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[書き起こし・要約]リックス(7525)IRセミナー 質疑応答 2024.1.26開催

 

2023.1.26に開催しましたリックス(7525)IRセミナーの質疑応答部分の書き起こしになります。

登壇者 代表取締役社長 執行役員 安井卓 様

登壇者 取締役 上席執行役員 管理本部長 大鉙賢司 様

資料 YouTube

IRセミナー

皆さん、こんばんは。リックス株式会社の代表取締役社長執行役員、安井でございます。今夜遅くにも関わらず、当社の会社説明会にご参加いただき、心より感謝申し上げます。

今回の説明会で特にお伝えしたい三つのポイントは、第2四半期の過去最高の業績達成、インドに生産子会社を設立する決定、そして2030年までの長期ビジョンや成長戦略についてです。

01 会社概要

当社は国内外の産業界に機器や部品などを製造販売するメーカー商社として活動しています。1907年に創業し、今年で116年目を迎えました。国内には北海道から鹿児島まで36ヶ所、海外には7ヶ国、11ヶ所の拠点を展開し、顧客密着の営業を心掛けています。

創業当初はオイルシールメーカーのNOK様の販売代理店としてスタートし、オイルシールを起点に産業界に進出しました。その後、1969年には主力製品であるロータリージョイントの製造メーカーを吸収合併し、メーカーとしての歩みを開始しました。2003年には初の海外拠点を中国とタイに設立し、2016年には東証1部(現在はプライム市場)に上場しました。

当社はメーカー商社として、販売商社機能、メーカー機能、研究開発機能、サービス機能の4つを融合させ、お客様の課題解決に貢献しています。主要な取引先には、日本製鉄様、トヨタ自動車様、キオクシア様などがあります。

当社は最終製品を直接製造する企業ではありませんが、大手メーカーの生産現場に製品とサービスを提供し、製品の品質安定性と量産性を支えています。自社製品、グループ会社やパートナー企業の製品、仕入れ商品を含め、幅広い商品とサービスを提供しています。これらの取り組みを通じて、リックスは産業界に貢献し続けています。

当社は、工場の生産設備に関連する機器や部品を大手メーカーに提供し、販売しています。製品は三つのカテゴリーに分けられます。

一つ目は、福岡県糟屋郡にある工場で生産される自社製品です。約100人の従業員が設計開発、製造、試験研究などに従事し、約50年前から稼働しています。主力製品のロータリージョイントは固定体から回転体へ流体を供給する役割を果たします。

次に、国内に10社ある当社グループ会社とパートナー企業の製品についてです。これらは、タイヤ製造工程用バルブやベアリング再生サービスなどを含み、お客様の課題解決に貢献しています。

最後に、世界中の約2600社から仕入れた商品を販売しています。例えば、デンマークのダンフォス社からのインバーターや、浄水場や工場の排水処理に使用されるRO/UF膜マーク、小型ドローンを使用するサービスなど、幅広い商品を提供しています。

 

ロータリージョイント紹介動画

 

世界の産業界に貢献するリックスは、自社製品として、ロータリージョイントという部品を製造・販売しています。リックスのロータリージョイントは、鉄鋼、電子半導体、食品など多岐にわたる産業の現場で使用されています。例えば、飲料メーカーの工場では回転するペットボトルに飲料を漏らさず注ぐ際に活用されています。リックスのロータリージョイントは、自動車やスマートフォンなど日常で使用する製品の品質安定化や量産化に貢献し、特に工作機械業界向けでは国内シェアトップを誇っています。

過去10年間の売上と営業利益の推移を示すグラフは、右肩上がりの成長を示しており、昨年度は過去最高を記録しました。

リックスは創業115年間で一度も赤字を出したことがなく、売上安定の基盤はリピート品の販売と顧客の多様性にあります。リピート品は定期的な販売があり、全国の営業所での売り上げが当社のベースとなっています。顧客の幅広さにより、リスクが分散され、景気の変動に左右されにくい状況が維持されています。今後は未開拓の販路と顧客の幅を広げて、さらなる売上拡大を目指します。

