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[書き起こし]アピリッツ(4174)IRセミナー 質疑応答 2024.1.9開催

2023.1.9に開催しましたアピリッツ(4174)IRセミナーの書き起こしになります。


登壇者 取締役 執行役員 CFO 永山 亨 様

資料  Kabu Berry対談セミナー会社及び業績説明資料

IRセミナー

永山:よろしくお願いします。今日は、弊社が12月の半ばに第3クォーターの決算発表をしました。もちろんそれに触れるのですが、主に事業の深掘りに焦点を当てたいと思います。今日はコーポレートサマリーと事業説明、そして直近の第3クォーター業績のハイライトと今後の成長戦略についてお話しします。

会社概要

まずコーポレートサマリーから始めます。ビジョンは、「世界に愛されるインターネットサービスを作り続ける」ということです。当社はウェブ開発、システム開発からスタートし、もう20年以上この分野で事業を展開してきました。これからも、デジタル化が進む中で、様々なシステムやアプリケーションを世に送り出し、ユーザーに喜んでいただける製品を作り続けることに力を注いでいきます。

Q:永山様が入社される前からのビジョンなのでしょうか?

永山:はい、実はそうです。私たちはFounderの社長がいて、その方が理念を掲げているような会社ではありません。現在のビジョンとミッションは、4代目の社長がいろいろな経験を経て、創業当初から掲げていたものではなく、かなり経ってから作られたものです。これは、経営合宿でみんなでどこに向かいたいのかを話し合いながら決めたものです。

永山:設立は2000年で、インターネットの黎明期に慶応大学の学生が集まって始めたベンチャー企業がスタートです。現在、単体で638名の従業員がおり、成長戦略の一環としてM&Aを行っています。連結では734名です。これは10月末時点の数字です。現在、グループ会社は二つあります。

永山:株主構成についてですが、現在の時価相場は40億円程度で、小型株です。個人投資家に支えられています。実は株主構成には特殊な点があります。1位と2位の方は、社長の資産管理会社ではなく、学生を応援するために純投資をいただいた方々です。これは、Founderの社長が半分持っているような構成とは異なり、珍しい構成です。現在の社長、和田は4位で4.3%程度の株を持っています。投資家の皆さんから見ても、上位の株主がいつか株を売却することへの心配はあるかもしれませんが、私たちは株主の意向を聞きながら進めるので、急な売却による株価の暴落は起きないと思います。

Q:創業社長が多くを持っているような会社では、持ち株が多い人はやる気があるが、持っていないと関係ないと考えがちです。そういったことはないのでしょうか。

永山:それはないと思います。もちろん、キャピタルゲインで利益を得ることがモチベーションになることもありますが、私たちの社長は普通のサラリーマンで、中途採用から入った人です。私も役員になるまではサラリーマンでした。自分たちが規模の大きな会社を成長させ、上場させるというやりがいを感じています。従業員も多いので、お金以外のモチベーションを非常に高く持っています。持ち株比率が低いことについては、特に問題だと感じたことはありません。

Q:株主の中に、テイクアンドギヴ・ニーズさんという結婚式場が入っていますが、これはどういったきっかけで関係があるのでしょうか?

永山:創業期の2000年にサービスを立ち上げたものの、すぐに頓挫しました。その後、Web開発にピボットし、第1次成長期に入りました。当時、インターネットの黎明期で、サイバーエージェントやテイクアンドギヴ・ニーズなどがネットビジネスを展開していました。当時の社長がこれらの企業とのコミュニティで交流し、出資を受け、共にサービスを考えたり、開発を請け負ったりしました。そのため、そういった会社が株主として入っていることがあります。

Q:非上場の時期には、長い間保有していたということですか?

永山:はい、そうです。それは仲間意識や、お互いが成長していく中で補完し合っていくということで、長い間保有していただいています。今も取引があるなど、そういった関係性で株主名簿に入っています。

永山:はい。1次成長期には、成長を遂げましたが、学生が集まって若者中心でやっていたため、経営管理が不十分で赤字になったこともありました。その後、経営のプロを呼んで立て直しを行いました。3代目の社長が立て直しを行い、その時に現在の社長の和田も入社しました。和田は新規事業の開発などを行い、その後、新しいゲーム事業やASPの新製品の開発に成功しました。その結果、右肩上がりの成長を遂げ、2021年にはIPOを達成しました。ただ、この過程は紆余曲折が多かったというのが実情です。

