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[書き起こし・要約]クックビズ(6558)IRセミナー 質疑応答 2024.1.22開催

2023.1.22に開催しましたクックビズ(6558)IRセミナーの質疑応答部分の書き起こしになります。


登壇者 代表取締役社長 藪ノ 賢次 様

資料 YouTube

IRセミナー

はじめに

こんにちは、皆さん。クックビズの藪ノと申します。今日は私から約30分間説明をさせていただき、その後質疑応答の時間に移りたいと思います。よろしくお願いします。

まずお話する前に、私たちのビジョンとミッションについてお伝えします。このビジョンは約1年半前に改訂し、「食の世界をもっと自由に、もっと笑顔に」としました。当時はコロナ禍の真っ只中で、飲食業界は営業時間の短縮やお酒の提供が制限されるなど、本来競争の激しい業界が一気に不自由になりました。私たちはそういった状況を変えたいと思い、ビジョンに「もっと自由に」という言葉を取り入れました。「笑顔に」という部分は、顧客や働く人々の笑顔を取り戻すという意味を持っています。私たちが人材サービスを提供する過程で飲食従事者と関わる場面が多いのですが、お客様の笑顔を見ることをやりがいとしている飲食従事者が多くいるため、ビジョンに取り入れました。そして、このビジョンを実現するためのミッションとして「制約を解き放つ」という考えを掲げています。人材サービスにおいては、採用の目的を改めて考え、店舗展開の人手不足や既存店舗のサービス提供の問題を解決することがビジネスの付加価値だと考えています。このミッションを通じてビジョンの実現を目指しています。

会社の現状については、11月末時点で単体で126名、連結では133名の従業員がいます。パートやアルバイトを含めると160名ほどの規模です。事業内容としては、HR、DX、事業再生・承継を行っています。

有効求人倍率については、現在3倍を超えつつあり、コロナ前の水準に戻りつつあります。3倍から3.5倍の求人倍率は、完全な人手不足の状況です。そのため、事業環境としては2017年から2019年頃の状況に戻っていると考え、今後の規模拡大が重要だと考えています。

飲食業界は多くの方が転職をされる業界です。飲食業界全体では約400万人が働いていて、その中で、約100万人が正社員やフルタイムで働いているというデータがあります。さらに、毎年100万人のうちの約20万人が転職しており流動性が高いため、雇用契約の内容など事前に防げるミスマッチをなくし、早期離職しないような適職に就ける良いマッチングを行うことが重要です。飲食業界は他の業種と比較して、人材サービス会社の介在価値が異なると考えています。当社の人材紹介や採用総合パッケージは好調に伸びており、年々転職決定経路としての人材紹介の割合も増えています。現在の当社のシェアは、全体(20万人の転職者)の約2%と推計しており、中長期的にはこのシェアを20%まで伸ばしたいと考えています。

事業内容としては、食×HR、DX、食×事業再生の三つの領域を深掘りしています。HRでは、日本人のみならず外国人サービスも、昨年の子会社ワールドインワーカーの仲間入りによりスタートしました。

1. エグゼクティブサマリ

決算状況については、売上高が26億6500万円で、前年同期比77.4%の増加を達成しました。(前年度は非連結)。昨年までは単体だったため、前年比、前月比で77.4%の増加となっています。営業利益は2億9000万円で、前年同期比比67.7%増となり、(前年度は非連結)、大幅な増収増益となりました。特に人材紹介や採用総合パッケージが中心となり好調に推移しています。人手不足の状況を踏まえ、紹介サービスが今後も好調に推移すると考えています。

連結営業利益は過去最高益を更新し、2017年11月期以来、6年ぶりに最高益を更新しました。外国人人材紹介やDX事業への進出も行いました。一方で、ALPS処理水の放出により、事業再生部門の売上が減少したという点もありますが、これについては後ほど詳しく説明します。

2. 2023年11月期 決算概況

続いて、決算概況について説明します。HRを中心に売上高が伸長しましたが、下期に中国禁輸措置の影響を受けました。右から二つ目の2列目に示されている11月期予想連結では、10月13日の決算3四半期決算発表時に業績予想を修正しました。

修正後の着地は、左側から2列目の26億6500万円で、売上高は99.8%とほぼ達成ベースで推移しました。営業利益以下は109.6%から122.6%と上振れして着地しました。コストに関しては、少し保守的に計算していたこともあり、売上高は予想通り、営業利益はある程度上振れして着地しました。内訳を見ると、HR事業は27%増と大きく伸長しました。

