではオンライン調査の存在感はまだ小さいですが、オンライン化の進展とともに、我々のパネル規模の拡大が必要です。これには時間がかかるかもしれませんが、アジアからの案件が全体の約1割を占める現在から、今後さらに伸ばしていくことを目指しています。


Q: 顧客サイドのAPI接続数が去年と比べて減少し、伸び悩んでいるようですが、今後の対策や見通しについて教えてください。

細川: APIに関しては現在、弊社の戦略として重点を置いていないため、接続数が伸び悩んでいる状況です。この方針の変更により、APIを利用する主な顧客層は調査会社などになります。この点を理解していただければと思います。そのため、今後は特に国内の事業会社の顧客を増やす方向に注力していく予定です。API接続数については、現在のところ重要視していません。


Q: 今期にかけて従業員数が15名ほど減っていますが、今後の人員計画について教えてください。

細川: 従業員数の減少については、決算説明資料の最後のページに記載された数字をご覧になってのご質問だと思います。人数減少は、AIが担えるオペレーション業務からより付加価値の高い仕事への人材の入れ替えが進んでいる結果です。年間で見ると、約10%の従業員が自然退職しており、新たに採用する際にはAIプラットフォームなど、今後重要になる分野のメンバーを増やしています。特に、去年の第2四半期以降は、15人の減少を含め、このような入れ替わりが進んでいます。

今後については、売上を伸ばし、トップラインを上げるためには人材が必要ですが、オペレーションの効率化により、必ずしも人数を大幅に増やすわけではありません。重要なのは、既存メンバーの付加価値をいかに高めるか、そして生産性の高い業務への転換です。そのため、人員数は売上の伸びに応じて徐々に増える可能性はありますが、大幅な増加は見込んでいません。増員があるとすれば、オペレーションよりもプラットフォーム開発、製品製造、マーケティングの分野が中心になるでしょう。

AIの導入により社内全体の効率化が進んでおり、開発チームをはじめ、生産アウトプットが増加しています。人数を減らすのではなく、生産性の向上によって製造スピードを上げ、生産量を増やす方向に進んでいます。したがって、人数が減少するよりも、生産性をさらに高めるために、人数を維持しつつ適度に増やしていく方針です。


Q: 採用は順調ですか?

細川: 当社、及びGMOインターネットグループ全体として、新卒採用においても業界内、また日本全体で最高水準の年収710万円プログラムを提供し、優秀な人材の獲得に努めています。さらに、既存のメンバーに対しても、仕事内容の変更や付加価値の向上を図った方々の給与を業界No.1に引き上げる方針を取っています。このように給与水準を業界平均以上に設定しているため、新しい給与体系と仕事内容の魅力を通じて、高い付加価値を提供できる人材の採用に成功しています。

当社はグローバルに展開しており、必ずしも日本国内だけで人材を採用する方針ではありません。海外拠点でも優秀な人材を採用することを積極的に推進しており、特にインドなどからの開発人材やシステム関連のスタッフを採用しています。実際に開発チームを含む一部の部署では人員が増加しており、この変化は直接数字には表れにくいものの、徐々に成果が現れていると考えています。我々は最適な場所で最適な人材を採用することを目指しており、この点が他社との大きな違いだと思っています。


Q: 定款に職業紹介事業と労働者派遣事業を追加する提案が決議されたことについて教えてください。

細川: 現在、これらの事業は実施していません。しかし、我々はプラットフォームとして多様なオプションを提供することが有益だと考えています。特に、私たちのプラットフォームを利用している事業会社の中には、特定の調査設計やレポーティングのニーズを持つお客様もいます。これまでは、これらのニーズに対応するために、我々のパートナーを紹介する形を取ってきました。しかし、将来的にはもっと自由度の高いサービスを提供できるよう、定款にこれらの事業目的を追加することを決定しました。ただし、これが現在の事業に直ちに大きな変化をもたらすわけではありません。これは、将来的に予想されるニーズに備えるための準備です。現段階でこれらの事業が大きく事業貢献をするとは考えておらず、今のコア事業へのプラスの影響は限定的であると考えています。


Q: GMOグループのシナジーについてどう思いますか?

