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[書き起こし・要約]ウイルテック(7087)IRセミナー 質疑応答 2024.1.20開催

 

2023.1.20に開催しましたウイルテック(7087)IRセミナーの質疑応答部分の書き起こしになります。


登壇者 取締役 上席執行役員 管理本部長 渡邊 剛 様

資料

IRセミナー

こんにちは、皆さん。証券コード7087の株式会社ウイルテックの管理部門を担当している渡邊と申します。本日はよろしくお願いいたします。会場の皆様、オンラインでご視聴いただいている皆様には、お忙しい中当社のIRセミナーにご参加いただき、心より感謝申し上げます。

昨年1月にも同じ場で説明をさせていただきましたが、本日は2回目の機会をいただいており、改めてお礼を申し上げます。私たちは主にBtoB事業を行っており、上場してからわずか4年が経過したばかりで、まだまだ認知度の低い会社です。このような機会をいただけることを大変ありがたく思っております。

本日は当社を初めて知る方も多いと思いますので、貴重な時間をいただき、約40分間で当社の概要を説明させていただきます。その後、皆様の質問に可能な限りお答えし、当社グループについて理解いただければ幸いです。それでは、株式会社ウイルテックの会社説明をさせていただきます。

1.ウイルテック会社概要について

まず、当社ウイルテックの概要から始めます。当社は1992年4月に多くの電機メーカーが集まる大阪の門真市で設立され、今年で31年目を迎えています。2020年3月に東証第2部に上場し、現在はスタンダード市場に移行しています。代表である宮城力は、学生時代に当社の製造現場でアルバイトをし、入社後は現場の改善提案や新規事業の立ち上げ、従業員と共に事業の拡大に取り組み、2016年からは3代目の社長としてグループを牽引しています。当社の本社は大阪の淀川区に位置し、新大阪駅から1駅の距離にあります。資本金は1億5575万円で、従業員数は約5708名です。主要な事業拠点は関西地方を中心に、関東、東海や九州などにも展開しています。

続いて、当社の経営理念と経営方針についてです。当社は人との出会いを大切にし、共に成長しながら豊かな社会の創造に貢献することを経営理念としており、「千変万化」を経営方針として掲げています。DX推進、働き方の変化、SDGsパーパス経営など、企業の存在価値へのパラダイムシフトが起こっており、社会環境が大きく変化しています。我々ウイルテックグループは、高い志と技術の向上を通じて、経済的価値だけでなく、社会的価値の創造にも力を入れ、笑顔あふれる社会の実現に向けて取り組んでいます。

次に、当社グループの過去から現在までの売上の推移について説明させていただきます。当社は、大阪で事業をスタートさせました。設立からの10年間は、大阪を中心に京都、兵庫など関西ローカルで事業を展開していました。2004年に製造派遣事業が解禁されるとわかり、それに向けて数年前から全国展開の準備を行い、法改正後に営業展開を全国に広げ、製造系を中心に事業を伸ばしました。順調に成長していましたが、2008年のリーマン・ショックによる円高進行で、多くのメーカーが製造拠点を海外に移転し、売上が低迷しました。私たちは製造請負を中心に事業展開しており、一社あたりの取引が大規模だったため、海外移転の影響を受けやすく、新たな取引先を探すことに苦労しました。

その中で、製造業の回復に備え、従業員の雇用を最優先にしましたが、初めて人材ビジネスで赤字が出ました。社内で全員で議論を重ね、製造派遣請負が事業の90%以上を占めていたことから、これを何とかしなければならないという結論に至りました。これまで蓄積した製造技術を活かしながら製造のもの作りを支援する幹を変えずに事業構造を見直しました。この見直しは事業構造を改善する良い機会となりました。

2014年にはパナソニックのグループ会社である受託製造や商社機能を持つデバイス販売テクノをグループ会社化し、2020年にはIT派遣を行うパートナー社をグループに取り入れました。コロナ禍による大きなダメージはありましたが、これらの取り組みにより安定的な成長ができる事業基盤が形成されました。2014年以降、売上高を落とすことなく事業成長を遂げています。