Q:経営を立て直すという話をよく聞きますが、具体的にどのような施策を行われたのですか

永山:主に、プロジェクトの採算管理を徹底し、発生する費用をリアルタイムで把握しました。また、どこに投資し、どこを我慢するかという長期的な視点での判断が重要です。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、1次成長期や2次成長期の時は、まだ経験が浅い若者が中心だったため、これらの点をしっかりと行うのが難しかったのです。そこで、経験豊富な人材を外部から招聘して、これらの問題を解決していきました。

永山: 和田が入社してからの過去10年間、トップラインの売上は安定的に成長しています。2021年には上場を果たし、2022年と2023年はM&Aを通じて成長を遂げました。ポイントは、安定的な成長が達成されたことです。

永山: さらに、当社の特徴として、創業時に学生から始めた点を挙げられます。現在も社員の約60%が20代、30代を含めると80%になり、平均年齢は31.7歳で非常に若い会社です。人口ピラミッドから見ても、若手が活躍する企業です。

永山: 若手の感性や成長速度は高く、新しいアイデアを持っています。労働人口の減少を考慮しつつも、事業の継続に向けて若手を育成しています。退職率や平均年齢に関しても、SIerとしては標準的です。

Q: 退職理由について教えてください。

永山: 退職理由は様々です。新卒で5年勤務後に外に挑戦したり、中途で入社したが学べることがなくなり退職するケースもあります。特定の理由に偏りはありません。

Q: 平均勤続年数が4.44年と短いのではないかという質問です。

永山: 毎年新卒を多く採用しているため、平均勤続年数が短くなっています。また、一定年数後に別の世界を見たいという理由で退職することもあります。

永山: 会社としては、社員が望むものを提供できなくなった場合は、背中を押す方針を持っています。

Q: 退職率について教えてください。

永山: 退職率は標準的ですが、さらに改善できればと考えています。価値観の多様化に対応し、様々な投資や試行錯誤を行っています。

Q: 受託開発が原因で仕事の偏りが生じているのではないかという質問です。

永山: 受託開発による仕事の偏りは一因です。自社プロダクト開発の欲求がある社員もいるため、様々な職種を抱えています。

Q: エンジニア不足に対してどのように対応しているか教えてください。

永山: 未経験者や新卒を中心に採用し、育成しています。中途採用に関しても、市場の状況に合わせて対応しています。

Q: 10代以下の社員がいるのかという質問です。

永山: 10代以下という表現は誤解を招きました。10代の大学生などが入社しています。

Q: 女性比率について教えてください。

永山: 技術職種の中での女性比率は30%です。多様な職種を抱えているため、開発会社よりも比率が高くなっています。

以下に、質問と回答の文章を校正しました。

Q: しかし、そういったSIerの仕事は誰にでもできるわけではないですよね。比率が高い理由と、女性が同様の仕事をされているのか、それとも異なるのかについてお伺いします。

永山: ありがとうございます。実はエンジニアと一括りにされがちですが、多様な職種が存在します。一般的に想像されるのは、コードを打ち込んでアプリケーションを動かすフロントサイドのエンジニアですが、サーバーサイドのエンジニアもいます。さらに、アプリケーションのデザインやUI/UX、保守も別のスキルが必要です。多くの職種の人々が集まり、一つのアプリケーションやシステムを開発しています。女性エンジニアの比率は元々低いですが、当社ではUI/UXデザイナーや2Dデザイナーなど、多様な職種を一括で担当しているため、女性比率が他社より高くなっています。これは、デザインを外注するなど部分的に外部に委託する企業とは異なります。

永山: 当社は三つの事業を展開しています。まずはアプリケーションやシステム開発を行うWebビジネスソリューションがあり、多数のエンジニアを抱えているため、人材派遣も行っています。また、自社での開発を希望するがエンジニアが不足している企業からのニーズに応えるため、エンジニアを派遣して収益化しています。さらに、オンラインゲーム事業も行っており、これはWebビジネスソリューションと共通する点があります。

Q: ありがとうございます。

永山: この表について一つ気になる点があります。安定事業と成長事業という表現ですが、現状を考えると、Webビジネスが明らかに成長事業ですね。

Q: そうですね、逆の方が現状に合っているように思います。

永山: その指摘は正しいですね。安定という言葉は、成長しているが、オンラインゲームのようにヒットかミスのモデルではないという意味で使っていました。次回からは表現を修正します。

Webビジネスソリューション

永山: はい、まずはWebビジネスソリューションから説明します。例えば最近手掛けたのは、カプコンの40周年記念サイトです。これは単なるサイトではなく、大規模なシステム開発が伴いました。カプコンからの依頼は、ゲームの知識と大規模開発の能力を持っている当社に対するものでした。これらは一気通貫で内部で行っており、オンラインゲーム事業とWebビジネスソリューションの両方の強みを生かしています。

Q: すみません、カプコンさんのプロジェクトについて質問です。製作期間はおおよそ何ヶ月かかるのでしょうか?