細川: 私たちは個人情報を扱うパネル企業とのアライアンスを積極的に組んでおります。GMOグループの一員であることが、プラットフォームとして信頼と安心感を提供し、大手企業でさえも私たちにデータを安心して預けられるような状況を作り出しています。このようなベネフィットは事業展開において非常に大きなものです。特に、GMOインターネットグループは中小企業とのネットワークが強く、これまで調査サービスを提供してこなかった企業にも新しい商品を共に開発し、市場に拡大していく機会があります。ただし、現状では、特に供給側からのプラスの影響が大きいですし、海外展開においても、GMOグループのオフィスを利用できることが展開のスピードを速める上で大きな利点となっています。


Q: GMOグループは多々上場しており、その中で国内だけでビジネスを行っている会社が多いですが、GMOリサーチが世界規模で事業を展開している要因はどんなものがあるのでしょうか。

細川: 当社は全くGMOリサーチとして独自の意思決定をしております。ただ、通常ですと、グループ会社がないときは、どんな場所にオフィスを構えるか、その国のビジネスでどのようなことに注意するかなど自社だけで考えることになります。そうするとコストもかかり、大変ですが、GMOグループとしてのナレッジを活用することで、当社で考えることが10分の1程度に削減され、その分の工数でビジネスを伸ばすことに専念できます。そういった面では中のコストが削減されるという大きなメリットがございます。ただ、事業的なメリットというのは現状大きく取得できているわけではないため、今後さらに頑張っていきたいところになりますが、これらもGMOリサーチとしての判断となり、GMOグループとは別判断になります。

Q: GMOリサーチからGMOリサーチ&AIへの社名変更の意図について教えてください。

細川: AIは、当社だけでなく業界全体にとっても、今後業界を変革していく重要な技術だと考えています。当社は、マーケティングリサーチ業界のサンプルパネル提供市場において日本で約7割のシェアを持ち、業界をリードする立場にあります。このため、当社がプラットフォームのAI化を進めることで、業界全体のAI化を促進し、AIによる大きな変革の波をリードする意思を示すことができます。そこで、これまで労働集約的であった業界をAIを駆使して変革し、新しい時代に適した形へと導くリーダー的存在となることを目指し、社名変更を決定しました。この変更は、私たちが業界全体をAI化することへの意欲を表しています。

なお、GMOインターネットグループは全体としてAI活用を強力に推進しており、GMO AI&Web3のようにAIを中心に据えた活動を行う企業があります。 GMOグループ内の他の部門との関連については一概には言えませんが、当社の方針としては、AIによる業界の変革を先導していくことにあります。

Q: この社名変更はGMOインターネットグループ全体の方針だったのでしょうか?

細川: 社名変更は当社の発案です。社名変更の決定は株主総会のタイミングで正式に決まりますが、この変更を推進したのは、新しいリスクに対応し、市場リサーチ事業のさらなる発展を目指す当社の経営陣です。

Q: 現在のバーチャルのみでの株主総会を今後も継続する予定ですか?直接対話が失われるのは残念ですが、実際に会場に参加する形式は検討されていますか?

細川: 株主総会の形式については、新しいアプローチに変更していく予定です。株主総会には、役員と直接対話する機会と、より多くの株主に参加してもらうためのアクセスの向上、この二つの目的があると考えています。しかし、これらを両立させることは困難で、全員が参加しやすいオンライン形式を取り入れることにしました。提案いただいたリアルでの参加プラスアルファについては、個人投資家説明会を増やす方向で考えています。私たちは、個人投資家の方々が主な支えであると考えており、直接対話できる機会を説明会を通じて提供する予定です。株主総会はオンラインで効率的に議決権の行使ができる場として、コストを抑えつつ、より多くの株主に参加してもらえるようにすることを目指しています。そのため、リアルでの会合に投資するよりも、個人投資家説明会の機会を増やすことに注力しています。

Q: 国内での事業会社向け(GMO Ask含め)の事業が非常に伸びていると聞きますが、この成長ペースは今後数年間続くのでしょうか?

細川: 答えはイエスです。マーケティングリサーチ業界は約2000億円の市場規模を持っており、その中での構造変化と我々のAI技術の導入により、従来リサーチャーが必要だったアンケート調査が誰でも行えるようになります。これにより、参入障壁が下がり、市場の裾野が広がると考えています。

実際には、現在でもリソースが不足しており、一部の案件をお断りしている状況です。これはチームの補強を進めていることもあり、お客様からの案件を受けられないことがまだあるため、需要はまだ強いと感じています。

この成長がどこまで続くかは未知数ですが、現在の市場規模はAIなどの技術を使った自社内での調査が増えていくことで、さらに拡大すると確信しています。実際に、世界的に見ても、調査の内製化は約3割近く増えているというデータがあり、このトレンドは続くと見ています。

Q: 事業市場が伸びている現状で、他社も市場参入を検討している可能性があると思いますが、現時点でそのような動きはありますか?