当社の強みの一つは、自社工場や研究開発施設を保有し、自社製品を製造する技術力と、多くの商品を取り扱う商社機能を兼ね備えるメーカー商社であることです。

また、営業担当が各業界に精通していることで、顧客のニーズを的確に捉え、課題解決に繋げています。当社の営業所は国内外に展開し、素早い対応を可能にしています。

RIXing Actionは、当社の経営理念や行動指針を総称し、社員がその考え方に沿って行動することで、人材育成や顧客のファン増加に繋がっています。

02 今期 第2四半期決算

直近の業績については、今期の第2四半期は3期連続の増収増益となり、売上高、営業利益、経常利益、四半期純利益が過去最高を更新しました。

すべてのセグメントが好調で、鉄鋼と自動車セグメントは前年同期比で15%以上、ゴム・タイヤセグメントは50%以上の増収を達成しました。

今期第2四半期の決算では、8つのセグメントのうち6つが前年同期を上回る成長を示しました。

特に鉄鋼業界は前年同期比16.1%増、自動車用部門は14.7%増、電子半導体業界は3.6%増となり、ゴムタイヤ業界は54.4%増と最も大きな伸びを示しました。

 

最後に、工作機械業界について述べます。クーラント関連機器の売り上げが伸び、前年同期比で12.3%増の13億6100万円となりました。

03 今期 通期業績予想と株主還元

 

続きまして、今期の通期業績予想と、株主還元についてご説明します。今期の通期業績予想ですが、売上営業利益、経常利益は2期連続の過去最高更新を目指します。左から前年度の数字、今期予想を被災しております。下期は電子半導体など不透明な業界もありますが、その他の業界でカバーすることで、売り上げの拡大を目指します。今期の通期業績予想では、売上高、営業利益、経常利益が過去最高を更新することを目指しています。

 

配当は中間70円、期末63円の合計133円を予定しており、配当性向は単体で30%から連結で40%に引き上げました。QUOカードの株主優待も実施しています。

04成長戦略(長期経営計画とトピック)

最後に、当社の成長戦略について説明いたします。当社は、2030年度までの長期経営計画において、リックスグループは販売、製造、技術、サービスを高度に融合させ、世界の産業界の課題解決に貢献するソリューションを提供するというビジョンを掲げています。

当社は2030年までに海外売上高を現在の約2.7倍の140億円に増加させることを目指しています。現在、中国、アメリカ、タイ、韓国など7カ国11拠点に展開し、日系企業の海外進出に合わせて拠点を設け、営業活動を行っています。特に中国大連の生産子会社では現地企業への営業も進展しています。

昨年11月、インドに新工場を建設することを発表しました。この工場では、当社自社製品であるロータリージョイントの製造を行い、工作機械業界に不可欠な部品を提供します。

インド市場の売上は昨年度5億5000万円で、鉄鋼、自動車、ゴムタイヤ産業向けに装置や部品を販売しています。インド市場には拡大の余地があり、新工場建設によりスピード感を持って市場に対応する計画です。

また、自動車業界のEV/HEV関連の売上構成は2024年3月期 第2四半期時点では47.5%まで拡大し、EV/HEVの生産ライン向けに自社製品を開発・販売しています。

昨年10月には陸上養殖設備の開発・実証実験を開始しました。この取り組みは、当社が約115年間積み重ねた流体関連機器の技術やノウハウに基づいています。新製品開発に注力し、リックス協創センターの建設も計画しています。

本日のまとめとして、今季第2四半期時点で過去最高の業績推移、インドに製造工場を設立して海外売上を拡大する計画、EV/HEV関連の売上増加と陸上養殖設備などの成長分野への挑戦を挙げました。今後も挑戦を続け、長期的な成長を目指します。質疑応答の際やホームページのお問い合わせフォーム、IR担当へのお問い合わせを歓迎します。本日はご聴講いただき、ありがとうございました。

質疑応答

Q.リックスの、他のメーカー商社とは異なる優位性について教えていただけますか

安井 多くのメーカー商社や技術商社が存在しますが、リックスはメーカーとして商品の生産から調達、供給に至る一連の機能を提供しています。これにより、お客様のニーズにより効果的に対応できる環境を整えています。さらに、各業界ごとに専門の業界プロフェッショナルや、地域ごとに設けられた営業所を通じて、業界のスペシャリストと連携し、お客様に最適なソリューションを提供しています。この組織構造が他社と異なる点であり、我々の優位性の一因です。

Q.今回の決算説明では、鉄鋼と自動車のセクターが売上高を牽引しているとありました。この鉄鋼と自動車の売上高は、今期が特に良く一過性に終わるのでしょうか、それとも、鉄鋼業界と自動車業界の売り上げは今後もリックス様に貢献し続けると考えられますか

