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[書き起こし・要約]スマサポ(9342) IRセミナー 質疑応答 2024.3.1開催

2023.3.1に開催しましたスマサポ(9342) の質疑応答部分の書き起こしになります。

登壇者  

代表取締役社長CEO
小田 慎三 さま


代表取締役副社長COO
藤井 裕介 さま

[YouTube] [資料]

IRセミナー

     

小田:皆様、こんばんは。株式会社スマサポの代表取締役社長CEO、小田慎三です。

藤井:初めまして、皆さん。代表取締役副社長の藤井裕介です。どうぞよろしくお願いいたします。

小田:本日は、KabuBerryLabさんのIR説明会に参加させていただき、遅い時間にも関わらず、お集まりいただき、心から感謝申し上げます。
本日は株式会社スマサポの会社説明会として、皆様に当社をより深く理解していただけるよう、事業内容を中心に説明させていただきます。使用する資料は、先日終了した第1四半期の決算説明資料をそのまま使用させていただきますので、ご了承ください。

トピックニュースとして、まずは売上高の増加についてお伝えします。これについては後ほど詳しくご説明しますが、主力サービス「スマサポサンキューコール」と「入居者アプリ」の受注が予定通り推移し、売上高は、前年同期比29.0%増を達成しました。次に、利益率の改善についてです。皆様が以前からご覧になっているIR情報でご存知の通り、当社は全国の約700から800社の取引先との取引条件や経済条件を昨年から見直しています。その結果、業務効率化を積極的に進め、前年同期比で1800万円の増益を達成しました。これが今回のトピックニュースです。

01 スマサポについて

改めて、株式会社スマサポについてご説明します。本社は東京都中央区日本橋に位置しており、大阪、福岡、北海道札幌、和歌山県白浜にも拠点を設けています。

設立は2012年で、現在の従業員数は67名です。私たちは不動産領域、特に賃貸と管理会社向けのソリューション提供に注力しています。

取締役陣には、不動産管理会社出身で、入居者や管理会社の問題解決に長年取り組んできたメンバーがいます。この知見、ノウハウ、経験を活かし、現在は北海道から沖縄までの管理会社に多様なソリューションを提供しています。

当社のミッションは、不動産とIT技術の融合によりスマートなくらしをサポートすることです。「スマサポ」は、このコンセプトを象徴する造語です。

事業ドメインとしては、国土交通省によると約3万2000社の不動産管理会社が全国にあり、その中でも200個以上の管理を行っている会社は約1万社にのぼり、47都道府県に広がっています。IT技術を駆使して、不動産管理業界に様々なソリューションを提供しています。

 

一般的にはあまり知られていないかもしれませんが、不動産業界には実は多くの課題が山積しています。3万社ほどの登記があり、200戸以上の管理をしている会社だけでも1万社あります。全国各地で地域の慣習が異なり、家賃やサービス内容も地域によって大きく変わります。このように発展してきた不動産管理業界に対して、画一的なソリューションで全ての問題を解決することは難しい状況です。不動産管理業界、マンションやアパートなどの不動産オーナー様がいらっしゃり、これらの物件の管理運営を不動産管理会社様が委託を受けて行います。具体的には、空室の際の入居者募集、退去後のリフォーム、日常の清掃や設備の修理、近隣住民とのトラブル対応など、多岐にわたる業務を不動産管理会社様が一手に引き受けています。

小田:下記に記載されていますが、不動産仲介会社様についてご説明いたします。皆様がご存知のように、アパマンショップやエイブルなど、駅前に位置する不動産仲介会社店舗が存在します。これらの店舗、不動産管理会社が管理している空室物件をお客様に紹介し、仲介する業務を行っております。お部屋探しをされているお客様が物件を決められた時点で、その方は管理会社の入居者として、アパートやマンションに住むことになります。このように、様々なプレイヤーが存在するこの業界は、60年から70年にわたり続いておりますが、デジタル化が進んでいないと言われています。これまでアナログ、紙文化が主流であり、未だにFAXが使用されていることも少なくありません。しかし、この長年マンパワーで行われてきた業務を一気にデジタル化しようとすると、全国の地方で根付いている慣例や習慣が障害となり、一気に進展することが難しい状況です。私たちは、全国の管理会社様に対して、業務効率化や空室の改善、利便性の向上などのソリューションを提供するために、自社で開発したサービスを提供しています。

したがって、当社は、全国各地にいらっしゃる不動産管理会社様や入居者様に対し、業務効率の向上や収益の向上などのサービスを提供しています。特に重要視しているのは、管理会社様と入居者様とのコミュニケーションを円滑にすることであり、これを主題として日々サービスを提供しています。

