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[書き起こし・要約]シャノン(3976)IRセミナー 質疑応答 2024.1.15開催

2023.1.15に開催しましたシャノン(3976)IRセミナーの質疑応答部分の書き起こしになります。


登壇者 代表取締役社長 中村 健一郎 様

資料  事業概要・会社概要に関する説明資料

IRセミナー

私の方から、おおよそ30分から35分でこの資料をご説明いたします。どうぞよろしくお願いいたします。まず、月曜日のお忙しい中、この時間にお集まりいただき、本当にありがとうございます。私の説明が皆様の理解のお役に立てればと思います。本日は、生成AIを活用した新サービスの発表、サブスクリプション事業の売上について、そして2期連続赤字からの黒字転換に関する見通しについてお話しします。本日の株価は終値で437円、時価総額13.8億円です。株価は低いところに位置していますので、これから黒字転換して成長を目指していきたいと考えています。

上場前後から見ていただくと、上場直後から成長に苦労している時期もありましたが、コロナの影響を受けた2020年を除き、順調に成長しています。

2023年10月期には29億3400万円まで売上が伸び、成長志向が明確です。2024年10月期は保守的な予算を組んでいますが、32億7500万円まで売上を伸ばし、黒字を目指します。

シャノンは2000年に設立し、現在24期目です。マーケティングをワンストップで解決するサービスを提供しており、現在275名の社員がいます。当社のミッションは「マーケティングの再現性で世界を変える」です。日本を代表するマーケティングクラウドを目指しています。沿革の歴史については、2000年の設立から、2006年にセールスフォースとの連携、そして2011年にマーケティングプラットフォームへの転換があります。

現在、シャノンは様々なマーケティングサービスを提供しており、女性社員の比率も37%と高いです。また、外部からの評価として、ITレビューでLeaderに3年連続で選ばれています。当社は、認知から商談、受注までの一連の流れをカバーするサービスを提供しており、広告領域も手がけています。また、CMSやSFAサービスも提供し、客単価の伸びに良い傾向が見られます。
2024年10月期の通期業績予想では、保守的な予算設定をしていますが、サブスクリプション売上は市場の成長率を大きく上回り、2024年10月期は前期比115%の成長を見込んでおります。イベントクラウド事業は2023年10月期並みの売上を見込んでいます。また、メタバース事業では地に足のついた現実的な推進を目指し、今後も継続してチャンスを探る体制を整えています。
シャノングループでは、マーケティングの全領域をカバーしており、日本のマーケティングオートメーション市場は成長を続けています。私たちのサービスは、エンタープライズからミドル、ローエンドの市場に向けて提供されています。

2024年10月期の通期業績予想です。先ほど触れた通り、2023年10月期の売上は前期比19.5%増であったこと、2期連続赤字であったことを踏まえると、収益性を考慮し、少し保守的な予算設定をしています。目標は今期の黒字転換です。サブスクリプション事業は前期比15.7%成長を目指し、市場成長率を大きく上回る成果を期待しています。
イベントクラウド事業については、昨年と同程度の売上を見込んでいます。昨年は予想を下回ったため、慎重に予測しています。また、メタバース事業については、過去3年間の目標達成が困難だったことから、方針を見直し、実現可能な推進とバランスを求めています。今後の可能性を模索しながら事業を続ける予定です。
営業利益ベースでもプラスを目指しています。成長戦略として、4つの柱に注力します。まず、メインのサブスクリプション事業を強化し、売上を最大化します。次に、生成AIを活用した新サービスを導入し、市場のニーズに応えることを目指します。このサービスは、今期リリース予定です。
コロナの影響で打撃を受けたイベントクラウド事業の立て直しにも注力します。また、M&Aを進め、サブスクリプション事業のソリューション領域を拡大していきます。この拡大により、顧客単価の増加、更新率の向上、新規顧客獲得のチャンスを見込んでいます。
生成AIについては、市場が14兆円に成長すると予想されています。シャノンでは、セールスマーケティング領域でのAI活用に注力し、ビジネスへの活用を目指しています。既存のサービスも存在しますが、実際の活用には課題があると考えており、シャノンはこれを解決するサービスを提供します。新しい「コンテンツアシスタント」サービスを通じて、生成AIの実用化を促進していきます。

私たちは、新しい開発を検討する際に多くのお客様や一般の方からアンケートを取りました。コンテンツ作成の課題について尋ねたところ、多くの方が属人的な作業や量の増加、作成時間の長さを問題として挙げました。例えば、月に2回送っているメールマガジンを4回に増やすと、単純に成果が2倍になるわけではありませんが、少なくとも1.23倍程度の成果は期待できます。マーケティングはコミュニケーションであり、コミュニケーション回数が多いほどレスポンスが得られます。このため、マーケティングオートメーションにおいても、コンテンツを多く作成することが重要です。これを解決するために、私たちはマーケティングコンテンツ作成SaaSを開発しました。