昨年の期初予想では19%の増収率を開示しており、投資家からは戻りが弱いと指摘されていました。しかし、昨年1月頃から、他のサービス業に一旦転職していた方々が戻り飲食従業員が増加し始めたため、純増に転じて400万人ぐらいまで回復しました。コロナ禍以前の2019年には約430万人が飲食業界に従事していたので、その時点と比べるとまだ30万人足りない状況ですが、現在は非常に好調な事業環境だと思います。事業再生は7億7700万円で、業績予想修正時の着地となりました。

売上の推移としては、2019年には30億弱でしたが、2020年から2022年は100名体制で15億円を達成し、高い生産性を維持してきました。その後、人員を増やし、26億円まで回復しました。これは子会社のきゅういちを含む売上ですが、1Qで前年度比79.7%の増加を達成しました。HR事業は、前期と比較して45.5%増加し、通期で27%の増加となりましたが、1Qはやや軟調でした。

2Qに人々が動き始め、4Qに至ってもその状況が続いています。我々としては、2019年のトレンドが最も正常な状態だと考えています。2Qがトップラインが高く、次に4Q、3Q、そして1Qが大きく下がるという傾向があり、これが順調な成長時に見られる曲線です。昨年は、人々が戻りつつあったため、当社の人材採用を積極的に行いました。その結果、4Qは特に伸びが大きく、現場の自信に繋がったと思います。

この傾向をグラフにしたのがこちらで、2023年の波が2019年に少しずつ近づいているのが分かります。営業利益についても同様の傾向が見られ、2Qと4Qが利益を出し、1Qと3Qは利益がほぼ出ない状況です。これはメリハリのあるトレンドを示しています。

サービス別の売上高のKPI推移です。人材紹介は前年同期比で72.9%増となり、驚異的な復調を遂げました。紹介単価も人数も好調で、紹介単価は高止まりしています。昨年多くのキャリアアドバイザーを採用しましたが、現在は人材教育期間で、3月以降の繁忙期に向けて教育を完了させたいと考えています。

求人広告とスカウトに関しては、同じ営業部隊で販売していますが営業人員の数が増えないことが課題でした。しかし、最近営業人員の確保が進んだことやキャンペーンの影響もあり、前年同期比44.8%増となりました。スカウトは少し減少しましたが、求人広告が選ばれているサービスとなっています。

今後、4月5月以降に求人サイトのリニューアルを検討しており、スカウトサービスも新しいものに移行し、自動配信の機能を強化する予定です。

採用総合パッケージは、5社から始めて、11月末で13社まで増えました。現在の解約率は非常に低く、利用者数は順調に増加しています。今後も社数を増やしつつ、一定の解約率を見込んで事業計画を立てていますが、現状では非常に好調に推移しています。

次に、きゅういちの決算概況について説明いたします。今回の決算期間は10月から始まる約11ヶ月間であり、2024年11月期からは9月開始の12ヶ月間の業績が反映されます。季節性を考慮すると、第1四半期は特に好調で、特に鮮魚部門が収益性において高い成果を上げています。このため、年間の営業利益の大部分を第1四半期で確保しています。第2四半期である12月から2月は、漁がお休みで実働日数も少なく、閑散期となります。第3四半期と第4四半期では、ホタテの漁獲状況によって収益性が左右されますが、今回は両替取引の停止により営業利益が期待に達しない結果となりました。当初の売上目標は10億円、営業利益目標は5000万円でしたが、最終的には営業利益5800万円で着地しました。今後は収益性のさらなる改善を図り、営業利益率10%以上を目指しています。

2024年11月期の事業計画においては、中国市場の禁輸の継続を前提としています。現在の状況では中国市場は動かないと想定し、国内流通や東南アジアへの輸出を主な計画としています。中国市場に関しては、現時点で一時的に予算から除外しています。

販管費および一般管理費ですが、通期計画としては29.9%増加し、HR単体では25%増加です。四半期間での大幅な売上増を実現し、コストをそれ以下に抑えることができたと考えています。

四半期では販管費の見直しも行い、3つの要因が影響しているため、一定の投資規律を保ちながら、収益性に注力しています。現在の営業利益率は10%であり、それ以上の利益は戦略的な投資に充てる方針です。この方針は過去2年間にわたり、今後も継続する予定です。また、リニューアルプロジェクトも進行中であり、完了後には追加の開発も予定していますので、期日を持ちながら投資を続ける考えです。

 

営業利益の増減分析では、粗利が増加するためには人件費や広告宣伝費を昨年対比で増加させる必要があります。以前のデータと比較すると、人件費の構成比がそれほど変わっていませんが、現在の人材投資が収益の幅を広げていることを示唆しています。今年度も同様の投資を行い、利益を増やす方針です。

