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[書き起こし・要約]フューチャーリンクネットワーク(9241)IRセミナー 質疑応答 2024.2.6開催

2023.2.6に開催しましたフューチャーリンクネットワーク(9241)の質疑応答部分の書き起こしになります。

登壇者 代表取締役 石井丈晴 様

登壇者 取締役 中川拓哉 様

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IRセミナー

改めまして、皆様、夜遅くにありがとうございます。フューチャーリンクネットワークの石井でございます。本日はお時間をいただき、ありがとうございます。つい私、早口になりがちですが、できるだけ丁寧に、ゆっくりと事業をご理解いただけるよう努めますので、よろしくお願いいたします。 当社は、2000年3月に創業し、本社を千葉県船橋市に構えています。

事業内容

事業内容、業績状況、成長戦略を順にご説明させていただきます。 まずは事業内容からお話しします。当社は創業当初から「地域活性化を継続的かつ発展的事業の形で実現することで、社会に貢献する」ことを企業理念として事業を展開しています。なぜこの事業を始めようと思ったのか、その背景をいつもより詳しくご紹介させていただきます。 当社が創業したのは2000年です。当時はインターネットが普及し始め、多くの新しいサービスが登場し始めた時期でした。また、クーポンマーケティングが広がり始め、フランチャイズチェーン店が急速に増えた時期でもあります。 クーポンマーケティング、つまり値引きを主軸としたマーケティングが主流になると、体力のある店舗が優位に立ち始めます。その結果、大型チェーン店やフランチャイズが消費者の心を掴むようになりました。しかし、便利で安いというメリットがある一方で、画一性がもつ価値だけで果たして消費者に充分な満足感をもたらすことはできるのだろうかという疑問をもちました。インターネットは価格比較という点でクーポンマーケティングの助力になりましたが、同じく、多様性ある情報の価値を高めるプラットフォームになると私は考えました。いずれ多様性へのニーズが増すと予測し、多様性を重視したマーケティングに焦点を当てました。 また、日本が少子高齢化に直面していることも、当時から注目されていました。しかし、人口減少の中で値引き競争を行うことは、経済全体にとって決してプラスにはなりません。代わりに、付加価値を高めることで、縮小する市場の中においても経済を成長させることができるのではないかと考えました。 そのような意味で、ビジネスにおいても国策においても、付加価値を流通させることが重要であり、ここにいち早く目を向けた事業を確立させることこそ、ビジネスチャンスでもあり、社会貢献にもつながるのではないかと考えました。 そして、人口減少によって生じる行政や国、自治体の課題にも取り組む必要があると感じました。人口が減少し税収が下がり、職員数も削減せざるを得ない状況の中で、国民の求めるサービスの質をいかに維持するかということは大きな課題です。そのような状況下においては、2000年当時イギリスで始まった官民協働事業モデルがいずれ日本にもビジネススキームとして普及する可能性があると予測しました。 これらの社会背景を踏まえ、我々はこの事業をもって創業に至りました。この事業における基本的な哲学は創業当時から変わっていません。   ビジネスモデルの概要としては、まず、我々は地域情報プラットフォーム「まいぷれ」を通じて、地域事業者の多様なコンテンツや情報発信、経営支援を行うことを一つの軸としています。もう一つの軸としては、官民協働事業を通じた公共の課題解決を目指しています。この事業は、千葉県船橋市をはじめとする直営地域でビジネスモデルをブラッシュアップし、その後、全国の運営パートナーへと展開しています。 当社の事業特徴としては、まず、地域情報プラットフォームとしての独自性が挙げられます。このプラットフォームは、地域固有の価値やイベント情報を提供し、地域の魅力を伝えることを目的としています。次に、全国展開を可能にする運営パートナーモデルです。これにより、各地域に根ざした情報提供が可能となります。最後に、プラットフォーム運営体制を活かした公共ソリューション、すなわち官民協働事業を通じて、公共の課題解決に取り組んでいます。