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ワンダープラネット(4199)IRセミナー [質疑応答パートの文字起こし]2023.10.28

2023.10.28に開催しましたワンダープラネット(4199)IRセミナーの質疑応答部分の文字起こしになります。

■YouTube

■■■今期新作をリリースしたらまた広告費がかかるので、そうなった時に利益が厳しくなることはないでしょうか。

質問としては、新規開発の負担によってまた業績が悪化するのではないか、特にリリース時の広告負担が会社として耐えられるのか、というご質問だと思います。
特に広告宣伝費は、リリース時に集中的に投下する必要があります。これは、ゲームを知ってもらうためには必要なことです。ただし、今回新規開発2本が新たに追加となりましたが、IPタイトルをラインナップしたことで、IPタイトルであればIPにファンがいるため、広告効果がオリジナルタイトルよりも良くなる傾向があります。そのため、意識的にIPタイトルを優先的に新規開発にラインナップした背景もあります。また、今まで以上に広告投資を効率化することも検討しています。
開発費については、具体的な費用負担割合は言えませんが、先行する開発負担をなるべくコントロールし、一本一本がヒットタイトルになった時に利益貢献できるようにしています。そのため、もし仮に開発費や広告費がアリスフィクションほど大きくなってしまったとしても、当社の先行投資額という観点ではコントロールできます。また、今期リリースしたとしても、赤字になるかどうかについては、会社全体で利益シミュレーションを行っており、黒字を維持できる範囲内であることを確認しています。補足として、アリスフィクションは日本だけでなくグローバルで同時にリリースしたため、広告が全地域に同時に対象となり、広告投資額が同時期に集中的に重なってしまいました。今後のタイトルについては、タイトルごとに検討しますが、どのエリアにどの順番で広告を行うか含めて、アリスフィクションの反省から、広告投下のコントロールにも努めていきたいと考えております。

■■■今後の従業員数の推移、計画について教えてください。

従業員数がピークの205名から直近30名ほど減っていることが、ご質問の背景かと思います。

現状、組織体制を見直しを図り、アリスフィクションを中心に適正化し、採用を抑制して自然減が進んだことで従業員数が減少しました。一方で、今後、新規開発がリリースに近づくにつれて、人員数が必要になることが想定されます。今後も新規開発を推し進めていきたいと考えているため、そうなると175名では足りなくなることも頭にはあります。そのため、会社全体の業績と開発費とのバランスやタイミングを見ながらですが、徐々に従業員数を増やしていく必要もあると考えております。短期的には、自然減の代替人材に加え、育成を兼ねた採用を行い、中長期的には、新規開発に携わる前に、2、3年かけて既存タイトルでしっかりと育成していくことも必要ですので、先を見据えた人材採用、育成をしていく予定です。

■■■採用というのは全く抑えているという考えでしょうか。

いいえ、採用活動は自然減の代替人材の採用を継続しております。ただし、ゲーム会社の経験があるからといって、すぐに当社で戦力になるわけではありません。採用だけでなく、その後の育成も重要な要素となります。そのため、例えば新規開発にアサインする前に、既存タイトルで2〜3年かけてしっかりと育成することも必要です。先ほどと同様になりますが、このような先を見据えた採用活動と育成を会社全体の業績と開発費とのバランスやタイミングを見ながら、引き続き行っていきます。