細川:そう見えるかもしれませんが、国内売上の中でもまだ規模は小さいです。そのため、成長率よりも受注額の方が重要だと考えています。市場全体としてはまだ規模が大きくないため、成長の余地はありますし、競合他社が参入することによって市場がさらに成長すると思っています。その意味で、競合の参入を歓迎しています。

現在、DIY調査や社内での調査設計を行う企業はまだ少なく、この分野では競争があります。セミナーなどを通じてこのような取り組みを促進することで市場がさらに大きくなると考えています。そのため、新たな参入によって市場がさらに伸びることを期待しています。

Q:AIを活用して新たな事業展開を進めるという方針について説明がありましたが、実際にAIを用いて事業を行うのはGMOリサーチだけではなく、特に若いスタートアップ企業にその傾向が強いと思います。

その結果、これらの企業が将来的には競合になる可能性があるのでしょうか。または、現時点でGMOリサーチが技術や市場での優位性を持っていると考えて良いのでしょうか。

細川: 具体的に結論を申し上げますと、後者の見解が揺るぎないものです。その理由は、AI自体が競争上の優位性を提供しないからです。競争上の優位性とは何かと言いますと、私たちは16の国と地域にて5800万人の会員から信頼を獲得しており、GMOリサーチのプラットフォームであるが故に、個人情報を共有しても安心していただけるという点にあります。この信頼をAIを用いてさらに効率化することが、AIの活用方法です。つまり、AIを単独で使用するビジネスではなく、サービスとセットで提供されるAIに競争上の優位性があると考えています。そのため、AIを専門とするスタートアップが現れて、一気に16の国と地域で同じ数の会員を集めてビジネスを展開する可能性はありますが、それには相当な資金力と時間が必要になると考えています。

Q: 現在のアメリカなどでGMOリサーチと同様のビジネスを行っており、規模が大きい企業が日本市場に進出することはありますか?

細川: そのような事例は確かに存在します。そうした企業は実際には、我々の既存の顧客層には属しておらず、異なる顧客層を対象にサービスを提供しています。彼らは「グローバルパネル会社」として知られ、アメリカを基盤に同じ業務を展開しています。
ただし、その会社はアジア市場においてはそれほど強くないため、我々のプラットフォームとシステムを連携させています。逆に、我々がアメリカ市場で調査を実施する際には、彼らのプラットフォームを利用しています。彼らがアジアで事業を展開しようとする場合、相応の資本と、現地時間で活動できる意思決定が可能な人材の配置が必要になります。これはかなりのハードルとなるため、我々との事業提携を選ぶのが現状ではより効率的です。 ここで言及した「グローバルパネル会社」とは、アメリカで我々と同じタイプのビジネスを行っている企業のことです。

Q: アジア市場におけるシェア1位ということですが、競合他社に対する優位性についてもう少し詳しく教えてください。他のライバル企業に比べて、どのような点で優れているのでしょうか?

細川: アジア市場でのリーダーの地位は、売り上げやパネルの規模など、複数の要素で判断されます。正確な売り上げデータがないため、パネル規模での比較になりがちですが、その点では我々は非常に強い立場にあります。

細川: 売り上げに関しては、感覚的にはトップに近い位置にいるとは感じていますが、正確なランキングは確定していません。競合となる主な企業は、先に述べたグローバルパネル会社です。アジアにおける彼らのパネルは主に我々が提供しています。このため、我々はパネルの提供者として、また事業提携を通じて、明確な優位性を持っています。

Q: グローバルパネルメーカーは、自社でアジア市場におけるプラットフォームやパネルを構築することは可能なのでしょうか?