これら三つの特徴について、これから詳細をご説明していきたいと考えています。 まずは、地域情報プラットフォーム「まいぷれ」について説明する前に、『地域情報サイト「まいぷれ」』をご説明します。『地域情報サイト「まいぷれ」』は、船橋版や出雲版など、主に地方都市や郊外都市で強みを発揮しているポータルサイトです。このサイトは、地域の店舗やイベント、行政情報などを市区町村単位で区切り、発信しています。特に、「まいぷれ」は、価格の安さだけではなく、店舗固有の個性や魅力を前面に出した情報提供を心掛けており、地域の付加価値情報を重視しています。 ご承知の通り、現代の傾向により、ポータルサイトは一時的にその主要な役割を終えています。将来的にはポータルサイトが再び重要な意味を持つと考えているものの、現時点では主流なメディアではなくなったと自覚しています。一方で、私たちの事業は、創業時からポータルサイトの運営ではなく、地域情報プラットフォームの運営として位置付けています。プラットフォームとは、様々な地域情報を最適な出口から流通させる基盤のことです。スライドの図の左側が情報の入口、右側が情報の出口としてご覧ください。 左側の情報の入口では、地域の店舗情報やイベント、コミュニティなどの地域コンテンツや付加価値情報を選りすぐっています。この情報は、私たちが直接地域を訪れ、収集、編集、構成し、最適な形で配信しています。配信の形式は右側の情報の出口で記載している通り、様々なチャネルがあります。様々なアプリやメディア、検索結果、地図サイト、SNSなど、多岐に渡りますが、私たちはこれらの多様なチャネルを通じて情報を配信しています。 この多様な情報の出口の一つが、当社が直接運営する『地域情報サイト「まいぷれ」』です。この広範な情報配信を通じて、私たちは地域の付加価値情報を流通させ、結果として地域事業者を支援しています。   地域事業者からはプラットフォームの利用料としてサブスクリプション型の月額料金を受け取っています。これが当社のビジネスモデルの根幹です。地域情報プラットフォームのサービス内容に関しては、月額2,000円から「まるまるおまかせプラン」まで、幅広いサービスを提供しています。2023年11月末時点で、利用店舗数は18,044店舗、平均単価は6,236円です。 よく「地域事業者を支援するサービスは多く存在するので厳しい市場なのではないか」と聞かれることがございます。たしかに、飲食や美容など一部業種では専門サイトが存在しますが、これらのサービスは単価が高く全ての飲食店が利用可能なわけではないため、必ずしも競合するわけではありません。さらに、まいぷれを利用いただいている店舗の約61.9%は、そもそも専門サイトが存在しない業種です。これには塾、生活雑貨、畳屋、印鑑屋やリサイクル店などが含まれ、これらの業種からの利用が多いことが、私たちの特徴の一つです。 当社は、インターネットを利用した情報配信を行う広告の枠組みで事業を展開しています。電通が発表した日本の広告費に関する白書によると、日本の広告費は7兆1021億円で、大きく分けてマスコミ4媒体広告費が2兆3985億円、インターネット広告費が3兆912億円、プロモーションメディア広告費が1兆6124億円です。インターネットの広告費は年々増加していますが、私たちはプロモーションメディア広告費に分類される従来型の広告モデルを使用している業界をインターネット広告へ誘う役割も担っています。これにより、インターネット広告市場だけでなく、地域のフリーペーパーやチラシ、看板などを使用していたクライアントを「まいぷれ」を通じてインターネット広告へ誘う市場も対象としています。また、経済産業省のデータによると、日本国内の第三次産業事業者は416万社あり、私たちの顧客対象業種は広大です。 特徴の2つ目は、運営パートナーモデルを採用し、全国展開を進めていることです。このモデルはフランチャイズに準じたビジネスモデルであり、直営地域でブラッシュアップした地域活性化に資するビジネスモデルを全国の運営パートナーに展開し、推進しているものです。運営パートナーは地域の事業者に対してサービスの案内や営業を行い、その報酬の一部を当社がロイヤリティとして受け取ります。役割分担として、当社はシステムやビジネスモデルの提供、指導を行い、運営パートナーは地域事業に従事します。 当社のプラットフォームでは、情報の質に非常にこだわっています。