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[書き起こし・要約]note(5243)IRセミナー&質疑応答 2024.3.16開催

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2024.3.16しましたnote(5243)のIRセミナー&質疑応答の書き起こしになります。

登壇者 取締役CFO 鹿島 幸裕 氏
[資料]

IRセミナー

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noteのCFOを務めております鹿島と申します。私は実は名古屋出身で、生まれも育ちも名古屋でございます。今回、昨日名古屋に到着し、実家に泊まり、本日は東山線でこちらまで参りました。

さて、今日noteがテレビで取り上げられました。朝8時からの中京テレビ、日本テレビ系列の「ウェークアップ」という番組で、noteも取り上げられたのですが、ご覧になった方はいらっしゃいますか。あまりいないようですね(笑)。

番組のテーマは、投資が世間的に盛り上がっているという内容でした。NISAなどの制度もあり、投資への関心が高まっています。noteでは様々なトピックのコンテンツが人気を集めていますが、、投資や金融経済などのジャンルも盛り上がっています。投資や株式に関する情報を得ようとすると、noteが真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。

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本日は、noteという会社について、それから今年1月に発表した通期決算と成長戦略についてお話しさせていただきます。

会社概要

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まず、私自身の経歴についてご紹介します。先ほどお話ししたように、名古屋出身で、大学は東京に進学し、その後海外留学も経験しました。キャリアは、新卒で外務省に入省するという、現在とは全く異なるスタートを切りました。

その後、自分のやりたいことを見つめ直し、ビジネスの世界に転身しました。コンサルティング会社や、価格.comや食べログを運営するカカクコムでの事業開発や経営企画を経験し、ファンドが投資する美容室チェーンのCFOを務めた後、5年ほど前にnoteに参画しました。

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note社は2011年に設立され、今から10年以上前のことになります。noteというサービス自体は、2014年にスタートしたので、ちょうど今年で10周年を迎えます。現在の従業員数は161名ほどで、2022年12月に上場し、1年3ヶ月が経過しました。

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当社のミッションは「だれもが創作を始め、続けられるようにする」というものです。これは創業者であり現在も代表を務める加藤のバックグラウンドと深く関わっています。

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加藤は元々出版社の編集者で、「もしドラ」をはじめとする数多くのヒット作を世に送り出してきました。彼自身は編集者として成功を収めていましたが、出版業界自体はインターネットの台頭により縮小傾向にありました。

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出版やテレビ、新聞などのメディアが、インターネットの影響を受けて、コンテンツ流通の機能が弱体化している状況を憂慮し、noteというサービスを立ち上げたのです。

ここで、コンテンツ産業の構造について、少しマクロな視点からご説明させていただきます。テキストや音声、漫画、イラスト、動画など、様々なコンテンツが世の中に広く流通し、経済的にも成功するためには、「クリエーション」「ディストリビューション」「ファイナンス」の三つの段階が必要だと考えています。

クリエーションでコンテンツを生み出し、ディストリビューションでそれを世の中に届け、ファイナンスで収益化する。このエコシステムが機能しないと、コンテンツ産業は成り立ちません。逆に言えば、出版やテレビ、新聞などの従来メディアは、このエコシステムを確立していたからこそ、長く栄えてこられたのです。

出版業界を例に取ると、クリエーションは出版社と著者が協力して本を作ること、ディストリビューションは取次を介して全国の書店に本を届けること、ファイナンスは取次の金融機能により出版社が前払いで資金を得ることを指します。

この仕組みにより、全国津々浦々の書店に、最新の人気作品が並ぶようになりました。私たちは子供の頃から、ドラゴンボールやワンピース、ポケモンなどのコンテンツに親しむことができ、それが日本のコンテンツ産業の発展につながったのです。

また、取次の金融機能により、出版社は本が売れる前からキャッシュを得ることができ、それを元手に次の作品を生み出すことができました。市場が拡大し続ける限り、この好循環が続いたのです。

テレビや新聞も、同様のディストリビューションとファイナンスの仕組みを持っていました。しかし、インターネットの登場により、この仕組みがうまく機能しなくなってきています。

実はインターネットにもディストリビューションとファイナンスの仕組みはあります。検索エンジンやSNSがコンテンツのディストリビューションの役割を果たし、ネット広告がファイナンスの役割を担っています。

しかし、検索エンジンのアルゴリズムは操作可能で歪みが生じやすく、SNSでは過激な発言が拡散されやすいという問題があります。また、ネット広告の収益性は低く、10万ページビューを獲得しても数万円程度の収入にしかなりません。

この程度の収益では、新しいコンテンツを生み出すための原資にはなりません。そのため、インターネット上では、時間と手間とお金をかけた質の高いコンテンツが少ない状態が続いているのです。

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現に、著名な作家がブログに新作を発表し、広告で収益を上げるということは起きていません。既存の書店流通の方が圧倒的に大きなビジネスになるからです。

また、動画コンテンツについても、著名な映画スタジオがYouTubeで作品を公開し、広告収入を得るというビジネスは主流になっていません。確かに、すごく話題の映画作品であれば、広告収入だけでも数億円規模のビジネスにはなるかもしれません。しかし、映画館で公開すれば数十億円、数百億円といった文字どおり桁違いの収益を上げることができます。

つまり、インターネット上では、高品質なコンテンツを制作するための十分な資金を得ることが難しいのです。ただし、最近はこの状況に変化が見られます。例えば、Netflixは広告ではなく、ユーザーからの課金でマネタイズしています。課金モデルは広告に比べて収益性が高く、クリエイターに多くの資金が還元されます。