具体的には、当社が提供しているサービスについてご紹介させていただきます。当社の主力サービスは主に4つあり、その中で最も売り上げが大きいのが「スマサポサンキューコール」というサービスです。当社は2016年に全国の管理会社様向けのサービス提供を開始し、現在約800社の管理会社様にサービスを提供しています。仲介された管理会社様を通じて部屋を決めたお客様に対し、新しい生活のスタートに必要なインターネットの手配、ライフラインのご案内、ウォーターサーバーなど、様々なサービスを提供しています。これらのサービスは、「スマサポサンキューコール」として提供されています。
さらに、入居者様と管理会社様のコミュニケーションをデジタル化し、より発展的にするため、「入居者アプリtotono」に注力してサービスの展開を行っています。このアプリは、入居者様と管理会社様のコミュニケーションツールとして、円滑で双方向、リアルタイムなコミュニケーションを実現するために開発されました。
小田:当社、入居者様が部屋探しをよりスムーズに行えるよう、賃貸マンションやアパートの鍵の貸し出しを円滑かつデジタル化するための内覧サービス、「SKB」を提供しています。

さらに、家賃保証サービス「sumai保証」も提供しております。当社の主要なKPIサマリーとしては、「スマサポサンキューコール」が現在の軸となっており、これからのキラーコンテンツである「入居者アプリtotono」も重要です。不動産管理会社様へのサービス提供と導入、および入居者様との実際のコミュニケーション件数がKPIになっています。

「入居者アプリtotono」に関しては、契約された管理会社様の数と、実際にアプリをダウンロードされた入居者様の数をKPIに設定し、日々追跡しています。

さて、「スマサポサンキューコール」について、もう少し詳しくご説明いたします。これまで、お部屋探しをされた経験のある方は、仲介店舗で部屋を契約する際に、家賃保証の契約、引越し、インターネット、電気・ガスの紹介などを受けたことがあるかもしれません。我々のサービスの特徴の一つは、これらを仲介なく管理業務に組み込むことです。現実には、管理会社様と新しい入居者様とのコミュニケーションが取りづらかったのですが、我々のサービスを通じて、そのギャップを埋めることを目指しています。賃貸にお住まいの方々の中で、入居後に管理会社様から連絡を受けたり、サービスを提供された経験のある方は少ないのが現状です。
大規模な管理会社、何千、何万もの物件を管理しているため、一人ひとりの入居者様に対して細やかなサービスを提供するのが難しいという現実があります。

これまで、入居者様へのお部屋のアンケート調査など、より細かい対応は困難でした。多くの場合、入居者様が何かトラブル、例えば水漏れなどに遭遇した際に初めて管理会社に連絡を取る、というのが普通でした。しかし、我々はこの状況を改善しようとしています。入居者様がお部屋を決めた際に、管理会社様からの委託を受け、代理として直接連絡を差し上げます。そして、多くの物件の中から当該管理会社様の物件を選んでいただいたことへの感謝と、しっかりとした自己紹介を行うことで、入居者様との初期のコミュニケーションを図ります。
新生活が始まる際、当社入居者様に対してインターネットの利用可能性をコンサルティングします。今日、インターネットの利用方法は多様化しており、例えば、サブスクリプションサービスを通じて動画や映画を視聴したいというニーズが増えています。また、オンラインゲームを楽しむためには速度が早いインターネットを望むお客様もいれば、インターネットをほとんど使用しないというお客様もいます。当社、これらのニーズをヒアリングし、お客様に最適なインターネットサービスを提供します。

ライフラインに関しても、現在多様な新電力サービスが提供されています。お客様が日中不在で夜間に帰宅する方や、逆に日中在宅して夜間に外出する方など、電気の使用パターンに合わせて最適な電力会社を紹介します。当社は、一人ひとりのお客様のニーズに応えるサービス、「スマサポサンキューコール」を目指しています。

また、管理会社からのお礼を伝えるタイミングで、アンケート調査も実施しています。これには、数ある物件の中から当該物件を選んだ理由や、特に気に入った点について尋ねる質問が含まれます。さらに、入居後にも改めて連絡を取り、住み心地や困りごとがないか調査を行います。これにより、契約書が届いていない、インターホンが機能していないなどの問題が発覚することがあります。我々はこれらの問題をキャッチアップし、速やかに管理会社様へ連絡を行います。これにより、入居者様の不平不満が生じる前に問題を解決し、新生活がスムーズにスタートできるよう支援します。このようなサービスを「スマサポサンキューコール」として提供しています。