そのため、全国各地の運営パートナーが提供する情報についても、基本的には当社が一元管理し、コンテンツの校正や内容の修正指示を行う役割を担っています。 当社の事業の核の一部が、運営パートナーへの支援と指導です。地域の事業者をどのようにサポートするか、 パートナーがどうやって業績を伸ばすかについて、専門チームが日々新しい研修や商品メニューを開発しブラッシュアップしています。 特に、IT化に不慣れなクライアントも多いことから、どのように案内し、どのような利用方法が効果的かを、当社の直営チームがノウハウを蓄積し、その知識をパートナーに展開することで、事業が成長しています。   現在、パートナーは169社で、多種多様な業種からの参入があります。参入動機は様々ですが、地域に根付いた事業展開をしたい、サブスクリプション型事業を取り入れたい、または行政との連携を行いたい等といった動機が多いです。また、最近は独立開業してパートナーになる会社も増えています。当社は基本的に法人とのみ契約を結んでいるため、独立開業者も法人登記をして、「まいぷれ」を運営する専門会社として起業しています。現在、パートナーの34%が独立開業専業パートナーで、このような形での運営が行われています。 第三に、地域情報プラットフォームを活用した公共ソリューション事業についてご紹介します。 この事業は、官民協働事業の一環として、公共が抱える課題に対して、地域密着型の体制を活かした多様なソリューションを提供しています。私たちはIT事業を通じて地域情報を発信しており、全国各地に情報を収集し続ける体制を有しています。この体制が、他社との大きな違いであり、自治体を主に対象とした課題解決ソリューションを展開できる当社の強みです。官民協働事業の始まりは、2005年に川崎市との連携からでした。 川崎市宮前区では、行政と民間の情報をワンストップで配信し、住民に役立つサービスを提供しました。行政のホームページで民間情報を掲載することは、基本的に公正中立の観点から実施することが難しいですが、官民協働ポータルサイトを通じて実現するという新しい試みを始めました。この取り組みは、日本で初の官民協業事業の一例としてメディアに取り上げられました。 現在、私たちのソリューションは、ふるさと納税のBPO業務など、広がりを見せています。私たちはふるさと納税の寄付サイトを運営するわけではなく、その裏側で各地域の農家を訪れ、ふるさと納税の返礼品を開拓する業務や、寄付者の管理など、自治体が本来行うべき業務を請け負っています。また、地域共通ポイントを福祉、健康、ボランティア等に活用する事業など、様々な領域で地域の課題解決に貢献する公共ソリューションを展開しています。これらは、地域に特化したサービスを通じて、持続的な解決策を提供することを目指しています。 現在の2023年8月期において、ふるさと納税BPO事業が最も大きな比率を占めていることが右側の円グラフで示されています。ふるさと納税の拡大に努めると同時に、他のソリューションに対する需要と手応えも感じており、これらの分野も今後伸ばしていく予定です。これが公共ソリューション事業の現状です。 ふるさと納税BPOについて、もう少し詳しく説明します。現在、40の自治体をサポートしています。ふるさと納税は寄付サイトを通じて行われますが、当社は寄付サイトの運営は行っておらず、寄付サイト以外の業務を担当しています。 特に重要なのは、返礼品の開拓です。長年農業だけを行ってきた農家にとって、自分の商品をどのようにパッケージし、アピールするかは難しい課題です。地元の自治体がふるさと納税を行っても、応じられないケースが多く、行政職員が農家を訪問しても、説得が難しいのが現状です。しかし、「まいぷれ」を運営する地域であれば、返礼品の提供交渉はもちろんのこと、取材と編集を通じて魅力を引き出すこともでき、シティプロモーションにつながる運用を行うことができます。 このようにしてふるさと納税の寄付額を増やし、地域の魅力を発信することが、当社のふるさと納税業務です。返礼品の事業者開拓だけでなく、寄付証明書の発送やコールセンター運営などの事務局業務も担当し、これらのサービスに対して自治体から報酬を受け取っています。 これらの業務も「まいぷれ」プラットフォームの運営パートナー体制を活かして実行しているのが特徴です。地元でできることは地元の運営パートナーに委ね、例えば農家の取材はパートナーが担当します。