当社が提供する「コンテンツアシスタント」を使用すると、マーケターはメール、セミナーのタイトル、ブログなど様々なコンテンツを簡単に作成できます。これは8割9割完成したコンテンツを出力し、あとは仕上げるだけです。さらに、一部のお客様からは、生成AIを使った運用代行サービスの要望もありました。そのため、私たちは他社では提供できない独自の運用代行サービスを目指しています。
実際の画面では、製品やサービスごとにテンプレートが用意されており、簡単な質問に答えることでコンテンツが生成されます。この画面では、右側に完成した文章が表示されます。例えば、お客様の課題を書く部分もありますが、これもシステムが考え出し、提案する仕組みになっています。
当社の製品は、背後にChatGPTをエンジンとして持ちつつ、プロンプトエンジニアリングを活用しています。ユーザーは簡単な質問に答えるだけで、マーケティングに適した文章が生成されるように設計されています。

 

次にイベントクラウド事業についてお話しします。コロナの影響で一時的に収益性が低下しましたが、現在は組織をスリム化し、コストバランスを取り直しました。コロナ禍で増加したオンラインウェビナーやセミナーイベントにより、競争が激化しましたが、リアルイベントに戻りつつある状況のなか、当社の強みを活かし、競合に差をつけていく方針です。

最後にM&Aについてです。資金調達に関して、株主総会で議案として提案しており、承認された場合は2023年3月に実行した資金調達と合わせて25億円規模の調達ができます。その資金の一部を活用し、良いチャンスがあれば積極的に取り組んでいく姿勢です。

サブスクリプション事業について、市場は成長性が高い状況です。当社のマーケティングプラットフォームは900以上の機能を備え、大型イベントやオンラインウェビナー、アンケート、SMS、LINE対応など、多岐にわたります。決済や会員管理機能もあり、BtoC分野でも利用されています。最新のサービス「コンテンツアシスタント」は生成AIを活用し、他にない差別化を図っています。

導入実績については、金融、不動産、通信、ヘルスケアなど多様な業種に提供しています。BtoCが売り上げの約3割、BtoBが約7割を占めており、ほぼ全業種に対応していますが、小売など一部の分野はサポートが少ないです。

ITレビューでは、セールスフォースやAdobeなどの世界的企業と比較され、国内での評価は高いです。営業力の差はありますが、製品とサービスを強化し、さらに良い評価を目指しています。シャノンのサービスは多機能で本格的なものですので、その点をご理解いただければと思います。

新規顧客獲得は増加傾向にあり、月額収益(サブスクリプション売上)も右肩上がりで成長しています。このサブスクリプション売上は市場成長率を上回っております。サブスクリプション売上以外に、プロフェッショナル売上も重要な収益源です。これには導入支援やカスタムサービスが含まれます。年度によってエンタープライズ案件、中・小型のプロジェクトによる売上の変動がありますが、全体としては安定した成長を遂げています。

売上の構成については、ミドルレンジの価格帯(10万から50万円)の比率が大きく、全体として成長を支えています。解約率は低い位置で安定しており、お客様からの信頼が反映されていることがわかります。サブスクリプション事業は安定した利益率を生み出し、会社の収益に大きく貢献しています。

イベントクラウド事業については、事前から事後までのイベントプロセスをカバーし、オンラインからオフライン、メタバースに至るまでの広範囲をサポートしています。メタバース市場は成長が見込まれており、シャノンの「ZIKU」というサービスはノーコードで簡単に空間が作れるという特徴を持っています。この市場はまだ大きな成長を見せていないが、機会をうかがいながら進めていきます。

広告事業では、広告代理店サービスとシャノンアドクラウドシステムサービスの二つのビジネスを展開しています。特にシャノンアドクラウドはCookieレス対応の広告サービスを提供し、競合に比べてコストが低く設定されています。生成AIサービスも進行中であり、今後の展開にご期待ください。サブスクリプション事業は安定して顧客を増やし、今後も継続して成長を目指します。赤字から黒字への転換を図る中で、投資として魅力的な企業としての成長を続けます。

質疑応答

Q: シャノン様のMAの販売方法について質問です。現在、営業代理店を通じた販売を行っているのでしょうか

中村: 現状では、営業代理店を部分的に利用して販売しています。ただし、全体の売上比率としては代理店からのものは多くありません。主に直販が中心ですが、新たな代理店パートナーが興味を持ってくださる場合、契約を結ぶことも可能です。マーケティングオートメーション製品は、一般的に説明が難しく、機能が多岐にわたるため、すべての代理店が販売を行えるわけではありません。

Q: 競合他社も、直販が主流ということでしょうか?