■■■ハイブリッド・カジュアルはレッドオーシャンになりませんか。

レッドオーシャンになるか、競争が激化するかについては、将来的には当社も同じ懸念を持っています。そのため、時間をかけずに新規リリースしていく必要があると考えています。現状、日本のゲーム開発会社でハイブリッドカジュアルのヒットタイトルを生み出した会社はありません。一部の外資系企業がロールモデルとなりましたが、まだまだこれからの市場です。当社もその市場に早期に参入しなければならないと考えています。
ハイブリッドカジュアルというと、新規領域と思われるかもしれませんが、当社がこれまで行ってきたミッドコア、クラッシュフィーバーなどと内容が大きく変わるものではありません。例えば、当社のゲームをプレイしている数十万人のユーザーのうち、その中で毎月課金しているユーザーは数パーセントです。9割以上のユーザーは無料で遊んでいます。ハイブリッドカジュアルは、ゲームマネタイズに加えて、新たにアプリ内広告による広告マネタイズを追加するという意味で、例えばガチャをもう一回回したい、クエストを最後まで進んだので何とか復活させたい、といったユーザーに対して、広告を見ることで復活できる、またはガチャを回せるといったメリットを提供します。これらにより、0円のゲーム内課金のユーザーから、例えば数十円から数百円の広告売上を生み出すことが出来ることになります。これが数十万人、数百万円のユーザーに積み上がると、売上規模が大きくなります。ミッドコアの前提は長期運営ですが、ハイブリッドカジュアルも前提は同様です。ミッドコアに広告マネタイズを追加するという視点で捉えていただければと思います。
まだこれからの成長市場であり、競争激化する前に当社は時間をかけずに参入したいと考えています。長い目で見て、ゲーム内課金だけでない、ハイブリッドマネタイズのゲームが増えていくと考えています。

■■■ハイブリッドカジュアルは成長市場ということですが、代表的な作品はどのようなものがあるでしょうか。

例えば、ダダサバイバー、アーチャー伝説、スライム軍団などのタイトルです。Habbyという外資の会社が開発しています。既に日本でもこれらのゲームはかなり遊ばれていて、ハイブリッドカジュアルのベンチマークとされているタイトルです。私が先ほど話したような要素が入っています。

■■■ハイブリッドカジュアルの代表タイトルは月商どれくらいでしょうか。

他社タイトルなので、具体的な数字イメージはこの場では控えさせて頂きますが、ハイブリッドカジュアルの代表作は、AAAタイトルと売上規模があまり変わらないタイトルもあると考えています。

■■■ハイブリッドカジュアルの中では広告単価はどれくらいで、将来どのように変化していくものか。

ご質問は、アプリ内の広告単価が現状どれくらいのイメージで将来的にどうなっていくかについてと理解しております。
アプリ内の広告単価は、メディアに出す広告単価と考え方は同じで、どれだけ広告を見てもらえるか、媒体力次第になります。ハイブリッドカジュアルの代表作はグローバルでユーザー数が数十万、数百万人のタイトルもあります。媒体力のあるタイトルは、需給次第で広告単価も取りやすくなります。広告自体は、15秒や30秒しっかり見てくださいとか、商品設計にも単価は影響します。ざっくりとしたイメージは、数円単位からあとは各変数次第と思います。ただ数円だとしても、1日で多くの広告を踏む設計であり、例えば広告単価5円を1日10回踏めば1日50円、それが100万人なら1日5000万円ですし、無料ユーザーを広告側でマネタイズ転換しながら、全体の広告売上規模を拡大していく、という流れになります。
将来の単価動向については、ゲームだけでなく、媒体全体の中の立ち位置もありますし、ハイブリッドカジュアル間の競合タイトル次第もあると思います。また出稿元の出稿意欲にも大きな影響を受けると思います。色々な変数があるので一概には将来的な変化をお答えすることは難しいと思います。
なお、出稿元の観点では、普段スマホでネットサーフィンしていると気付くと思いますが、ゲームの広告は多く、また直近はオンライン漫画の出稿意欲が強くなっていることは聞いています。現状はこのあたりが、ハイブリッドカジュアルの主な出稿元になっています。これが将来どうなるか、ゲームやオンライン漫画自体のユーザー獲得競争状況の影響も受けるでしょうし、また新たに出稿意欲の強い産業が生じるかもしれませんし、なかなか予測は難しいと思っています。

■■■これが当社の勝ち筋ですというものをアピールしていただけませんか。

本音でお話しします。勝ち筋とは業績の結果としてお示しして初めて証明されるものだと考えています。そのため、これまで勝ち筋を示せていない現状を申し訳ないと感じています。売上で十分に事業投資をカバーできなかった過去の状況は、当社の至らなさだと認識しています。
ただ、当社として勝ち筋を示したいとの考えは変わりません。グロース市場の会社としてやらなければならないことです。必死に考える中で、ハイブリッドカジュアルに事業フォーカスすることにしました。
これまでご期待にお応えできていないことは恐縮です。勝ち筋をお示し出来るよう、社内全体で努めてまいります。現時点はこのような回答で大変恐縮ですが、その状況も含めて今後の当社を引き続き見て頂けますと大変幸いです。