一方で、コールセンターや寄付証明書の発送など、本部で集中して行うべき業務は本部が担当します。このような「まいぷれ」の地元機能と本部機能の連携を活かした体制が他社にはない強みです。 フューチャーリンクネットワークは、付加価値を発掘し配信することを強みとしています。特に、ふるさと納税においても地域の魅力を取材、編集、発信することに価値を見出し、この分野での強みを生かす方針です。しかし、ふるさと納税業務では、コールセンターなどの事務局業務の需要も増えてきました。 そのため、2023年9月に公共BPOという名称の子会社を設立しました。この子会社は、自治体向けのふるさと納税の事務局業務、例えばコールセンターや書類の発送などのオペレーション業務のコスト競争力を高める役割を担っています。この戦略を通じて、コストを最適化しています。 当社の事業強みについて改めて触れます。当社は全国の地域事業者とのリアルな接点を持ち、DXを促進できる体制を持つことが一つの大きな特徴です。他にも類似のIT事業者は存在しますが、当社が他と異なる点は、各地域に実際に足を運び、直接接点を持っていることです。これにより、DX促進において独自のポジションを確立しています。直営地域でもパートナー地域でも、地域に密着し事業者と協働することが当社の強みであり、ITリテラシーが高くない事業者への支援も可能です。 また、顧客との継続的な関係性も当社の強みです。サブスクリプションモデルを採用し、持続的に価値を提供するために、地域情報プラットフォームのサービスレベルを日々向上させています。さらに、現地で直接サポートできる体制を有しており、これが顧客からの信頼感を高め、低い解約率と高い顧客価値を実現しています。これらが当社の特長であり、市場における優位性となっています。 第三に、当社は官民共同事業の実績とノウハウを持っています。創業以来、官民共同事業で蓄積してきた経験と知識により、持続的にニーズを捉え、新たなサービスを展開しています。特にふるさと納税では、現在40自治体と協力しており、自治体の要望や課題を理解し、解決策を提供できる能力が当社の強みです。 収益構造について説明します。中心に「まいぷれ」のロゴがありますが、当社の直営地域では、当社のスタッフが地域事業者に「まいぷれ」サービスを案内し、利用料を月額で直接受け取っています。このノウハウを運営パートナーに提供し、パートナーは各担当地域でソリューションを展開し、その一部を当社にロイヤリティとして支払います。さらに、地域情報流通事業では、中小企業だけでなく、大手企業や自治体からもマーケティング費用として収入を得ています。また、公共ソリューション事業では、地方自治体や国に対してサービスを提供し、対価として手数料を受け取っています。 当社は、これらを2つのセグメントで事業を展開しています。 当社の事業成長モデルの基本方針をご説明します。プラットフォームの価値を上げ、広がりを作り、その上で公共ソリューションを展開するという形です。 まず、プラットフォームの価値は、地域でまいぷれを利用している店舗数とその平均単価で測定されます。特に、当社は前期より平均単価の向上を重要な戦略として位置づけ、店舗数の拡大とともに平均単価の向上に努めています。この平均単価と利用店舗数、つまり地域での月次定期収入(MRR)がプラットフォームの価値であり、この価値を高めながらエリアを拡大していく戦略を採っています。 エリアを広げるという点では、基本的には直営エリアを拡大するのではなく、パートナーを通じて拡大を進めているため、運営パートナー数と契約エリア数をプラットフォームの広がりにおける重要な指標としています。 ここまでの「まいぷれ利用店舗数」「平均単価」「運営パートナー数」「契約エリア数」は、当社の地域情報流通事業の売上におけるMRR(月次定期収入)に影響するものです。MRRを高めることは、当社の成長モデルの基本方針において重要な点です。 また、先ほどご説明の通り、当社の公共ソリューションは、他にはない特徴を持ち、「まいぷれ」を運営する体制があるからこそ提供できるサービスです。そのためプラットフォームの展開エリアが広がると、公共ソリューションを提案できる対象が拡大します。現在、公共ソリューションの拡充を測るKPIとしては、当社が関与した自治体のふるさと納税の寄付金額を基準にしています。 さらにこれらに加え、新規事業開発では、当社独自のノウハウや体制を活用し、新たな事業を展開します