中村: 会社によりますが、多くの場合、直販が主流です。これは製品の特性に起因していると思います。代理店を通じた販売は比率としては高くないでしょう。

Q: シャノンのSaaSマーケティングサービスについて質問があります。シャノンの営業活動において、自社のMAをマーケティングに活用していますか?

中村: シャノンでは、自社のサービスをマーケティングとセールスに積極的に活用しています。CMSなど、部分的に利用している場面もあります。また、M&Aで合流した企業のサービスも活用しており、適切な調整を行っています。原則として、自社サービスを利用してビジネスを展開しています。

Q: イベントクラウド事業の売上が回復しない原因は何でしょうか

中村: 2つの主な原因があると考えています。まず、オンラインイベントが普及し、多くの企業がリアルイベントからオンラインイベントへと移行しています。2019年の水準と比較すると、ビジネスイベントの全体的な回復率は約80~90%です。オンラインイベントの利便性が評価されており、完全にリアルイベントに戻ることはないでしょう。次に、コロナ禍でオンラインイベント市場に新たな競合が参入しました。これにより、オンラインイベントサービスを提供する企業が増加し、リアルイベント市場においても競争が激化しています。私たちは、これらの変化に対応し、差別化できる機能の開発に取り組んでいます。競争が激しい市場においても、顧客に選ばれるサービスを提供することに努めています。

Q: オンラインイベントが増える中で、リアルイベントの需要はどのように変化すると考えていますか?また、シャノンの売り上げへの影響は?

中村: リアルイベントの需要が増えれば、シャノンにとっては追い風です。特に大型イベントには強みがあります。幕張メッセで開催されるような大規模イベントや東京モーターショー、Amazonのイベントなどがリアルで復活すると、シャノンにとってはプラスです。一方で、オンラインイベントの定着も考慮しており、トータルでの伸びを目指しています。シェアを拡大するためには、競争力を磨くことが必要です。

Q: 他社との競合状況はどうですか?シャノンは大型イベント分野でシェアを獲得していますか?

中村: シャノンは確かに競合他社と競争していますが、イベント分野では特に大型イベントにおいて強みがあります。他社とは異なる特徴を持っており、例えばイベントの企画運用に強みを持つ会社などと差別化しています。シャノンはこの分野で一定のシェアを持っており、競合他社との競争を通じてサービスの質を向上させています。

Q: 増収が続いているにもかかわらず、赤字が継続しているのはなぜでしょうか

中村:二つの主要な理由があると考えています。第一に、私たちのサブスクリプションビジネスモデルには特徴があります。顧客を獲得すればするほど売上は増えますが、成長する過程で、例えば月額10万円の顧客を獲得すると、実際の解約率が年間約10%だとすると、平均利用期間は逆算して約9年になります。これをLTV(顧客生涯価値)で見ると、1000万円を超える価値のある顧客になります。しかし、その獲得に300万円かかったとしたら、最初の年だけを見ると獲得コストが売り上げを上回ってしまい、先行投資によって赤字が出やすい傾向にあります。これが一つの根本的な理由です。第二に、会社全体としては、この2年間に中期計画を立て、より高い成長を目指していました。グラフで見ると成長や収益が順調に見えるかもしれませんが、例えば2023年10月期は前期比140%の成長を目指していたものの、実際は120%成長にとどまりました。つまり、より高い成長を目指すために必要な投資を行っていたのですが、その投資が成果に結びつかなかった部分もありました。特にメタバース関連の投資は大きかったものの、後に減損処理されました。つまり、投資が成果に結びつかなかった部分があったということです。その部分でマイナスがあったため、サブスクリプション事業自体は赤字ではないのですが、他の部分でバランスを崩していました。もちろん新規獲得だけを切り取れば、1年だけのお客さんを見れば利益面でマイナスがあります。しかし、LTVベースでは必ずプラスになるビジネスモデルですので、ここを伸ばしていくことが重要です。先ほどの話で、今年のサブスクリプション事業収益予測が17億円弱と言いましたが、その分はかなり高い利益率を持っています。