3. 2023年11月期 ビジネスハイライト

ビジネスハイライトについては、記載方法を変更しました。再度、詳細をご説明します。食ビジネスの変革支援は以前から変わりありませんが、中でもHR領域が一番の強味になるため、正社員を中心としたマッチングを通じて、個人のキャリア開発と企業の成長の両方を実現させたいと考えています。ただし、日本の人口は減少傾向にあるため、外国人の採用を促進し、子会社のワールドインワーカーを通じて国際的な展開を強化しています。DX領域も今後成長が期待されており、テクノロジーとデータを活用して省人化を進め、ビジネスの持続的成長を目指しています。

最後に、日本の経営者の平均年齢が高齢化しており、これから10年で多くの企業が新たな経営者を必要とするでしょう。黒字であれば、収益性向上を図りながら事業を譲受し、再生と成長を達成する計画です。M&Aや事業承継に関する条件も考慮し、成長性の高いビジネスに焦点を当て、事業を発展させていく意向です。

飲食業界では、外国人の採用とDXに注力し、将来的には省人化を進めることで業界の成長を目指しています。

各サービスに関する詳細情報は上スライドの通りですので、

部門ごとの展開では、HRだけでなくDXや事業再生承継にも注力しています。

 

HR事業においては、採用総合パッケージが非常に好調です。その理由としては、通常の採用代行とは異なり、私たちは自社の求職者データベースを活用していることが挙げられます。これにより、人材紹介とリクルーティングアドバイザーのキャリアアドバイザーが同じデータベースを使用し、採用代行を提供しています。このアプローチが、採用代行としての成功につながっています。さらに、私たちは社外人事部のように機能し、週次のミーティングや定例の学習を通じて、企業の採用目標にしっかりとコミットしています。採用の成功に向けて協力し、企業との連携を強化しています。

続いてきゅういちに関してのトピックスです。中国禁輸措置の影響を受けましたが、国内もしくは東南アジア向けの販路拡大やtoC事業強化に向けてトンネルフリーザーの新設(交換)に着手し、1月に完了予定です。賠償金に関する申請や補助金の申請も進行中のため、どちらも受理された際には詳細情報を開示します。

きゅういちでは、去年の8月24日に中国禁輸措置が開始されましたが、それから10日後の9月4日にECサイトを立ち上げました。きゅういちは、以前から大口取引先20社による10億円の売上を持っており、これは素晴らしいことですが、リスクが集中してしまうことも課題でした。一般的に、地方の中小企業や中堅企業は、大口取引に依存しやすい傾向があります。そこで、より多くの小口取引を積み上げるビジネスモデルを構築するため、今回の中国禁輸措置を逆手に取り、一般の消費者向けに販売を開始しました。

これまでは1トンや2トン単位で取引していましたが、今後は1キログラム単位での販売を模索しています。実際の販売単価は約1万円で、1~2キログラムを販売することを目指しています。この取り組みは非常に成功し、3ヶ月間で約4800件の注文と4400万円以上の注文金額を達成し、多くのtoC企業や一般の消費者から支持されています。

また、ふるさと納税の返礼品やさまざまなタイアップ企画を通じて、楽しんでいただけるような販路を構築しています。これらの良い兆しを受けて、今年も積極的に取り組んでいます。なお、リソースは限られており、ほとんどが工場で働くスタッフです。このため、内外のパートナーと連携しながら、新しいプロジェクトを展開し、ナレッジを蓄積していく予定です。

4. 業績予想

業績予想に移ります。外部関係は好調ですので、各領域の成長を推進する基盤を整備していきます。具体的には、自社社員の採用を積極的に増やし、ほぼ全職種と全エリアで採用活動を行っています。また、今春に求人サイトとスカウトのリニューアルを控えており、その後はデータベースを活用したCRMを導入し、顧客の育成に注力します。スカウトでも自動化を進め、求職者の獲得を効率化し、サービスをリニューアルします。採用を強化し、求人サイトやスカウトサービスを活用して、中小企業やSMB、店舗に向けて販路を拡大していきます。CAST事業にも投資し、DXを推進してCASTから始め、また、きゅういちやワールドインワーカーに限らず、他のM&Aも推進して、グループ全体の非連続な成長を実現します。

業績予想では、昨年対比で売上高が25.7%増の33億5000万円を見込んでいます。内訳はHR事業が25億、事業再生が98億5000万です。きゅういちはもともと20%の成長を目指していましたが、中国禁輸の影響を考慮し、10%以上の成長を達成すべく慎重に見積もっています。HR事業は31%の成長を目指しており、自社社員の採用を強化していけば充分達成できるかと思っています。