Netflixは、課金によって得た高い収益を、オリジナルの映像コンテンツの制作に投資しています。一流のクリエイターを起用して時間と手間とお金をかけることで、質の高いコンテンツが生み出され、ユーザーは喜んで課金をする。こうした好循環が生まれているのです。

一概に広告モデルが悪いと言っているわけではなく、良いところはたくさんありますが、これまでの問題は、広告一辺倒で課金という選択肢がなかったことにあります。Netflixに代表されるように、その状況は少しずつ変わりつつあります。

私が長々と説明した理由は、noteがインターネットのこれまでの欠点を改善しようとしているサービスだからです。まず、ディストリビューションについては、noteに投稿すれば多くのユーザーに見てもらえる仕組みを用意しています。SEO対策などを意識せずとも、たくさんの人に効果的に作品を届けることができます。

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そして、何より重要なのがファイナンス、つまりマネタイズの部分です。noteは課金によるマネタイズを採用しているため、クリエイターに高い収益性を提供できるのです。Netflixの場合、コンテンツの制作も自社で手がけていますが、noteはあくまでプラットフォームとして機能します。多くのクリエイターがCtoC(Consumer to Consumer)の形で参加し、noteがディストリビューションとファイナンスを担当するという構造になっています。

つまり、noteは単なる投稿サイトやブログではなく、過去100年ほど続いてきたコンテンツ産業のビジネスモデルを、インターネットの時代に合わせて再構築しようとしているのです。このままでは、インターネットが主流となる中で、質の高いコンテンツが流通する仕組みが失われてしまいます。noteは、デジタル時代に対応した新しいクリエーション、ディストリビューション、ファイナンスの仕組みを提供することで、この根本的な課題に取り組んでいるのです。

事業概要

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私たちが手がけているのは、非常に基礎的で重要なインフラの構築だと理解いただければと思います。具体的な事業内容としては、CtoC(Consumer to Consumer)のプラットフォームである「note」と、法人向けサービスの「note pro」があります。また、企業とのコラボレーションによる収益化にも取り組んでいます。売上の大部分は「note」と「note pro」によるものなので、本日はこの2つを中心にご説明いたします。

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「note」は、大規模なCtoC(Consumer to Consumer)のメディアプラットフォームに成長しました。エッセイなどのテキストコンテンツをはじめ、プロのミュージシャンによる音楽、漫画、写真、イラスト、動画など、実にバラエティに富んだコンテンツが投稿されています。インターネットならではのコンテンツとしては、データファイルの販売なども行われています。例えば、私のようなCFO、ファイナンスの領域だと、財務モデルのエクセルファイルを有料で提供するクリエイターもいらっしゃいます。

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ここで、noteのコンテンツと従来の書籍の違いについて、よく聞かれるので少し掘り下げてみましょう。私も書籍は大好きなのですが、noteは書籍と競合しているわけではなく、従来の書籍に代表されるコンテンツ市場を補完し、さらに拡張しているということができます。たとえば、noteの特徴として、書籍よりも自由なフォーマットを採用しており、形式に制限がありません。

皆さんもご存知の通り、ビジネス書などの書籍は大体200ページほどの分量があります。しかし、5ページや10ページ程度の本は書店には並んでいません。

これは、本というものが書店の棚に並ぶために、物理的な制約を受けているからなのです。本屋さんの棚に並んで自立して背表紙が見えるようにするためには、ある程度の厚みが必要になります。逆に、3000ページにもなるような大部の本も、流通させるのが難しくなります。棚の制約がありますので、一定の規格を外れるものは流通させにくいという事情があります。

つまり、本は書店という物理的な制約に合わせて、200ページから300ページ程度の分量が標準になっているのです。本来なら、知識の伝達のために情報量のバリエーションは色々あって然るべきなので、10ページ程度でも十分に内容が成立するようなものが数多くあるはずです。しかし、「本を書く」となると200ページ以上を書かなければならない。そのためには相当の労力が必要で、誰もが簡単に挑戦できるものではありません。

noteの場合、デジタルコンテンツですので、書籍のように物理的な制約がありません。500文字や1000文字程度の短いコンテンツから、1万字、5万字、10万字といった長文のコンテンツまで、自由な分量で作品を公開できます。また、テキストだけでなく、データファイルや動画、音声なども組み合わせることができ、書籍とは比べものにならないほどの自由度があります。

価格設定についても、noteは100円から10万円まで自由に設定可能です。一般的な書籍は、幅広く流通させるために1,000円から2,000円程度の価格帯に収まっていますが、noteでは、クリエイターの方が自分の知識や経験に見合った価格を付けることができます。例えば、専門的なビジネス知識であれば、1万円や5万円といった価格設定も十分に可能です。なぜなら、我々はビジネスの専門的な知識やスキルを身につけるために、一般社会でそれくらいの価格帯のお金を支出したことがあるからです。

また、価値の面でも、書籍は一般的な知識を提供することが多いのに対し、noteでは個人の持つ独自の知見やニッチな情報、タイムリーな話題なども扱うことができます。つまり、noteは従来の書籍市場よりもはるかに広い領域をカバーしているのです。

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具体例として、元日経新聞記者の後藤さんは、月額500円で経済ニュースを配信し、約3万人もの有料購読者を獲得しています。これは日本でも最大級のサブスクリプションコミュニティと言えるでしょう。彼は日銀の利上げ議論やアメリカの経済政策など、タイムリーな情報をいち早く提供することで、多くの読者を引き付けているのです。このように、noteというプラットフォームを通じて、個人のクリエイターが大きな影響力を持つようになってきています。