Q: メタバースは予想以上に伸び悩んでいる印象がありますね。

中村: その通りです。正直、結果が全てであり、言い訳の余地はありません。もっと伸びると思っていたし、手応えも感じていましたが、特にコロナ収束に向けたスピード感の失速が影響したと思います。メタバースはまだ新しい分野で、その用途の広がり方が狭い範囲にとどまっています。BtoCのライブイベントなどで伸びている分野もありますが、まだ広がっていく可能性はあるでしょう。FacebookがMetaに変わり、Oculusの宣伝もされていますが、中長期的に見て必ず伸びる分野だと信じています。しかし、現実的なビジネスとしての調整は必要で、体制や投資額を抑えてバランスを取り、続けられる体制にシフトしました。今後も徐々に伸ばしていくつもりです。

Q: サブスクリプションビジネスの初期投資と長期黒字化の流れは理解できますが、お客様獲得の流れについて教えてください。例えば、イベント開催やネット広告など、シャノン様が最も多用する獲得パターンは何ですか?

中村: シャノンはSaaSメーカーとして、一般的なマーケティング手法の多くを取り入れています。ボリュームで言うと、ビジネス展示会を通じて新しいお客様との出会いが最も多いですね。オンライン広告も積極的に行っており、そこからの流入も多いです。これらが主要な2つの獲得方法です。ビジネス展示会では、例えばビッグサイトや幕張メッセのような大型イベントに、トップクラスの大きさのブースで参加しています。年間を通してほぼ毎月、様々なイベントに参加し、何万人もの新しい方との接点を得ています。

Q: 直接会った方がネット経由より成約率が高いビジネスですか?

中村: はい、そうですね。オンライン広告はニーズが明確な人に向けて効果的ですが、まだニーズがない人には直接会って説明することが重要です。マーケティングオートメーションはまだ少数派で、多くの人にはこの便利なツールが未知です。私たちは積極的に出向いて、サービスの価値を伝えています。

Q: サブスクリプション事業の売り上げが去年よりも大きく伸びる理由は?

中村: 新規獲得ペースの増加が主な理由です。営業組織の強化や習熟度の向上が成果を生んでいます。また、競合との差別化が進んでおり、製品やサービスの優位性が徐々に明らかになってきています。これらの要素が売り上げの増加につながっています。

Q: 営業効率の向上や人数増加が影響していますか?

中村: はい、人数増加もありますが、より重要なのは営業員の習熟度と技量の向上です。トレーニング強化が成果を生んでおり、競合に対する製品面での優位性も徐々に現れています。環境的にも私たちにとって有利な状況が形成されていると感じています。

Q: 株価についてのご意見は?

中村: 株価の上昇や下降に関してコメントするのは難しいですが、株価が下がっていることは事実です。主な原因は、過去2年間の赤字が大きかったことと、成長目標を達成できなかったことです。資金調達の方法が株価に影響を与えているとの見方もありますが、私は業績が最も大きな要因だと考えています。資金調達は、今後の成長に必要なものであり、M&Aなどの成長戦略に貢献するものです。また、新株予約権はMSワラントとは異なり、行使価格が固定されているため、株価が上がらない限り行使されることはありません。この点についての誤解を避けたいと思います。

Q: 前受金の比重が高い点と、それが財務基盤にどう影響するかについて教えてください。

中村: 当社のサブスクリプションビジネスは、基本的に年契約が多く、契約時に1年分の料金を先に受け取っています。このため、前受金が発生し、売上に反映されるまで毎月消化されるプロセスになっています。前受金の大きさは、特殊なビジネス形態によるもので、キャッシュが先行して入ってくるため、ビジネス形態としては良い形です。

財務基盤に関しては、過去の赤字と成長目標の未達成が影響していると認識しています。最近の資金調達は、これからの成長に寄与するもので、特にM&Aなどに必要です。発行した新株予約権はMSワラントではなく、行使価格が固定されているため、株価が上がらなければ行使されません。現在の資金調達でキャッシュを確保しており、これによって営業ベースでの黒字を積み重ね、財務基盤を強化していく計画です。

Q: M&Aに関する取り組みはありますか?

中村: 具体的なM&Aの取り組みについては詳細を公表するのは難しいですが、セールスマーケティング領域で相乗効果が期待できる製品やサービスに関心があります。多角化を目指すわけではなく、シャノンの核となるマーケティング分野に関連する領域でのM&Aを考えています。まだ手がけていないセールスマーケティングの領域を取り込むことが一つの戦略です。

Q: 同業他社に対する強みは何ですか?例えば、競合企業である大手セールスフォースと比較しどんな観点で選ばれていますか?