営業利益は3億5000万円で、増益率は21.1%増加しています。HRと事業再生の内訳は以下の通りです。事業再生は営業利益が若干減少していますが、新しいtoC販売や国内販売の強化を通じて売上を増やすため、販促や広告、マーケティング費用の投資を行います。その上で、5000万以上の営業利益を確保しつつ、規模拡大を目指します。経常利益や当期純利益の増収率が高い点については、税効果会計が関係しています。

グラフで見ると、33億5000万円の売上高は過去最高で、3億5100万円の最高益を記録し、今後もこのトップラインを維持し、2025年を基準に考えています。今年の目標は25億を確実に達成し、売り上げの持続的な成長に向けて社内整備を行います。

2025年以降も25%のCAGRを目指し、シェア拡大を計画的に進めます。また、約35名の新入社員を今後迎え入れ、彼らが売上利益に貢献できるよう育てていきます。

以上で発表を終えます。質疑応答に移りますので、何か質問がありましたらお願いします。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答

質問: 2022年12月に持ち株会の奨励金を120%に引き上げましたが、この施策は今後も継続されますか?また、市場の流動性の観点からはどう評価されていますか

藪ノ: 現状ではこの施策を継続する予定です。従業員からの反応も良く、生き生きと働いてもらうためには非常に有効な手段だと考えています。流動性については、持ち株会が株を購入することで一定の出来高が生まれますが、現状の流動性比率は特に低くはありません。出来高が少ない点は以前からの指摘がありますが、IR活動を通じて改善したいと考えています。

質問: 大株主の状況についてですが、取締役の株式保有状況を見ると、社長以外に直接保有している取締役がいないようです。これはなぜでしょうか

藪ノ:  以前の取締役は常勤であり、第2創業期から一緒に上場を目指してきました。その過程で私の株を譲渡しながら進めてきたため、現在の取締役には直接保有している方が少ないです。現状の取締役は、社外を除くと私ともう1名のみのため、これが少ない理由の一つだと思います。また、取締役や執行役員に関しては、新任のシニアマネージャーを含め、全ての管理職に対し税制適格のストックオプションを発行しています。これは毎年、新任のマネージャーに株式を発行する形で行っており、そういった方法でインセンティブを設計しています。過去にも議論がありましたが、現在は現金報酬を中心にしています。しかし、会社が成長するためには、株式報酬へのシフトが必要だと考えていますので、今後はその方向で検討を進めていきたいと思っています。

質問: SBI証券が第二の大株主になっていますが、実際の保有株主が誰なのかの把握はできていますか

藪ノ: 正確には分かりませんが、貸株の部分も含まれていると思います。異なる方が保有しているというだけではないと認識しています。

質問: 御社が人材採用に力を入れていることは理解していますが、育成やマネジメントの登用状況について教えてください。外部からの役員登用と共に、内部人材の育成や多様性構築、今後の展望についても教えてください。また、営業人員を急激に増やしている中で、教育体制は十分か、内部での育成や幹部登用の可能性についても教えていただけますか

藪ノ:    取締役や執行役員などの上級役職については、外部からの登用を進めていましたが、外部から登用した人材が長期間在籍していることから、内部と外部の区別はほぼなく、共に同じビジョンとミッションの実現に取り組んでいます。内部からの登用も進んでおり、特に生え抜きのシニアマネージャー、つまり部長クラスの育成が順調です。入社10年のベテランや女性の昇進も進めており、多様性の構築にもつながっています。また、営業部門では「営業開発」部署を新設し、特に育成に長けた人材を配置しています。ここから育成に興味のある営業人員を増やし、営業人員の急激な拡大に対応する体制を整備しています。

質問: クックビズの顧客層に関して、個人店と大手や複数店舗を持つ企業、どちらがお客様として多いのでしょうか

藪ノ: クックビズでは、特に正社員を雇用する中堅企業が主な顧客です。最近では、モスバーガーのような大手チェーン店がサービスを活用している例もあるため一概には言えませんが、現在は、超大手企業や個人店にも、積極的にシェアを獲得していきたいと考えており、そのために営業活動を行っています。例えば、個人店の場合、CASTというサービスが非常に多くの企業に利用されています。1店舗から5店舗ほどの企業が多いため、CASTを経由して、クックビズはサービスの販売を行っています。これは、SaaS系のサービスが1ヶ月無料という形で提供されているため、効率的にリード獲得や顧客獲得ができると考えています。1回お試しで利用してもらい、気に入ってもらえれば継続して使ってもらえるような課金体系になっています。このような形で、個人店や小規模店舗の企業様、店舗様に対して、CASTを介したクックビズのサービス販売を行い、戦略として推進していきたいと考えています。