安井 一過性ではないと考えていますが、未来を我々だけで決定することは難しいです。現在、鉄鋼業界では粗鋼生産量が減少しており、市場状況は厳しいものがあります。しかし、我々はお客様の多様なニーズに対応する体制を整えています。そのため、粗鋼生産量が減少しても、市場での存在感を示す余地はまだあります。また、海外市場への積極的な投資を行い、日本で培った経験とノウハウを海外に展開しています。自動車業界においても、EVの普及が進み、電池やモーター関連分野に力を入れています。お客様もEV関連への投資を増やしており、その動向に応じながら対応しています。したがって、現状が続くとしても、我々はお客様のニーズに迅速に対応し、成長を続ける準備が整っています。

Q.顧客は2900社と書いてありますが、この数を今後も増やしていく予定でしょうか。また、新規顧客の開拓方法を教えていただけますか?

安井: 2900社の顧客数は今後も増加する予定です。新規顧客の開拓方法については、多くの営業担当者が異なるアプローチを持っているでしょう。一つのアプローチは、当社がこの業界全体を攻略するというものです。また、地域ごとに大手企業が存在し、まだアプローチされていない可能性がある場所もあります。そのため、多くの方法が存在し、各業界や各エリアで異なるアプローチが必要です。当社はもともと製鉄業界からスタートし、後に自動車や半導体などの分野にも進出しました。そのため、業界へのアプローチは、個々の営業担当者によって異なります。どの分野に進出するかは、多くの要因に依存しますが、個々の担当者がお客様を追求し、攻略する方法があります。

Q.九州でTSMCが工場を建設し、稼働することが予想されていますが、九州の半導体工場設立がどのような影響を及ぼすと考えられますか

安井 この質問はよくいただくものです。九州の半導体業界のお客様は、TSMCが九州に工場を建設する前から、熊本などの地域をシリコンアイランドと呼び、半導体産業の中心地として認識されていました。そのため、すでにこの動きを予測していました。さらに、新しい工場が建設される際には、その工場に必要な装置を供給する必要があります。当社のロータリージョイントは、工作機械向けだけでなく、半導体製造装置にも活用されており、TSMCの生産現場にも影響を及ぼすと考えています。現在、私たちはTSMCとの取引は持っていませんが、半導体業界のリーダーや熊本の営業チームメンバーが新しい取引のために動いています。総じて、九州にTSMCなどの大手企業が進出することにより、他の半導体メーカーも九州への投資を増やしており、お客様との関係を強化し、新しいビジネスチャンスを追求できる状況にあると思います。

Q.TSMCとの取引を望む会社は多い状況で、どの会社が選ばれ、どの会社が選ばれないかは、どのような基準で決定されるのでしょうか

安井: お客様サイドの基準について、私たちがどのように影響を及ぼすことができるかが重要です。要するに、私たちリックスが提供する価値が認識されるかどうかが鍵です。商社としての性格も考慮し、一部の欧米系企業やTSMCさんのように、メーカーと直接取引を望むケースもあると伺っています。したがって、私たちの製品やサービス、特に半導体の修理と再生など、メーカーとして提供できる価値を強調しています。

Q.株主構成を見てみますと、NOK株式会社が貴社の筆頭株主で保有していることが確認されました。NOKの保有方針についてご教示いただけますでしょうか?

大鉙:その点について、全体から見ると、NOKさんの割合は多くはありません。他のメーカーや仕入れ商品の方が圧倒的に多いです。

Q.現在、リックス様の総売上に占めるNOKさんの割合は多いでしょうか

大鉙:その点について、全体から見ると、NOKさんの割合は多くはありません。他のメーカーや仕入れ商品の方が多いと考えます。

Q.リックス様は様々な業種との取引があると思いますが、顧客の景況感や変化について何か感じていることがありますか?特に足元での変化について教えていただけるとありがたいです。

安井: ありがとうございます。特に半導体業界では、一服感が見られます。工場建設などで活気がありますが、一時的な停滞も見られます。しかし、2024年度下半期からは回復傾向にあるとの情報があります。鉄鋼業界も海外投資が進んでおり、環境に配慮した鉄鋼製造への取り組みが広がっています。これらの変化に対応し、製品やサービスを提供する準備を進めています。

Q: 逆に、好調な鉄鋼。自動車業界は、去年と比較して業界状況が良好で、半導体不足が解消されていると思いますか。

安井: はい、その通りだと思いますが、不確定要素も存在します。例えば、地震や台湾の選挙など予測できない出来事があれば、人々の消費傾向に影響が出る可能性があり、米中関係の動向にも影響があるかもしれません。しかし、これらの要素を考慮しても、業界は良好な状態であると言えるでしょう。