小田:我々が入居者様と管理会社様の間に立つことで、トラブルの未然防止やアンケート調査の実施など、管理会社様にとっての大きな利点を提供しています。また、インターネットやライフラインの紹介を通じた収益化が可能であり、その収益を管理会社様と分配することができます。これにより、管理会社様は我々との契約を通じて収益を向上させつつ、入居者満足度の向上も期待できる一石二鳥のサービスを享受できます。入居者様にとっても、問題が早期に解決されるメリットがあります。このように、「スマサポサンキューコール」サービスは管理会社から広く支持を受け、導入が進んでいます。
また、リクルート社との業務提携により、「申し込みサポートbySUUMO」というサービスを全国の管理会社様に提供しています。この際、「スマサポサンキューコール」も一緒に提供するサービススキームが出来上がっていますので、これからも全国の管理会社様への導入が進むと考えています。

次に、「入居者アプリtotono」についてです。これは我々のデジタルコンテンツの中でキラーコンテンツとなり得るもので、不動産の賃貸における入居者様と管理会社様のコミュニケーションをデジタルで円滑にします。賃貸物件の住民はしばしば、管理会社からの連絡が不足していると感じます。特に、エレベーターの点検や大規模工事の通知は主に掲示板を通じて行われますが、実際にこれらの通知を読む人は少ないです。管理会社もこの問題を理解しており、エレベーター内に直接掲示するなどの対応をしていますが、これが景観を損ねる可能性があります。例えば、エレベーター内に犬の持ち込み禁止の注意書きが大きく掲示されている場合、物件の印象が悪くなります。

このような状況は、住民への適切な注意喚起と新しい住民を引き付けることの間で矛盾を生じさせます。従来の回覧板もありましたが、実際に全住民に情報が届くのは難しいです。我々が開発した入居者アプリを使用することで、住民と管理会社のコミュニケーションがデジタル化され、双方向のやり取りが可能になります。これにより、更新通知や解約通知をアプリ上で簡単に行うことができ、管理会社からの重要な情報もリアルタイムで共有できます。   

例えば、地震などの災害発生時には、建物の損傷状況を動画や画像で管理会社に報告し、迅速な対応を促すことが可能になります

このシステムは安否確認や建物の安全管理にも役立ち、従来の手法に比べて大幅な効率化を実現します。
このように、我々の入居者アプリは、全国の各不動産会社に導入が進んでいます。

 

02 業績報告・KPIの進捗


    次に、2024年9月期の第1四半期の業績ハイライトについてご説明いたします。これは、2023年10月から12月の3ヶ月間の成績です。売上高は、この第1四半期で5億7000万円で、前年同期比で1億2800万円の増加です。

営業利益については、前年同期は1700万円の損失でしたが、今期は300万円の利益が改善して、1400万円の損失となりました。
注目すべきトピックスとしては、12月からリクルート社との「申し込みサポートbySUUMO」の連携が始まりました。管理会社様の導入が順調に進んでおり、入居者アプリに対する需要も高まっています。また、専務取締役だった藤井を代表取締役副社長COOとして、特にIR活動で活躍しています。笑顔が素敵な彼には、これからもご期待いただきたいと思います。

小田:全体の業績推移をグラフで示しています。売上高は第1四半期で5億7000万円で、順調に増加しています。通期予想は25億円です。営業利益は第1四半期でマイナス1400万円の損失ですが、通期予想は5800万円の利益で、前年比回復しています。

 

2024年9月期第1四半期の主要KPIについて、スマサポサンキューコールの契約不動産会社数は現在784社で、進捗率は31%です。

また、入居者とのコンタクト数は第1四半期で6万7778件です。不動産業界では10月から12月は閑散期であり、この期間の19%の進捗率は悪くありません。

入居者アプリ「totono」に関して、契約不動産管理会社数は116社で、進捗率は24%です。アプリのダウンロード数は17万4454DLで、進捗率は23%です。

リクルート社との提携により、営業活動を強化しています。入居者アプリは2020年にサービスを開始し、急速に導入が増加しています。今期の導入目標は154社、ダウンロード目標は25万です。

2023年から2024年9月期の業績予想の修正を行っています。これについては、副社長の藤井が説明いたします。

藤井:今年の第1四半期終了と同時に、2月9日に第1四半期の決算を公表しました。また、第2四半期および通期の業績予想の修正も発表しました。第2四半期の売上予想は、わずかに修正され、前回発表の12億6800万円から12億4400万円に変更されましたが、ほぼ同じ状態を維持しています。経常利益については、以前マイナス1100万円と報告されていたものが、今回の修正でプラス1300万円になり、合計で2400万円の改善が見込まれています。これは、前期の第1四半期におけるマイナス5500万円と比較して、大幅な改善であると言えます。