リーマンショック前、2008年3月期には売上高の92%が製造派遣製造請負でしたが、特定分野の好調不調の波や市況感の変化により、売上が低迷することが多くありました。現在2023年では、製造派遣請負が全体の売上の48.5%を占め、他のエンジニア派遣やEMSなどの事業が成長し、事業基盤のバランスが良くなっています。

2.グループの事業概要について

続いて、ウイルテックグループの事業について説明します。当社グループは、製造、建設、ITの三つの領域で事業を展開しています。製造領域ではマニュファクチャリングサポート事業、製造請負、製造派遣を行っています。EMS事業は電気機器の受託や商社機能を持ち、建設領域では建設系技術者の派遣請負や受託を行っています。IT領域ではエンジニア派遣、システム開発を行っています。その他の事業として、海外人材の就職支援や中古OA機器のリサイクル事業、特例子会社による印刷やWeb制作などを行っています。

まず、連結売上高の約6割を占めるマニュファクチャリングサポート事業についてです。前期のセグメント売上は約209億円で、製造派遣請負がその中でも77%を占めています。当社の特徴としては、半導体関連や情報通信機器、電子部品デバイスなどの弱電系がメイン業務となっています。

製造請負では、現場の課題改善や様々な提案を行い、自社内に製造ノウハウが残ることが、私たちの付加価値になっています。派遣事業は、自動車の車体など命に関わる分野は出来ないので、そういった分野には参入していないのが特徴です。製造請負で培った技術ノウハウを生かし、さらに付加価値を高めていくことを目指しています。特に今力を入れているのが技術派遣事業とアフターサービス事業です。アフターサービス事業では、エネルギー関連やSDGsの観点から修理や部品交換などの資源再利用に力を入れています。この事業を通じて社会課題への貢献を目指しています。

次に、コンストラクションサポート事業です。前年のセグメント売上は約44億円で、大手ゼネコンやサブコンをお客様として、施工管理技士やCADオペレーターを派遣する人材サービスが中心です。建設業界は人材不足が大きな課題ですが、当社グループでは若手と女性が活躍しており、平均年齢は30代、女性が約半数を占めています。建設業界では、2024年から時間外労働の上限規制が適用されるため、長時間労働の改善が求められています。これを機に、私たちは若手未経験者への教育に力を入れ、育成・研修が高い評価を得ています。建設業界が変革を迫られる中、私たちのサービスに対するニーズが高まっています。

また、コンストラクションサポート事業では、単に人を派遣するだけでなく、建設業の許認可も取得し、電気設備工事や小型ドローンを使った現場調査、測量、点検サービスなども展開しています。今後も建設業界への貢献を目指していきます。

次に、ITサポート事業です。セグメント売上は約28億円で、Webシステムの開発を中心に幅広い分野でソフトウェア開発を行い、ITエンジニアを派遣する事業を行っています。ITサポート事業について、DXの推進や現在の状況では、IT人材の需要が非常に高まっています。IT人材は何十万人も不足すると言われている状況です。当社はもともとITに関しては土台がなかったため、2020年に賛同していただいた会社をグループに迎え入れました。当社はこれからITを伸ばしていく方向で力を入れていきます。社会課題であるIT人材の不足に対して、当社がこれまで培った採用のノウハウや若手の教育の仕組みをグループ会社に活かしています。昨年末からシナジー効果が現れ始め、今期から成長フェーズに入ったと考えていますので、今後の事業拡大に期待していただきたいです。

続いて、EMS事業の説明です。前期のセグメント売上は45億円で、さまざまな産業機器の制御基盤や電源機器などの受託製造事業と電子部品の卸売業を行っています。福島県に自社工場を持ち、事業展開をしています。製造請負は当社の主たる事業で、もの作りに対して付加価値をつけることに注力しています。2014年にパナソニックグループの会社をグループに迎え入れ、生産管理や品質管理、生産技術などの機能を持っています。最近では製造拠点の国内回帰が進んでおり、設備投資などに力を入れています。今後EMS事業を拡大していく方針です。