永山: はい、これは大規模なプロジェクトなので半年以上かかります。

Q: 公開が2時間というのは結構短いですね。カプコンさんのサイトについてはあまり詳しくないのですが。

永山: そうなんですが、実は40周年という節目ではありますが、その年だけで終わるわけではありません。リリース後も新しいコンテンツの追加など、継続的な要望があります。

Q: カプコンさんでは自社でプログラムを含めた開発を行うことが多いと思いますが、なぜ自前でやらないのでしょうか?

永山: それはいくつか理由があると思います。カプコンさんは主にコンシューマーゲーム、例えばプレイステーション向けの開発に注力しています。そのため、売り上げの主要な源泉であるこれらに集中したいと考えているのです。もちろん、コーポレートブランディングの意味でもカプコンさんはこれを重要視していますが、リソースの都合上、外注することもあります。

Q: カプコンさんからのゲームのプログラミングは、そのままサイト内で使用しているのですか?それとも、P様が一からキャラクターなどを作成しているのでしょうか?

永山: 我々が全てを一から作成しているわけではありません。しかし、プログラミングをサイト上でどのように動かすかは我々が担当しています。元々のコンテンツはカプコンさんのものです。

Q: 突然キャラクターがオーストラリア人になったら驚きますね。

永山: はい、大規模な開発ですが、たとえばさとふるさんなどのアプリケーション開発も行っています。最初のビジネス立ち上げから伴走し、アプリケーションを開発してリリースしています。リリース後も継続して取引があります。

Q: さとふるさんに関してですが、運営会社はソフトバンクグループの会社ですよね?

永山: はい、そうです。ただ、彼らは自前のリソースが足りないため、私たちのような会社に依頼することがあります。他にも多くのプロジェクトを抱えているため、一部のプロジェクトを外部に委託する必要があるのです。エンジニアの採用や開発部隊の内製化が進んでいる会社も多いですが、そう簡単にはいかないことが多いです。そのため、我々のような会社にニーズがあるのです。

Q: 他にどのようなプロジェクトを手掛けていますか?

永山: 例えばモーニングスターの株式投資家向け公式アプリ、東京リーガルマインドのクラウド講義動画エンコードシステム、JTBのECサイトなど、業界を問わず様々なアプリケーションや大規模開発を行っています。これらを一気通貫で制作しているのが私たちの特徴です。ビジネスモデルの段階から参画し、企画・設計から開発・製作まで行います。一般的なSIerは開発だけを行いますが、我々はビジネスモデルからの参画で、リリース後の運用や保守も担っています。

永山: 国内の民間IT市場は今後も成長が見込まれています。デジタルシフトは止まらないので、我々のような事業会社には需給でいうとまだ少ないため、市場は伸びていくと予想されています。例えば、アパレルや百貨店などのお客様も、コロナ禍でのリアルビジネスの困難から、デジタルシフトを進めるニーズが高まっています。

Q: 最後に、ウェブ開発が他の業務に比べて難しくないということはありますか?

永山: いいえ、そんなことはありません。バックヤードの効率化システムや金融インフラシステムなどは難易度が高いですが、通信向けも非常に繊細で、ユーザーの体験が直結しています。小規模の会社では対応が難しい場合もあります。

デジタル人材育成派遣

Q: 次にデジタル人材育成派遣についてお伺いします。

永山: この事業に関しては、実はM&A戦略によって大きく変化しました。元々はWebソリューションやオンラインゲーム事業の一環として小規模に行っていましたが、M&Aにより事業規模が拡大し、セグメンテーションを分けることにしました。つまり、昔から行っていた事業で、新しく始めたものではありません。 デジタル人材の需要は増加しています。労働人口は減少傾向にあり、IT人材の需給ギャップが拡大していると予想されています。私たちの事業は、完全な開発を請け負うだけでなく、内製化を進める企業の人材不足を補うための派遣も行っています。

Q: IT系の会社で見られるITデジタル人材不足についてお聞きしたいです。2024年には顕著な人手不足が予想されていると聞いています。

永山: はい、実際に人手不足は既に発生しています。例えば、プログラム開発では、内製化している会社でも人員不足により開発工数が増え、納期が延びるケースが多く見られます。また、個々の負担も増加しています。

Q: この人手不足により、納期が延びたり、プロジェクトが完了できないといった問題は実際に発生しているのでしょうか?