質問: モスバーガーのような大手チェーンが、自前で採用を行う余裕があるにもかかわらず、クックビズに依頼するメリットは何ですか

藪ノ:: 大手チェーン店では、アルバイトの採用が特に重要です。正社員の採用計画は年間数十名であるものの、アルバイトの採用では数百名を必要とすることが多いため、その部分に社内リソースを割く必要があります。そのため、正社員の採用は我々に依頼することがあります。大手チェーンには、自社で対応する場合、外部に委託する場合、コア業務であるものの人員が不足しているため外部に委託する場合の3つのパターンがあります。このような状況が整合すれば、大手チェーンでも我々のサービスを利用することがあります。最近では、ファストフードや大手チェーンからの商談が増えており、これからもそのような企業との関係を広げていきたいと考えています。

質問:社員のキャリアアップについて、何か実施されている施策や今後の計画について教えてください

薮ノ 社員のキャリアアップに関しては、営業研修や入社時の研修だけでなく、営業に関しては入社後半年ほどかけて、しっかりと育成する研修を用意しています。これを受けることで、営業未経験の方でも、第一線で活躍できるように育てています。また、当社は飲食業界に特化していることもあり、飲食業界出身者や元店長、元料理人などを積極的に採用しています。彼らは当社のビジョンとミッションへの共感性が高く、飲食業界における専門知識も豊富です。営業スキルに関しては、後から習得できる部分もあるため、飲食業界出身者に対してはリスキリングの機会も提供しています。今年以降、人的資本の開示も始める予定で、社員のアンケート調査などを通じて政策を検討し、付加価値の高い人材になるよう育てていく予定です。また、市場動向なども注視しながら政策を策定しています。

質問: 採用総合パッケージについて、他社(テンポスホールディングスなど)との違いや当社の優位性について教えてください。

薮ノ 当社の強みは、人材に焦点を当てたアプローチにあります。飲食業界ではサービス品質が重要で、料理の質だけでなく、接客やサービスが顧客満足度やリピート率に大きく影響します。当社は正社員の採用に強みがあるため、大手企業や個人店舗まで、求人や人材採用の側面から顧客課題を解決していこうと考えています。

質問: 採用総合パッケージの契約単価と売り上げが異なる理由について教えてください。

藪ノ:  契約単価は約2500万円です。これに新規受注数を掛けると、受注残が約2億5000万円になります。しかし、売上高は1.5億円です。この1.3億円の差額が受注残を示しています。契約を受けても、サービス提供には時間がかかるため、売上高との違いが生じています。

質問: 受注残高を使用せずにこの形で表現されている理由は何ですか?

藪ノ:  四半期ごとの推移を見やすくするためです。利用者数の内訳を示すことで、新規と既存の受注の推移を追跡しやすくしました。四半期ごとに売上が5000万円ずつ増加することを示しています。ただし、これは簡単な計算方法であり、より見やすい形に改善したいと考えています。

質問: クックビズの新卒採用と中途採用の比率、および採用の進行状況について教えてください。

藪ノ: 採用は順調に進行しています。クックビズ本体では主に中途採用を行っており、多様な人材を採用しています。子会社のワールドインワーカーでは、新卒をメインとして採用に力を入れています。

質問: 第1四半期に鮮魚が強い理由について教えてください。

藪ノ: 時期によって獲れる鮮魚の種類や多さが異なるためです。イワシやサバなどが9月以降に豊富に獲れ、3Qはホッケなどが多く獲れます。

質問: 冬になると鍋が多くなるため、魚が売れる影響はありますか?

藪ノ: 現在はBtoBでの取引が主体です。サバやイワシを缶詰に加工したり、魚を餌として利用するケースもあります。季節変動はBtoCの商取引と異なりますので、我々のビジネスは季節変動とは異なる動きをしています。

質問: ふるさと納税返礼品の売上の計上方法について教えてください。

藪ノ:  ふるさと納税返礼品は都度計上しています。昨年はふるさと納税のルール改正により、10月ごろに駆け込みの申し込みが多かったです。今年は早くから納税が行われ、既に売上があります。都度計上する予定です。

質問: 飲食店向け求人サービスの電車広告が業界で過熱している感覚について、どう思いますか?

藪ノ: 電車広告は増えているかもしれませんが、短期的に効果を得るのは難しいのではないかと感じています。ウェブ広告を中心に新規顧客を獲得し、CRMを用いてデータベースを育てるのが現在の主要戦略です。

質問: ALPS処理水の補填について進捗はありますか?