02 業績状況-2024年8月期第1四半期 連結業績結果より-

直近の2024年8月期第1四半期の連結業績結果から、これまでの業績推移の概要を説明します。2022年8月期は12億5,400万円で、前年比で減収し、5100万円の赤字を記録しました。翌2023年8月期も13億8,200万円と、6800万円の赤字でした。 主な要因として、新規パートナーの加盟数やプラットフォーム利用料の未達、ふるさと納税の競争激化と公共受託関連の失注などがあり、この結果、下方修正を余儀なくされました。しかし、長期的成長のため販売管理費や投資は継続したために赤字着地となったというのが前期までの現在地点です。 では、そのような状況下で対策として何をやったのかをご説明します。 まず全体としては、単価を重視する戦略へと切り替えました。また、新規事業を2023年期中に開始しております。さらにふるさと納税の競争激化に対応するべく公共BPOを設立し利益率の改善を図ろうといたしました。 人材に関しては、下方修正の中でも投資させていただき、営業人員の増強やハイクラス人材の採用に取り組みました。 開発においても、長期成長のためにはプラットフォームの価値向上が重要ですので、開発投資を継続いたしました。また、新規パートナー獲得と新規事業向けの広告活動を実施しました。 これらの対策が、結果として現在の回復に寄与しています。 具体的な結果としては、現在は「まるまるおまかせプラン」という高単価サービスの販売を開始し、プラットフォーム利用料の向上に寄与しています。新規事業では、「まいぷれのご当地ギフト」、「まちスパチャプロジェクト」などが新たな売り上げの柱として期待できる種となりました。 人材に関しても、営業人材の増強とハイクラス人材の採用に成功しています。開発面でも「まいぷれ」機能のアップデートを継続したことも影響し、平均単価を2022年の5,300円から2023年には6,221円へ大幅に増加させることができました。 広告投資の結果も、新規パートナー獲得の復調に寄与し、現在も多くのお問い合わせをいただいています。 この背景に基づき、2024年8月期第1四半期連結業績をご説明いたします。売上高4億5200万円(前年同期比+34.5%)、売上総利益2億7800万円(前年同期比+34.1%)、営業利益1500万円となっています。 ふるさと納税の寄付額に関しては、10月からの基準変更により、9月に前倒しで増加しました。これは、外部要因によるものであり、当社の努力だけではないため、手放しで喜べるものではありませんが、事実として寄付額が増加しました。 また、プラットフォーム利用料の平均単価を6236円に増加させ、18.7%のプラスを記録しました。新規パートナーの加盟契約が好調に進み、パートナー社数は169社になりました。 売上高は地域情報流通事業で2億円、公共事業で2億5200万円となりました。販管費は前年比15.5%増加しましたが、これは必要最低限の成長を維持するためのものです。 地域情報流通事業セグメントでは、「まるまるおまかせプラン」の販売数が増加し、新規パートナーも安定して増加しています。セグメント売上は前年比+12.7%の2億円、セグメント利益は5600万円で、前年比+16.1%となりました。公共ソリューションセグメントについても同様に、良好な結果を達成しています。 先ほどご紹介した通り、例年、年末にかけての変動が見られるふるさと納税の寄付が、今年は前倒しで増加しました。これにより、当該セグメントの売上は2億5200万円に達し、前年比で58.9%の増加を記録しました。 販売管理費に関しては、主に人件費等の必要な成長投資を継続しておりますが、全体としての増加ペースは計画に沿って抑制し、調整を進めております。 ここからは、KPIに関する話題に移りたいと思います。プラットフォーム利用店舗数は、一部の一括掲載店舗の掲載停止の影響で、前年同期比で129店舗減の1万8,044店舗となりました。 しかし、まるまるおまかせプランなどの高付加価値サービスの展開の影響で、平均単価は前年同期比で983円増の6236円になりました。 プラットフォームの拡大については、運営パートナー数が169社に達し、前年同期比で13社増加しました。また、カバーエリアも906市区町村に広がり、前年同期比で93市区町村の拡大を達成しました。 公共ソリューションの分野では、ふるさと納税の寄付額をKPIとして設定しており、前年同期比で11.9億円増の27.7億円になりました。  

成長戦略

これまでの業績について説明させていただきましたが、次に成長戦略についてお話しします。 繰り返しとなりますが、当社は、プラットフォーム利用店舗数の増加と平均単価の向上に注力しており、特に平均単価の向上に重点を置いています。この上がった価値を、運営パートナー数とその契約エリア数を伸ばすことで、プラットフォームの広がりとして拡大を図っていく方針です。2022年8月期および2023年8月期は新規運営パートナーの増加が低調したのですが、継続的な投資の成果が現れ、2023年、2024年8月期の第1四半期には順調に進展しています。 また、公共ソリューションの拡充を通じて、これらの広がりに乗じた成長を目指しており、当社のノウハウを活かした新規事業の展開も進めています。 冒頭に事業概要を説明した際にご紹介した事業成長ロードマップにおける各取り組みの現状について、まとめさせていただきました。先ほどご紹介した「まいぷれのご当地ギフト」および「まちスパチャプロジェクト」は、現在まだ特定地域でのフィジビリティスタディの段階にあります。 これらのプロジェクトにつきましては、今後、ノウハウの蓄積とスケーラビリティの検証を目的としたエリア展開を計画しており、その前段階にあります。一方で、「まるまるおまかせプラン」に関しましては、昨年9月から全国販売を開始しており、現在は全国展開の初期段階にあり、今後さらなる拡大を目指しております。 今後の成長戦略につきましては、既存事業の安定的な成長を図りつつ、新規事業の積極的な開発を進める予定です。この新規事業開発では、当社の独自の体制やノウハウを活用することはもちろん、社内リソースを用いつつ、他社とのアライアンスを通じた事業化も強化していく方針です。既存事業の堅実な成長と、高成長を目指す新規事業の展開を両輪とした成長戦略を実現していくことが、当社の目標です。 最後に、これまでの株価と出来高の推移についてまとめさせていただきましたので、ご紹介いたします。当社の公募価格は2470円で、初値は4315円でした。その後、一部の説明不足もあり株価が思うように上がらない時期もありましたが、一時的に株価が上昇したこともあります。現在は、業績の向上はもちろん、IR活動を強化し、より多くの株主の方々に当社の取り組みを理解していただくための努力を継続しています。 本日は、少し速いペースでの説明となりましたが、ここで私からの説明を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答

質問: まいぷれの同業他社はどこですか?また、その中でまいぷれが勝つ優位性はどういったところにあるのでしょうか?