3. 第2四半期業績サマリー

続いて第2四半期の業績についてです。売上は160億4700万円で、前期比から1.1%の減収、営業利益は200万円の損失、四半期の純利益は2100万円の損失となっています。

これは主にマニュファクチャリングサポート事業の製造請負部分の落ち込みが原因です。半導体関連を中心とした電子部品が現在在庫調整期にあり、これが収益の大幅な悪化をもたらしました。利益部分に関しては、半導体の需要のサイクルが回復することを見込み、人材育成や他の部分への投資を行っています。エンジニア派遣や新規サービスは順調に伸びています。

他のセグメントについても、マニュファクチャリングサポート事業以外は、コンストラクションが12%、ITサポートが8.4%、EMSが15%で伸びており、収益も68%、66%と増加しています。コンストラクションの減少は、若手人材の積極採用と育成によるもので、事業自体は成長しています。2Qの数字だけでは厳しい状況に見えるかもしれませんが、半導体の回復と他セグメントの成長により、今後はさらにバランス良い事業基盤を構築してまいりますので、体質が悪化しているわけではありません。

4. 事業機会に対するグループの対応

次に、事業機会に対する当社グループの対応について、市場課題と事業機会という観点から四つのポイントについてお話しします。製造業の市場環境、技術革新への対応、労働人口の減少、エネルギー問題に対して、ウイルテックグループがどのように取り組むのかを説明します。

まず、製造業の市場環境についてです。昨年と比較して、国内生産体制の強化が進んでいます。サプライチェーンの乱れや不透明な国際情勢を背景に、多くのメーカーが国内に製造拠点を戻そうとしています。政府は産業力の強化の一環として、設備投資を推進しています。しかし、中堅中小メーカーにとっては、設備投資のコストや労働人口の減少に伴う採用コストの増加が課題です。

この課題に対して、当社はEMS事業を強化し、お客様に製造のアウトソーシングを提案しています。少量多品種の生産にも対応し、部品調達から基盤の実装、組み立てまでを受け入れる体制を整えています。EMSは日本以外でスタンダードなモデルです。当社は製造請負のノウハウを生かし、またM&Aを活用してEMS事業の拡大を図っています。

次に、技術革新への対応についてです。政府主導で先端半導体や脱炭素、DXの推進などの取り組みが加速しています。しかし、新たな技術への対応は教育機関だけでは不十分です。我々は人材ビジネスを通じて、必要な技術を身につけたエンジニアを育成する使命があります。

この分野では、需要の高い先端技術の分野で協力するため、研修施設の充実化を図っています。特に半導体関連の集まる熊本県に施設を設け、また建設業界での人材不足に対しても未経験のエンジニアの育成に力を入れています。IT分野では、ITサポート事業を通じて若手の未経験エンジニアに教育を行っています。

労働人口の減少という大きな課題に対しては、海外人材の活用が必要です。我々はASEAN地域に焦点を当て、現地の大学と協力し、日本語と技術研修を無償で提供しています。
現在、海外の優秀なエンジニアを確保するために、協定を結んで現地で教育を行う取り組みを通じて、需要に対応してゆくことを考えています。

以前のように簡単に海外で面接を行い、採用することが難しくなりました。日本の賃金が相対的に低く、日本語の学習も他国より難しいため、海外から日本を選択する人材が減少しています。そのため、ベトナムとミャンマーに現地法人を設立し、日本語教育だけでなく、日本の文化や魅力を伝え、日本で働く魅力を提供する教育を強化しています。現在、直営・FCの12校で約800名の海外の人材が教育を受けています。その一方で、日本語教師の不足が問題となります。そのため、文化庁が定める420時間のカリキュラムに従い、日本語教師の養成講座を開設し、不足する教師の養成に取り組んでいます。

海外の学校運営や日本語講師の養成に加えて、観光分野の宿泊施設などで人材不足が慢性的に存在し、異業種からの関心も高まっています。そのため、異業種と提携し、専門コースの教育を提供する取り組みを行っており、定着率の向上を図っています。また、日本に入国後の生活サポートや、海外からの人材サポート事業も提供し、日本国内の問題に対して多角的に取り組んでいます。