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次に、法人向けサービスの「note pro」についてご説明します。noteがプラットフォーム上での売買手数料をビジネスモデルとしているのに対し、note proは月額8万円で提供するSaaS型のサービスです。機能面ではnoteの拡張版と位置づけられます。

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企業にとっても、コンテンツや情報発信を通じて自社のビジネスを盛り上げたいというニーズがあります。しかし、自社でサイトを構築し、コンテンツを制作し、集客から効果測定まで行うのは容易ではありません。note proを使えば、ノーコードでサイト構築ができ、AIや専門スタッフがコンテンツ制作を支援してくれます。

最大の魅力は、月間5,000万人のユーザーが訪れるnoteとつながっているため、集客力が格段に高いことです。自社サイトを作るだけでは、誰にも見てもらえない可能性がありますが、note proなら効果的なリーチが期待できるのです。

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note proの活用シーンは多岐にわたります。既存メディアのデジタル化やサブスクリプション化、大企業のブランディング、ベンチャー企業の採用活動など、あらゆる情報発信に役立てられています。大手からベンチャー、投資会社、官公庁まで、幅広い業種・業態の企業に利用されているのが特徴です。

業績概要

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最後に、業績についてお話しします。今年の1月に発表したFY23通期決算によると、昨年1年間の売上高は27億7700万円で、前年比約20%の成長を遂げました。一方、営業損失は3億8000万円となっています。

ただし、前年の赤字が7億3200万円だったことを考えると、赤字幅は半減しています。当社は赤字上場したグロース企業ですが、昨年は収益性を重視した結果、引き続き成長を実現しつつ着実に収益性が改善しているのです。

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特に注目していただきたいのは、四半期ごとの推移です。第1四半期から第4四半期にかけて、赤字幅が着実に縮小しており、直近では1,600万円まで減少しました。黒字化に近づいていることがうかがえると思います。

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売上についても四半期ごとに成長を続けており、直近の第4四半期は過去最高の7億2,200万円となっています。事業別の内訳を見ると、CtoC事業のnoteが全体の8割を占め、note proが15%ほどを占めています。いずれの事業も着実に成長しています。

今後の成長戦略・業績予想

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時間の関係で一部割愛させていただきますが、今後の成長戦略についてご説明いたします。まず、noteプロダクト自体の価値を高めるために、先ほどお話ししたクリエーション、ディストリビューション、ファイナンスの三つの機能を充実させていく方針です。

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クリエーションについては、AIを活用してコンテンツ制作をサポートするなどの施策を進めます。ディストリビューションでは、AIを用いてマッチングの精度を高め、最適なコンテンツが最適な読者に届くようにします。ファイナンスでは、クリエイターへの収益還元を増やすために、ポイント制の導入やアプリの強化などに取り組んでいます。

AIについては、当社でも積極的に投資を行っており、マッチングやレコメンデーションにおける活用実績があります。また、大規模言語モデル(LLM)とnoteの持つ大量のテキストデータとの親和性の高さから、AIを活用した新たな機能開発にも力を入れています。AIアシスタントによる創作支援機能などがその一例です。昨年にはAI関連の子会社も設立し、開発投資を加速させています。

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メディア露出も活発化しており、テレビ番組での特集も増えてきました。これにより、noteというプラットフォームの認知度を高め、裾野を広げる活動を行っています。

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note proについては、法人のニーズに合わせた機能開発を進めています。情報発信を通じて多くの人に届け、集客やビジネス成果につなげたいという法人の要望に応えるべく、サービスの拡充を図っています。

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マネタイズの面では、今年1月にポイント制を導入しました。ユーザーのアクションに応じてポイントを付与したり、購入時にポイントを還元したりすることで、note上での売買を促進する狙いです。

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また、近日中にアプリの機能強化も予定しています。これまでアプリ上ではコンテンツの購入ができませんでしたが、ポイント制の仕組みを活用することで実現できる見通しです。アプリでの購入が可能になれば、クリエイターへの収益還元の機会が増え、note上での取引がさらに活性化することが見込まれます。

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noteの成長余地は非常に大きいと考えています。オンラインでコンテンツにお金を払う習慣はまだ十分に浸透していませんが、将来的には当たり前のことになると予想しています。かつて電車の中では本や新聞を読むのが一般的でしたが、今はスマートフォンを見ている人がほとんどです。無料コンテンツを意識せず消費しているのが現状ですが、価値あるコンテンツには対価を払う文化が根付いていくはずです。

実際、noteが生まれた10年前は「インターネットのコンテンツに誰がお金を払うのか」と言われましたが、今では上場企業になるまでに市場が広がりました。Amazonのようなeコマースも、最初は懐疑的に見られていましたが、今や車や家までもがインターネット上で売買される時代です。オンラインでコンテンツに対価を払うことも、いずれ当たり前になるでしょう。

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オンラインテキストコンテンツの市場規模は1.6兆円と言われています。noteの流通金額は137億円ですから、シェアは1%にも満たない状況です。一般的な業界であれば、シェア10%などは珍しくありません。いきなり10%というのは難しいかもしれませんが、2倍、3倍といった成長は十分に可能だと考えています。マクロ的には、このような世界観が広がり、noteの事業機会も拡大していくはずです。