永山: はい、そのような問題は実際に発生しています。例えば、アプリケーションの開発期間については公にはあまり話されませんが、サービスリリース後には認知されます。しかし、リリース前の開発過程における問題はあまり知られていません。不足している人材により、開発期間が延びるケースは珍しくありません。

Q: 労働環境については、昔と比べてどのように変化していますか?

永山: 昔は無理なスケジュールでの労働が普通でしたが、現在は多様な価値観の中で労働基準法を遵守し、無理なスケジュールは断るようにしています。

Q: 人材派遣事業における未経験者の採用と育成について教えてください。

永山: 未経験者の採用と育成に関しては、長年の経験とノウハウを活用し、競争の激しい市場で差別化を図っています。採用コストの削減と人材の流動性の向上を目指しています。

Q: 未経験者の採用にはどのような課題がありますか?

永山: 基準に達していない人材の採用が主な課題ですが、我々は熱意を持つ人材を重視しており、結果として多くの人材が活躍しています。

Q: 人材派遣事業の成果について教えてください。

永山: 派遣された社員が他社で経験を積み、自社のプロジェクトで力を発揮しています。他社での学びが自社の強化につながっています。

永山: 現在エンジニア不足が問題となっていますが、弊社の特徴は未経験者を採用し、育成して派遣することにあります。これは他の派遣会社と異なる点です。確かに採用した人の成長には時間と教育コストがかかりますが、中途採用の場合、エージェントを通すと年収の35%から50%の手数料がかかります。つまり、1人採用するのに年収の半分以上の手数料が必要になるのです。

Q: 100万円ですか?

永山: はい、1000万円のエンジニアを採用する場合、500万円から1000万円の手数料が必要です。そういった中で、新人を採用することに注力しています。長年続けてきた住宅ビジネスやWebソリューション、オンラインゲーム分野でのノウハウがあり、様々なプロジェクトを通じてOJTを行い、加速度的に成長させています。

Q: 未経験者を採用するというのは、本当にそのような人がいるのでしょうか?

永山: 実は、もの作りをしたいという方は多くいます。新卒採用もうまくいっており、これまで特に困ったことは

ありません。人が来ないという問題もありません。むしろ、エンジニアが多いほど業務が拡大できるので、より多くの人材を求めています。ただし、一定の基準に達していない人は採用しないので、その点での葛藤はありますが、母集団が減少しているわけではありません。

Q: 採用される人の能力が低いということはありませんか?

永山: 実際、重要なのは熱意です。発意のある人は吸収が早く、特別な才能は必要ありません。ある程度のレベルまでは繰り返し学ぶことで達成できます。私たちは、何かを作りたい、ユーザーに喜んでもらいたいという熱意がある人を採用しています。もちろん、濃淡はありますが、そのような人が脱落することはほとんどありません。

Q: 熱意がある40代や50代も採用しますか?

永山: さすがにその年代は採用しません。30代や40代は、例えばプロジェクトマネージャーなど特定の役割で採用することはあります。

Q: 今45歳でWebデザイナーやエンジニアを目指すのは無理でしょうか?

永山: はい、その年代での採用は難しいです。私たちは主に若年層を対象にしています。

Q: 会社の中でのデジタル人材の流動性について教えてください。

永山: 私たちはWebソリューション事業、オンラインゲーム、デジタル人材育成派遣の三つのポートフォリオを持っています

。これらは社内で人材の流動性に寄与しており、外部で稼いだ後に内部でのプロジェクトにも活用されます。例えば、Webソリューションやオンラインゲームのプロジェクトが一時的に空くときがありますが、その間、デジタル人材育成派遣事業を通じて他の場所でキャリアを積んでもらい、収益化につなげています。

Q: 人材育成のアプローチについてもっと詳しく教えてください。

永山: 実は、これまで社内で蓄積してきたノウハウを活用して、新しいサービスとして人材育成プログラムを始めました。これは、新しい人材の母集団を形成するためであり、このプログラムを通じて私たちの会社に入ることもできますし、プログラム修了後に他の会社へ行っても構いません。これにより、業界全体にも寄与し、採用にも役立てています。

Q: この人材育成プログラムの費用はいくらですか?