主な改善要因は、売上が若干減少したことにより、不採算取引の削減を行っていることにあります。我々は創業以来、インターネットや電気、ガスを入居者に販売し、その収益の一部を不動産管理会社へ還元しています。この還元額は、過去の成約実績に基づき、年初に契約する際に固定されます。しかし、最近のウクライナ問題による電力需給のバランス乱れや、新電力市場の低迷により、電力価格が高騰しています。質の低いサービスを提供しないために、我々は高価格のサービス販売を避けていますが、これにより収益は減少傾向にあり、元々不動産管理会社に予定していた返金額への影響が出ています。

収益の減少について、一部の取引が採算を取れていない状況があり、売れば売るほど赤字になるケースが一部の不動産管理会社で見られました。この問題に対応するため、全社員が協力して、一件ずつ丁寧に見直しを行い、不採算取引を改善するか、合意が得られない場合はサービス提供を終了する方針を取っています。その結果、売上は若干減少するものの、利益は大幅に改善しています。

通期予想に関しては、上期の実績に基づき修正が行われました。売上高は26億4500万円から25億1300万円に修正され、経常利益は5100万円の黒字から6200万円に増加しました。この改善は、不採算取引の見直しによるものです。

さらに、入居者アプリの受注が順調に推移し、この追い風を受けて、機能開発や研究開発への投資を加速しています。上期の好調な実績に基づき、投資を行っていますが、修正予想は小幅な上昇に留めています。

   

また、最近では、東京大学の柳川教授と研究アドバイザー契約を締結しました。この契約により、入居者アプリを用いて、築年数とクレームの相関関係や入居者の年収と満足度など、さまざまな研究対象に焦点を当て、徹底的に研究していきます。


藤井:結果として、我々はこれまで入居者からの「隣がうるさい」などの問い合わせを電話や郵送で対応していた管理会社が多いことに注目しました。これらをアプリを使って完結させる提案をしています。さらに、このアプリを通じて蓄積されるデータを活用し、東京大学の柳川教授らとの共同研究を重ね、最終的にはAIで問題を全て解決できるようにするのが我々の目的です。この目標を達成するためには、アプリの普及が鍵となります。現在、ダウンロード数は17万に到達していますが、これをさらに増やし、管理会社とのチャットでのやり取りを活性化させることが重要です。

藤井:その結果、蓄積されたデータの研究とAI化が、利益の源泉となります。短期的な収益にこだわらず、適切な投資を進めることが重要です。これは、株式投資をされている皆さんにとっても、多くの利益を還元することにつながります。以上が、前回の第1クォーターの決算発表時に修正された業績予想の詳細です。

03 成長戦略及び事業計画


小田:以上で業績についての説明を終えます。最後にご紹介するのは、成長戦略に関するトピックです。

まず、当社の基本方針は、非連続的な成長を目指すことです。これには、先行投資が伴いますが、今はそれを積極的に行う時期と位置づけています。当社のサービス「サンキューコール」を軸に、バランスを見ながら成長を目指します。2024年のアクションプランとしては、以下の三点を掲げています。一つ目は、サービスの拡大と収益の安定化を図ること。二つ目は、管理世帯数の増加を通じた収益基盤の拡大です。三つ目は、入居者と管理会社のコミュニケーションの拡大です。これらを通じて、優れたサービスを提供し、収益の拡大を目指します。

具体的には、サービス「スマサポサンキューコール」の拡大を通じた収益の安定化・強化です。このサービスは昨年8月から、日本最大の管理会社である大東建託パートナーズに導入されました。この計画は2023年1月から存在しましたが、システム連携で時間がかかり、8月に無事導入が開始されました。大東建託は126万世帯を管理しており、インターネット、ライフライン、ウォーターサーバーなど様々なサービスを提供しています。

また、リクルートと提携し、全国の不動産管理会社に「申し込みサポートbySUUMO」と「スマサポサンキューコール」のセットで営業活動を強化しています。

小田:現在、リクルート社とSUUMOの電子申し込みサービスを無料で活用しつつ、「スマサポサンキューコール」を通じた収益向上を目指す取り組みを行っており、受注は順調に進んでいます。