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加えて、新規領域への挑戦も進めています。一つは、noteで開発したAIを含む各種ツールを、外部のメディア企業や一般法人に提供するというビジネスです。note proもその一環ですが、さらにAIの開発を促進したりして、汎用的なソリューションとして外販していく方向性があります。

もう一つは、noteとは別の特化型サイトの立ち上げです。具体的な内容は控えさせていただきますが、たとえば投資やエンタメなど、noteで盛り上がりを見せている特定の分野に特化したサイトを作ることで、よりコアなユーザーに最適な形のサービスを提供していくことを考えています。

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つまり、法人向けサービスの強化と、noteの特定カテゴリーを深掘りするような新サービスの展開という二つの方向性で、事業の拡大を目指していきたいと考えております。

ここに加えて、基盤技術としてAIへの投資を促進し、より良いサービスを作り上げていくことに注力したいと考えています。

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成長イメージについてお話しします。昨年は約20%の成長率を達成し、今期も売上成長率20%をガイダンスとして示しています。しかし、私たちはまだグロース企業として、「誰もが創作を始め、続けられるようにする」というミッションの序盤に過ぎないと認識しています。今後も高い成長率を実現していく必要があると考えています。

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まず、既存のnoteとnote pro自体には大きな成長余地があると見ています。先ほどお話ししたマーケットサイズを考慮すると、まだまだ伸ばせる余地は十分にあるでしょう。加えて、先ほど申し上げた新規事業、すなわち法人向けサービスや特定領域の深掘りなども展開していきます。中長期的には、現在の20%から成長率を引き上げ、30%といった水準を目指したいと思います。

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今期(2024年)については、まだ第1四半期の発表前ですが、売上成長率は20%程度を見込んでいます。また、今期は新規領域への投資も積極的に行う予定です。その結果、営業損益については、昨年から赤字幅は大幅に縮小するものの、依然としてマイナスのガイダンスを出しています。

この赤字の背景について率直に申し上げると、現在は黒字化の境界線上にいる状態です。ここであえて赤字を見込んでいるのは、小さくまとまるのではなく、中期的な成長角度を高めていくことが株主の皆様のメリットにつながると考えているからです。今期は新規領域への一定の投資を行うことで、収益性は重視しつつも、結果として8,000万円の赤字を計上する見通しです。

以上が今期の成長戦略と業績予想になります。

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当社ではIR活動にも力を入れています。本日のような貴重な機会をいただいたり、4月30日には第1四半期決算を受けた個人投資家向けのオンラインIRセミナーを開催する予定です。

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また、「IRnoteマガジン」という取り組みも行っています。これは、note上で70社以上の企業がIR情報を発信している中で、当社がそれらを束ねてマガジン形式で提供するものです。従来、企業のIRは証券会社主催の対面型イベントが主流でしたが、noteを通じてよりカジュアルに、読みやすく情報を届けることができます。このマガジンをフォローいただくと、様々な企業の最新IRニュースが届く仕組みになっています。ぜひ検索してフォローしていただければと思います。

もちろん、当社自身もnote上で積極的に情報発信していますので、こちらもフォローいただけますと幸いです。

少し飛び飛びになってしまいましたが、私からの説明は以上となります。ありがとうございました。

質疑応答

Q: 日経新聞社がnoteの株式を上場前から保有されていますが、noteに価値を感じて株式を保有されていると想像しています。日経新聞社とのエピソードがありましたら、ご教示いただけますでしょうか。

A: 日経新聞社から出資いただいた経緯は、今から5年以上前、まだ未上場の頃にさかのぼります。先ほどお話ししたように、出版や新聞といった既存のメディア企業は、デジタルやインターネットの台頭で既存のディストリビューションやファイナンスの役割をアップデートする必要が生じています。そんな中、noteの新しいコンテンツ流通インフラに価値を感じていただき、出資に至ったのです。

具体的な施策としては、日経新聞社と共同で経済ニュースやビジネス領域に関する投稿コンテストを実施したり、noteへの投稿が日経新聞の電子版や紙面に掲載されるといった取り組みを行っています。

週刊少年ジャンプ+やマガジンといった出版社や新聞社とも様々な取り組みを進めていますが、彼らにとっては、noteに集まるクリエイターの発掘が大きな魅力となっています。

かつて漫画家志望者は出版社に持ち込みをし、編集者の目に留まることで雑誌連載や出版のチャンスを得ていました。しかし今は、才能あるクリエイターがインターネット上で自由に作品を発表できる時代で、noteにもたくさんのクリエイターが集まっています。出版社や新聞社は、noteでのコンテストを通じて、そうした才能の発掘を図っているのです。日経新聞社も、ビジネス系のクリエイターがnoteに集まっていることに価値を感じくださり、共同の取り組みを行っています。

Q: 鹿島CFOにお伺いします。CFOはなぜnoteに転職しようと思われたのでしょうか。また、なぜ外務省に入省しようと思われたのでしょうか。経歴について興味がありますので、ぜひお聞かせください。

A: 私は元々、社会にインパクトを与えるような仕事がしたいと考えていました。高校生当時の知識では、そのためには国家公務員、特に官僚になるのがよいのではないかと思い、外務省に入省しました。