労働人口の減少に対処する際、海外人材だけでは不十分であることを考慮しています。人数の問題だけでなく、生産効率の向上も我々の使命と考えています。そのため、当社は中期経営計画において「スマートものづくりの推進」を掲げ、大阪の江坂にプロジェクトデザインセンターを開設し、ロボットの開発拠点を設立しました。最近、様々な分野で導入が検討されているロボットに対する取り組みを行っています。この拠点では、ロボットの管理、技術向上、生産性向上を望むお客様に対し、実機を使用したデモンストレーションやセミナーを開催しています。

我々のターゲットは、ロボットの販売だけでなく、導入後の保守メンテナンスにも力を入れています。一昨年の10月に、物流業界でロボットを使用したシステムを提供しているGROUND社と、昨年9月には倉庫自動化分野で活動しているHAI ROBOTICS JAPAN社とのサービスパートナーシップ契約を締結しました。これにより、製造業のお客様に省力化や省人化の提案を行い、保守サポートを拡大し、ロボットエンジニアを育成する取り組みを行っています。両社の連携により、サービス体制を強化し、販路拡大とお客様の満足度向上に貢献しています。

事業課題の最後に、エネルギー問題についてお話しします。国が推進するエネルギーの基本方針において、太陽光発電や再生可能エネルギーの構成目標が引き上げられました。また、エネルギー供給の安定性を確保するために、蓄電池分野で急速な成長が見られます。
最近では、電気自動車と住宅で電力を共有する「V2H(Vehicle-to-Home)」の技術も進歩しており、災害時など停電時に車から住宅へ電力供給が可能です。また、経済産業省はEV向けの充電設備の整備を推進しており、当社グループも充電器の設置工事を行い、補助金の申請から設置までのサービスを提供しています。また、韓国のEV充電のソリューション企業であるEVAR社とPoC運営の基本合意を締結し、業界における協力を強化しています。

エネルギー関連市場の拡大に伴い、関連設備の復旧とエネルギーインフラの再構築が進行しています。このため、当社は修理やメンテナンスなどの保守サービスに力を入れており、全国でサービスを提供できるようにパートナー企業と連携を強化しています。最近では大手蓄電池メーカーから保守サービスの受注も受けており、アフターサービスでエネルギー関連の課題に貢献できる体制を構築しています。

5.トピックス

最後に、当社グループのトピックスについてご説明します。昨年12月25日に、株式会社ホタルクス社の全株式を取得し、グループ会社としました。ホタルクス社は、1950年に日本電気(現在のNEC)のラジオ事業部としてスタートし、その後独立してNECライティングとして活動し、2019年にはホタルクス社として活動していました。ホタルクス社の開発力や量産技術など、73年にわたる照明メーカーとしての経験を活かし、新しいサービスの提供や生産性の向上を図り、EMS事業の拡大を目指しています。

今後のビジョンについて、製造派遣製造請負の割合が、2008年には92%でしたが、2015年には70%まで低下しました。この2023年度の期末には40%まで減少する見込みです。

また、先ほどお話ししたように、ホタルクス社の株式を取得し、これをEMS事業と結びつけることで、ほぼ三つの柱が完成します。これまでの製造請負製造派遣、EMS事業、エンジニアリング、そしてアフターサービス、エネルギー関連などの新規サービスを展開し、多様なサービスを提供してまいります。

また、売上の拡大はもちろんのこと、特に利益の向上に焦点を当てたいと考えています。市場の成長性と収益性が高い事業に積極的に投資し、新規事業を展開しながら、市場の変動に左右されないバランスの取れた事業構成を目指し、競争力と収益の向上を追求していきます。

財務状況について、当社グループの固定比率は非常に低く、自己資本比率は55%と安定しています。これまでは安全性と安定成長に重点を置いていましたが、一定の事業規模に達したため、今後は成長フェーズに切り替えたいと考えています。自己資本比率は40%程度まで維持しながら、利益を確保し、自己資本を今後の成長に向けて積極的な投資を行っていきたいと思います。具体的には、ホタルクス社のようなものづくりのシナジーを創出し、人材育成にも力を入れつつ、経済的価値と社会的価値を高め、企業価値を向上させる取り組みを進めていきます