■■■MAU速報をなぜやめたのか、数字進捗がマイナスになっててもいいので発表した方がいいと思うが。

まず前提として、スマホゲームはストック型のビジネスではないため、新規リリース時のユーザー数がピークとなり、その後の減少は避けられません。その減少ペースをいかにして抑えるかが運営の腕の見せどころです。そのため、同じタイトルでも運営が続くほどユーザー数の減少は避けられませんが、その維持状況が重要なため、当社として運営中のタイトルでユーザー数の維持状況は大事な指標と捉えております。これがMAU速報が重要と考えていた背景です。

続いて課題ですが、特に前期、アリスフィクションの新規リリース時は多くのユーザーがインストールしプレイしていただきましたが、その後は急減したため、毎月、会社全体で前月比でMAUが大きなマイナスとなり、内訳でその他のタイトルの動向が見えずらくなってました。

また、業績推移という観点では、会社全体の中でアリスフィクションの赤字幅削減が最も重要となったことで、売上高の内訳のMAUで業績トレンドを適切に表現できなくなる課題が生じ、また業績動向のミスリードになるのでMAU速報の公表を止めた方が良いのではないかというご意見も多数頂きました。当社としてはそれらの状況を勘案した結果、MAU速報は役割を終えたと判断し、公表を終えることとしました。

将来的にまた公表するかどうかについては、開示上のハードルも考慮して検討します。当社オリジナルタイトルであれば公表するかどうかは当社の裁量で決めることができますが、協業タイトルは協業先の了承が不可欠となります。今後の協業タイトルが開示可能か、先行きの対応可否が不透明なため、その確認状況も検討材料になると思います。
一方で、頂きましたご意見は理解しております。ユーザー数以外の経営指標含め、社内の検討材料とさせていただきます。

■■MAU速報がない状態の場合、例えば今後の新規リリース時など、そのトレンド感をタイムリーにどこを見れば確認出来るのか。

当社から見て、投資家の方々は、iOS・Androidのダウンロード数や売上高のランキング、また売上予測サイトをトレンドの参考にしていると認識しています。会社公表がない場合、それらランキングや売上予測を参考に見ていただくのではと思います。今までのMAU速報はスマホゲームの上場会社で唯一やってきた新しい試みでしたが、それ以上に横比較できるランキングや売上予測ががより見られているというのが実際にやってみた所感でした。

■■■今期の決算で8周年を迎えたクラッシュフィーバーが前期比でなぜ増収となったのか

クラッシュフィーバーについては、すでに9年目の運営に入っており、長期運営が続いているタイトルです。7周年と8周年で何か大きく変えたかというと、大枠では特に変更はありません。スマホゲームのユーザーの特性として、長く遊んでいただいている方は、一度離れても再び戻ってくる方も多いです。当社のクラッシュフィーバーのチームは、ユーザーに喜んでいただけるように、一生懸命イベント等を組んできました。それが好評を頂けたということだと考えています。
あと業界の波がありますが、元々遊んでいたタイトルに戻るユーザーが増えるタイミングもあります、そのタイミングと重なった部分もあったかもしれません。クラッシュフィーバーが単独運営に移行して利益が出やすい状況でもあったため、その結果として前期にしっかりと利益貢献までできました。当社の運営チームに感謝しております。

■■業界のトレンドの中で昔のゲームに戻ってくるのもあるという話だったが、それは今も続いているのでしょうか。

ユーザーのカムバックにはトレンドがあります。逆に、直近は新規タイトルが多く出てきているため、既存のタイトルは調整局面にいるように感じます。このような波やサイクルは不定期に起こります。