しかし、これは私のせいですが社会のことをよく知らず視野が狭かったという反省があります。外交官という仕事自体は素晴らしいのですが、「社会にインパクトを与える」という目的に照らした時に、何も官僚だけがそれを実現するための唯一の職業であるわけもなく、私の適性や志向を考えてキャリアを見つめ直し、ビジネスの世界に転身することを決意しました。

noteを選んだ理由は二つあります。一つは、多くのユーザーに親しまれているサービスの規模と広がりに魅力を感じたこと。もう一つは、先ほどお話ししたコンテンツ産業の構造的な問題意識を共有できたことです。

既存のメディア産業はインターネットの台頭でビジネスモデルの見直しが迫られており、優れたコンテンツの流通の場が減少しているという課題があります。noteの加藤代表とこの点について話し合い、強く共感を覚えました。まだ道半ばではありますが、noteという多くのユーザーに支持されるサービスを通じて、社会を変えていきたいと考えています。

Q: 良いクリエイターに活躍していただくのが理想ですが、悪質なクリエイターへの対策はどのように行っていますか。過激なコンテンツへの検閲や、誹謗中傷、競合他社への悪口など、問題のあるコンテンツへの対応について教えてください。

A: noteには現在約4,000万件ものコンテンツがあり、日本でも最大級のプラットフォームとなっています。すべてのコンテンツをチェックするために、AIも活用しながら、コンテンツの性質を分析しています。

AIによる全件チェックに加え、人の目でもコンテンツを確認しています。AIがアラートを上げたコンテンツについては、特に重点的に人間が目を通す体制を整えています。さらに、ユーザーの皆様から問題のあるコンテンツを通報していただく仕組みも用意しています。

この三重の体制、すなわちAIによる全件チェック、人の目による徹底的な確認、ユーザーからの通報により、安心・安全なプラットフォームの維持に努めています。上場の過程では、東京証券取引所とも綿密にコミュニケーションを取り、チェック体制について入念に詰めました。4,000万件もの多様なコンテンツがある中で、noteは安心して利用できるプラットフォームだと自負しています。

特にnoteでは、炎上が起こりにくい傾向があります。それは、noteのビジネスモデルが広告ベースではないからです。多くのインターネットサービスでは、PV(ページビュー)を稼ぐことが収益に直結しますが、noteにはその構造がありません。炎上してPVが増えても、クリエイターには直接的なメリットがないのです。

つまり、noteは炎上を誘発するインセンティブ構造になっていないのです。チェック体制の強化とサービス設計の両面から、安心・安全なプラットフォーム作りに注力しています。もちろん、規約違反のコンテンツについては、毅然とした対応を取らせていただいております。

Q: ユーザー目線の質問です。noteで収益を得たいと思ったとき、どのような点に気をつけたら良いでしょうか。また、どのようなコンテンツが売れるのでしょうか。一番売れる価格帯についても教えてください。

A: noteでは実に多様なコンテンツが売れています。特に、自分の知識や得意分野、好きなことにフォーカスするのがよいでしょう。

書籍の場合、最低でも5,000部から1万部は売れないと成立しません。1万部ということは、興味ある人の1%が買うとして、100万人が関心を持つようなテーマでないと、そもそも出版できないのです。

しかしnoteでは、1万部売れる必要はありません。100人に買ってもらえればよいのです。先ほどの例でいうと、1万人が関心を持つニッチなテーマについて、100人が購入してくれればビジネスが成り立ちます。

たとえば、カブトムシの育て方について、その中でも特に東南アジアの特定の種に特化して書くとします。そんな本は書店には並びません。なぜなら、カブトムシの飼育自体は素晴らしい趣味だと思いますが、さらにそこからテーマを絞ると書店流通にのるほどマス向けの題材とは言えないからです。しかし、あくまで例なので数字は仮ですが日本に1万人くらい東南アジアのカブトムシに関する愛好家がいるとして、その中で、あなたの持つ独自の知見やノウハウに1万円の価値を感じる人が100人いれば、100万円の売上が立ちます。自分の趣味の領域で1万円くらいの金額を投資したことって、みなさんあるのではないでしょうか。

大勢の関心を集める必要はないのです。自分の好きなこと、情熱を注げることをとことん追求し、コンテンツ化することが肝要だと私は考えます。

もちろん、マーケティング的な要素を取り入れることで、さらに販売を伸ばすこともできるでしょう。しかしnoteは、ディストリビューションとファイナンスの最適化を実現するインフラを提供していますから、無理に売れ筋を狙う必要はありません。

結論として、自分の好きなこと、熱量のあることをコンテンツ化し、届けていくことが最も大切だと思います。

Q: 貴重なお話ありがとうございます。21ページのnote proに関する質問です。現在の月額利用料は8万円ですが、2023年2月に5万円から8万円に値上げしたとのことで、かなり強気な印象を受けました。この値上げ以降の登録数の増加について教えていただけますか。

また、売上に占めるサブスクリプション型のnote proの割合をどの程度まで引き上げたいとお考えでしょうか。現在のnoteとnote proの売上比率と、将来的な目標があれば併せてお聞かせください。

A: ご質問ありがとうございます。note prpは当初、月額5万円で提供していましたが、昨年の第1四半期から第2四半期にかけて月額8万円に値上げしました。既存の5万円契約のユーザーには値上げを適用せず、新規ユーザーから8万円の料金を適用する形で切り替えを行いました。

その結果、2022年第4四半期から2023年第1四半期にかけて契約件数が635件から690件に増加しました。これは値上げ前の駆け込み需要によるものです。第2四半期以降は8万円の料金となるため、今のうちに5万円で契約しておこうという動きが見られたのです。