石井: 地域の事業者を対象にした我々の強みは主に3つあります。まず1つ目に、パートナーがいること、それにより現地体制を有していることがあります。そのため、顧客がITリテラシーを有しているか否かに関わらず、細やかなフォローが可能であることが強みとなっています。2つ目は、地域特化であることです。専門サイトの活用も一つの手ですが、地域に特化した情報提供が偶然性を発揮し、地域メディアが効果を発揮する場合もあります。また、Googleマップと自動的に連携することで、地域名や地図と連動した検索結果からも発見してもらいやすくなっています。 3つ目は価格帯です。現在は平均単価の向上を目指すKPIを持っていますが、それでも他社の専門サイトと比較して、顧客にリーズナブルな価格を提供しています。これらの3つが当社が他社と異なる強みです。 さらに、地域情報流通事業における当社の位置づけに加えて、ふるさと納税の受託事業についてもご紹介させていただきます。 当社はふるさと納税の寄付サイトを運営しているわけではなく、主にその裏側の業務を担っています。この分野では、JAや観光協会、JTBなどの大手企業も活動していますが、我々の強みは現地体制を持っていることです。これにより、返礼品提供事業者と直接接点を持ち、中央で一元管理が可能な体制を構築しています。また、地域ごとにカスタマイズ可能な柔軟性も重要な強みです。

質問: 運営パートナーの拡大戦略について、どのようにパートナーを増やしていくのでしょうか?

石井: 創業当初から、理念に共感してくれる企業を全国を回り、直接商談する営業活動を行ってきました。しかし、最近はパートナーの成功事例を基に、SNSや開業支援メディアを通じて紹介し、興味を持った企業からのお問い合わせに応じる形でもパートナーを増やしています。また、ここ最近では既存パートナーからの紹介も増えています。直近では約70%がインバウンド方式です。

質問: 利用店舗数の解約率はどのくらいでしょうか?

石井: 解約率は2%弱で推移しています。従来型のプランは以前より安定してそのくらいの数値となっていますが、「まるまるおまかせプラン」に関しては、まだ販売期間が短いため割合に含んでいません。データが集まり次第、詳細を公開したいと考えています。

質問: 第1四半期にパートナー11社が新規加盟したにも関わらず、まいぷれ利用店舗数が減少している理由はなぜですか?

石井: まいぷれ利用店舗数が一気に増えるタイミングは、新規パートナー立ち上げの際というお話を他の場でさせていただいたことがあるので、それに関連したご質問かと推察します。まず、新規パートナーが加盟してから実際にオープンするまでには、準備期間を要します。そのため、第1四半期に11社パートナーが加盟したからといって直ちにオープンし、同四半期中に利用店舗数が増えるということはほとんどございません。そのため、第1四半期中に加盟した11社が立ち上がり、その会社分のまいぷれ利用店舗数が増えるのは早くて第2四半期以降ということになります。

中川: 管理部門を担当しております、取締役の中川と申します。回答の補足をさせていただきます。新規パートナーのオープン時期は、契約検討段階で個人事業主の前職退職タイミングやスタッフの求人状況などによって、個社ごとに事情が異なります。そのため、必ずしも半年以内にオープンするとは限らない状況をご理解ください。

質問: 第1四半期が終了し、今年度の業績見通しについての手応えはありますか?

石井: これから取り組むべき多くの事項があり、解決すべき課題もありますが、前期・前々期に投資させてもらった部分については手応えもございますので、現時点では計画通りに進んでいると感じています。

質問: 「まちスパチャプロジェクト」の第2弾が岡山県でリリースされましたが、このプロジェクトがいつから利益に貢献すると考えていますか?

石井: 現在、まちスパチャプロジェクトはまだフィジビリティスタディの段階にあり、ブラッシュアップが必要です。今期中の飛躍的な利益貢献は難しいと考えていますが、すでに複数の自治体から関心を寄せられており、来期・再来期には大きく育てていけると考えています。

質問: まちスパチャプロジェクトへの最初のお問い合わせからスタートするまでの期間はどれくらいですか?

石井: お問い合わせというよりは当社がすでに連携している自治体様から順次ご案内を進めているという状態です。ご案内から即日で決定するわけではありませんが、これまでの関係性からポジティブな反応を得やすい状態です。

質問: 「まるまるおまかせプラン」を利用する店舗が全体の10%に達する期間についての見通しは?