細川: もちろん、彼らもアジア市場での拡大を目指しています。しかし、最も重要なのはプラットフォームに集まる案件の量と、パネルを持つ会社との関係性です。我々は、特に日本市場において絶対的なNo.1のポジションを確立しており、アジア全域で強力な顧客基盤を有しています。このため、アジアのパネルを必要とする企業は、我々との提携を選びやすいのです。我々を通じて欧米の企業にアクセスすることが、心理的な障壁を低減し、取引を容易にします。

細川: 実際に、アジアに根ざしたNo.1のポジショニングは、日本ブランドとのビジネスを望む企業にとって魅力的です。アメリカブランドよりも日本ブランドとの取引が、品質やシステムの安定性において高い信頼性を享受できるため、我々のプラットフォームを通じたビジネスを望む声は多いです。 シンガポールに住んでいる私が直接お客様を訪問することで、これらのニーズや声を実際に聞いています。

Q 2Qで業績が凹む理由はなぜでしょうか。

下期偏重で第2四半期が落ち込む主な理由は、国内外の市場の予算配分の周期に基づいています。国内市場では、売り上げの約70%が国内であり、そのピークが3月にあるため、第1四半期が売り上げのピーク期となります。これは、日本の多くの企業が3月末決算であるため、3月に予算を最大限に活用する傾向があるからです。一方、海外市場では売上の約30%が12月にピークを迎えます。これは、海外の多くの企業が12月末決算であり、年末に向けて余剰予算を使い切る動きがあるためです。

このように、第1四半期と第4四半期に売り上げが集中し、特に第2四半期が最も低迷する理由は、国内市場では新年度が始まったばかりで予算を前倒しで使いすぎると年間計画の見通しが立てにくくなるため、そして海外市場では上半期中はまだ予算配分を慎重に行う傾向があるためです。これらの理由により、第2四半期は売り上げが最も少なくなりがちな状況が生じるわけです。

Q: 海外での国別の売上比率を教えてください。

細川: 厳密には、決算発表で国別の売上を出しておりませんが、大まかな比率としては、国内が約7割、アメリカが約2割で、残りの約1割がアジアとヨーロッパになります。ご指摘の通り、中国はパネル数から見ても大きな市場です。ただ、我々のカウント方法は調査対象国ではなく、発注国に基づいています。つまり、どの国からお金を頂いているかに焦点を当てています。以前は中国にも法人があり、中国国内での営業を行っていましたが、最近はほとんど行っていません。

その理由は、単純に中国経済の状況が良くないからです。ただ、海外から中国での調査を行うには特別な免許が必要で、多くの会社がこの市場から撤退しています。そのため、我々はこの分野で安定的に利益を出せるポイントを維持しています。

海外、特にアメリカやヨーロッパからの中国に関する調査依頼は当社が主に手掛けています。しかし、中国国内からの中国に関する調査は、ローカルの競合が多く、経済状況が悪いため、多くの企業が利益を度外視して販売しています。

そのため、我々は意図的に中国国内の市場からはほとんど手を引き、中国国内の調査依頼は受けていません。これは明確な戦略であり、利益を出せなくなる可能性があるため、そのようにしています。

Q: インドが日本に次いで従業員数が多いというのは、どのような経緯でそうなったのでしょうか?通常、売上が多い地域に従業員が多いというイメージがありますが、特別な理由があるのかと思いお尋ねします。

細川:確かに、アメリカが売上の約2割を占めているにも関わらず、その業務を少人数で運営しておりますが、私たちはアメリカ国内の調査は行わず、主にアジアの調査を手がけています。インドでは、英語が堪能で、一定のコスト内で高品質な業務が可能なため、オペレーションセンターを設置しています。これがインドに拠点を置いた最初の理由です。

当初、インドでの業務は深夜のオペレーションが中心でしたが、最近ではインド国内を含むアジア全域のバックオフィス業務も担っています。インドは私たちのオペレーションハブの一つと考えています。

具体的には、マレーシアやインドはオペレーションハブとして機能しており、シンガポールではアジア全域の売上を、インドではアメリカやヨーロッパの売上に関連するオペレーションを深夜に行っています。このように、インドは私たちのグローバルなオペレーションにとって重要な役割を果たしています。

また、システム開発の一部もインドで行っており、この点もインドを重要な拠点としている理由の一つです。

Q: 2021年にGMOインターネットがグループ会社を含めてこの給与No.1実現に向けた取り組みを発表し、今から自然と2倍になって1500万円ぐらいをしていこうみたいな計画を立ち上げたみたいなことが書いてありました。こちらはGMOリサーチは対象になりますか。