その反動で、第2四半期と第3四半期は件数の伸びが鈍化しました。新規獲得と解約があるため、全く増えていないわけではありませんが、件数が伸び悩む結果となりました。しかし、第4四半期には734件まで回復し、前四半期比で29件の増加を記録しています。

値上げの背景には、コストの上昇を反映させる狙いもありましたが、note proでは件数よりも売上を重視しています。SaaS(サブスクリプション型サービス)でよく用いられる指標であるARR(年間経常収益)で見ると、第4四半期は4億6,800万円に達し、前年同期比で約30%の成長を遂げています。値上げの影響は今後も注視する必要がありますが、単価の上昇が売上の増加に一定程度寄与していると考えています。

将来的なnote proの売上比率については、明確な数値目標は設定していませんが、noteとnote proが1対1程度の割合になることが理想的だと考えています。現在、noteプロの売上比率は約15%ですが、この割合を着実に高めていきたいと思います。会社のポートフォリオとして、noteとnote proが半々となり、そこに新規事業の売上が上積みされるような構成が安定的だと考えています。

Q: noteが上場した際にロゴを変更されましたが、そのストーリーやエピソードを教えてください。私は20年近く投資に携わってきましたが、ロゴや社名、会社の理念が変わるタイミングで会社が揺らぐケースを多く見てきました。一方で、良い方向に変化するケースも少なからずあります。このタイミングでのロゴ変更には何か意図があるのだと思います。差し支えない範囲で構いませんので、ぜひお聞かせください。

A: 当社は2011年の創業当時、「ピースオブケイク」という社名でした。2014年にnoteサービスを立ち上げ、それが大きく成長したことを受けて、2020年に社名を「note」に変更しました。「ピースオブケイク」という会社がnoteというサービスを提供していると説明するよりも、noteの会社だと言った方がシンプルでわかりやすいからです。

ただ、社名変更の際にはロゴを刷新せず、それまでのロゴを使い続けていました。上場を機に、ロゴを現在のデザインに変更したのです。上場はしたものの、「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」というミッションに向けては、まだ序盤に過ぎないという認識でした。上場後も、できるだけ多くの人に知ってもらい、使ってもらいたいと考えています。2倍、3倍、5倍、10倍と、より多くのユーザーに届けたいという決意を示すために、ブランドの見直しとロゴの変更に取り組みました。

新しいロゴのデザインには、いくつかの意図があります。noteのUIやUXはシンプルで、多くのユーザーが意識せずに利用しています。Instagramやfacebookのように一目でわかるサービスとは異なり、noteはインフラとしての存在を目指しているのです。

出版社や取次店を意識せずに本を読むように、noteというプラットフォームにおいてはあくまでクリエイターが主役で、コンテンツ流通のインフラを提供することを実現したいと考えています。デザインには様々な意図があるため、私個人の解釈も含んでいますが、できるだけシンプルなデザイン、それでありながらインフラとして力強く信頼できるサービスをあらわすロゴになっていると感じています。

Q: 大変申し訳ありませんが、私はnoteのことをよく知りませんでした。月間アクティブユーザー数が5,145万人というのは、子供や高齢者を除けば国民の半数近くが利用していることになります。私自身、全く利用していなかったと思います。YouTubeの場合、月間アクティブユーザー数は何人くらいなのでしょうか。

A: 月間アクティブユーザー(MAU)が5,000万人というのは、ユニークブラウザですが、ブラウザベースで月間で5,000万人がnoteを訪れているということです。先ほども申し上げた通り、多くの方が無意識のうちにnoteを見ていると思います。YouTubeの日本における月間アクティブユーザー数は手元ですぐ出てきませんが、おそらく数千万人規模だと考えられます。

ただし、YouTubeの場合、ユーザーは動画を見ようと意識してYouTubeにアクセスしていると思います。一方、noteは無意識のうちに利用されているケースが多いと思います。まだYouTubeほどのエンゲージメントは獲得できていないと認識しています。

Q: 御社の売上高は33億円ですが、オンラインテキストコンテンツ市場が1.6兆円規模だとすると、まだまだシェアは小さいように感じます。Amazonなどは御社のライバルに当たるのでしょうか。

A: コンテンツを届けるという意味では、Amazonと似ている部分があるかもしれません。ただ、直接の競合とは捉えていません。

Q: 御社の業界のトップ企業はどこになりますか。

A: よく「noteの競合はどこですか」と聞かれるのですが、これと言って特定の企業を挙げることができません。Amazonがライバルだとか、InstagramやTwitterだとか、あるいは国内の特定企業がライバルだとか、そのように想定しているわけではありません。

どの企業も部分的にはnoteと似た要素を持っており、コンテンツを届けるという意味では提供価値は似ている部分があります。しかし、コンテンツのディストリビューションとファイナンスのインフラとして、noteと全く同じことをしている会社はないと考えています。それがnoteのユニークさであり、強みでもあります。アプローチは様々なので他社のビジネスモデルを否定するものではなく、棲み分けや補完関係も存在します。

Q: 先ほどnoteのホームページを拝見したところ、「noteのAIアシスタントが誰でも利用可能に」「機能のパワーアップ」といった記述がありました。これらの取り組みの費用対効果はどの程度見込まれているのでしょうか。

A: AIアシスタントの基盤としては、昨年話題となったGPTなどの言語モデルを活用しています。これらのモデルを利用する際には、リクエスト量に応じて料金が発生します。

無料ユーザーにも一定の利用制限の下で提供していますが、有料ユーザーについては制限を緩和したり、より高度な機能を使えるようにしたりしています。月額8万円のnote proユーザーは、無制限に利用いただけます。