永山: 費用は非常に安く設定されていますが、これは利益を出すためのものではなく、主に求職者を集めるための入口として位置付けられています。将来的に費用を見直す可能性はありますが、現時点では求職者に門戸を開くためにこの価格で提供しています。

私たちはエンジニア不足の問題に直面しています。一般的にエンジニアは需要が高く、取り合いになっています。しかし、私たちの特徴は、未経験者を採用し、育成して派遣する点にあります。これは他の派遣会社との違いです。もちろん、採用した人が成長するまでには時間と教育コストがかかりますが、これが無駄だとは考えていません。中途採用でエンジニアを雇う場合、エージェントを通せば年収の35%から50%の手数料がかかるため、未経験者を採用する方がコストパフォーマンスが良いのです。

永山:私たちは新卒採用も行っており、ものづくりをしたいという意欲のある人は結構います。人が来ないという問題はありません。課題は、基準に達していない人を採用しないことです。未経験者でも意欲のある人は吸収が早く、一定のレベルまでは才能よりも継続することが重要です。しかし、稀に脱落する方もおりますが、それは本人の意志の問題です。

永山:年齢については、40代50代でも熱意があれば採用することはありますが、主には若手層をターゲットにしています。中高年の方は、例えばプロジェクトマネージャーとしての経験がある場合に限定して採用することがあります。

永山:また、私たちはWebソリューション事業、オンラインゲーム事業、デジタル人材育成派遣事業を展開しています。社内で培ったノウハウを活かして、人材を育成し、派遣することで、社内の人材流動性にも寄与しています。また、最近はこのノウハウを活かしたサービス化も模索しています。これは業界全体にも寄与すると同時に、採用にも貢献します。

オンラインゲーム事業

永山:当社のオンラインゲーム事業は、他の会社が苦戦している中で、ポートフォリオのバランスを取ることに注力しています。自社ゲーム開発、パートナーゲームの開発・運営、運営移管などの多角的なアプローチを取っています。これにより、一つのゲームが終了した場合でも、人材育成の分野で収益化するなど、多様な戦略を採用しています。

永山:自社ゲーム開発に関しては、大規模な投資を行う方針ではありません。身の丈に合った範囲でクオリティの高いゲームを開発し、運営していくことを目指しています。また、受託開発や運営移管においても、デューデリジェンスをしっかり行い、リスク管理を徹底しています。

永山:最後に、オンラインゲーム事業では、受託開発や運営移管などを通じて、リソースの効率的な配分を目指しています。このアプローチにより、リスクを管理しながら、事業の成長を図っていくことが私たちの目標です。

Q: 運営移管における課題は何ですか?

永山: 売り上げ予測の難しさが最大の課題です。市場の変動により、同じ戦略が常に同じ結果をもたらすとは限りません。運営移管を検討する際には収益性の評価とリスク管理が重要です。

Q: ゲーム開発のペースは適切ですか?

永山: 過去は年に1本のペースで開発していましたが、現在はクオリティとバランスを重視し、新しいゲームの開発は慎重に進めています。既存の運営移管案件とのバランスを考慮しています。

Q: 運営移管の戦略について教えてください。

永山: 我々は運営移管案件を選定する際、慎重にリスク評価を行っています。焦って無理な案件を引き受けることは避け、収益性と将来性を重視しています。

Q: 現場が「これいいですね」と感じるケースで却下されることは実際にあるものですか?

永山: はい、実際には「この額では買えない」という議論は普通に行われます。移管を行うにしても、「この額だと無理です」という話は常に行っています。

業績予想

永山: 今までの事業説明と3クォーターの決算発表についてですが、2クォーターにもニュースがありましたので、そのおさらいをします。2クォーターの上期においては、通期の業績予想を上方修正しました。しかし、通期予想は据え置きました。上期は好調でしたが、通期に関しては、下期および来季への投資を考慮し、そのために利益を投資に回すことを決定しました。主な投資先は、人的資本、オフィス移転、そしてシステム改革とAI研究開発です。

Q: 本社移転についてお伺いしたいです。この移転は急に決まったものですか?

永山: この移転は、事前に計画されていましたが、期初の予算発表時には織り込まれていませんでした。移転に伴う準備費用や早期償却など、予期せぬコストが発生しました。

Q: ChatGPTの開発は、どのように進める予定ですか?