小田:また、116社の管理会社に当社の「入居者アプリtotono」を導入済みであり、導入が決まり次第、SNSやIR説明会を通じて随時発表しています。管理会社と入居者の数が増加するにつれ、「スマサポサンキューコール」のサービスを通じて、新しい生活のスタート時にインターネットやライフラインの紹介を強化しています。現在、17万ダウンロードを記録しており、今後さらに増加する予定です。これにより、入居から退去までの期間にわたり、様々な商品やサービスを提供できるツールとして機能します。

小田:入居者が就職、結婚、車の購入、子供の誕生などライフイベントを迎えた際に、管理会社とのコミュニケーションが発生します。そのタイミングで、クローズドマーケット内で最適な商品やサービスを特別サービスとして提供し、新たな収益源を生み出します。これまで「スマサポサンキューコール」を中心に事業を展開してきましたが、IPOを経て、全国の不動産管理会社のプラットフォームとしてサービスの普及と拡大に注力しています。

小田:この先の成長戦略として、非連続的な発展を目指し、「スマサポプラットフォーム」を軸に、様々な新しい商品やサービスを企画し、パートナーシップを結びながら提供していくことで新しい収益を生み出すことが、不動産領域における我々の重要な事業戦略です。皆様には、今後どのように発展していくか注目していただき、ご期待いただきたいと思います。以上で、私、小田と藤井からの当社事業に関する説明を終えます。これからは、皆様からのご質問にできる限りお答えしたいと思います。

質疑応答

Q:市町村との鍵管理契約についての進捗状況を教えてください。

小田: 長野県大町市の市町村自治体から当社のSKBサービスの導入のお声がけをいただきました。私たちは実際に大町市を訪れ、市長と会談しました。詳細については藤井が現地の様子を報告します。

藤井: 市町村との鍵管理契約に関する進捗についてですが、大町市では公共施設(体育館やテニスコートなど)の鍵管理に当社のサービスを導入しています。これまで市民は市役所に鍵を借りに行き、施設を利用後に返却する必要がありましたが、当社のサービスを使うことで、市役所を経由せずに直接施設にアクセスできるようになりました。これは地方公共団体としては初の試みであり、小規模ながらも効果を示しています。市長との会談では、市民からの好評を確認しました。

将来的には、スポーツ施設だけでなく公民館などの様々な施設への導入を拡大し、長野県大町市の実績をもとに、全国の市町村に展開していく予定です。現在の進捗としては、大町市での小規模な導入から始め、市民からの肯定的なフィードバックを得ています。成功事例として全国の市町村に展開していく計画です。

Q:「totono」が今後のビジネスの鍵になると思いますが、このようなアプリを開発している他の会社や、競合との違い、そして優位性について教えてください。

小田:「totono」は、いわゆる入居者向けアプリです。市場には、同様のコンセプトを持つアプリを提供する会社がおそらく10社程度存在します。私たちのサービスは、入居者と管理会社間のコミュニケーションを円滑にすることを目的としており、AI技術を今後活用していく予定としています。これが私たちの主な特徴であり、他社との大きな違いです。

藤井: 具体的には、GMOテックやGMOインターネットの子会社であるGMOリテックなどの企業も、類似のアプリを提供しています。アプリ開発は技術的に比較的容易ですが、私たちの優位性は、不動産管理業務への深い理解と実務に即したサポートにあります。この点は、簡単に模倣できるものではありません。

アプリの展開において特許がないため、業界の課題を捉えている企業が成長する可能性があります。現在は優位性を持っているものの、他社に追いつかれる可能性もあります。したがって、業界をリードし、市場シェアを拡大するために努力を続けています。

Q:スマサポサンキューコールは、不動産管理会社と外部委託先の両方から紹介料の流れが示されていますが、実際にはどちらからの紹介が多いのでしょうか

藤井:紹介は全て不動産管理会社からいただいています。一般的に顧客はお金を払う側、仕入れ先はお金をもらう側とされますが、我々は不動産管理会社に対して報酬を支払っています。これは、いわばキックバックのような形です。しかし、我々はそれらの不動産管理会社を顧客としております。この点が質問者の混乱の原因かもしれません。今後は、ビジネスモデルをもう少し分かりやすく説明していきたいと思っています。ですので、ご質問の答えとしては、全ての紹介が不動産管理会社からだとお考えいただいて正しいです。

Q:四半期ごとの経済状況で赤字が続いており、1Qは昨年に比べ改善していますが、まだ赤字です。通年では黒字になると予想していますが、なぜ現在赤字が続いているのか、また本当に黒字になることができるのかについて、根拠を含めて説明してください。