次に株主への還元状況についてお話しします。当初の配当方針では、配当性向を30%に設定しており、これを目安にしていました。ただし、まだまだ利益規模が小さいため、わずかな変動で大きな影響を受ける可能性があります。中期経営計画は2025年3月期まで続いており、積極的な投資を行っているため、収益が一時的に低下することも考えられます。したがって、24年3月期から25年3月期までの2期間について、年間最低配当を40円とお約束させていただきます。これにより、当社グループを支えていただく株主の皆様に安心感を提供し、同時に積極的な投資を行うことで、業績向上を目指します。また、さらなる業績寄与があれば増配を検討しています。

最後に、当社の株価状況についてです。昨日の終値は880円で、上場時の初値が1200円でした。現在の株価水準は非常に低いものとなっています。私たちは市場の変化をビジネスチャンスと捉え、社会の課題に真摯に取り組み、存在価値を高めるために努力し続けます。皆様の応援を受けて、より良い企業を目指して頑張っていきます。

最後に、一つのお知らせとして、IR情報専用のアカウントを11月1日に作成しました株式会社ウイルテック IR(証券コード:7087)

できる限りIR情報をタイムリーにnoteにて発信させていただきますので、ぜひこの機会にQRコードを読み取ってご覧いただければ幸いです。拙い説明でしたが、これで説明は以上となります。ご清聴いただき、ありがとうございました。

この後は皆様からの質問に、できる限り真摯にお答えしたいと考えております。ただし、質問内容によっては回答できないこともあるかと存じますが、その際はご理解いただければ幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。

質疑応答

Q. 第2四半期の決算で赤字転落しましたが、四季報では会社予想比弱気の減益予想が修正されています。この事業環境の変化に対応する上で、対応がうまくいっていないようにも見えますが、どのようにお考えですか?

渡邊 はい、ありがとうございます。実際、事業構成を変更している最中で、特にマニュファクチャリングサポート事業の製造請負部門、特に半導体関連や情報通信機器が売上の大部分を占めています。これが今回の影響を受けているので、今期末までの急激な回復は厳しいと思います。製造業で働く人たちが技術教育を受けてエンジニアへの転換を進めていますが、今期末までは転換や回復には苦労する部分があります。

Q. ホタルクス社の買収について、事業環境の変化によるものか? また、今後の投資拡大により赤字や減益になる可能性はありますか?

渡邊 ありがとうございます。ホタルクス社に関しては、2027年12月で国内の管球事業が生産できないという課題があります。それに対処するため、新たな取り組みを検討しています。事業環境が変わったわけではなく、当社は元々製造支援を事業モデルとしていますが、国内回帰の流れの中で、製造業だけでなくEMSにも注力しています。規模はまだ追いついていませんが、着実に進めており、赤字や大幅な減益には至らないと思います。

Q. 今期の売上が480億円、来期の売上が600億円と掲げていますが、足元の業績推移が大幅に下方に乖離しています。中期経営計画の見直しはどうお考えですか?

渡邊 ありがとうございます。ホタルクス社のグループインもあり、数字に関しては現在精査中です。中期経営計画の修正については、足元の状況を踏まえて慎重に検討します。

Q. 現在の従業員確保の難しさを考えると、賃金アップの予定はありますか?

渡邊 ありがとうございます。現在、顧客企業でも賃金の上昇が見られます。過去と比べると単価交渉がしやすくなっており、賃金を上げるための措置を進めています。ただし、大幅な体質悪化は予想していません。

Q. 現在のウイルテック様の給与体系では人が集まらない、または能力不足の人しか雇えないという問題は発生していますか?また、採用コストについて教えてください。

渡邊: 現在のところ、そのような問題は発生していません。確かに、採用コストは過去と比較して約3倍に増加していますが、海外を含むさまざまなチャンネルを通じて対応しています。特に半導体関連の分野では経験者が非常に少ないため、教育投資をしながら、適切な人材を育成しています。