藪ノ: ALPS処理水の補填に関して、着実に進行しています。申請書類の提出を行い、申請は完了しましたが、正式な受理はまだです。今後も継続して進めていきます。出額や詳細は現時点で非公表ですが、決まれば適切に開示します。

質問: 2023年の飲食店倒産の増加と、2024年の飲食店の景況感について教えてください。

藪ノ:2024年は新規店舗のオープンを控える企業もあり、新陳代謝が進むと予想されます。コロナ禍の措置終了後、再び競争が激しくなる可能性があります。効率化と労働力確保が重要で、二極化が進むかもしれません。中小企業の数が多く、生産性向上も課題です。M&Aを通じて規模拡大を図る企業もあるのではないかと思います。

質問:今年はたくさんの営業人材を採用する予定ですが、人材紹介、採用総合パッケージ、その他の部署など、新たに採用される方々がどの部署に多く配属される傾向があるのでしょうか?また、採用された方々がトータルで営業を行う可能性もあるので、その点について説明いただけますか?

藪ノ: 多くの場合、人材紹介と求人広告、そしてスカウトを販売する部署に多くの新人が配属される傾向があります。人材紹介と求人広告が圧倒的に多いです。採用総合パッケージは、主にRPOの分野で活躍する人材が所属する部署で、その部署で活躍する方々も営業やリクルーティングアドバイザー、キャリアアドバイザーなど、人材紹介や求人広告の部署と連携しながら業務を行います。基本的に、人材紹介や求人広告の部署が最初に増加し、その力を持って採用総合パッケージの売り上げも増加する仕組みです。その結果、年間を通じて人材紹介の差はあまり大きくありません。常に業務が発生しているため、この波を合わせていくと、業務の平準化が進み、人件費率が低下し、粗利が増加することにつながります。

質問:飲食業界では年間20万人が転職すると言われていますが、これは他の業界に比べて離職率が高いという印象を受けます。飲食業界の閉店・開店のサイクルの早さや従業員の定着率が低い文化に起因するのでしょうか。

藪ノ: 飲食業界は離職率が高いという印象を持っています。従業員が同じ店に2、3年いると、一番の古株とされることがよくあります。流動性が高い状態が普通です。チェーン店の場合、定期的に店舗間での配属替えが行われるようなフローが構成されていることもあるため全てが退職する訳ではありませんが、学生のアルバイト等の場合だと、卒業などを機に転職することも少なくありません。従って、私たちも人材紹介の場合、3ヶ月未満の雇用には何らかの返金規定を設けています。早期退職は、従業員にとっても店舗側にとっても損失です。私たちはミスマッチを避け、良いマッチングを促進するために努力しています。また、社内のMVPを選出し、早期退職が少ない方を表彰する文化もあります。ミスマッチを防ぎ、良いマッチングを実現することが、私たちの価値提供の一環と考えています。

質問:CASTを使用することで、どれぐらいの業務の効率化が見込まれるのでしょうか?

藪ノ:  何%という具体的な数字は手元にありませんが、CASTは主にシフト管理、勤怠管理、給与管理などの業務に活用されています。これにより、従業員のシフト管理が大幅に楽になったというフィードバックを受けています。CASTを使うことで、従業員のシフトの空き状況を可視化し、店長が連絡をする必要がなくなります。従業員自身が希望する変更を提出し、シフトの調整を自動化します。このため、シフトの管理が効率的に行えるようになり、店舗の運営がスムーズになります。CASTは個人向けのシフト管理アプリとしても使用でき、個人のシフト管理を助けるUI/UXを特に重視しています。これにより、個人の従業員がアプリを使いやすく、多くのユーザーがダウンロードして利用しています。CASTの特徴の一つは、ユーザーフレンドリーなUI/UXの設計で、これを今後のDXサービスにも継承していきたいと考えています。

質問:HR事業内で、人材紹介、スカウト、求人広告などさまざまな事業がありますが、収益の観点から最も重要な事業は何でしょうか?また、事業再生・承継の事業も含め、それらの事業を適切に細分化した場合、どの事業が最も利益を上げていると考えられますか?