藤井:四半期ごとの結果が赤字であることについては、第1四半期は不動産管理業界において閑散期にあたります。赤字ですが、これは過去に大東建託の例からも見られる通り、季節に応じた人員の調整が難しく、繁忙期に合わせたコールセンターの体制を取っているためです。コストは上がりますが、第2四半期と第3四半期は売上が多くなる傾向にあります。第1四半期は基本的に赤字ですが、不採算取引の見直しを進めており、赤字幅を縮小させる傾向にありますので、将来的には黒字化が可能だと考えています。

Q:スマサポサンキューコールの契約不動産管理会社数が昨年870から727に大幅に減少した理由について教えてください。

藤井:不採算取引の見直しを行っているため、原価が高い取引に対しては、お客様にご納得いただける場合もあれば、収益が見込めない場合は内製化を検討するなど、様々な理由でお取引が終了するケースもあります。その結果、契約不動産管理会社数が減少したと考えられます。しかし、修正予算を反映した結果として、契約数が回復している状況です。これ自体が必ずしも良いわけではありません。どうにかして、コミュニケーションをしっかり取り、不動産管理会社には収益だけでなく、付加価値—例えば品質やクレーム対応能力など—を磨き、強化することをお伝えし、取り組みを進めていただきたいと考えています。現状では、残念ながら大幅な減少が見られます。しかし、挽回は可能です。逆説的に言えば、減少しているとはいえ、他社では、私が先に述べたような品質やサービスのクオリティを理解し、コスト交渉も行っているため、解約に至っていない状況です。これは、お客様に支持されている証であり、非常にありがたいことです。したがって、これらの点を強化し、新規事業活動を徹底的に行い、挽回を図りたいと思います。CEOの小田が述べたように、リクルート社との提携により、全国各地、小規模で地域に根ざした不動産管理会社も多く存在します。この機会を活用し、リクルート社の営業網を駆使して市場を広げていくことが挽回の鍵です。私たちは、ここから反転攻勢を図り、創業期のような成長率を目指します。新規に事業を拡大していく上で、確かに収益性の高い契約先の選定は重要です。リクルート社との提携に限らず、私たちは不動産会社向けセミナーや講演会への参加を通じて、集客と理解の促進に努めます。創業期の挑戦は難易度が増しますが、創業以来蓄積したノウハウを活かし、コスト削減を行いつつも、顧客とのコミュニケーションを維持し、事業を展開していきます。

小田:補足します。申し込みサポートbySUUMOとの連携について、以前の説明が不十分だった点を明確にしたいと思います。従来、申し込みは手書きで行われ、FAXやメールで送信されていましたが、リクルート社との新しい取り組みにより、すべての申し込みがデジタル化されます。オーナー審査が完了し、顧客の同意を得た後、電子データが自動的に私たちのシステムに送信されるようになります。この新しいアプローチを全国の不動産会社に説明し、リクルート社との共同営業を通じて、新規顧客の獲得に繋げていきます。これにより、今後の成長率の大幅な向上が期待されます。

Q:医療法人石田外科が当社に1.48%の株式を保有していますが、その取得経緯を教えていただけますか?

藤井:医療法人石田外科が1.48%の株式を保有している件について、具体的な取得経緯については詳細を把握しておりません。ただし、彼らは上位10名の株主に名を連ねており、3月末には株式比率に変動があるかもしれません。株主とのコミュニケーションを重視していく所存です。

Q:貴社の営業方法について教えてください。日本全国に不動産管理会社が数多く存在しますが、個々の従業員でカバーすることは可能でしょうか?

藤井:不動産管理会社は全国に広がっており、その数は多岐にわたります。伝統的な方法で全国の会社を直接訪問することは採算が合わないため、スマサポサンキューコールというデジタルツールを使用して全国の管理会社にアプローチしています。このツールを通じて、入居者との関係構築を図り、デジタルアプリを介したコミュニケーションを提案しています。現在、700以上の管理会社との関係を築いており、リクルートとの提携を含め、今後もその数を増やしていく予定です。従って、必要な人材は確保されており、顧客獲得コストを抑えつつ効果を最大化する体制を構築しています。

Q:リクルート社との提携が今後の成長の鍵となっていますが、昨年12月に始まった申し込みサポートSUUMOについて、その契約内容がリクルートに有利なのではないかという質問があります。

藤井:契約の具体的な内容を公表することはできませんが、SUUMOは元々賃貸の仲介や部屋探しのイメージが強いです。不動産管理業向けのサービスである申し込みサポートは、エンドユーザーにはあまり馴染みがないかもしれません。しかし、SUUMOにとっては賃貸仲介から管理業務への展開を意味し、基本的にはフェアな関係で市場を作っていくべきだと考えています。そのため、契約は対等に行われていると認識しています。