Q: 細かく分かれたセグメントの中で、特に注力していくセグメントがあれば教えてください。また、業種拡大の要望についても教えてください。

安井: 当社は多くのセグメントを持っていますが、現在は自動車業界の電動車化に特に注力していく予定です。自動車業界の動向が他の産業にも影響を与えるため、特にこの分野を強化したいと考えています。また、当社は鉄鋼業界で最も売上が多いですが、自動車業界でも積極的に活動しています。弊社の自動車関連のメンバーと鉄鋼業界のメンバーがお互いを切磋琢磨して取引拡大を実現し両セグメントを成長させることを目指しています。

Q. リーマン・ショックの2008年から2009年にかけて、多くの商社が赤字を出した中で、リックスは黒字を維持していました。これは素晴らしい成績だと思いますが、その秘訣は製品力や顧客の業種の多様性などにあるのでしょうか?もう少し詳しく、リックスの強みについて教えていただけますか。

安井: 製品力があること、顧客の幅広さでリスク分散をとれていること、あとは顧客密着によりお客様が私たちを信頼してくださっていることが要因になると考えます。当社は顧客密着を重要視しており、仕入れて販売するだけの商社とはひと味もふた味も違います。お客様がなぜその商品を求めているのか、その背景まで含めてニーズを聞くことを大切にしています。その積み重ねがお客様の信頼に繋がり、当社に仕事を任せてもらえているのではないかと考えます。また、商社機能だけでなくメーカー機能により自社製品を製造・販売できていることで、利益もしっかり確保することができて、バランスがとれています。今後、オリジナル品(自社製品・グループ会社製品・専売仕入れ品)をもっと強化して、比率を55%以上にするという目標を長期経営計画でも掲げています。

Q. 次に、人材不足の問題についてお伺いします。リックス様も採用に苦労されているのではないでしょうか?採用に関する工夫や今後の採用計画について教えていただけますか。

安井 確かに、人手不足は私たちにとっても課題です。特にBtoB企業で知名度が低いため、IR活動を通じて弊社の良さを知っていただく取り組みを行っています。採用活動においては、福岡空港の搭乗口や学生がよく利用する駅に広告を出すなど、様々な方法で私たちを知ってもらうよう努めています。YouTubeなどのプラットフォームを利用した採用関連のCMの制作も予定しています。また、地元の企業として九州大学と連携し、学生の奨学金制度に参加することで、将来的に弊社への入社を検討していただけるような取り組みをしています。現在の採用計画では、年間10名から20名の採用を目指しており、知名度の向上が大きな課題です。

Q. 採用の工夫により、望むレベルの人材を採用できていますか。

安井 はい、その通りです。

Q. 利益率の向上についてお伺いします。2015年の利益率が4.5%から5%でしたが、2023年には7.5%から8%に向上しています。この改善の背景にはどのような変化がありましたか?

安井 特に、オリジナル品や自社製品の増加が利益率の向上に寄与しています。大型の商談では利益率が低い傾向にある一方で、小口の商談の増加が利益率を向上させています。例えば、自社製品のロータリージョイントなど、お客様の要望に応じた製品の開発や工作機械の技術向上が、製品ラインナップの拡充に繋がり、利益率の向上を実現しています。

Q. 現在、自社製品の比率が高まっているとのことですが、これは今後も年々増加する見込みでしょうか?

安井 はい、その通りです。私たちはオリジナル品を強化しており、これには自社製品のみならず、グループ会社の製品や、私たちしか取り扱えない製品も含まれます。例えば、先ほどご紹介したデンマーク製のインバーターなどです。現在の中期経営計画では、オリジナル品の比率を40%まで引き上げることを目指しており、今ようやく30%を少し超える程度に達しています。特に、自社製品の中でもロータリージョイントが大きな割合を占めています。

Q. インド市場への進出についてお伺いします。どのような戦略で市場シェアを拡大する計画でしょうか?また、他社が苦戦する中での御社の取り組みについても教えてください。

安井 インド市場は大きく成長する可能性を秘めています。私たちの海外進出、特にメーカーとしての進出では、10年前に中国大連にロータリージョイントの工場を設立した経験があります。これを参考に、インド市場においても比較的早期に利益を出せるよう取り組んでいます。これはあくまで感覚的な話ですが、2030年度までに中国、北米、インドの市場で全体の75%程度の売り上げを目指しています。それぞれ30%、30%、15%になればいいなと思っております。海外売上の目標は140億円で、この比率で考えると具体的な数字が見えてくると思います。ただし、外部環境の変化やインド市場での不測の事態が起こる可能性もありますので、柔軟に対応していく必要があります。