藪ノ: 一番売上の高い事業は、人材紹介と求人広告です。四半期ごとの売上推移を示す資料もありますが、おそらくHR事業の中で人材紹介が6割ほどを占めていると考えています。残りの3割はスカウト、求人広告などが占めており、採用総合パッケージは1割程度の割合です。CASTは譲り受けて間もない事業のため、売上はまだ1000万〜2000万程度です。全体を通しても、人材紹介が最も大きなウェイトを占めています。

質問:きゅういちのECサイトは売上促進のためにどのような施策をされたのでしょうか。また、中国禁輸措置のダメージをカバーできるほどの売上となる見込みなのでしょうか。

藪ノ: 売上促進のために実施した施策は、広報活動、具体的にはPR(パブリックリレーションズ)活動がほぼすべてです。これにより、昨年から非常に効果的な応援消費が生まれました。特に、野菜や海産物などが応援対象になると、その商品の需要が急増しました。中国の禁輸事情が影響して立ち上げた際に、プレスリリースを発信し、NHKを含む多くのメディアで取り上げられました。その結果、売上が急上昇し、リピート購入も増えています。この成功は、広報活動が非常に効果的だったことを示しています。現在もその影響は続いており、今後は広告活動をさらに強化していく予定です。しかし、現時点では広告に頼らずとも、製品の品質や競争力によって顧客がリピート購入をしてくれているという点も重要です。中国の禁輸の影響については、EC単体でカバーするのは難しいと考えていますが、粗利率が高いため、売上が一定の水準を達成すれば、利益に貢献できると見ています。そのため、今期の方針は、収益性の高いEC事業に力を入れて、中国のダメージをできるだけカバーすることです。

質問: 紹介人材の離職率について、把握されていますか?

藪ノ: 当社では紹介人材の離職率をKPIとして設定し、追跡しています。具体的な数字は公表していませんが、特に2週間以内、1ヶ月以内、2ヶ月以内、3ヶ月以内の離職率を把握しています。特に2週間以内の離職が多い傾向にあります。これは、新しい職場での初期段階での離職が多いためです。この情報を活用し、マッチングを慎重に行い、サポートを強化することで離職率を減少させる努力をしています。

質問: 飲食の機械化、配膳ロボット、調理ロボットの導入により、従業員の需要が減少し、逆風となる可能性についてどう考えますか?

藪ノ:  機械化が進むと、確かに従業員の需要が減少する可能性があります。しかし、これは多くの業界で共通の現象です。DXやIT化の進展により、単純作業を機械化し、従業員が高度な業務に専念できるようになります。従業員が付加価値の高い業務に従事できる環境を整えることで共存共栄を目指しています。例えば、人の力が必要な業務も存在します。飲食業界では、高度な業務には高価な装置が必要であり、正社員はより高度な業務に就くことで付加価値を高めます。新たな雇用の機会を見つけることが重要だと考えています。

質問: グロース市場における時価総額基準の引き上げに関連して、対策や検討が進行中ですか?

藪ノ: 売上利益の成長が最優先事項です。人材ビジネスでは、PERが10倍から20倍で推移していることが多く、そのため利益を着実に増やすことが不可欠です。DXの推進により、CASTの成功とSaaSのストック後の収益確保を目指しています。これによりPERの伸びも促進され、中小企業は持続的な成長と利益増加を追求できます。小手先の対応ではなく、本質的な成長を追求することが大切です。

質問: 採用後の賃金は上昇していますか?具体的な程度や時期について教えてください。

藪ノ:賃金は上昇しています。コロナ前と比較して、年収ベースで約40万円の増加があります。賃金上昇には2つ理由があり、業界自体の賃上げが始まっているということと、経験豊富な求職者の紹介により、紹介料や年収が上昇する傾向にあります。経験が深まるほど、賃金の上昇も期待できます。

質問: 賃金上昇による求職者の変化について教

えてください。高い賃金提示により、応募の増減などの変化はありますか?

藪ノ: コロナ前と現状を比較すると、年収ベースで約40万円の増加があります。これには、賃上げの実施と、より経験豊富な人材の紹介が可能になったことが要因です。紹介料や年収が上昇することにより、優秀な人材を紹介できれば、受け入れられる機会も増えるでしょう。経験を積んだ求職者にとっては、人材紹介が有益です。経験の浅い方は、初めは求人広告やスカウトを通じて経験を積み、その後の転職で人材紹介を活用するのが効果的です。企業は適切なタイミングで人材紹介を活用することが重要です。我々は全てのサービスを提供し、人材紹介に一辺倒にならないよう配慮しています。このアプローチを維持していく予定です。

質問:目標とされる時価総額2000億円について、現在もその目標は変わっていないのでしょうか

藪ノ: これは変わりありませんね。これは半年ほど前から言い始めているんですが、一応非公式ながら社内で2000億円という目標を掲げているチームもあるぐらいですね。既存のメンバーだけでなく、新たに準備したメンバーも含め、せっかくやるならばこのような目標に挑戦したいという気持ちで取り組んでいますので、全く変わりはありません。