小田:補足します。当社とリクルートの契約はフェアですが、管理会社がリクルートを使用する際の電子申し込みは、非常に有益な契約となっています。他のサービスでは料金が発生するかもしれませんが、リクルートは無料で提供しています。これにより、管理会社にとっては大きなメリットがあります。スマサポサンキューコールがこのパッケージに含まれており、この契約は双方にとってフェアであり、管理会社にとっても非常にメリットのある形となっています。

Q:他社も人材不足で採用に苦労しているとよく聞きますが、貴社では人材の確保はうまくいっていますか?対策はありますか?

藤井:人材不足は我々の業界に限った話ではないと思います。我々は現在、人材を確保できている状態です。人材確保に関しては、単に人手が足りないからという理由ではなく、企業として人材を大切にし、給与だけでなくやりがいや成長の機会を提供することが重要だと考えています。我々はワーケーション可能な白浜オフィスのような制度を通じて、従業員が生き生きと働ける場を提供しています。社員が離脱せず、業務に専念できるように取り組んでいます。

Q:電気代の高騰がスマサポが不利になるという認識でよいですか?

藤井:不利になるという認識は概ね正しいです。しかし、新電力市場はまだ成熟していないため、電気代の高騰が新電力の販売に影響を及ぼす可能性があります。成熟した市場では、電気代の変動が直接的に影響を受けにくくなると思いますが、現時点では電気代の高騰により新電力の販売が難しくなり、収益が下がる可能性があります。

Q:2022年の電気代の高騰に続き、2023年は石炭価格の下落により電気代が下がっていると聞きますが、これは貴社にとって有利な状況ですか?

藤井:我々は以前に新電力事業を直接手がけた経験がありますが、電気代が急激に高騰するか下落すると、最終的に入居者に迷惑をかける可能性があります。我々は、電力自由化が成熟し、市場が安定することを望んでいます。成熟すれば、電気代の変動に対しても対策を立てやすくなり、市場が安定すると考えています。

Q:「totono」には実際のニーズがあるのでしょうか?また、スマートフォンを持っていない入居者とのコミュニケーションはどのように行うのでしょうか。別の質問者からは、実際に賃貸に住んでいる際、局時以外で管理会社に連絡することはほとんどなく、わざわざアプリをダウンロードしたくないという意見もあります。本当に「totono」のようなアプリにニーズがあるのでしょうか?

藤井:「totono」に関しては、実際に二つの側面があります。まず、不動産管理会社に対して、このアプリはサービスとしてのソリューションを提供しています。例えば、以前は物件の管理においてアナログな方法でのコミュニケーションが主流でしたが、「totono」を通じてデジタル化を促進しています。管理コストは結局、オーナーが負担し、それが入居者に転嫁されます。したがって、効率化を図ることは最終的に入居者の負担軽減にもつながります。

一方、入居者にとっても、「totono」は日常生活における便利なツールとなります。たとえば、通常の管理会社への連絡や緊急時の問い合わせ、駐輪場の利用申請など、多岐にわたるサービスをアプリを通じて簡単に行うことができます。また、自転車や自動車購入時に保険の提案を行うなど、コンシェルジュのような役割も果たしています。

ダウンロードに関する疑問に対しては、実際に年間を通じて多くの問い合わせがあり、アプリへのニーズは確かに存在します。現代社会ではスマートフォンの普及が進み、多くのサービスがデジタル化しているため、「totono」もこの流れに沿ったサービス提供を目指しています。

まとめると、「totono」のニーズは、不動産管理会社の業務効率化と入居者の生活利便性の向上の両面にあります。このサービスは、コスト削減とユーザーエクスペリエンスの向上を目指しており、双方にメリットがあると考えています。

Q:藤井副社長が2016年にスマサポに参加された最大の理由は何ですか?