石井: 今期中に10%に達するのは難しいと思いますが、それにかかる期間が著しく長いとは考えていません。具体的な時期については、来期以降の業績予想もまだ発表していない状態ですので、回答を差し控えさせていただきます。

質問: 中期経営計画の成長戦略を教えてください。

石井: 当社の既存事業は着実に成長しています。サブスクリプションモデルがベースですので、成長曲線が上昇することはあるものの、その部分が指数関数的に伸びていくというのは難しいと考えています。しかし、当社独自の体制とノウハウを活かして、新規事業を多数立ち上げることが可能です。まいぷれのご当地ギフトやまちスパチャプロジェクトなどの新規事業もその一例です。大手企業やベンチャー企業とのアライアンスや、M&Aも選択肢に含め、これらの動きを通じて事業を成長させることが中期経営計画の骨子です。

質問: 配当や株主優待に関する今後の予定は

石井: 現段階では具体的な予定はありませんが、会社がさらに成長し、規模を拡大した後に配当について検討したいと考えています。それまでは、株価を通じて株主に価値を提供できるよう努力します。

質問: 今期の利用店舗数の業績予想の伸びに反し、第1四半期の結果がマイナスとなっていることについて今後の見通しを教えてください。

石井: 店舗数が減少したことで不安を感じさせてしまい、申し訳ありません。現在、単価重視の戦略にシフトしており、大型契約の獲得に注力しています。計画は挑戦的に立てたつもりはなく、無理のない範囲で設定しており、現時点で計画は順調だと認識しています。

中川: まるまるおまかせプランの全国販売開始以来、積極的な販売活動を行っており、サービスが好評であることが確認できています。今後も全国のパートナーと共にこのサービスを広げていく強い意志があります。

質問: 10%の店舗が「まるまるおまかせプラン」を採用した場合の影響について質問があるようですが、計算に誤りはないでしょうか

石井: 当社の「まるまるおまかせプラン」に関しては、従来のプランと比べて当社の工数が多くなるため、レベニューシェアの比率が大きく異なります。従来の20%というレベニューシェアを基にした計算ではなく、実際には異なる比率を適用しています。詳細なパーセンテージは非公開ですが、考え方自体が異なるため、計算上の増益はより大きなものになると考えられます。さらに、「まるまるおまかせプラン」はアップセリングを含む複数のプランが予定されており、実際の貢献度はより大きくなる見込みです。

質問: 「まるまるおまかせプラン」の利用店舗が将来的に1万店舗に達する可能性について。

石井: 現在169社のパートナーが活動しておりますが、パートナー数の増加に伴い、1万店舗達成は非現実的ではないと考えています。仮に200社のパートナーがそれぞれ50店舗を「まるまるおまかせプラン」で獲得すれば、既に1万店舗に到達します。当社のパートナーモデルを考慮すると、1万店舗も非現実的ではないと考えています。

質問: 「まるまるおまかせプラン」はまいぷれ利用店舗の10%が利用してもらえる見込みと聞いていたが、他の資料では20%という記載も見たが、現状の見込みはどのくらいなのでしょうか?

石井: ご説明がわかりにくく申し訳ございません。この数字は、最低でも10%の店舗がまるまるおまかせプランを採用する見込みがあり、現在の実力値においては、最大で20%まで増える見込みがあるということを意味していました。20%を超えるのは現段階では難しいと考えていますが、10%は確実に達成可能と見ています。

質問: 2024年度8月期の決算説明会でVTuberの夏橘つばめさんを司会に起用された反響はどうでしたか?

石井: VTuberの夏橘つばめさんを起用したことに対して、多くの方から好意的な反響をいただきました。VTuberを地域活性化のために活用するアイデアに対しても、ポジティブな評価を受け、批判は少なかったです。この取り組みにより、VTuberの可能性を再認識し、さらなる活用を考えています。

質問: なぜ夏橘つばめさんを選んだのですか?

中川: 夏橘つばめさんを選んだ理由は、スケジュールの都合や、その表現力が決算説明会に適していると判断したからです。夏橘さんの落ち着いた対応は、決算説明の質を高めてくださいました。

質問: 東証の上場維持基準についてはどう思いますか?

石井: 10年経過後から適用される時価総額40億円以上という新基準に対しては、現状の時価総額からするとまだまだ企業価値の向上が必要ですが我々はこの基準値を超えた目標を視野にいれているため、10年後に基準をクリアすることに対しては心配していません。

中川: 一方で、流通株式時価総額の基準については、適時開示も出させていただいておりますが、2025年8月期までに5億円を超えるための計画をしております。これは業績を上げることによる企業価値の向上は当然のことながら、本日のようなIR活動等も通じて流通株式数を改善していくということなどから、取り組んで参りたいと考えております。

質問: 「まいぷれ」の知名度が低いという声については?