■■■世界のモバイルゲーム市場は伸びているのとグラフで書いてあります。一方で、日本のモバイルゲーム市場は伸びていますでしょうか。

グローバルで、2020年、2021年はコロナ禍の影響で巣ごもり需要が増加したことにより、市場が異常なほど伸びていたためで、2022年で一旦落ち着きを見せていると考えられます。グローバルでは今後も成長が見込まれていますが、日本の市場は短期的に横ばいから減少していると考えています。ゲームユーザー数自体は減少していないため、オフラインエンターテインメントなど含め、ユーザーの財布が分散したことによって日本は市場規模が調整中と考えられますが、今後も市場の変化を慎重に見極めながら事業を展開していきます。

■■■Happy Elementsとの会話の状況を教えてください。
Happy Elementsとは、今年1月に第三者割当を行った際の開示資料にも記載しましたが、当第三者割当増資は当社の代表である常川とHappy Elementsの新井社長とのつながりから会話が始まりました。
しかし、具体的な共同事業など公表できるものは現状ございません。将来的にもし何らか進展した際は公表させて頂きます。

■■■大手企業の開発のみを手掛ければ、売れても売れなくても、しっかり利益が生み出せるという方法もあると思いますが、そういった考えはありますか。

ご質問は、受託の仕事をして手堅く利益を得たら良いのでは、ということだと理解しております。
現状、受託を事業の主力にすることは考えておりません。受託に振り切ると、人的リソースを当社が切り出すという事業の考え方に変わります。そうなると、新規タイトルの開発や長期運営の肝となるチームマネジメントや社員の求められるスキルや経験が全く異なるものになると考えているからです。
当社はこれまで自社で開発役務として社内で開発・運営を行い、サービス提供の根源を担ってきました。その実績より、新規開発タイトルで協業先から声がかかります。受託に振り切る場合は、人材派遣事業と同じような経営の考えになっていくと思います。その結果、協業先からお声がけを頂けなくなる可能性もあります。
また、当社の社員も、自身でヒットタイトルを作りたいと考えています。確かに、手堅い利益だけを考えれば受託で良くないかの考えは理解できますが、グロース市場の会社として、大きな利益成長を目指して複数ヒットタイトルを世に出していくことが重要だと考えています。そのため、引き続き事業バランスを取りながら、新規開発に注力してまいりたいと考えています。

■■■アリスフィクションは残念でしたが、クラッシュフィーバーが利益を稼いでいるという話をされておりました。既存タイトルではありますが、クラッシュフィーバーに広告投資すれば売上利益が良くなるということはないでしょうか。

クラッシュフィーバーは9年目の運営に入っており、長期運営タイトルです。基本的には現状維持が最も重要で、ユーザー数の減少ペースを抑えることが運営力が試されるところです。そのため、特に新規ユーザーですが、広告の投資対効果は運営が続くほど悪くなり、むしろ利益の維持には広告宣伝費や運営費などのコストコントロールが最も重要になります。これが長期運営の業績の考え方となります。
また、ユーザー数の維持には広告投資で新規ユーザーを獲得するより、サービスの改善や新イベントの提供などに努めながら、ユーザー継続やカムバックしてもらえることの方が重要です。なお、広告投資は規模は抑えていますが、カムバックユーザー向けには現在も続けています。
プロモーションという観点で、今後も力を入れていくものは、IPコラボです。2ヶ月ごとぐらいにIPコラボを開催してきており、相性の良いIPを選び、そのIPのファンも含めて遊んでいただいています。新しいIPコラボの場合、新しいユーザーにリーチすることもあります。
しかしながら、基本は売上維持とコストコントロールに努め、引き続きクラッシュフィーバーの利益維持に努めてまいります。

■■■投資家の皆さまへ

本日はお聞きいただきましてありがとうございました。冒頭でお伝えした通り、ご期待に応えきれていないというところは恐縮ですが、名古屋で志を持って頑張らせて頂いております。今日この機会に当社に興味を持って頂き、今後のニュースフローで思い出して頂きながら、将来的に投資のご縁もありますと幸いです。引き続き企業価値の向上に努めてまいります。本日はご説明をお聞きいただきましてありがとうございました。

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