藤井:この質問をいただけて非常に嬉しく思います。私がスマサポに参加した理由は、不動産業界および管理業界が非常に地域密着型であり、ニッチであると感じたからです。日々、アナログ作業に励む方々の姿を見て、この業界には大きな改善の余地があると感じました。DXやAIといった最新技術を駆使することで、従来の困難を乗り越えられる可能性を見出しました。しかし、私が求めていたのは楽な道ではなく、本質的な課題に真正面から挑むことでした。CEOと共に、この業界特有の問題に取り組み、改善を図ることができれば、不動産管理会社、入居者、そして私たち自身にとっても良い結果につながると考えました。そのため、スマサポのミッションと可能性に共感し、参加を決めました。

Q:上場までのエピソードや苦労した点があれば教えてください。

藤井:上場への道のりには多くの苦労がありました。上場は手段であり、最終目的は全国の不動産管理会社や入居者に価値を提供することでした。社会的な信用を得るためには、上場が最適だと判断しました。上場プロセスでは、多くの改善点に取り組み、時には困難に直面しましたが、全社員がポジティブに取り組んでくれました。特に業界内での反響や、不動産管理会社からの温かい言葉は大きな励みとなりました。振り返ると、このプロセスを通じて私自身や従業員、業界全体の成長につながったと感じています。

Q:株価対策について、自己株式の購入や株主優待を検討していますか?

藤井:株価対策について具体的な計画を公開することは難しいですが、我々は経営陣として、多くの支援者からの期待に応えるため、積極的に事業を推進しています。IR活動やセミナーを通じた情報提供を行い、会社のポテンシャルが株価に反映されるよう努力しています。自社株の取得や株主優待など、株価向上に向けた様々な策を検討しており、会社の価値を高めていくことに注力しています。

Q:女性の登用と活躍に関する取り組み方針を教えてください。

藤井:弊社では、全従業員の中で女性の比率が約50%であり、管理職における男女比率は7対3です。取締役になると、8名中2名が女性であり、比率は4対1となります。これは、層が上がるにつれて女性の比率が減少するという現状を示しています。私は、女性を登用することが適正かどうかは、能力と適材適所に基づいて判断すべきであり、性別だけで決めるべきではないと考えています。ただし、従業員の比率が男女で1対1であれば、理想的には管理職や経営層も同様の比率であるべきです。女性が活躍しやすい環境を整えるために、妊娠や出産に関するサポートや社内研修の強化などを行っています。また、多様性を経営に取り入れることの重要性を認識しており、男女比だけでなく、LGBTQなど性の多様性を含めた多様性を尊重しています。

Q:鍵預かりサービスの費用や仕組みについて詳しく教えてください。

藤井:この鍵預かりサービスは特定のケースに限られますが、物理キーを直接電子化するわけではなく、物理キーを収納する箱を電子化しています。導入に際しては、お客様から料金を頂戴します。例えば、ある自治体からは月額で料金をいただく場合や、購入していただいてその後はシステム使用料のみをいただく場合などがあります。これにより、我々の収益となり、サービスを受ける方には費用が発生します。

体育館や避難所など、災害時に公共施設の鍵を管理することの重要性については、非常に高い可能性を秘めています。例えば、震災時には、体育館の鍵を管理している人が被災する可能性があります。このサービスを導入することで、近隣住民や自治体職員が迅速に施設を開放できるようになります。費用については、鍵の電子化に比べて、我々のサービスは非常にコストパフォーマンスが高いと自負しています。

さらに、災害時にも、自治体職員が現地に向かえない場合でも、アプリを通じて鍵を開けることが可能です。これは、物理的な鍵を取り出すために、アプリを使って電子ロックを解除する仕組みです。もし鍵を持っていない場合でも、最悪の場合は箱を破壊して鍵を取り出せるように設計しています。

小田:このシステムは、災害時だけでなく、不特定多数の方が同じ施設を使用する場合にもニーズがあります。例えば、分譲マンションの管理人室に導入され、工事業者やコロナ禍での代理の管理人が安全に鍵を受け渡しできるようになりました。これからさまざまなシーンでのビジネスチャンスが期待されています。

投資家の皆様へ

小田:今日は長い時間、お付き合いいただきありがとうございました。我々は今後も、さまざまなニーズに応えるサービスを提供していくことを目指しています。引き続き、我々の取り組みにご支援とご注目をお願いいたします。

藤井:本日はご視聴いただきありがとうございました。多くのご質問をいただき、それらが我々のサービスに関する知識をもとにされたものであると感じ、大変嬉しく思います。IR活動を通じて、投資家リレーション(IR)を強化することは重要です。その基本は、我々が何をしているのかを知っていただくことです。私自身とCEOが協力して、このようなリレーション機会を大切にしています。今回はかぶベリー様のご厚意により機会を提供いただきましたが、我々の活動、思い、将来の方向性がしっかりと伝わるよう努力していきます。皆様に我々の動向をモニタリングしていただき、最終的には株主総会などのリアルな場でお会いできる日が増えることを願っています。長時間にわたりご視聴いただき、本当にありがとうございました。

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