Q. 採算分岐点や稼働率についての情報はありますか?

渡邊: エンジニアリングのビジネスでは、稼働率は90%以上を維持しています。しかし、若年層が多い半導体関連では、稼働率が80%をわずかに下回る状況です。全体としては、稼働率は70%後半から80%程度です。この低下は一時的なもので、将来的には改善する見込みです。

Q. 人手不足の問題に対して、どのように対応されていますか?

渡邊: 人手不足の問題に対処するために、海外の人材を積極的に活用しています。特に製造現場での海外人材の活用を進めており、現地での教育も行っています。

Q. 海外人材の活用は製造派遣にも適用されるのでしょうか?

渡邊: 製造派遣には直接適用できませんが、製造現場では海外人材を活用できます。現在、海外での人材教育に投資しており、今後もこの方向で進めていく予定です。

Q: 海外大学との教育・就職連携において、無償で日本語と就職サポートを提供していますが、これによって優秀な人材が他社や他国に流出するリスクはありますか?どのような対策を取っていますか?

渡邊: 当社は、「RISE for」というマッチングサイトも運営しており、日本の労働人口全体の減少に対応しています。私たちは、自社の教育プログラムを通じて、自社だけでなく、人材紹介業務によって日本への来日を促しています。教育を受けたすべての人が自社に入るわけではありませんが、この紹介ビジネスを通じて収益を得る体制を準備しています。

Q: 現在の株価についての見解は?

渡邊: 現在の株価水準には満足していません。IR活動を強化し、計画を明確にし、それを実行することが、株価向上につながると考えています。自己株取得などの資本政策も考慮していますが、まずは業績回復が最優先です。

Q: 2021年から2022年の営業利益の変動要因と、現在の利益率が適切かどうかについて教えてください。

渡邊: コロナ前の期間と比較すると、上場維持管理による経費増加や従業員報酬の上昇などがあったため、一時的な収益悪化がありました。現在、グループ全体で5%の利益率を目指しており、教育投資や新規サービスの発展により、これが可能だと考えています。

Q: ホタルクス社の減収減益の原因と、反転の兆しについて教えてください。

渡邊: 2020年頃には特需がありましたが、現在は管球からLED技術への移行により、市場環境が変化しています。2027年までにはこのトレンドが続くと予想され、新規事業を通じて対応しています。一時的な価格変動の影響もありますが、将来的にはLED技術を中心とした新しいビジネスモデルに移行していく予定です。

Q:女性の登用や活躍についての方針を教えてください。

渡邊: 当社グループでは男女差をなくす取り組みを進めています。特に建設系において、これまで女性の活躍の場が限られていましたが、現在は状況が変化し、エンジニア職の半数以上が女性です。また、間接部門では女性の役職者登用が進んでいます。部長や役員ポストにおいては、外部からの採用ではなく、社内で育成する方針を取っています。グループ会社では既に女性役員もおり、今後も女性の登用を積極的に進める予定です。

Q: ITサポート事業に進出した背景と、競合他社との違い、または強みについて教えてください。

渡邊: IT分野では人材の需要が非常に高く、市場にはまだ十分な人材が供給されていません。当社のITサポート事業は後発ではなく、20年以上の経験を持つ会社が当社グループに参加した形です。これにより、既存の顧客関係と実績を活かしつつ、グループのリソースを使った採用と教育により、他社と遜色ないサービスを提供できると考えています。

Q: 先ほどロボットの研究開発についての話がありましたが、DX投資による企業の業務効率の向上はどの程度見込まれますか?

渡邊: 数字で具体的に示すのは難しいですが、製造業におけるロボット導入はまだ進んでおらず、今後進むことで特に搬送部分の効率化が見込まれます。ただ、製造ラインのバランスを考えると、全体の効率化は限定的かもしれません。しかし、物流分野では既に省人化が進んでおり、搬送部分の効率化は大きく進むと思います。

Q: 来年に予定されている熊本の半導体工場に関して、目標とする売上の数字があれば教えてください。

渡邊: 現時点で具体的な数字を出すのは難しいです。半導体業界は非常に高い要求レベルがあり、現在は教育拠点を設け、人材育成に注力しています。市況の変動もあり、現在は確定的なことを言うのが難しい状況です。ただし、製造派遣製造請負ではなく、エンジニアリング分野の伸びに注目しており、その方向で目標を設定しています。

Q: 海外の大学との提携により、現在日本にどれくらいの外国人が来ていますか?また、今後の目標は?