Q. 海外の競合に関してですが、リックス様のビジネスモデルを採用している企業における競合の存在について教えていただけますか。

安井 メーカー商社という業態については海外ではあまり見かけないかもしれません。ただ、自社製品のロータリージョイントの競合については、アメリカの「デュブリン」があります。デュブリンはロータリージョイントの総合メーカーですが、当社は特に工作機械の高速回転領域での優位性を持っています。

Q. 離職率について教えていただけますか?従業員数が707名とのことですが、離職率と研修制度についてもお聞かせください。

安井 現在の離職率は、過去5年で約3%です。経験者採用に関しては、新入社員とは異なり採用時期がバラバラなため、動画による一般的な研修を行っています。新入社員には、新入社員研修や工場見学、マナー研修などを実施しています。昨年からは中途採用者も集めて研修を行い、「RIXing Action」に基づくリックスの企業文化や考え方を伝えています。これは中期3ヶ年計画や2030年度までの長期計画の一環として、リックスの文化を定着させるための取り組みです。

Q. 5年で3%の離職率は低いと感じますが、他社と比べて異なる取り組みや企業文化があるのでしょうか?

安井 離職率に関しては一概に言えません。辞める人は辞めるというスタンスを取っています。福利厚生や他社との比較については、対象によって異なりますが、特別に優れているわけではないと考えています。離職率の低さは、会社の雰囲気や文化によるものだと思います。

Q. 長期経営計画「LV2030」を達成するための戦略について詳しく教えていただけますか?販路拡大、価格戦略、製品差別化戦略などについてもお聞かせください。

安井 長期計画の達成に向けては、オリジナル品の増加に注力しています。既存の製品基盤を安定させつつ、成長分野への新製品開発を進めていきたいと考えています。オリジナル品の強化、特にロータリージョイントや洗浄装置、オイルスキマーなどの製品ラインナップを拡充することが重要です。協創センターへの投資を通じて、社内外のアイディアを組み合わせ、新しい事業を創出していく予定です。また、海外での売り上げ増加には、自社でハンドリングできるオリジナル品の拡大が鍵になります。

Q.2022年度に販売を開始したEV向け製品(ARASEN、D-RAT)について、現在の販売状況と今後の計画を教えてください。

安井 EV向け製品について、現在の具体的な販売数はすぐには出せませんが、お客様の電池関連投資が増えるにつれて、製品の販売も増えています。2022年12月から昨年5月の段階で、ARASEN、D-RAT2台ずつ販売しています。今後2年間でARASEN20台、D-RAD12台を目標に計画を進めています。導入後の反応は良好で、作業効率の改善や生産能力向上で評価をいただいております。

Q.株探の「リックス安井社長登壇!著名投資家なごちょう氏が自身の保有銘柄に直球質問」はどういう経緯で実現に至ったのですか?

安井 この企画は金融情報配信会社フィスコからの提案で実現しました。実際に株を保有しているなごちょうさんと対談する機会があり、株主目線での質問をいただくことができました。これは当社にとって有益な機会であり、様々な視点からの反響がありました。

Q.今後の株価対策や株主対策について教えてください

大鉙 100株1単元の株主様にはクオカードを提供するなどの株主優待を継続しています。株価を引き上げるために、株主対策の継続を考えています。現在の売買高は目標に至っていないため、流通量を増やすような動きも検討しています。自己株の購入も機動的に考えています。

Q.ロータリージョイントの耐久性について教えてください。納入後10年持つのでしょうか、それとも半年から1年で交換が必要ですか

安井 ロータリージョイントの耐久性はお客様の使用状況により異なります。適切なメンテナンスを行えば長持ちしますが、厳しい環境で使用される場合は寿命が短くなります。そのため、一概に何年持つとは言えませんが、耐久性は使用状況に大きく依存します。

Q.中国の景気減速が弊社の事業に影響を与えていますか

安井 中国の経済状況は現在あまり良くないと聞いています。特に大連にある私たちの工場は、以前に比べて受注が減少しています。中国の売り上げは全体の売り上げに占める割合が小さいため、大きな影響はないと考えています。しかし、状況が長引くか、更に悪化すれば影響が出る可能性があります。