石井: 「まいぷれ」は地域によっては非常に高い知名度を持ち、多くのユーザーに利用されています。知名度が全国的に低いと感じられるかもしれませんが、地域密着型のサービスとして、特定のエリアでは強い影響力を持っています。一方で、メディアとしての知名度はマーケティングツールとしてのプラットフォームの価値とは連動しない時代になっていると考えています。どの媒体で見るかより、どれだけ露出するかということのほうが重要です。そういった意味で、プラットフォームとしての「まいぷれ」は、Googleマップとの連携による情報発信の仕組みなど、ユニークな機能を提供しており、これが利用店舗のマーケティングに貢献しています。

中川: 利用店舗の方も、まいぷれの管理機能として自分のお店の情報がどれだけ見られているかなどの情報を閲覧・分析することができ、それらもマーケティングの材料として有益なものになると考えております。

質問: ここ数年で利用店舗数が1万8000店舗で停滞していますが、1万8000店舗まで達成するのに何年かかりましたか?過去は成長ペースが今より速かったと思いますが、最近の成長ペースの遅さはなぜでしょうか?

石井: 2021年8月期に1万6000店舗に到達し、翌年の2022年8月期には1万8000店舗を超えました。この数年で店舗数が増えていないのは、新規パートナーの獲得が鈍化したこと、そして既存の地域における伸びも期待ほどではなかったためです。特に新規パートナーの増加が停滞したことが、一番の直接的な理由です。

質問: 平均単価を第4四半期に9464円まで上げる計画がありますが、具体的にどのように単価を上昇させる予定ですか?また、この目標の実現可能性について教えてください。

石井: 「まるまるおまかせプラン」の導入により、2021年8月期の平均単価4915円から2023年8月期には6221円まで増加しました。このプランの成功と全国展開により、目標の9464円達成は現実的です。私たちはこの目標を非現実的ではなく、十分達成可能と見ています。

中川: 従来のサービス料金と比較して、「まるまるおまかせプラン」の料金単価が大幅に高いため、全体の平均単価を引き上げることができます。このプランの料金設定により、計画した単価達成を目指しています。

質問: 時価総額の向上を目指していますが、売買の板が薄く、投資家にとって購入しにくい状態を改善するために、株式分割などの取り組みを考えていますか?また、自治体や中小企業向けに生成AIを活用したソリューションの提供を検討していますか?

石井: 出来高の少なさや流動性の低さに対しては、まずは業績向上に努め、IR活動を強化することで対応し、現時点においては株式分割は検討しておりません。生成AIについては、一部の業務で既に活用しておりますが、サービスとして提供することには至っておりません。

中川: 当社では、ITリテラシーが低い方々にも寄り添ったサービス提供を目指していることから、生成AI技術をさらに活用していく可能性はあるかと思います。現時点は、LINEを介して情報を入力すると、WebやGoogleマップに情報が反映される仕組みなどによって地域の事業者の情報発信をサポートしております。

質問: ふるさと納税の度改正がある中で、業務の数字を伸ばすことは可能ですか?

石井: ふるさと納税の寄付者の中でまだ寄付を行っていない方が多数います。メディアによる宣伝効果もあり、新たに寄付を始める方が増えています。そのため、ふるさと納税のパイ自体にはまだ伸びしろがあり、当社の取り組みも多くの可能性を秘めています。しかし競争環境としても激化している状況ですので、楽観視できるわけでもなく、努力により数字を伸ばしていくことが可能だと考えています。

質問: 新しいパートナーが参加すると、その効果は即座には表れないが、時間をかけて成長していくと思われます。パートナーが一人前になるまでの期間はどれくらいですか?

石井: 新規パートナーの成長には、一定の期間が必要です。新規パートナーオープン時には、我々が営業同行等を行うなどサポートを手厚くし、初期費用等のキャンペーンを行うこともございますので、比較的契約が取りやすい状況になっております。その期間も経て、一人前になるための期間は、人により異なりますが、基本的には3ヶ月から4ヶ月の営業活動を通じて自立して営業できるようになると想定しています。

質問: まいぷれを契約すると、Googleマップに自動的に情報が反映されますが、それ以外にも様々なサービスがありますか?

石井: まいぷれは、Googleマップと連動するだけでなく、SEO効果が高く、地域名と連動した検索結果の上位に表示される可能性が高まります。また、地域ごとのフォロワーを有する編集部のXやFacebook、InstagramなどのSNSでの情報発信も行っています。これらの活動を通じて、店舗や事業の情報露出を増やすことができます。

投資家の皆様へ

石井: 皆様からの多くのご質問とご指摘をいただき、心から感謝申し上げます。事業の成長性は当然のことながら、IR活動を通じて、より多くの方々に当社の取り組みを理解していただきたいと考えております。ご質問をいただいたことで、我々の説明方法に問題があることも認識し、多くの学びを得ることができました。今後も長期的な視点を持ち、皆様に支持される企業を目指して参ります。今日は本当にありがとうございました。

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