中村: 確かにセールスフォースはブランドとして非常に強く、BtoBの分野で広く使われています。しかし、シャノンの製品は価格面で競争力があり、多機能で幅広いサービスを提供しています。セールスフォースと比較すると、特にマーケティングの領域で強い特徴を持っています。たとえば、DM、LINE、SMS、ウェビナーなど、高価なプランでなくても利用できる機能があります。

また、シャノンはサービス面で強みを持っています。特に担当者が手厚くサポートするので、初めて使う方や使い方に不安がある方には安心して利用いただけます。これらの点が、セールスフォースに選ばれるケースがある理由の一部です。価格の面で利用者にとってメリットがある場合や、特定の機能を重視するユーザーにとってシャノンが選ばれることが多いと考えています。

Q: シャノン様のサブスクリプションビジネスに関して、BtoB企業単価が高い商材に適しているとのことですが、サイボウズさんがシャノンを導入した理由を教えてください。

中村: まず、サイボウズさんは私たちのサービスを主に2つの分野でご利用いただいています。サイボウズさんの「kintone」は非常に有名ですし、グループウェアとしてのシャノンとは異なる領域です。しかし、例えばリアルイベントの運営では、サイボウズデイズなどの大規模イベントを私たちがサポートしています。kintoneではリアルイベントの管理や運営は開発が必要ですが、私たちのサービスを使うことで効率的かつ安全に行えるため、評価いただいています。

また、マーケティングオートメーションやセミナー運営などの面でも、kintoneではカバーできないマーケティング系の機能を私たちのサービスで補っています。例えば、メールの一斉配信など、kintoneの標準機能では難しい部分を、私たちのサービスで実現しています。このように、マーケティング関連の機能面で私たちのサービスの強みを活用していただいているのが、選んでいただく理由だと考えています。

Q: 会社における女性の比率や女性幹部・役員の登用状況について教えてください。

中村: 現在、女性の役員はいませんが、女性の管理職に関しては、全体の約20%の登用率となっています。社外取締役には豊島社外監査役がいらっしゃるので、役員全体では12.5%の割合です。女性従業員全体の37%に比べるとまだ低いですが、自然体で女性の登用が進んでいると感じています。これからも女性の管理職の増加に取り組んでいくつもりです。

Q: 最近の物価上昇に伴い、貴社もインフレの影響を受けているかどうか、また運用面でのインフレ対策について教えてください。

中村: 現在、私たちは採用面での給与水準の上昇や、仕入れコストの増加など、インフレの影響を感じています。特に、マイクロソフト製品の価格上昇やAWSサービスの利用コスト増加などが挙げられます。これらに対する対策として、効率的なサービス利用や大規模割引プランの適用など、コスト削減を意識しています。また、サービス価格の改定を通じてコスト増加を吸収していく取り組みも進めています。

Q: M&A戦略において、既存事業とのシナジーを持つ企業の選定や、新分野への挑戦についての考え方を教えてください。

中村: M&Aにおいては、セールスマーケティング領域で相乗効果がある企業を主に対象としています。例えば、メタバースは新しい領域ですが、私たちの既存のイベント事業と関連があります。また、SNSサービスやCMS企業など、既存のお客様にも提供できるサービスを検討しています。ただし、適切な価格でのM&Aを心掛けており、過度に高い価格設定の場合は検討から外れる可能性があります。

Q: 黒字転換後の戦略について教えてください。利益を最優先にするか、それとも成長のための投資を重視するかについてお願いします。

中村: 黒字転換後の戦略としては、まずは財務的な安定を優先する方針です。その上で、成長を目指していますが、過度なリスクは避けつつバランスを取ることが重要です。サブスクリプションビジネスの拡大を進めつつ、その他の事業での赤字を避けるよう調整しています。

Q: 知名度向上のための戦略について教えてください。

中村: 知名度向上のためには、様々な用途でのサービス提供を通じて、多角的なアプローチを行っています。TVCMなどの大規模な広告は予算のバランス上難しいですが、既存のお客様からの口コミや紹介、中小企業向けのサービス拡大を通じて知名度を高めていく戦略を取っています。

Q: CEOとしてのプレッシャーについて教えてください。

中村: CEOとして最もプレッシャーを感じるのは、株主やお客様への責任です。特に過去2年間の業績に対しては、株主の皆様に十分な成果を報告できていない点に心を痛めています。結果を出し、株主の皆様に期待に応えられるよう努力しています

投資家の皆さまへ

中村: 本日は長い時間、お付き合いいただきありがとうございました。当社は、サブスクリプションビジネスを強化しつつ、新たに生成AIのビジネスにも取り組んでいます。これらのビジネスに期待していただければ幸いです。今後とも、当社が提供するサービスや取り組みにご注目いただき、引き続きウォッチしていただければと思います。本日はありがとうございました。

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