Q.非接触シールが漏れない理由を教えてください

安井 シールの種類は色々ありますが、工作機械用のロータリージョイントのシールについての質問だと思います。完全に漏れないわけではありませんが、漏れが非常に少ないため問題にならない程度です。実際には非常に微量な漏れがありますが、それが視覚的に確認できないほど少ないのです。また、漏れを意図的に許容してシールする技術、いわゆるクリアランスシールの技術も保有しており、これが当社の技術の差別化要因となっています。

Q.140億円の売り上げ目標に対する国別の貢献率について教えてください。

安井 今後の注力市場は中国、アメリカ、インドです。これら3カ国での海外売り上げ比率を約75%にすることを目指しており、中国とアメリカでそれぞれ30%、インドで15%程度の貢献を想定しています。これに基づくと、140億円の売り上げのうち約20億円がインドからの貢献になると考えています。

Q.2030年の連結売上高700億円、連結営業利益56億円の目標達成に向けた戦略について教えてください。この数字を達成するためには、営業利益率8%が必要になります。23年の7-9月期では営業売上営業損益率が8.3%でしたが、年間では今まで達成できなかった数字になります。これを実現するためには、自社製品の売上販売量を増やす必要があるように理解しています。この辺の今後考える戦略について何かお話いただけますでしょうか?


安井 長期経営計画において、我々は売上高700億円、連結営業利益56億円を目指していますが、そのためには仰る通り営業利益率8%が必要です。確かに、2023年の7-9月期では営業売上営業損益率が8.3%という好成績を収めましたが、年間を通じてこれを達成するのは一つの挑戦です。私たちは、この目標を達成するために、特に自社製品の拡大に力を入れています。ただし、自社製品以外の売上も重要であり、そのバランスを取るのは課題です。景気が好調なときは自社製品の売上が増加し、一方で利益率が薄まることもあります。しかし、我々は自社製品の比率を上げる戦略を進めており、協創センターを通じて新たな製品を開発し、事業に結びつける取り組みを行っています。簡単に言うより実行する方が困難ですが、そのための覚悟を持って取り組んでいます。これにより、目標達成に向けた戦略を進化させていく所存です。

Q.現金預金の保有理由について教えてください。
大鉙 決算期や期末、月末には一時的な運転資金の借り入れをしている関係があり、借入金が増え、現預金が増えているように見えると思います。運転資金はできるだけ最小になるような取り組みを以前から努めていますし、借入金は極力減らす方向で常に考えています。
中・長期経営計画の目標を達成するためには、インド生産子会社設立も含め、投資に積極的に取り組んでいく方針です。キャッシュの余剰については、その原資として考えています。

Q.NOKグループのイーグル工業社製の製品販売状況について教えてください。

安井 イーグル工業社は私たちの主要な供給先の一つで、その製品の販売は伸びています。弊社では半導体向けが主要な市場であり、その分野での伸びが目立っています。

Q.製品情報についてホームページで確認しましたが、カタログのダウンロードができず、どの製品が自社製品かわかりませんでした。どうすれば確認できますか

安井 ホームページに記載されている製品は大体が自社製品、グループ会社の製品、または専売仕入れ品で、利益率が高いオリジナル品です。掲載されていないものは仕入れ先の製品です。カタログは個人情報を入力することでダウンロード可能です。

Q.ホームページを通じて商品を購入する企業はございますか

安井 実際には、以前はECサイトを運営していましたが、現在は廃止されています。商品の特徴を適切に伝えることが難しいため、直接の営業対応が主流となっています。

Q.経営上、現在最も注目している課題は

安井 現在、最も重要視しているのは人材育成です。適切な人材が育つためには何が必要か、どのような教育が適切かを考え、サービスを提供する企業の選定などを行っています。私たちは、特定の個人に依存する経営体制ではなく、全員が貢献できる体制を目指しています。スーパーマンに依存せず、組織全体が成長できる体制を構築することが重要です。そのために、教育体系を整備し、適切な人材育成を進めているところです。

Q.一人前の社員になるにはどのくらいの期間が必要ですか

安井 営業職ではおよそ3年間が必要ですが、技術者にはさらに時間がかかります。実務経験を通じて必要なスキルを身につけるため、個人の素質や部署によって異なりますが、短期間で成長することも可能です。

投資家の皆さまへ

安井: 今日は長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。IR活動を通じて、株主や将来の投資家にとって魅力的な企業であることを訴求し、企業価値を高める努力を続けています。今後も皆様に有益な情報を提供して参りますので、引き続きのご支援をお願いいたします。

 

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