質問:現在の現金預金が20億以上あり、借入金の返済や利息の支払い、事業拡大のための資金としての利用について教えてください。

藪ノ: M&Aの軍資金として返済せずに残している側面もあります。ただし、設備投資などに関しても、現在の銀行からは新規の手当てを頻繁に受けているため、一般的な目的が定まっていない短期の借り入れを利用せずに済んでいる点も考慮しています。この銀行との関係はこれまであまり深いものではなかったですが、再び取引を始めるには、お互いにかなりのコストがかかる可能性があるため、借入金を返済するだけが全てではないと考えています。もちろん、必要に応じてそのような手段も検討しますが、総合的なバランスを考えながら、現金を保有している状態です。

質問:第2、第3のM&Aの検討について、候補は存在するのでしょうか?

藪ノ:  簡単ではないと思います。やはり私たちも取り締まり会などで議論を進めていくため、ポテンシャルの高いものでないと通過しないと考えています。ある程度、現在の「きゅういち」「ワールドインワーカー」「CAST」を詳しくご覧いただければ、我々が吟味し、各領域ごとに慎重に選定していることが理解いただけるかと思います。もちろん、提案を断ることの方が多いのですが、本当に興味深い提案しか最終的には採用しておらず、常に新しい機会を探し続け、検討を進めています。しかし、最終的に通るものはその中でもごくわずかだと考えています。

質問:企業の社風について教えてください。

藪ノ: 中途採用の割合については前述しましたが、私自身もそうかもしれませんが、基本的にはバランスの取れたアプローチを好む傾向があります。極端に情熱的でもなく、極端に冷静でもないですし、状況に応じて盛り上がることもあれば、冷静な判断を下すこともあります。この社風は私にとって魅力的で、今後も保ちたいと考えています。また、飲食業界出身者も多く、多様性があることも素晴らしいと感じており、今後もこのような雰囲気を維持していきたいと思っています。

質問: 1Qと2Qで売上げはほぼ同じですが、営業利益に大きな差があるのはなぜですか?

藪ノ: 売上が同じでも、取引業種による粗利の違いがあります。1Qでは粗利率が高い取引が多かったためです。2Qは、年末年始の兼ね合いによる稼働率の低下や季節的要因が影響し、粗利率が低下しました。

質問: 求職者の増加に伴いCRM評価をソフトウェア改変で行うとのことですが、この変更により効果が上がると考えられる理由を教えてください。

藪ノ:: 求人サイトのデータベースは2012年の新設以来、10年以上経過し、経年劣化が進んでいます。10年ぶりのリニューアルにより、読み込み速度が大幅に向上し、データ駆動型CRMの検討が可能になると期待しています。従来はCRMが主にメール送信に限定されていましたが、今後は求職者のサイト内活動を分析し、送信メールに分析結果を活用します。データベース整備により行動が視覚的に把握しやすくなり、大きなメリットがあると考えています。効果が実感された際には、それを活用し改善を進めたいと思います。

質問: ワールドインワーカーの今後の見通しについて教えてください。

藪ノ: ワールドインワーカーの個別業績は非公開ですが、買収時の売上を参考にしてください。今後の成長率は、HR事業全体で平均25%を目指しています。ワールドインワーカーは小規模であり、メンバーは若く活力があります。そのため、クックビズが年間100%成長した経験を踏まえ、同様の成長率を目指しています。ただし、急激な成長が組織に負担をかける経験から、バランスを保ちつつ適切な成長率を目指します。慎重に目標設定し、ワールドインワーカーを貢献できる事業として発展させる考えです。

質問: 10年後の会社のサービス領域や実現したいことについて教えてください。

藪ノ: おそらく2030年までに現在の成長率を維持すると200億円近くになるでしょう。特にHR事業は200億円ほどに成長すると予想されます。この成長は25%の連続的な成長率を基にしています。HRの売上比率を半分以下に削減することを目指しており、DXや事業再生承継の分野を強化しています。また、飲食業界など周辺領域の売上も期待されており、これらのサービスを補完することでさらなる成長が見込まれます。HR、DX、事業再生・承継の分野で数百億円の売上を目指しています。

投資家のみなさまへ

藪ノ:  今日は質問に答えることができて安心しています。現在、HR、DX、事業再生承継という新たな分野に注力しており、これらの領域で明確な目標が見え始めています。2024年、2025年には万博も控えており、私たちとしては万博に関わりたいと考えています。現在の三つの領域で力を入れ、HRを2025年までに30億円に回復させるのが目標です。次の10年に向けた中長期のビジョンを皆さんに示したいと考えており、これからも積極的に情報を開示していきますので、引き続きご支援をお願いします。

 

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