細川:
はい、対象です。ただし、直近で行うのではなく、将来的な目標として掲げております。現在の例では1500万円ですが、今後インフレを考慮すると、もう少し増える可能性もあります。AIの導入が重要であり、AIによって行われる仕事は付加価値が高いと考えています。売上が増えても人員は増えず、個々の給与が上がり、残りの仕事はAIを含むロボットが行うことになるでしょう。将来的には1500万円は現在の水準ではないと思います。アメリカでは1500万円は高額ではなく、リサーチ業界でも、プロフェッショナルなリサーチャーには十分な価値があると考えられます。当社もAIを活用し、エンジニアやその他付加価値の高い人材を増やすことで、組織の構造を構築していきたいと考えています。


Q: 配当性向50%の維持は今後も見込めるでしょうか?その点についてお聞かせください。

細川:
配当性向については、最近の上場企業の中には配当を上げる動きが見られ、PBR1倍などの問題を背景にその方針を取っている企業も多いです。当社においては、上場以来、一貫して配当性向を維持してきました。私たちは特にROE(自己資本利益率)を重視しています。株主から預かった貴重な資金を効率的に運用し、事業成長のために必要な場合には、増資や借入などの資金調達方法を検討しています。ROEを高めることに重点を置いており、その結果として、アジアを中心に必要な投資も行っています。そのため配当性向50%を維持することは十分可能だと考えています。


Q:お伺いしたいのですが、現在、十分な投資を行っているとのことですが、その主な対象はソフトウェアへの投資ですか、それとも人材への投資が多いのでしょうか?特に最近注力している投資分野があれば教えてください。

細川:私たちの会社はソフトウェアプラットフォーム会社であるため、ソフトウェアへの投資は重要な一つです。また、海外拠点の展開も進めているため、2年前に米国法人を設立した際には、資本金を含む多額の投資が必要でした。海外での新規事業展開や、パートナーシップ形成(一般的にM&Aなどと呼ばれる活動)も重要です。そのため、効果が期待できるものに対しては、積極的に投資を行っています。

Q: CASHMART事業の譲り受けについてお伺いしています。GMO自体の現在行っている事業とは異なるものになるかと思いますが、シナジーは生まれるのでしょうか。

細川: ご質問ありがとうございます。このM&Aはシナジーが非常に期待できると考えています。我々は既に述べたように、アンケートに回答していただく「パネル」というシステムが非常に重要であり、これが差別化のキーになります。元々、譲り受ける会社も、我々のジャパンクラウドパネルというロイヤリティポイントを持つ会員組織と事業提携をしておりました。

実際、この会社のパネルを利用していましたが、外部からの発注では仕入れコストが高くなってしまいます。このM&Aにより、仕入れコストを削減し、原価率を下げることができます。また、このパネルの使用頻度を高めることで、さらに利益を生み出すことができます。我々はこの会社の会員のアンケート回答率や収益性をよく理解しており、このM&Aは我々にとって非常に安全で、事業拡大が見込めるものです。

我々はアジア中にパートナーを持っており、そのようなシナジーを生み出せるパートナーを取り込むことができれば、積極的に行うべきだと考えています。

Q: M&Aには資金が必要になりますが、良い案件があれば積極的に狙っていくべきですか。現在は財務状態が良いですが、無理な投資は避けるべきですか。

細川: バランスが重要だと考えています。投資家から預かった資金を大切にし、減損リスクを避けながらも、シナジーの見込める投資には積極的に取り組むべきです。減損リスクが高い投資は避け、事業拡大につながる安全なM&Aを目指します。

Q: のれんが多くなると減損リスクが生まれがちですが、どう思いますか。

細川: 慎重に対応しています。正直なところ、のれんには注意が必要です。

Q: ROAに関して、既に成長の余地はないのでしょうか。

細川: まだ成長の余地は十分にあります。リスクを適切に管理しながら、事業拡大を目指しています。シナジーが見込める案件には積極的に取り組みます。

Q: ROAやROEをさらに向上させるお考えですか。

細川: はい、さらに成長させる意向です。

Q: 最後に、参加者の皆様に一言お願いします。

細川: 皆様、本日はお忙しい中、当社の説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。株主の皆様の期待を裏切らないよう、事業を着実に成長させることが私のミッションです。我々は業界を変えていく会社になりたいと思ってますので何卒ご支援をいただけましたらありがたいと思います。ありがとうございました。

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