永山: 主に二つの方向性があります。一つは自社の業務効率化で、例えば適時開示の作成、スケジュール調整などにAIを活用します。もう一つは、お客様のアプリケーション開発に組み込むことです。例えばECサイトでの問い合わせ対応や、モーションキャプチャーなど、様々な活用方法を検討しています。

Q: Unityの契約変更によるリスクについてですが、特に影響はないとのことですね?

永山: はい、Unityに関する最近の動向は注視していますが、現時点での業績への直接的な影響はないと考えています。

Q: 決算発表時の株価の動きについて、どのように考えていますか?

永山: 確かに、決算発表後に株価が下がることはあります。これは、投資家が未来の成長を見込んで投資するため、我々の発表が既存の期待を

超える内容でなければ、株価には反映されないということです。将来に向けたプランや成長戦略をもっと明確に示す必要があると思っています。

Q: セグメント別の利益が伸び悩んだ原因は何ですか?

永山: それぞれの事業セグメントで少しずつ利益率が上がっていますが、特にオンラインゲーム事業では、売上が予想ほど伸びなかったことが要因です。運営の効率化は進んでいますが、売上の伸び悩みが利益への影響を及ぼしました。

Q: 決算発表と株価の関係について、今後の対応は?

永山: 決算発表は過去の実績を示すもので、株価は未来の成長に対する期待を反映します。今後は、投資家が未来に期待できるような情報を提供することで、株価にもポジティブな影響を与えられるよう努めます。

永山: 3クォーターはそのような状況でした。通期は据え置かれましたが、進捗率はどうだったのですか?これについては決算説明会の資料に全て記載されています。進捗に関しては、非常に堅調で順調です。

永山: 利益に関しては8割を超えており、売り上げに関しても75%程度を達成していますが、少し弱い点もあります。ただし、現在の数字は下方修正の水準ではありません。

永山: これは四半期ごとに分解した連結の売り上げの数字です。Webソリューションとデジタル人材育成派遣は右肩上がりで伸びていますが、オンラインゲームは横ばいでした。それでも、売り上げは過去最高の21億8000万円でした。

永山: 原価と費用に関しては、オンラインゲーム事業での効率化により、適正に推移しています。利益に関してはWebソリューションとオンラインゲーム事業で過去最高を記録しました。EBITDAに関しては、M&Aによるのれんの償却負担が問題となっていましたが、順調に増加しています。

永山: BS(バランスシート)に関しては、利益が積み上がり、配当や自社株買いを実施しました。MAを行ったことにより、資本効率が改善され、ROEとROAは堅調に推移しています。自己資本比率も、借り入れがあるにも関わらず、安定的に推移しています。

Q: ROEが去年よりも大幅に改善されていますが、限界があるとおっしゃっていたと思います。現在の水準が適正かどうかについて、いかがでしょうか?

永山: 現在の水準は適正だと考えています。過剰に高いわけでも低いわけでもなく、この水準を維持できれば良いと思っています。ただ、これは全ての指標を総合的に考慮する必要があります。

今後の成長戦略

永山: 今後の成長戦略については、人材派遣とWebソリューション事業を安定的に成長させること、そしてM&Aを通じてデジタル人材の確保や売り上げ増加を目指しています。特にWebソリューション事業に関しては、慎重に事業統合を進めています。また、エンジニアの確保にも力を入れています。オンラインゲーム事業に関しては、安定的な運営を継続しつつ、運営移管や共同運営でさらなる成長を目指しています。

永山: 配当に関しては、上期6円、通期予想6円で安定的に増やしています。しかし、配当だけでは目標の30%にはまだ達していません。自社株買いも一つの還元方法と考えており、バランスを取りながら進めています。

質疑応答

Q: 自社のインターネットサービス開発について計画はありますか?

永山: 現在、その選択肢について議論していますが、直近では具体的な計画はありません。自社プロダクトの開発は中長期的な戦略として検討しています。

Q: 自社株買いについて、余剰資金での追加自社株買いを検討していますか?

永山: 自社株買いは主にM&A資金として利用していますが、配当と自社株買いのバランスを取りながら進めたいと思っています。ただし、市場の流動性にも配慮して進めます。

投資家の皆さまへ

永山: 今日は対談形式での議論にご参加いただき、ありがとうございました。この形式が非常に有効だと感じています。今後もこのような機会を設けていきたいと思います。長時間のセッションにご協力いただき、感謝します。

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