このように段階的に利用条件を設定することで、無制限の利用によるコスト増大を防いでいます。無料プランでも利用できる一方で、回数制限を設けるなど、コストとのバランスを意識した運用を心がけております。

Q: AIのサービスを今後増やしていくという印象を受けました。AIを開発する際の資金源はどこから調達するのでしょうか。また、AIの学習に使用するデータベースはどこを基準にしているのでしょうか。

A: AIと一言で言っても、様々なレイヤーがあると考えています。多くの企業がAIに取り組んでいますが、当社がMicrosoftと同等の投資を行うことは現実的ではありません。実際には、ほとんどの企業がアプリケーションレイヤーで勝負しているのが実情です。

当社も、GPTやChatGPTをはじめとする既存のAIエンジンを活用し、そのうえでアプリケーションやサービスを開発する想定です。したがって、たとえばデータセンターへの投資など、大規模な設備投資は必要ありません。AIアプリケーションの開発には、エンジニアへの投資が中心となります。

Q: 50ページの内容について質問です。PR活動によって成果を上げたとのことですが、PR会社を利用されているのでしょうか。また、その費用対効果はいかがでしょうか。

A: 最近のテレビ放送に関して、特にPR会社は利用しておりません。社内にPRチームがあり、そのメンバーがテレビ局やメディアの方々とコミュニケーションを取り、放送が実現しています。テレビ露出のために直接的な費用を支払っているわけではありません。

Q: 音声AIや読み上げ機能は、noteとの親和性が高いように感じます。そのような機能の導入予定はありますか。

A: 現時点では、音声を活用した具体的なリリース予定はありません。ただし、ご指摘の通り、様々な可能性があると考えています。noteではテキストだけでなく、音楽、音声、漫画、イラスト、データファイルなど、多様なコンテンツが投稿されています。

テキストを音声で読み上げるような機能により、目で見なくても耳でコンテンツを楽しめるようになるかもしれません。コンテンツの届け方は、ユーザーのニーズに合わせて多様化していくことはあり得ると思います。

Q: 御社のサーバーは国内の事業者を利用されていますか。それともAmazon Web Servicesなどのグローバル企業のサービスを利用されていますか。

A: 当社では主にAmazonのクラウドサーバー、Amazon Web Services(AWS)を利用しています。

Q: となると、現在の円安の影響を受けているのでしょうか。

A: はい、円安の影響を受けます。当社に限らず、多くのインターネット企業が同様の課題を抱えています。当社の場合、コストの中で通信費が比較的大きな割合を占めており、これがサーバー代に相当します。円安の影響で、ドル建ての支払いが増えるため、通信費が膨らみやすい傾向にあります。円高になれば逆に縮小しますが、現状では通信費の増加が見込まれます。

Q: 今後、新規事業を伸ばしていくというお話がありました。具体的に、新規事業の種まきのためにどのような取り組みを行っていますでしょうか。お答えいただける範囲で構いません。

A: まず新規事業への投資という観点では、当社の核となる価値はプロダクトにあるため、特にエンジニアやデザイナーといった開発領域の人材に対する投資を重視しています。既存社員の給与アップや、外部からの新規採用など、様々な形での投資を行っています。

新規アイデアについても、社内で活発に検討を重ねています。具体的な内容は控えさせていただきますが、AIへの投資は積極的に行っており、AIアシスタントのような機能はその一例です。

また、コンテンツのチェックにもAIを活用しており、不適切なコンテンツや炎上リスクの判定などに役立てています。こうしたAIアプリケーションを社内で使うだけでなく、同様のニーズを持つ他社に提供していくことも考えられます。

くわえて、noteで盛り上がりを見せている特定ジャンルに特化した新サービスの立ち上げも考えられます。現在の主力事業である「note」「note pro」に続く、新たな収益の柱を育てていきたいと考えています。

Q: 先ほど、noteが「かなり安心できるプラットフォーム」だとおっしゃっていました。ということは、完全に安心できるプラットフォームではないということでしょうか。何か課題などがあるのでしょうか。

A: 安心・安全の基準は人によって異なるので、一概には言えません。その基準を突き詰めていくと、何も発言しないことが最も安全だということになるかもしれません。しかし、表現の自由と安心・安全はトレードオフの関係にあります。

noteは、多様な考え方やコンテンツが共存するプラットフォームであるべきだと考えています。一方で、どこまでが自由で、どこからが不快や違法なのかという線引きは難しい問題です。社会的な合意やその時々のユーザーの感覚によっても変化します。

noteでは利用規約を設けており、これに違反するコンテンツは削除やアカウント停止の対象としています。加えて、不快に感じる人が少なくないコンテンツについては、レコメンデーションを工夫するなどして、誰もが快適に利用できる環境作りに努めています。これは当社に限らず、メディアや情報流通に関わる全ての企業が直面する課題だと思います。

他のインターネットプラットフォームと比較すると、noteは誹謗中傷などのリスクが比較的低いと言えます。これは、noteのインセンティブ設計が炎上を誘発しにくいためです。クリエイターにとって、炎上はメリットにならないのです。こうした点から、noteは他のプラットフォームと比べて安心・安全な場だと考えています。

Q: noteの月間購読者数は順調に伸びていますが、将来的に伸びが鈍化する可能性はないのでしょうか。現時点で鈍化は想定していないとのことですが、その理由を教えてください。