渡邊:このプログラムでは、現在3~4回の教育セッションを経て、多くの方が日本に来ています。全従業員の10%が海外人材で、今後の目標は15%まで増やすことです。

Q: 半導体業界の在庫調整状況について、反転の兆しは見えていますか?

渡邊: 現時点ではまだ製造業での遅れが見られますが、新聞報道によると、一部の顧客からは在庫調整の兆しが見られています。ただし、明確な反転を確認するのは難しいです。

Q: 北海道の拠点が掲載されていません。北海道の事業展開について教えてください。

渡邊: はい、実際にはお客様の工場内に拠点を持っていますが、一覧には掲載していません。製造請負では、お客様の工場内で作業を行うことが多いので、そういった拠点はリストに含まれていないんです。北海道についても視野には入れています。

Q: 春闘で大手企業の賃上げが予想されていますが、御社の業態での実際の賃上げ予想はどの程度ですか?

渡邊: 全体的には6%くらいの単価賃上げを見込んでいます。ただし、お客様によっては上がらない可能性もあります。具体的な交渉は進行中ですが、最終的には3%から4%程度の賃上げが実現すると感じています。

Q: 従業員数について教えてください。有価証券報告書と概要に記載されている数が異なっている要因は?

渡邊: 有価証券報告書に記載された数は、臨時の人数を含めた全従業員数です。業界では従業員の入れ替わりがあるため、一時的な変動があります。現在の従業員数は約5700人です。

Q: 年間でどれくらいの採用を行っていますか?

渡邊: 平均して年間で1500から2000人を採用しています。派遣業界では短期の方もいますので、年間で約30%の従業員が入れ替わります。そのため、採用数は増え続けるわけではなく、バランスを取りながら運営しています。

Q: 退職する従業員の理由について教えてください。

渡邊: 派遣で働く場合、期間が決まっているため、仕事がなくなると他社へ移ることもあります。また、定期的にお客様も変わるため、それに伴って従業員の入れ替わりが起こります。製造業界では同じ人がいろいろな会社を渡り歩くことも多いです。

Q: プライム市場への移行についてのご計画はありますか?

渡邊: はい、プライム市場への移行は目指したいと考えていますが、まずは現在の基準を満たす、安定した土台を築いた上での移行を考えています。これは短期的な目標ではなく、長期的な展望です。

Q: 配当の下限を設定していますが、利益が下がった場合の配当政策はどうなりますか?

渡邊: 現在の中計期間(2025年3月期まで)は下限設定を維持する方針です。その先の具体的な計画はまだ確定していませんが、安定的かつ継続的な配当を目指しています。会社の状況に応じて柔軟に対応し、配当額を調整することも考えています。

Q: 半導体の在庫調整が完了した際、売上と利益の回復は期待できますか?

渡邊: はい、半導体の在庫調整が完了すれば、売上と利益は回復する見込みです。現在、教育や投資を進めているサービス事業が安定して伸びれば、さらに良い結果が期待できます。

Q: IR活動についての今後の計画はどうなっていますか?

渡邊: 引き続き、IR活動を積極的に行っていきます。良いニュースだけでなく、困難な状況にも正直に向き合い、株主や投資家の皆様に説明し、企業価値の向上に努めていきます。皆様のご意見を参考にしながら、より良い企業になるよう努力していきます。

投資家のみなさまへ

渡邊: これからも皆さんの前で、きちんとIR活動を行い、企業価値を高めるための説明を続けていきます。今日のように、皆さんのご意見やアンケートを重視し、応援してもらえる企業になるため努力します。辛辣なご意見も含め、今後も積極的に活動していく所存です。今後とも、こういった場に参加していただければ幸いです。当社ウイルテックを少しでも記憶に留めていただけたらありがたいです。本日はありがとうございました。

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