A: まず、当社の売上の8割を占めるnote事業の売上は、流通総額(GMV)にテイクレート(手数料率)を掛けたものです。したがって、流通総額を伸ばすことが当社のビジネス上、非常に重要な指標となります。

流通総額は、月間購読者数と1人当たりの利用金額のかけ算で表されます。現在、月間46万人のユーザーが平均2,547円を利用しており、そのかけ算が四半期あたり35億円の流通総額になります。ご指摘の通り、月間購読者数は右肩上がりで伸びています。

この数字は今後も伸び続けると考えています。むしろ、伸ばさなければなりません。なぜなら、現状インターネット上でコンテンツに対価を払うユーザーはまだ一部に過ぎません。noteを見ている人は多いものの、実際に購入している人は限られているのが実情です。

しかし、オンラインでのコンテンツ市場そのものは確実に成長していくでしょう。noteは10年前からこの市場を開拓し、育ててきました。Amazonや楽天をはじめとするeコマースの台頭を考えれば、インターネット上でコンテンツに対価を払うことも当たり前になっていくはずです。

ですので、市場の成長自体は私は間違いないと考えています。その市場の拡大に合わせて、noteがそのシェアを獲得できるかどうかは我々の努力次第です。拡大する市場の中で、売上を着実に伸ばしていくことが私たちの責務だと考えています。

Q: 株価対策としても有効だと思うのですが、ポイント制度が導入されました。それを踏まえて、株主優待制度を導入する予定はありますか。例えば、ポイントの付与などを行えば、株主になるニーズも高まるのではないでしょうか。

A: 将来的には可能性があると考えています。ただし、ポイント制度自体が今年1月にスタートしたばかりで、導入からまだ2ヶ月ほどしか経っていません。PDCAサイクルを回しながら、システムを最適化していく必要があります。

株主還元については、様々な形態を検討していきたいと思います。株主優待制度についても、色々な選択肢を考えていきたいです。

Q: 社員数が純減傾向にありますが、今後は増加に転じるとお考えでしょうか。個人的には、御社の事業は人材を必要としないビジネスモデルには見えないのですが、いかがでしょうか。

A: まず背景をご説明しますと、当社は2022年12月に上場しました。上場直後の2022年第4四半期から2023年第1四半期にかけては、従業員数が180名程度でした。

上場時、投資家の方々から「社員数が多すぎるのではないか」とよく指摘されました。当時、Twitterが大幅な人員削減を行っているニュースが話題になっていたこともあり、当社の体制と比較されることが多かったのです。

もっとも、当時の当社は積極的に採用を行っていた時期でした。将来の事業拡大を見越して、先行投資的に人材を獲得していたのです。しかし、その後、市場環境が変化し、収益性を重視する方針にシフトしました。

2023年は収益性の改善を最優先課題の一つと位置付け、採用を控えめにしました。スタートアップ企業では一定の離職が避けられませんから、採用を絞ると純減になるのは必然です。

今後については、ビジネスの成長に合わせて人員も増やしていく方針です。ただし、以前のように先行投資的に採用を行うのではなく、収益性とのバランスを慎重に見極めながら、規律ある採用を心がけていきます。

当社のコスト構造の中で、人件費は最大の項目です。売上高に占める人件費の割合は着実に低下しており、それは生産性の観点から悪いことではないと考えています。売上の成長に合わせて人員を増やすことは避けられませんが、その比率を適切にコントロールしていくことが肝要だと考えています。

Q: noteは基本的にクリエイターが読者に向けてコンテンツを届けるプラットフォームだと思います。一方で、他社の場合、クリエイターに仕事を依頼するようなケースもあると思うのですが、そうしたサービスを展開する予定はありますか。

A: noteはコンテンツの流通プラットフォームとして、テキスト以外にも、音楽、漫画など様々なコンテンツが流通しています。クリエイターの中には、コンテンツという形ではなく、自身のスキルをサービスとして提供したいというニーズを持つ方もいらっしゃいます。

実際、noteでもオンラインレッスンのような形で、サービス寄りのコンテンツを販売するクリエイターもいます。コンテンツの提供とサービスの提供は、領域が重なる部分があると言えるでしょう。

クリエイターのニーズは多様です。コンテンツ提供という枠組みだけでは捉えきれない部分もあります。クリエイターのニーズに合わせてサービスを拡充していく可能性はあると思います。

Q: プラットフォームの利用料について、値上げなどのお考えはありますか。

A: 現時点では、利用料の値上げは予定していません。noteの利用料、つまりテイクレート(手数料率)は、現在17%台で推移しています。

この前に登壇したi-plug社の話を聞いて、私も同じ感想を抱きました。今は市場の裾野を広げる段階だと考えています。インターネット上での売買自体が一般的ではない中で、手数料を引き上げるよりも、noteの流通総額(GMV)自体を拡大することが重要だと考えています。

目指すべきは、流通総額を2倍、10倍、20倍、30倍に増やすことです。現時点で手数料の値上げは考えておりません。

Q: 最後に、本日ご参加いただいた皆様に一言メッセージをお願いします。

A: 本日は、このような貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。直接の場でご質問を受ける機会は大変ありがたく思っております。noteはCtoC(Consumer to Consumer)のサービスを展開しているため、皆様から頂くご意見はとても貴重で、経営にも活かしていきたいと考えています。サービスの内容に関するご質問をたくさんいただきましたので、それを社内にもしっかりフィードバックして、より良いものをつくり上げていきたいと思っております。これからもよろしくお願いいたします。

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